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天秤の葉、紅  作者: 賽裏


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1/2

①終わり への きろく

 死のうと思っていた。

 当然。俺は真っ二つに両断された。


 首元から二つに、頭だけが跳ね上がり、意識はゆったりと流れる。回転する頭、俺は、景色を廻らせる。俺を斬った者、次に、俺に手をさし伸ばす、いつも通り冷徹な表情の少女。そしてまた俺を斬った敵へと景色は戻る。


「まるでバトル漫画の悪役の気分だぜ」


 と冗談をあいつに言いたいところだ。


 そんなことを言ったらあいつは、流石に表情を変えてくれるかな。

 笑ってくれるだろうか。泣いてくれるだろうか。

 最早、声もでる状況ではないけど。


 詰まらないことを考えていると、頭が地面におちる。

 真っ赤な地面が半分、真っ暗な空が半分。

 

 視界がぼやけ、全てが見えなくなっていく。

 音も少しずづ遠くに消えていく。


 すっと俺が抱きしめられる。

 いや抱きしめられていたのかもしれない。

 あいつだろう。これは彼女なのだろう。だといいな。


 俺は最後の力を振り絞って、出ない声をあげる。


「喰ってくれ」


 音になっていたかは分からない。でも抱きしめる腕がギュッとなった気がするのは、伝わってのことだろう。


 死の音がする。喰われる音だ。おわれるんだ。

 総括しようか。思えばくだらない人生だった。無念ではないが本当にどうしようもなかった。あらゆる選択の中、正しい道を、ちょっとでも違うものを選べば、よい人生を送れたのではないのか。

 

 今までの人生を振り返り、振り返ると少女の姿ばかりが浮かぶ。

 俺ってロリコンなのかもな。そんなにこいつのこと好きだったんだな。


 くだらないことを思いながら、最後に


「笑顔くらいみたかったな」


 と。


 すると何かが俺の額に、流れる。

 雨。いい雨だ。終わりには雨がいい。

 でも、


 ありがとう。

 

「こんなんじゃ、約束を果たしたとは言えねえよな」


 少女は首を振りそれを否定した。


 それを最後に、俺は刀に喰われた。

 



 その後のこと?

 俺は死んだから知らない。

 彼女が敵を倒し、世界を終わらせたのか。それともやつが勝ち、世界は変わらず存在するのか。

 そんなことは死んだ俺にはどうでもいい……嘘。

 どうでもよくない。

 でもどっちにしろどうにかなったのだろう。


 世の中ってのはそんなもんだ。俺が死のうが、誰が死のうが、誰かがなんとかするもんだ。

 そしてどうにかなるんだ。


 そうなんだ。

 どうにか、なる、のだ。

 

 

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