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警備団の建物には、夜間にあたる騎士以外もうほとんど人が残っていなかった。
執務室に戻ると、机に向かい、ある指令を紙に書き記した。
それを残っていた部下のひとりに手渡す。
「明日出勤する者、非番の者。街を保安する者を除いた全員を朝一で招集してくれ。そして、副団長にはこれを渡してほしい」
「はっ。かしこまりました」
「頼んだ」
それから私は邸に帰ると、執事に明日、夜明けと同時に出立することを告げた。
「馬丁には屋敷の前に愛馬を用意するよう伝えてくれ」
「かしこまりました」
そして、翌日、私は朝日に照らされる中、愛馬の白馬に跨り王都を飛び出したのだった。




