670/670
私の消費
私を咀嚼する
私を呑み込む
塩っぱい味が
口の中を干した
私を吐き出す
私が飛び散る
乾いた喉が
少しだけ潤った
私を口に入れる度
私を噛み潰す度
不揃いな味が
舌を鈍らせていく
もう一度私を呑み込む
嗚咽を抑えて
反芻を抑えて
無理やり呑み込んだ
口の中はそのままだった
喉は潤ったままだった
不味さすら感じなかった
私を感じなくなった
私を咀嚼する
私を噛み潰す
私を呑み込む
私が私を食べる
無味さえ分からなくなった
喉も口の中も肥えた
そしてやっとなくなった
私をやっと消費し終えた




