Moon Light(2)
第一部室棟から図書館へ移動し図書館の正面入り口から出た。校舎の正式な入り口から出るよりも近いのだ。だが朝は閉まっているので登校には利用できないのは残念なところだ。
校門を出て坂を下る。月代学園は丘の上の月代特区と呼ばれている地域に建っているの、そのため美咲市が一望とまではいかないが眺めはいい。そして学園に続くこの坂は『月見坂』と呼ばれている。
美咲市は月代特区、月見区、月見ヶ丘、新都区、花咲区、月都区、新月区、美咲が丘、北月区、南月区、三日月区、北都区12の地域から構成されている。
それに美咲市は日本から独立した地域となっているため、行政を独自に行っており、風紀省、軍事省、帝国議会の三権に分立している。
俺たちの暮らしているのは月見ヶ丘だ。そして学園のある月代特区はその中央に位置する丘全体を指す。
「豚しゃぶにするなら、商店街寄ってくか」
「そうね」
俺たちはバスに乗り商店街に向かった。
月見商店街は、かなりローカルな感じが漂う一般的な商店街で特に目立った建物はないが、ここに来れば大抵のものは揃う。
俺はいつも『大石精肉店』で肉類は買っている。
「どれにするかな?」
「これがいいわ」
俺が品定めをしているとユーがショーケースの中の牛肉を指さしてした。
100g1000円
「そんな肉買えるか」
「ダメ?」
「あたりまえだ。そもそもユーはさっき豚しゃぶって言ってなかったか?」
「騙されなかったか」
「あからさまにがっかりするな。豚バラ100g98円ので充分だろ?」
「仕方ない、そうしといてあげる」
ニヤっと悪い笑みを浮かべながら言った。
ユーは大人しそうな外見からはわからないが、こういった風に以外に社交的でお茶目さんなのだ。
「せっかく来たから、色々買ってくかな?」
買った肉をエコバックに入れながら言う。
「京って主夫よね」
「何だ? ユーが主婦やるっているフラグか何かか?」
「私は味見役、それとも私の料理が食べたいの?」
「どうだろうな」
「そこは濁すんだね」
「そうね」
その後は、八百屋、スーパー、魚屋、それに雑貨屋によってから帰えろうとした時だ。
ガシャン!!!!!
突然向こうの錆びれた雑居ビルの2階の窓が割れて破片が道路に飛び散る。
そのビルぼ周りには風紀省の人間が3人ほど拳銃と防弾シールドを持って構えている。
そして建物からヤクザと思わしき男が落ちてきたところを確保されている。
美咲市はライセンスを取得することで様々な武器を持つことが認められているため、武器が裏で流通しやすい。
おそらく、密輸か何かの現場を押ささえてといった風に見えるが、安心するのはまだ早いかもしれない。
ダダダダダッダン!!!!
突然の連続した銃声、マシンガンか何かが発砲された音、風紀省で重火器の携帯は認められていない。
その直後、風紀省の内部に潜入していたと思われる数人が割れた窓から飛び降りる。他にも数人が銃創を手で押さえながら、一階の昇降口から出て来る。
「私行ってくるわ」
「そうか、じゃあここで待ってる」
そう行って現場にかけていく。
この状況でも十分に戦える能力を持っているのだ。
ヤクザ連中が割れた窓から銃口をのぞかせ連射する。数発がシールドに命中するが壊れることはない。だが武装的にも、位置的にも不利な状況には変わりない。防戦一方だ。
そんな銃撃の中をかわして一人の風紀の防弾シールドの中にユーは入った。
「何だ君は?」
驚いたように風紀の人間が言う。
「『LEGEND』の久遠だ。状況は?」
そう言って制服についている腕章を見せる。そこには『GUARDIAN OF LEGEND』の金色も文字と銀色の羽根が縫い付けられている。
「中に5人は確認できたが、どうやら物の方が銃ばかりらしい。物の中にはグレネードとかもあったみたいです」
「私が中に入る。他は全員怪我人を連れて下がれ、このあたりに一般人を近づけさせないで」
「了解しました」
そういうとすぐさまビルに向かって走りだした。
それに気づいた奴らが攻撃対象をユーに変更する。
だが何発連射してもまるで、銃弾の着弾地点を読んでいるかのようにスラスラとかわしていく。
そして何か投げるように素早く手を動かす。
「『次元振動刃』発動」
そうは平たんな口調で言うと、手の先から平たく細長く半円型の半透明な衝撃波が高速で飛んでいく。高速で振動しているので、ブゥ―ンという音が響く。
振動刃はマシンガンに命中して真っ二つに折れてそれでも振動刃は進み続けて上の男を吹き飛ばした。
ガシャーン!!!と中で割れる音が響く。
そのままの勢いで垂直なビルの壁を難なく2、3m上って割れた窓から侵入した。
中では慌てた男たちが銃弾を乱射するが一向に当たる気配はない。
「そんな攻撃、弾の無駄遣い」
そう呟きながら4連続振動刃で中に奴らを一掃したのだ。
「もう、終わり?」
力なく倒れたて積み重なった男たちに言うと、入ったまどから飛び降り、俺のところに戻ってくる。
「どうだった?」
「カッコよかった。俺にはマネできないな」
そう言って頭を何となく撫でる。
「嘘つき」
そう小声にいいながら、とても喜んでいるようだった。
ここでは時々こいうった非日常的出来事が起こる、そういう都市なのだ。
この後、俺たちはまるで何事も無かったかのように家に帰るのだった。