第一章 始まり
第二話「過去の邂」
柊木「わぁ、綺麗だなぁー」
唐突に、ありえないことが起きたからか、その景色を見て、最初に出た言葉がこれだった。
「だめだ、正気を保て、柊木冬雪。」
そう、心の中で自分を諭した。
いったん、今の自分の状況や、いる場所を整理してみた。
1、自分は今、過去に遡っている。なぜ遡ったのか分からない。元の時間に戻る方法も分からない。今、この時間は見てきた景色から見て、戦国時代の少し前であると考えられる。
2、自分の肉体的な時間や、体調は変化無し。身に付けている服や、持っていた物はそのまま、自分と一緒にこの時間に来ている。当たり前だが、スマホなどの電波を必要とする機械は利用できなくなっている。
3、今時分がいる場所は遡っていた最中に見た景色から、常に同じ所にいることが分かる。
「とりあえずこんなところか、さっき見えた城下町にでも行ってみるか。いや、この身なりで言ったら怪しまれるか。でもこのままでも何も進まないし,,,。」
そんなことを考えていると、近くで「ドさッ」と何かが倒れるような物音がした。その音のする方を見てみると、そこには、いかにも裕福な育ちであることが見て取れる着物を着た、少年が、倒れていた。
「えっ?誰っ?」「大丈夫?助ける?」「でもこの身なりだし」
「助けたらどうなる」「得体のしれない人が変なことをしたら処刑されるかもしれないし」「でももしかしたらなにかご恩をもらえるかも」
と、頭の中でいろいろな考えがよぎる。
「でも、この子にはこの子自身の人生がある。助けない手はない!」
僕は、倒れていた子の息を確かめた。息はしている。次は額に手を当てて
熱があるかをたしかめた。熱もないようだ。
「脳卒中とかくも膜下出血みたいな手術が必要なものだったらどうしよう。やばいやばいやばい」
そう焦っていると、近くで人の声がした。木々の陰から覗いてみると、そこにはこの倒れている子供を探しに来た武士らしき人たちがいた。
武士「資正殿!どこでござるか!」
「資正殿!聞こえているなら、これへ参り候え!」
「相政殿!無事にて候ふか!」
「やばい、見つかったら確実に何かいけないことが起きる。いったん逃げよう。」
焦っていたせいか、僕はその少年を、かかえってその場から離れた。
何とかばれず逃げることができた。とりあえず近くに見えた、洞窟に入っていった。そして僕は、連れてきた子供を寝かせて自分の上着を着せた。
「どうしよう、この子連れてきちゃったな。あのまま見捨てて逃げていたら、武士たちに見けられていたのに」
少年「御辺ふぁ誰で候ふか。ここはどこでござるか」
柊木「?!」
考えていると少年が目を覚ましていた。この時代の言葉は現代の言葉とは少し違う。だが柊木冬雪がこの時代の言葉を知っているわけがない。とっさに答えた。
柊木「柊木冬雪です…」
少年「左様にて候ふか、我こそふぁ、武蔵国の住人、太田資正なり」
少年はそう名乗った。
第二話終了




