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- ティンディアの生存者 ~転移冒険譚~  作者: 茶川彩華
第1章【始まりの物語】

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第2話「メイとリナ」

第2話「メイとリナ」


双子の姉リナを探す為に、旅を続けているスパイルたち。

そこで彼はメイに問いかけるのであった。


「なあ、メイ。お前の姉さんはどんな人なのか?」


―と。

彼女は足を止めて、後ろを振り返り、こう答えた。


「姉さんは優しくて、強くて。誰にでも自慢できる人なんです。」

「そっか。俺の姉ちゃんはさ、泣き虫だけど、時には役に立つ。分かりやすく例えると、そうだな。お人好しみたいな感じかな。」

「スパイルさんのお姉さんは、素敵な方だったのですね。」


彼女が答えると彼は「ああ。」と答え、どこか寂しさを表すような話し方で返答をした。


「スパイルさん、泣きたい時は泣いてください。私たちロボットは、あなたたちの心を管理するのも、役目のひとつなんですから。」


彼は心が救われたかのように、子供みたいな声で泣き始めた。

彼女はそんな彼を、優しく頭を撫でながら慰める。


「なんか、悪いな。お前に気を使わせてしまったみたいだな。」

「いいんです。私もあなたの気持ちがよく、わかりますので。」


メイは彼に、曇った心を溶かすような笑顔を見せる。


「なあ、教えてくれ。君たちの過去の話を。」

「それは構いませんが今は、姉さんを探すのを優先しましょう。」

「そうだな。引き続き、捜索をするか。」


彼らは一つの希望を追い求めて、姉の存在を探し続ける。


「スパイルさん、何か異変を感じませんか?」

「ああ。感じるぜ。」

「尾行されてるのでしょうか?それとも。」

「敵の狙いは不明。スパイル、メイ。慎重に行動を!」

「レプカさん、嬉しいです。私の名前を覚えてくれたんですね。」


推測するにヤツは多分、ミケラさんの案内所付近をうろついていたあの、謎の男だろうな。

にしても、俺たちを狙う目的って、なんなのだろうか?

ひょっとして、精霊の卵だったりするのか?


まあ、いい。

途中で向かい打とう。

相手はまだ、こちらが気づいているのをわかっていないはずだからさ。


「メイ。レプカ。俺の話をよく聞けよ。そこの曲がり角に来たら、ヤツを向かい打つ。多分、狙いはこの精霊の卵だろうからさ。だからミケラさんも、俺に渡したんじゃないのかなと思う。」

「ピピピ、精霊の卵は超貴重なアイテム。取引価格もお値段以上!」

「決まりだな。だが、勝手に決めつけるのは良くないよな。事情は取り押さえてから聞こう!」


二人は頷き、相手をごまかすため、日常会話をし、気づかぬふりをしている。


―見えた、目標の曲がり角だ。相手との距離は離れていそうだが、逆に言えば、戦う場所選びには最適な場所ともいえるだろう。

選んだ根拠は、とにかく人目につきにくい!

それから、誰も巻き沿いになる心配がないという事だ。


(さあ、どこからでも来い!俺たちは準備満タンだ。)


「敵の接近を確認。これより、戦闘にあたってのシュミレーションを開始する。」

「さあ、姿を見せてください。あなたは囲まれているんですよ。」


近づく男は、彼らの前に立ちはだかるとフードを取り、姿をついに見せる。

男だと思われいた人物はなんと、女だった。


どうやらスパイルたちは、混乱しているようだ。


落ち着け、落ち着け。相手が女性だろうが関係ない。とにかく、俺たちを狙う理由を聞かなければ!


「答えてくれ。お前の目的はなんなんだ?」

「アナタは私の宝物を奪ったわ。返してちょうだい。」

「宝…物?ひょっとして、精霊の卵の事か?」

「勘の悪い人は嫌いだわ。妹。そう、妹の事よ。」


妹?

もしや、お前の正体はメイの姉、リナなのか。

だったら誤解を解くのが先だ!


「…姉、さん?」

「ええ、私よ。メイ。会いたかったわ。」

「謎の男の生体反応を確認。個体名はリナ。メイの双子の姉であることを確認。」

「リナ。聞いてくれ、俺たちは君の敵なんかじゃない!ただ、メイをお前に合わせてやりたかったんだ。」

「本当なの、メイ。」


リナはメイに確認を求めると、彼女は頷いた。

それにより、リナの警戒心が薄まったようだ。


「そう。謝罪をするわ。さっきはごめんなさい。私の名前はリナ。メイは私の妹よ。」

「はじめまして、俺はスパイルだ。やっとお前に会えたな。探したんだぜ。」

「そうみたいね。今、メイと情報を共有したわ。」


へぇ~やっぱ、ロボットってそういうところでは便利だよな。


「スパイルさん、ありがとうございます。これでやっと、夢が叶いました。」

「めでたし、めでたし!」


リナとメイは、彼にお礼の感謝を伝える為にお辞儀をした。


「メイ。リナ。これからもずっと、仲良しでいてほしい。君たちには、笑って楽しく過ごせるような日々を送ってほしいんだ。」

「はい、約束します。スパイルさんも、無事にラミリさんを見つけられるといいですね。」

「ラミリ?なんだか、聞き覚えのある単語ね。」

「姉さん、知ってるのですか?」

「過去に一度だけ、その人に会ったことがあるのよ。」


リナの情報をまとめると、こうだ。

ラミリは金髪の美しい女性であるということ。

そして、彼女は花のように優しい心の持ち主だということを。


以前、俺も彼女に遭遇した事があり、そこで命を救われた。

ラミリもきっと、人を助ける事が好きなのだろうと考えた。


「だから、みんなからはこう呼ばれていたわ。花の精霊騎士とね。」


花の精霊騎士、まさしく彼女にふさわしい名前だ。

想像するだけで、数秒でも速く、彼女に会いたくなってしまう。


「私がラミリの情報を知っているのはここまでよ。後は、自力でなんとかしなさい。」

「ありがとう。そこまで分かれば、十分だ。」

「スパイルさん、そういえば。私たちの過去が気になるんでしたよね?」

「私達はただ、ゲームマスターにより、案内専用の情報を特化して組み込まれた。ロボットにすぎないわ。だから何も聞く必要はないと思うの。」

「レプカさんも、私たちと同じく。案内用のアンドロイドとして生産された子ですよ。なのでもし、道に迷った時はこの子を頼ってあげてくださいね。」

「レプカ、メイと別れるの寂しい。」


レプカは出会った頃と比べるとだいぶ、感情が出るようになってきたよな。

そう考えるとみんな。成長してるんだな。

レプカの成長を喜ぶスパイル。まるで、母親のようだ。


「いい人に巡り会えて、レプカは幸せものね。これからも、大事にしてあげなさいね。」

「ああ、わかった。それじゃあ、行こう、レプカ。次の街へ。俺たちにはまだ、やるべき事がある。」

「行こう、行こう、次の街!」


こうして俺たちは、別れた。

冒険はただ、別れるだけじゃない。

そこで出会う人たちの想いを知り、失敗を重ねてこその冒険だとそう、俺は思っている。


「メイ。寂しいの?」

「いいえ、大丈夫です。だってまた、旅をしているうちに会えるって、信じてますから。」


スパイルさん、本当にありがとうございます。

メイはこうして、姉さんに会えましたし、全てはあなたのおかげなんです。

あのとき、私を引き止めてくれて、ありがとうございました。


だから決して、さよならなんて言いません。

また、会いましょう。

だって、私たちも旅をするのですから絶対に、どこかでばったりと出会う事があるはずです。

私はそう、信じています。


メイ。私はあなたの気持ちをわかっているわ。でも、どれが正解なのかを判断できない。

だから、許してちょうだい。


「さてと、メイリナの事は解決できた事だし。次はどこで何をすっかな。」

「スパイル、休息は大事。旅に娯楽は不可欠。」

「だな。レプカ、休息を取るのに最適化な街はあるか?」


情報処理中―タウンマップを表示。

観光向けなスポットを捜索中。


「次の街の案内情報。水の水殿都市【ミティア・ベルク】を勧める。ポイントは、観光スポットが有り、望みの休憩所も設置されているからだ。」

「水の水殿都市か。いい響きだな。わかった。そこに行こう。レプカ、案内を頼む。」


ナビゲーションモードを起動。

目的地は、水の水殿都市ミティア・ベルク。案内を開始する。


俺はレプカを先頭にし、ミティア・ベルクへ向かい始めた。

しかし、そのとき。俺たちは、気づかなかった。

精霊の卵が、水色に光輝いているのを―


「なあ、レプカ。ミティア・ベルクの人気スポットを教えてくれるか?」


現在、ミティア・ベルクの人気スポットを検索中。

検索結果を表示。これまでの経験により、スパイルの好みそうな場所を選抜する。


「ミティア・ベルクの人気スポットは、ベルクカフェ。とても美味しいスイーツがあるらしい。」

「そう聞くと、腹減ってきたな。」

「食欲が湧くのは、いいこと。人間は食べて、寝て育つ!」

「ああ、そうだな。」


スパイルはレプカの案内により、ミティア・ベルク付近のゲート入り口にたどり着く事ができた。

そこで、待ち受けていたのはなんと、ケレスであった。


「やあ、スパイル。待ってたよ。意外と到着が早かったようだね。」

「ケレスさん!?どうして、そこにいるんですか?」

「それはね、僕もミティア・ベルクに向かおうとしていたからだよ。偶然だね。」

「偶然?まあ、観光スポットで有名な街らしいし。そこに、パトロール隊がいても、おかしくはなさそうではありますよね。」

「あれれ、僕を変な人だと思ってるかな?」

「あっ、いえ!そういうわけじゃないんです。」

「別に気にしてないよ。それじゃあ、行こうか。ミティア・ベルクに。」


偶然にも、ケレスと再会を果たすスパイルは、共にゲートの入り口へと入る。


「ピピ、転送システムが作動する!」

「おや?スパイル、この子は?」

「ケレスさん、紹介します。名前はレプカです。レプカとは、トレスという街で会いました。」

「ふ〜ん。よろしくね、レプカ。」

「よろしく、よろしく!」


スパイルたちは、転送システムにより、ミケラの案内所付近から、ミティア・ベルクへと移動する。


「転送終了。ミティア・ベルクに到着!」

「さあ、着いたよ。ここが、水の水殿都市。ミティア・ベルクだ。」


うっひょ~なんだ、この街は!

めちゃくちゃ、神秘的だ。街全部が水でできている。

しかも、滝のように流れているのもまた、美しい。この絶景は、ミティア・ベルクのシンボルだ!


感動のあまりに、興奮気味の彼は、ケレスたちを置いてけぼりにしてしまっている。

彼らは呆れながらも、スパイルを目の届く範囲位で見守っている。


―ミティア・ベルク。

街のすべてが電子水でできている。

街のシンボルは、スパイルの言う通り、美しく流れる滝である。

観光に訪れるプレイヤーは、大半がこれを目当てに訪れる事が多い。


より、ミティア・ベルクを満喫するのには、先ほどのレプカが案内をした、ベルクカフェ。

そこでお茶を飲みながら眺めるのが、ベストスポットだ。


「マジで、何時間でも眺められるなこれは。ありがとな、レプカ。おかげで、癒されるよ。」

「スパイルが楽しいなら、レプカも嬉しい。」

「スパイル。僕のお勧めはあそこの、ベルクカフェだよ。外で食事を取りながら、シンボルの滝を一緒に、眺める事ができるんだ。」

「それじゃあ、行こうぜ!」


スパイルは一目散に、ベルク・カフェを目指して走っていった。


「全く、スパイルは仕方ないな。僕たちも行こうか。」

「行く行く!」


続くようにして、ケレスたちもカフェに来店をする。

カフェの中へ入ると、レジでスパイルが受付の女性と会話をしていた。


「じゃあその、特性ベルクラテをホットでください。一つでお願いします。」

「かしこまりました。では、順番にお呼びしますので、席に座ってお待ちください。」


スパイルは案内に従い、席で待っていると、ケレスたちと合流する。


「スパイル。いつの間に君は、報酬を手に入れたんだい?」

「ああ、ミケラさんのお悩みを解決したので、精霊の卵と一緒に、その報酬としてもらったんです。」

「そうか、無事に悩みごとを解決できたんだね。あの時は、君を1人にしてすまなかった。」

「ケレスさん、そんなに気にしないでください。ほら、今は楽しんでくださいよ。あの人、結構いろんなことを教えてくれて、面白い人なんですよ。ケレスさんも何か、おすすめを聞いてみたらどうですか?」

「そうだね、僕もそうしてみるよ。」


ケレスもレジへ向かい、女性店員と話ながら注文を進める。


「スパイル、レプカも何か食べたい。」

「えっ。レプカは人の食べ物を食べれるのか?」

「食べれる!」

「そっか。この世界は技術力がすごいんだな。」


スパイルはレプカと共に、レジへ向かうと、女性店員からベルクラテを渡される。

受け取ると、今度はレプカの分のベルクラテを注文し、ケレスを待ちながら椅子に座る。


「お待たせ、二人共。」

「ケレスさんも、ベルクラテを頼んだんですか?」

「うん。2人を眺めていたら美味しそうに見えたから、つい。」

「ケレスさんも、可愛いところがあるんですね。」


スパイルたちは楽しそうに話しながら待っていると、レプカの分のベルクラテが運ばれてくる。


「お待たせしました。ベルクラテです。ごゆっくり、どうぞ。」

「ありがとう。それじゃあ、外に行こうか。君の話。ゆっくり、聞かせてほしいな。」

「はい、ケレスさんには色々と話したい話しがあるので!」


店内から出ると、そこには絶景が広がっていた。


「やっぱり、いい眺めですね。俺、ここにきてよかったと。改めて、思わされました。」

「気に入ってくれて、よかったよ。さあ、思う存分。楽しんでくれ。」


スパイルは「はい」と答えると、滝を眺めながらラテを飲み始める。

ケレスもまた、スパイルと同じ行動をしながら楽しんでいる。

レプカは、その様子を見て、幸せそうだ。


彼らの優雅な時間は、続く。

その中でスパイルは、ケレスと離れていた間の出来事を話しながら、情報を共有する。


スパイル達がたどり着いた先、ミティア・ベルクでは、どんな出来事が起こるのだろうか?

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