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第一話 涙の夜に another

 今夜は、ユウタという男の子のところへ行った。


 布団の中で、胸をぎゅっと押さえて泣いていた。

 学校でからかわれたことを、何度も思い出してしまうみたいだった。


 人間の子どもは、ときどき自分が悪くないことまで「ぼくが悪いのかな」って思ってしまう。


 それが、ぼくはとても悲しい。


 人間の心は、ふしぎだ。

 ほんとうは傷つけられたほうなのに、自分のほうを悪いって思ってしまう夜がある。


 ぼくは、まだ人間のことをよく知らない。

 でも、こういう夜に会うたび、「やさしい子ほど自分を責めてしまうんだ」って少しずつわかってきた。


 それに……。

 ここは、朝が来る世界なんだね。


 夜は誰にでもやさしいはずなのに、泣いている途中でも、悲しいままでも、終わってしまうことがあるんだ。

 だからせめて、今夜のユウタには、やさしい夜を渡してあげたかった。


 ユウタは、ほんとうはとてもがんばっている子だった。

 ノートを忘れてしまうこともあるけれど、ちゃんと学校に行こうとしている。


 それだけで、もう十分すごいことなのに。

 ユウタが泣いたとき、ぼくもつられて泣いてしまった。


 だって、「ぼくが悪いの?」って聞かれたら、どうしても胸が痛くなる。


 ユウタは悪くない。

 そう伝えたら、少しだけ顔がやわらいだ。


 人間は、ほんとうのことを言ってもらうだけで少しだけ眠れる夜があるみたいだ。

 雲のベッドに横になったとき、さっきまでより安心した顔をしていた。


 よかった。


 星砂をひと粒、置いてきた。

 あの砂は、朝になると小さな勇気になる。


 明日も、学校へ行くのはちょっと怖いかもしれない。

 それでもユウタなら、きっと歩いていける。


 ふわぁ……。

 ぼくも少し眠くなってきた。


 また、眠れない夜があったら、そのときは、ぼくが行くからね。

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