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- ティンディアの生存者 ~転移冒険譚~  作者: 茶川彩華
第1章【始まりの物語】

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第3話「Episode:ケレス(前編)」

ミティア・ベルクにて、偶然にもスパイルと合流をする事ができた私は、ベルクカフェで茶を飲みながら離脱していた期間の話を直接、聞くことができた。


彼の話によると、知人(ミケラ)の案内付近をうろついていた者の正体は、始りの地トレスの案内ロボット・メイのお姉さん、リナによる仕業だということが判明した。

これで、彼女の案内所は平穏になり、客足が増えにぎやかになることだろう。


―さて、彼が初ミッションにて手に入れた報酬、精霊の卵は実に興味深い。

彼女の話によると、スパイルの感情のエネルギーが満ちたとき、主に姿を見せると。

つまり、彼は近々、精霊術師になるという事だ。

果たして、今の彼にはその、覚悟はあるのか?


「―問おう。汝は、精霊術師になる覚悟はできているのか?」


返答はなしとなるか。

それとも、まだ自覚を持てていないと判断すべきであろう。

だが、私はそんな君を心から尊敬している。

だから、ミケラも君に精霊を託せる信頼感があったんだろうな。


大丈夫。誇れ。君は私の人生を変えてくれた恩人だ。


―その時だった。


「ケレスさん。俺、分からないんです。精霊術師になる資格があるかどうかを。これから、生まれてくるコイツに迷惑をかけたくないから、教えてください。自分にその資格があるのかを。」

「いい覚悟だ。でも、その前に私の話を聞いてほしい。だって君は僕に話してくれただろ?だから私にだって話す権利はあるはずだ。ゆっくりでいい。少しづつ、私を知ってほしいんだ。」


彼に迷いが見える。だが私は、そんな彼の肩に手を添えながら真剣に頼んだ。

それに応えるかのように彼は、私の顔をじっと見て、こう呟いた。


「わかりました。聞かせてください、ケレスさんの話を。互いに信頼を得るには、自分の事をきちんと伝えて理解してもらわないとダメですからね。」

「ありがとう。感謝する。では少し、長くなるかもしれないが付き合ってほしい。」


―こうして、ケレスさんは語りだした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ミケラの案内所を出ていった私が目指した先は、彼と初めてでった街。

そうー始りの地トレスだ。

私はそこで、急用の依頼が立て込み、忙がしかったんだ。


「お困りのようですね、お嬢さん。パトロール隊のケレスが今、到着しました。要件をお聞かせ願えますか?」

「あのね、ゲート付近で揉めてるプレイヤーさんがいて。怖くて近づけないの。」


どうやら、依頼主は害悪プレイヤーに対して、困っている様子であった。


「それはお困りですね。でも、もう大丈夫ですよ。この私がすぐに終わらせて見せましょう。」

「ほんと?ありがとう、お巡りさん!気をつけてね。」


少女は僕に手を振り、私を最後まで見届けてくれるようだ。


「そこの君。パトロール隊の者のだが、ゲート付近での揉め事は他のプレイヤーの迷惑になるので、悪いがそこをどいてはくれないだろうか?」

「ああん?パトロール隊。どこの誰だか知らないが、邪魔すんなら容赦はしないぜ。」

「なるほど。そう簡単には、動いてはくれませんか。ならば!」


私は彼に剣を振るった。そんな私に対して、反撃を仕掛けてくる。

別に私は彼を、傷つけたいとは思わない。

だって、そんな事をしたら。英雄に会わせる顔なんてないのだから。


「どうした、どうした!攻撃が全然当たってないぞ。」

「わからないのか。私はあなたを、傷つけるために剣を振るってるわけではないんだ。」

「はぁ?何言ってるんだ、お前。剣は武器だ。武器は人を貶すために使うもんだ。そうだろ?」


違う。違う、違う!

剣はそんなもののために、生まれてきたんじゃない。

ー人を、助けるために生まれたものだ。


「では君に、特別講師として、本来の扱い方を伝授しよう。」

「そんなもん、必要ない。」

「いや、ある。」


なんだよ、コイツは。

理屈が通じないだと?しかも、俺の講師になろうだなんてどうかしてるぜ。

頭がイカれてやがる。


「お前の根性には参るぜ。面倒くさいから降参。降参するよ。だからもう、剣はしまえ。」


やっと、口を聞いてくれる気になったか。正直言って、有り難い話だ。


「それで。おまえは俺にここをどけと、いいたいんだろ?いいぜ。どいてやるよ。」

「すまない、協力。感謝する。」


彼の敬意を払うために、私は剣で祈りを捧げた。

例え、どんなに不甲斐ない結末にたどり着いたとしても、一人ひとりに、感謝を伝えなければならない。

それが、正義への道を目指す者の心得だからだ。


それでは、依頼主のところに戻り、現状報告をするとしよう。

そのほうがきっと、彼女も安心するだろう。


「ただいま戻りました。害悪プレイヤーは無事に、排除をさせていただきましたので、安心してゲートに通ってくれて大丈夫ですよ。」

「ありがとう、お巡りさん!これでやっと、家に帰れる。」

「それは、よかったです。では、いってらっしゃいませ。」


少女は笑顔で手を振って、ゲートのに入り込み、目的地へと向かった。

さて、スパイルをミケラの案内所に置き去りにしてきてしまったのだが、大丈夫だろうか?

今からでも、彼に追いつくことは可能だと思われるが。


「あら、あなたは確か。スパイルさんと一緒に同行されていた方ですよね?」

「そうだが、君は一体。誰なんだ?」

「私は、トレスの案内ロイドのメイと申します。そして、こちらは姉のリナです。」

「はじめまして、警備員さん。メイの姉のリナよ。」


彼女は一体、どこで私たちとすれ違ったのだろうか?

疑問に思うことはあるが、話を聞いてみよう。


「なんだか、不思議そうな顔をされていますね。私はただ、あなたとスパイルさんが、受付所を一緒に出ていくのを見ていただけです。なので知らなくて当然ですよ。」

「スパイルは優しい人だったわ。ずっと、離ればなれになっていた私たちを。導いてくれたの。」


どうやら、一時的に彼女たちは彼とともに、旅をしていたようだね。


「では、君たちに質問だ。スパイルは次に、どこにいくと言っていたか分かるかな?」

「それは、存じておりません。ですが、スパイルさんはレプカさんと一緒に、ミティア・ベルク方面へ向かっていく様子が見受けられましたよ。試しに、訪れてみてはどうでしょうか?」

「彼との合流を望むのであれば、メイを信じなさい。メイは嘘はつかないわ。」

「わかった。協力。感謝する。」


そして私は、急いでミティア・ベルクへ向かう。

ゲート付近にたどり着いてから、何分か経過後に、私はスパイルと出くわしたんだ。


「ケレスさん!?どうして、ここにいるんですか?」


いやぁ~あの時の彼の驚いた顔は、いつ見ても忘れなれないよ。

そして、現在へ繋がったというわけだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

なるほどな。ケレスさんは、俺たちと別れている間。任務に行っていたんだ。

そして、驚くべきことに。メイとリナに、トレスで出会っていたということ。

偶然と、偶然が重なり合って、奇跡が起こったみたいな話だ。


「ケレスさん。色々と聞かせてくれて、ありがとうございます。すごいですね。誰かのために、そうやって剣を振る舞えるというのは、なかなかできないことですよ。」

「ありがとう。スパイル、君だって、僕みたいに剣を振るじゃないか。」

「そんな事、ないですよ。ケレスさんみたいにだれかを救えたことなんて、あまりないので。」

「そんなことはない。君はだって、双子の姉妹を救ってあげただろ?ならば、自信を持つべきだ。」


ケレスさんは真面目そうな顔で、俺を見つめてきた。

本当に彼は、優しい人だ。こんなにいい人に出会えることは、もはや運命といえるだろう。

そんな人の前で、くよくよしてたらみっともないから、気を取り直していこう。


「わかりました。自分に自信を持てるように努力をします。そして、立派な精霊術師になれるように、もっと頑張りたいです!」


うん。いい覚悟だよ、スパイル。

その気持ち、確かに受け取ったよ。

そして、その子もね。


「精霊の卵が、光だした!?でも、なんだか勇気が湧いてくるような感じがします。」

「それはきっと、その子が君の想いを受け取った証拠だよ。」

「そうか。ありがとな。早く、お前に会いたいよ。」

「ときが来ればきっと、その子に会えるだろう。」


俺たちは、温かい勇気を受け取りながら、精霊の卵が光っているのを見守っている。


「そうだ、ケレスさん!お願いがあるんだけど、聞いてくれますか?」

「君の願いであれば、聞こう。」

「えっと、トレスのバトルトライアルに出場してみたいんですけど、俺と同盟を組んでもらえませんか?」

「スパイル。同盟を結ぶのは構わないが、組む相手を決めるには。信頼してる相手を選ぶといい。」

「ですよね、なんかすみません。」

「いや、そんなことはない。私も、君と同盟を組みたかったからね。」

「本当ですか、なら…」

「だがしかし、君には私の過去を知ってもらう必要がある。同盟を組むためには、相手の事を知るということは必要になってくる。」


ケレスさんの過去。

ということは、パトロール隊になった経緯を知る。ということになるのだろうか?

安易に口に出してしまった俺も悪いけど、そこまで語るべきなのかはイマイチ、わからない。


「俺、同盟を組みたい気持ちは強いんです。だけど、他人の過去を明かさせてまでも、組ませたいというわけではなかったんです。ごめんなさい。」

「いいんだよ、スパイル。これは僕が、君に伝えたかったことだからさ。」

「どうしてケレスさんは、そこまでして俺と、組みたいんですか?」

「決めたから。この剣は君のために、存在するものだとわかったからね。」

「それは、つまり?」

「僕はこれから、君の騎士になる。だから、僕の話を知ってほしい。そのうえで、君が決めてほしい。」


なんだか、壮大な話になってきたな。

俺の騎士?ケレスさんは何を考えているのかが、全然わからない。

だけど、必死さだけは伝わってくる。


「わかりました。だったら聞かせてください。ケレスさんの過去の話を。」

「心得た。」


ースパイル。

時が来た。今、君に語り継ごう。僕がパトロール隊になった話を。


第3話「Episode:ケレス(前編)」(完)

次回第4話「Episode:ケレス(後編)」へ続く。

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