表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/3

第1話「追放されちまったぜ!」

 かくして俺は全世界の生物を使役できるようになった。


 なんでかって?知らん。なんか気付いたら出来るようになってた。まぁ、日頃の行いがいいからだろうな。良い行いって自分に返ってくるもんなんだね。


 自己紹介がまだだったな!

 俺の名前はライオネル・サファリ。

 ギルド、「マスターライズ」に所属するテイマーだ!

 基本的に動物関連の冒険に出ているぜ!

 ついでにその時に戦った猛獣達をギルドに連れ帰っては世話をしてやってるんだ。

 さっき言ったろ?日頃の行いが良いって。

 こういう所で人間差が出るもんだよな。


 さぁて、今日も美味しいご飯持ってくから待ってろよ〜かわい子ちゃん達〜!


 そうして俺はギルドの扉に手をかけた。

 扉を開けると、カランカラン、とベルがなる。


「やぁやぁみんな!調子はどうかね〜!」

 ギルメンへの気さくな挨拶も忘れない。

 でもギルメンのやつら酷いんだぜ。

 最近全然挨拶返してくんねーの。

 独り言になっちまってんだ。


「ライオネル。ちょっといいか」

 ギルドマスターのイケメン金髪碧眼の剣士、ブルータスが声をかけてきた。

「おう!どんな用事でも頼みやがれ!」

 そう俺が返事すると、ブルータスが堂々と言った。


「お前、クビ」


「首?俺の首がどうしたって言うんだ」

 俺が言葉の意味がわからずそう返すと、なんか急にブルータスがキレ出した。

「クビだっつってんだ!出てけコノヤロウ!!毎回毎回依頼がある度に生き物連れ帰ってきやがって!獣くせーんだよ!」


 なんて酷いやつだ。身寄りのない動物達をまるで邪魔なゴミのように発言しやがった。イケメンって結局顔がいいだけで中身はカスなんだな。

 でも俺はそんなにブルータスに腹を立てることなく、返した。

「お前だって生き物じゃん。そんなに怒んなよ」

 ここで言い争いになると、非生産的だからな。

 でもブルータスはそんな俺の顔面を思いっきり殴りやがった。

 鼻から血が出た。めちゃくちゃ痛い。

 何を考えてるんだ。人を殴るなんて。


 そのまま俺はギルドにいる動物達に餌を与えることもでなかった。俺の荷物を投げつけられもした。


 こうして、俺はギルドを追放されたのだった。



「どうしよっかな〜」

 本当にどうしようか。とりあえず、あのギルドに残してきた動物は何とか助けてあげたい。あのままじゃブルータスに殺されちゃうかも。


 まぁ、とりあえず今日は疲れた。どこかに泊まろう。

 なんと、顔を殴られ、気絶しているととっくに日が沈んでしまっていたのだ!

 本当に人の心がない奴らだ。


 そう思って、宿に入った。

「300Gになります」

 宿の女将さんがそう言った。

 この近くには高難易度ダンジョンがある。

 だから、ここら辺はレベルの高い冒険者御用達の宿屋が多く、値段も高いのだ。


 とは言え、俺もその「レベルの高い冒険者」の端くれ。このくらいのゴールド、わけなく払え……


 かばんをまさぐると、あるはずの財布が見つからない。ギルドの奴らに取られたか、気絶してる間に通行人に取られたか……。


 とにかく今日は仕方がない。野宿するか。


 そう考えて、草原に出かけた。

 真っ暗で街灯も無いから、結構怖い。

 だけど、俺は職業柄こういう環境には慣れているのだ!

 へっちゃらだもんね。


 しばらく進んでいると、草原にでっかい影みたいなのが見える。夜の闇よりも黒い影だ。

 よく目をこらしていると、耳やしっぽのようなものが見える。


「猫だ!」

 でっかい猫だ!

 モフモフしに行くぞ!

 モフモフ猫〜モフモフ猫〜♪


 いや……ちょっとまって……なんかデカくないか

 全然近づけ無いんだけど


 鼻息でけぇ!やっぱこの猫クソデケェって!

 モフりがいがあるぜ


「そなた。何者じゃ」

 どこからか声が聞こえた。

 てかこの猫だった。


「喋ったア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!?」

 猫が喋るだと……!?

 ……まぁ、あるにはあるか。別に。ないことじゃないや。


「俺、ライオネル・サファリって言うんだけど、テイマーやってんだ!」

 そう自己紹介する。

「テイマー……つまりそなた、わらわの敵じゃな」


 ……ん?

 なんでそうなる


「聞いたことがあるぞよ。テイマーと言うのは、無実な動物を捕まえて奴隷のように扱う人種だと」

「ちょちょちょ!誤解だって!そりゃ悪徳テイマーの話だろ!?俺は無垢で善良な一般テイマーだって!」

「信用出来ん。人はすぐに嘘をつく」

 でかい猫はそういうと、口から火を吐いた。

「このキャスパリーグが成敗してくれるわ」

 臨戦態勢である。なんとかして誤解を解かねば。


 そこで俺は気づいた。この猫、怪我をしてる。足の当たりから血が流れているのが見えた。


 すぐに俺はカバンから薬と包帯を取り出し、キャスパリーグとやらに駆け寄った。

「何をする!」

「怪我してんだろ!?治してやるよ。俺は今まで、こういう動物達を治してきたんだ!!」


 消毒と止血をして、痛み止めを飲ませてやると、ようやくキャスパリーグは俺を信頼してくれたようだった。


「すまぬ。そなたを悪人と、決めつけてしまって」

 キャスパリーグはしおらしく謝った。

「おう!気にすんな!間違いの一つや二つ、誰にでもあるもんだろうよ!」

 そう言って俺が返すと、みるみるうちにキャスパリーグが小さくなって行くのが見えた。


「礼、と言ってはなんじゃが」

 キャスパリーグは女の人の姿になった。

 黒髪のウルフカットで猫耳が生えている。ボンキュッボンな女の子に!

 瞳孔が鋭い黄色い瞳で俺を見つめて、彼女は言った。

「そなたに服従しよう」


「……ひとつ、いい?」

「なんじゃ。なんか文句でもあるのか」

「文句って程じゃないんだけど」

 意を決して言った。

「モフモフ度が足りない!!」


 完全に人の姿なせいで、もとのモフモフが無くなってしまっている!


「これでええかの」

 キャスパリーグはそういうと、胸元と肘下、膝下に毛を生やした。

 完璧だ。

 俺は即座に胸に飛び込んでひとしきりモフモフした。


「さて、早速だけど」

 俺は彼女に事の顛末を説明した。


「一緒にギルドにいる動物を助けに行って欲しい!」

「お易い御用じゃ。」



 翌日。

 キャスパリーグは動物体型になって、俺を背中に乗せて街中を走った。

 風邪が心地いいぜ。


 ギルドに到達すると、そのまま建物に突っ込んだ。

 ギルメンが慌てふためいている。

 ブルータスが剣を抜いて、遅いかかってきたけど、キャスパリーグの前では無力だ!


 炎を吐かれ、熱がっているところを噛みつかれていた。

 他のギルメンはそれを見て恐ろしくなったのか、一斉に逃げていった。


「おいブルータス、俺から取ったものは返してもらうぞ!」

 俺がそういうと、ブルータスは「ひい」と情けない声をあげて俺の金と動物達を返してくれた。

 でもやっぱり顔を殴られたのは腹が立った。

 だから、キャスパリーグに人間体になってもらって、ブルータスを羽交い締めにしてもらい、数十発、顔に叩き込んでやった!

「許ひてくだひゃい」

 って情けなく言ってたけど、そんなの関係ないぜ!


 こうして、俺達の手によってギルド「マスターライズ」は壊滅した。

 さぁて、スッキリしたし、どこかでキャスパリーグと動物達と、のんびりスローライフでも送りますかな!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ