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ハレニマヨッテ
走りたくなるほどの晴れの下
白昼夢の街並みを歩き回る
見慣れた影を踏み 通り越し
懐かしさの上をなぞっていく
お腹を空かせる看板 今はもうない
お店の跡 あの頃の名残を目で追って
大きくなった歩幅で街路を進む
その内通り過ぎていたいつもの小路
風の匂いを辿って 風の足跡に沿って
記憶の中の景色を探して 今と重ねて
ちょっとだけ湧いた元気 背中を押した
影法師がまだ手を振って 見送ってくれた
迷いたくなるような青空の下
おおらかな白昼夢の続き 歩き回る
残った木陰の中を潜って 通り抜けて
懐かしさの跡に沿って進んだ
残ったもの なくなったもの
見つける度に胸がざわついて
写真のような景色 気付けなかった変化
ちょっとだけ寂しさを覚えて
風の手を握って 風に手を引かれて
思い出の中から抜け出して 今と重なった
どこか知らない街並み 私のいるこの街
歩む度に前を向けるようになっていく
風に誘われて 風を追いかけて
一歩一歩 懐かしさを踏みしめて
大人になっても 背中を押しくれた
影法師が手を振った 私も手を振り返して




