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 窓から見える日が沈むのに合わせて、取り掛かっていた仕事もころよく終わりが見えてきた。

 執務室で書類に目を通しながら、集中力が切れたせいか、思考はそれとは関係ないことへと、移っていく。

 

――二日後には結婚式だ。エレン嬢のウェディングドレス姿を見るのが楽しみだ。その前に両親に会わせなければ。明日、エレン嬢を迎えにいかないと。 

 一昨日、友人と行った伯爵家のパーティーは楽しめただろうか。


 そんなふうに考えを巡らしていたら、外がにわかに騒がしくなった。


「困ります。約束がない方はお通しできません」


「約束をとっている暇などない。こっちは緊急事態なんだ。そこを通してくれっ」


 誰かが無理矢理こちらに来ようとしているらしい。聞き覚えのある声に放っておくこともできず、椅子から立ち上がった。扉を開け、廊下へと出た。


「どうした」

 

「はっ。それが――」


「フェリシアン様っ!!」


 眼の前にいた部下を押しのけ、レヴィンズ男爵が前に飛び出てきた。


「エレンがっ! エレンがっ! こんな書き置きを残して!」


「一体どうした」


「気付いたのが、さっきだったのです。いつ出ていったのやら。ああ、どうしたら――」


 男爵は冷静さを失っているらしく、要領が得ない答えが返ってくるばかり。

 とりあえず、差し出された紙片を受け取る。

 そこに書かれた文面を見て、目を広げた。


「本当にエレンは、修道院に行ったのでしょうか……」 


 こちらを窺いながら、弱々しく言葉を紡ぐ男爵。


「ほかには?」


「え?」


「ほかに何か残されていないか」


「……いえ、これを見つけて慌てて出てきたので、ほかを見る余裕は……」


「急いで、貴殿の家に行こう。ほかに手がかりがあるか、本当に修道院に行ったのか、何か見つかるかもしれない」


「は、はいっ!」


 私は取る物も取り敢えず、男爵とともにレヴィンズ家に向かったのだった。




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