①終わり への きろく
死のうと思っていた。
当然。俺は真っ二つに両断された。
首元から二つに、頭だけが跳ね上がり、意識はゆったりと流れる。回転する頭、俺は、景色を廻らせる。俺を斬った者、次に、俺に手をさし伸ばす、いつも通り冷徹な表情の少女。そしてまた俺を斬った敵へと景色は戻る。
「まるでバトル漫画の悪役の気分だぜ」
と冗談をあいつに言いたいところだ。
そんなことを言ったらあいつは、流石に表情を変えてくれるかな。
笑ってくれるだろうか。泣いてくれるだろうか。
最早、声もでる状況ではないけど。
詰まらないことを考えていると、頭が地面におちる。
真っ赤な地面が半分、真っ暗な空が半分。
視界がぼやけ、全てが見えなくなっていく。
音も少しずづ遠くに消えていく。
すっと俺が抱きしめられる。
いや抱きしめられていたのかもしれない。
あいつだろう。これは彼女なのだろう。だといいな。
俺は最後の力を振り絞って、出ない声をあげる。
「喰ってくれ」
音になっていたかは分からない。でも抱きしめる腕がギュッとなった気がするのは、伝わってのことだろう。
死の音がする。喰われる音だ。おわれるんだ。
総括しようか。思えばくだらない人生だった。無念ではないが本当にどうしようもなかった。あらゆる選択の中、正しい道を、ちょっとでも違うものを選べば、よい人生を送れたのではないのか。
今までの人生を振り返り、振り返ると少女の姿ばかりが浮かぶ。
俺ってロリコンなのかもな。そんなにこいつのこと好きだったんだな。
くだらないことを思いながら、最後に
「笑顔くらいみたかったな」
と。
すると何かが俺の額に、流れる。
雨。いい雨だ。終わりには雨がいい。
でも、
ありがとう。
「こんなんじゃ、約束を果たしたとは言えねえよな」
少女は首を振りそれを否定した。
それを最後に、俺は刀に喰われた。
その後のこと?
俺は死んだから知らない。
彼女が敵を倒し、世界を終わらせたのか。それともやつが勝ち、世界は変わらず存在するのか。
そんなことは死んだ俺にはどうでもいい……嘘。
どうでもよくない。
でもどっちにしろどうにかなったのだろう。
世の中ってのはそんなもんだ。俺が死のうが、誰が死のうが、誰かがなんとかするもんだ。
そしてどうにかなるんだ。
そうなんだ。
どうにか、なる、のだ。




