第2話「メイとリナ」
第2話「メイとリナ」
双子の姉リナを探す為に、旅を続けているスパイルたち。
そこで彼はメイに問いかけるのであった。
「なあ、メイ。お前の姉さんはどんな人なのか?」
―と。
彼女は足を止めて、後ろを振り返り、こう答えた。
「姉さんは優しくて、強くて。誰にでも自慢できる人なんです。」
「そっか。俺の姉ちゃんはさ、泣き虫だけど、時には役に立つ。分かりやすく例えると、そうだな。お人好しみたいな感じかな。」
「スパイルさんのお姉さんは、素敵な方だったのですね。」
彼女が答えると彼は「ああ。」と答え、どこか寂しさを表すような話し方で返答をした。
「スパイルさん、泣きたい時は泣いてください。私たちロボットは、あなたたちの心を管理するのも、役目のひとつなんですから。」
彼は心が救われたかのように、子供みたいな声で泣き始めた。
彼女はそんな彼を、優しく頭を撫でながら慰める。
「なんか、悪いな。お前に気を使わせてしまったみたいだな。」
「いいんです。私もあなたの気持ちがよく、わかりますので。」
メイは彼に、曇った心を溶かすような笑顔を見せる。
「なあ、教えてくれ。君たちの過去の話を。」
「それは構いませんが今は、姉さんを探すのを優先しましょう。」
「そうだな。引き続き、捜索をするか。」
彼らは一つの希望を追い求めて、姉の存在を探し続ける。
「スパイルさん、何か異変を感じませんか?」
「ああ。感じるぜ。」
「尾行されてるのでしょうか?それとも。」
「敵の狙いは不明。スパイル、メイ。慎重に行動を!」
「レプカさん、嬉しいです。私の名前を覚えてくれたんですね。」
推測するにヤツは多分、ミケラさんの案内所付近をうろついていたあの、謎の男だろうな。
にしても、俺たちを狙う目的って、なんなのだろうか?
ひょっとして、精霊の卵だったりするのか?
まあ、いい。
途中で向かい打とう。
相手はまだ、こちらが気づいているのをわかっていないはずだからさ。
「メイ。レプカ。俺の話をよく聞けよ。そこの曲がり角に来たら、ヤツを向かい打つ。多分、狙いはこの精霊の卵だろうからさ。だからミケラさんも、俺に渡したんじゃないのかなと思う。」
「ピピピ、精霊の卵は超貴重なアイテム。取引価格もお値段以上!」
「決まりだな。だが、勝手に決めつけるのは良くないよな。事情は取り押さえてから聞こう!」
二人は頷き、相手をごまかすため、日常会話をし、気づかぬふりをしている。
―見えた、目標の曲がり角だ。相手との距離は離れていそうだが、逆に言えば、戦う場所選びには最適な場所ともいえるだろう。
選んだ根拠は、とにかく人目につきにくい!
それから、誰も巻き沿いになる心配がないという事だ。
(さあ、どこからでも来い!俺たちは準備満タンだ。)
「敵の接近を確認。これより、戦闘にあたってのシュミレーションを開始する。」
「さあ、姿を見せてください。あなたは囲まれているんですよ。」
近づく男は、彼らの前に立ちはだかるとフードを取り、姿をついに見せる。
男だと思われいた人物はなんと、女だった。
どうやらスパイルたちは、混乱しているようだ。
落ち着け、落ち着け。相手が女性だろうが関係ない。とにかく、俺たちを狙う理由を聞かなければ!
「答えてくれ。お前の目的はなんなんだ?」
「アナタは私の宝物を奪ったわ。返してちょうだい。」
「宝…物?ひょっとして、精霊の卵の事か?」
「勘の悪い人は嫌いだわ。妹。そう、妹の事よ。」
妹?
もしや、お前の正体はメイの姉、リナなのか。
だったら誤解を解くのが先だ!
「…姉、さん?」
「ええ、私よ。メイ。会いたかったわ。」
「謎の男の生体反応を確認。個体名はリナ。メイの双子の姉であることを確認。」
「リナ。聞いてくれ、俺たちは君の敵なんかじゃない!ただ、メイをお前に合わせてやりたかったんだ。」
「本当なの、メイ。」
リナはメイに確認を求めると、彼女は頷いた。
それにより、リナの警戒心が薄まったようだ。
「そう。謝罪をするわ。さっきはごめんなさい。私の名前はリナ。メイは私の妹よ。」
「はじめまして、俺はスパイルだ。やっとお前に会えたな。探したんだぜ。」
「そうみたいね。今、メイと情報を共有したわ。」
へぇ~やっぱ、ロボットってそういうところでは便利だよな。
「スパイルさん、ありがとうございます。これでやっと、夢が叶いました。」
「めでたし、めでたし!」
リナとメイは、彼にお礼の感謝を伝える為にお辞儀をした。
「メイ。リナ。これからもずっと、仲良しでいてほしい。君たちには、笑って楽しく過ごせるような日々を送ってほしいんだ。」
「はい、約束します。スパイルさんも、無事にラミリさんを見つけられるといいですね。」
「ラミリ?なんだか、聞き覚えのある単語ね。」
「姉さん、知ってるのですか?」
「過去に一度だけ、その人に会ったことがあるのよ。」
リナの情報をまとめると、こうだ。
ラミリは金髪の美しい女性であるということ。
そして、彼女は花のように優しい心の持ち主だということを。
以前、俺も彼女に遭遇した事があり、そこで命を救われた。
ラミリもきっと、人を助ける事が好きなのだろうと考えた。
「だから、みんなからはこう呼ばれていたわ。花の精霊騎士とね。」
花の精霊騎士、まさしく彼女にふさわしい名前だ。
想像するだけで、数秒でも速く、彼女に会いたくなってしまう。
「私がラミリの情報を知っているのはここまでよ。後は、自力でなんとかしなさい。」
「ありがとう。そこまで分かれば、十分だ。」
「スパイルさん、そういえば。私たちの過去が気になるんでしたよね?」
「私達はただ、ゲームマスターにより、案内専用の情報を特化して組み込まれた。ロボットにすぎないわ。だから何も聞く必要はないと思うの。」
「レプカさんも、私たちと同じく。案内用のアンドロイドとして生産された子ですよ。なのでもし、道に迷った時はこの子を頼ってあげてくださいね。」
「レプカ、メイと別れるの寂しい。」
レプカは出会った頃と比べるとだいぶ、感情が出るようになってきたよな。
そう考えるとみんな。成長してるんだな。
レプカの成長を喜ぶスパイル。まるで、母親のようだ。
「いい人に巡り会えて、レプカは幸せものね。これからも、大事にしてあげなさいね。」
「ああ、わかった。それじゃあ、行こう、レプカ。次の街へ。俺たちにはまだ、やるべき事がある。」
「行こう、行こう、次の街!」
こうして俺たちは、別れた。
冒険はただ、別れるだけじゃない。
そこで出会う人たちの想いを知り、失敗を重ねてこその冒険だとそう、俺は思っている。
「メイ。寂しいの?」
「いいえ、大丈夫です。だってまた、旅をしているうちに会えるって、信じてますから。」
スパイルさん、本当にありがとうございます。
メイはこうして、姉さんに会えましたし、全てはあなたのおかげなんです。
あのとき、私を引き止めてくれて、ありがとうございました。
だから決して、さよならなんて言いません。
また、会いましょう。
だって、私たちも旅をするのですから絶対に、どこかでばったりと出会う事があるはずです。
私はそう、信じています。
メイ。私はあなたの気持ちをわかっているわ。でも、どれが正解なのかを判断できない。
だから、許してちょうだい。
「さてと、メイリナの事は解決できた事だし。次はどこで何をすっかな。」
「スパイル、休息は大事。旅に娯楽は不可欠。」
「だな。レプカ、休息を取るのに最適化な街はあるか?」
情報処理中―タウンマップを表示。
観光向けなスポットを捜索中。
「次の街の案内情報。水の水殿都市【ミティア・ベルク】を勧める。ポイントは、観光スポットが有り、望みの休憩所も設置されているからだ。」
「水の水殿都市か。いい響きだな。わかった。そこに行こう。レプカ、案内を頼む。」
ナビゲーションモードを起動。
目的地は、水の水殿都市ミティア・ベルク。案内を開始する。
俺はレプカを先頭にし、ミティア・ベルクへ向かい始めた。
しかし、そのとき。俺たちは、気づかなかった。
精霊の卵が、水色に光輝いているのを―
「なあ、レプカ。ミティア・ベルクの人気スポットを教えてくれるか?」
現在、ミティア・ベルクの人気スポットを検索中。
検索結果を表示。これまでの経験により、スパイルの好みそうな場所を選抜する。
「ミティア・ベルクの人気スポットは、ベルクカフェ。とても美味しいスイーツがあるらしい。」
「そう聞くと、腹減ってきたな。」
「食欲が湧くのは、いいこと。人間は食べて、寝て育つ!」
「ああ、そうだな。」
スパイルはレプカの案内により、ミティア・ベルク付近のゲート入り口にたどり着く事ができた。
そこで、待ち受けていたのはなんと、ケレスであった。
「やあ、スパイル。待ってたよ。意外と到着が早かったようだね。」
「ケレスさん!?どうして、そこにいるんですか?」
「それはね、僕もミティア・ベルクに向かおうとしていたからだよ。偶然だね。」
「偶然?まあ、観光スポットで有名な街らしいし。そこに、パトロール隊がいても、おかしくはなさそうではありますよね。」
「あれれ、僕を変な人だと思ってるかな?」
「あっ、いえ!そういうわけじゃないんです。」
「別に気にしてないよ。それじゃあ、行こうか。ミティア・ベルクに。」
偶然にも、ケレスと再会を果たすスパイルは、共にゲートの入り口へと入る。
「ピピ、転送システムが作動する!」
「おや?スパイル、この子は?」
「ケレスさん、紹介します。名前はレプカです。レプカとは、トレスという街で会いました。」
「ふ〜ん。よろしくね、レプカ。」
「よろしく、よろしく!」
スパイルたちは、転送システムにより、ミケラの案内所付近から、ミティア・ベルクへと移動する。
「転送終了。ミティア・ベルクに到着!」
「さあ、着いたよ。ここが、水の水殿都市。ミティア・ベルクだ。」
うっひょ~なんだ、この街は!
めちゃくちゃ、神秘的だ。街全部が水でできている。
しかも、滝のように流れているのもまた、美しい。この絶景は、ミティア・ベルクのシンボルだ!
感動のあまりに、興奮気味の彼は、ケレスたちを置いてけぼりにしてしまっている。
彼らは呆れながらも、スパイルを目の届く範囲位で見守っている。
―ミティア・ベルク。
街のすべてが電子水でできている。
街のシンボルは、スパイルの言う通り、美しく流れる滝である。
観光に訪れるプレイヤーは、大半がこれを目当てに訪れる事が多い。
より、ミティア・ベルクを満喫するのには、先ほどのレプカが案内をした、ベルクカフェ。
そこでお茶を飲みながら眺めるのが、ベストスポットだ。
「マジで、何時間でも眺められるなこれは。ありがとな、レプカ。おかげで、癒されるよ。」
「スパイルが楽しいなら、レプカも嬉しい。」
「スパイル。僕のお勧めはあそこの、ベルクカフェだよ。外で食事を取りながら、シンボルの滝を一緒に、眺める事ができるんだ。」
「それじゃあ、行こうぜ!」
スパイルは一目散に、ベルク・カフェを目指して走っていった。
「全く、スパイルは仕方ないな。僕たちも行こうか。」
「行く行く!」
続くようにして、ケレスたちもカフェに来店をする。
カフェの中へ入ると、レジでスパイルが受付の女性と会話をしていた。
「じゃあその、特性ベルクラテをホットでください。一つでお願いします。」
「かしこまりました。では、順番にお呼びしますので、席に座ってお待ちください。」
スパイルは案内に従い、席で待っていると、ケレスたちと合流する。
「スパイル。いつの間に君は、報酬を手に入れたんだい?」
「ああ、ミケラさんのお悩みを解決したので、精霊の卵と一緒に、その報酬としてもらったんです。」
「そうか、無事に悩みごとを解決できたんだね。あの時は、君を1人にしてすまなかった。」
「ケレスさん、そんなに気にしないでください。ほら、今は楽しんでくださいよ。あの人、結構いろんなことを教えてくれて、面白い人なんですよ。ケレスさんも何か、おすすめを聞いてみたらどうですか?」
「そうだね、僕もそうしてみるよ。」
ケレスもレジへ向かい、女性店員と話ながら注文を進める。
「スパイル、レプカも何か食べたい。」
「えっ。レプカは人の食べ物を食べれるのか?」
「食べれる!」
「そっか。この世界は技術力がすごいんだな。」
スパイルはレプカと共に、レジへ向かうと、女性店員からベルクラテを渡される。
受け取ると、今度はレプカの分のベルクラテを注文し、ケレスを待ちながら椅子に座る。
「お待たせ、二人共。」
「ケレスさんも、ベルクラテを頼んだんですか?」
「うん。2人を眺めていたら美味しそうに見えたから、つい。」
「ケレスさんも、可愛いところがあるんですね。」
スパイルたちは楽しそうに話しながら待っていると、レプカの分のベルクラテが運ばれてくる。
「お待たせしました。ベルクラテです。ごゆっくり、どうぞ。」
「ありがとう。それじゃあ、外に行こうか。君の話。ゆっくり、聞かせてほしいな。」
「はい、ケレスさんには色々と話したい話しがあるので!」
店内から出ると、そこには絶景が広がっていた。
「やっぱり、いい眺めですね。俺、ここにきてよかったと。改めて、思わされました。」
「気に入ってくれて、よかったよ。さあ、思う存分。楽しんでくれ。」
スパイルは「はい」と答えると、滝を眺めながらラテを飲み始める。
ケレスもまた、スパイルと同じ行動をしながら楽しんでいる。
レプカは、その様子を見て、幸せそうだ。
彼らの優雅な時間は、続く。
その中でスパイルは、ケレスと離れていた間の出来事を話しながら、情報を共有する。
スパイル達がたどり着いた先、ミティア・ベルクでは、どんな出来事が起こるのだろうか?




