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雨の夜の渋谷で消えた観光客のお話

2000年代の前半。

まだスマホなんてなくて、渋谷の新東口から恵比寿に向かうエリアが、今みたいに綺麗になる前のこと


その日は雨が降っていて、夜通し遊んでClubを出たときも、まだ土砂降りだったのを覚えてる。

始発までまだ時間があるから、朝までやってるファーストフードにでも行って時間を潰そうと友人と話していたとき、外国人の女の子が2人で騒いでいるのを見かけました。

よせばいいのに、友人が彼女たちに声をかけ、おぼつかない英語でナンパを始めました。

話を聞いてみると、どうやら外国人女の子のアンナが恋人とはぐれてしまった、ということらしい。

恋人も外国人で、一緒に旅行で来日、その日はいつもよりお酒を飲んで酔っ払い、アンナと喧嘩をして一人で先にお店から出て行ってしまったのだと言います。

日本在住で日本語が少し話せる、同じく外国人の友達のエリーと一緒に、一度近くの泊まっているホテルに戻ってみたものの、恋人が帰ってきた様子はなく、プリペイドの携帯電話にかけても出ない。

「夜の渋谷ならお店はたくさんあるから、恋人から連絡が来るまでどこかのお店で雨宿りしよう」と諦めずにナンパを続ける私の友人と、始発までどうせ暇だしと付き合う私。

20分ほどそんなナンパ&人助けしていたら、女の子の携帯電話が鳴る。

着メロでもない普通のデフォルトの着信音。

トゥルルルルル

外国人だから着メロやってないんだなと考えたのを覚えてる。


かけてきたのは、その恋人のようで、アンナが電話に出ると、最初はまた喧嘩が始まったのだが、途中で「恋人が変なことを言っている」みたいだとエリーが私たちに教えてくれました。

恋人は「今、自分がどこにいるのか分からない。窓のないコンクリートの建物の中で目が覚めて、そこからずっと歩いている。身体が濡れてて風邪をひきそうだ。」と言っているそうです。

「近くにいる日本人に道を聞いて案内してもらうから、何か目印になるものはないの!?」と女の子たちが必死に問い詰めても、「何もない、ただのコンクリートの通路だけだ」と。

渋地下かなと電話を貸してもらい、道案内をしようとしたら


「ゴゴゴゴゴ」


と言う轟音の後、電話は切れてしまいました。

掛け直しても「電波が届かない場所にいるか電源が入っていないため〜」と繰り返すだけ。


「ホテルで待つから」と言い残し、帰っていく外国人の女の子2人。 その場に取り残された、日本人の男2人。

後日、ちゃっかりエリーの連絡先を聞いていた友人は、一度だけデートをしたという話になりました。

私が「アンナと恋人はもう帰国したの?」と尋ねると、友人はこう言いました。

「あの日から1週間後に帰国したよ。……アンナだけでね」

大雨のあの日。旅行先で喧嘩し消えた外国人男性と、窓のないコンクリートの通路。

あの音は今も何だったのか私にはわからないけど、綺麗になっていく渋谷の街を歩く時にふと思い出しました。

旅先で恋人と喧嘩して怒って別行動するなんてよくある話ですよね

でも都心地下に雨水を貯める施設ができる前

東口の川に降りる酔っ払いも少なくなく映画の撮影も行われてました

窓のない暗いコンクリート道、轟音、そして大雨

この話だけは妄想であって欲しいと言う願望半分、証明はできないがどう考えてもあそこに入り込んで…と言う妄想で書いています。

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― 新着の感想 ―
とても短くて読みやすい物語でした。
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