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私が聖女? いいえ、そもそも男です。  作者: 東雲うるま


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女神の祝福

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ありがとうございます。


お久しぶりです。内容忘れちゃいますよね。

もう少し頑張って次を書きますね。

できれば……。


「今度はミドリンの方に行った! 回避重視ね」


 ダンジョンのフロアボス戦、次のターゲットになったミドリンが逃げている隙に、他のみんなで死角からひたすら攻撃を仕掛ける。そんな感じで囮をうまく使って攻撃をひたすら続けていると、突然、大ムカデは体を激しくよじり、のたうちまわった後、丸まって動かなくなった。それをしばらく、武器を構えたまま、距離を取り様子を見る。 


「ルーク! 上から弓で頭の辺り狙える? 何本か撃ってみて」


 頷いたルークが頭を狙って何本か矢を射るが、大ムカデはピクリとも動かない。


「倒した……?」 


 その瞬間、体を何かが通り抜け、ふわっと体全体が軽くなったような感覚をおぼえた。


「どうやら、倒せたようです。今、女神の祝福を授かったので間違いありません」


 要するにミドリンは大ムカデを倒したことでレベルアップをしたという事らしい。もしかして、今の感覚が女神の祝福って事? っていう事はオレもレベルアップしたって事じゃん! ひゃっほ~! 


「えっ! みんなも女神の祝福? おお、やった~! みんなもおめでとう!」


 他のみんなもレベルアップしたらしく、ハイタッチをして喜びを分かち合う。どんなもんかと自分のステータスを確認してみると、スキルの項目に剣術の文字が増えていて、ステータスの横にはグレーの半透明の数字でプラス値も表示されている。そうか、確か御使い様の話では半透明で表示されてる数値は一晩寝たら足されるんだったな。


「なんかスキルの所に剣術っていうのが増えた。え~と【縮地】っていうのが使えるようになったみたい! みんなは?」


「おお、それは素晴らしい! 私は残念ながらスキルは授かれませんでした」


「私もです……」「同じです」「残念」


 みんなの話ではスキルは女神の祝福の五回中、一回でも授かれれば運が良いそうだ。そう聞かされると貰えただけラッキーか……。


「なるほど……じゃあ、戦技とかもそんな感じで運が良ければ、貰え……授かれるって事なのかな?」


「……そうですね! 運が良ければ授かる事もあるかと思います」


「やっぱり、欲しい戦技を授かるのは難しいのかな?」


「そうですね。それについては長年にわたって議論の的となっているのですが、全くの運と言う者もいますが、祝福を授かる前の行動や祈りが多少、影響しているというのが一番有力なようです。ですから確実に狙って授かるのは中々難しいようですが、欲しいスキルに関連した訓練や祈りは授かる手助けにはなるようです」


「ほ~……そうなんだ」


 確かに剣で戦って囮の時は逃げ回っていたのを考えれば、授かったスキルは、結構、影響を受けている気がする。でも、全く関係ないスキルを授かる人もいるそうだから、何か知られてない法則があるのかもしれない。


「それと、戦技は人間が戦闘で使えそうなスキルをそう呼んでいるだけで、他の種族には通じないこともございますのでご注意ください」


「えっ! マジで……」


 戦技ってかっこいいのに……。『戦技、鋭刃』とか言ったら、中二病あつかいされちゃう事もあるんだ……。何故か顔を赤くしている騎士団団長の顔が頭に浮かぶ。


「ケイさま! 大ムカデの素材はいかがいたしましょう? 必要なければ魔石を回収させますが」


「えっ! あっ、え~と……外皮だけいくつか欲しいかも! 防具に出来るんでしょ?」


「そうですね。では、状態が良い部分だけ回収してから魔石を回収させますね」


「うん、よろしく。オレも手伝うよ」


 ケイさまにそんな事をさせられないとみんなに止められたものの、解体の勉強がしたいと説得して一緒に解体を始める。ってゆ~か、改めてみてみるとデカいな……こりゃ大仕事だ……。





 ♦ ♦ ♦ ♦





「連れてきた!」


 仲間を助けて欲しいという少年に手を引かれ、息も絶え絶えで護衛も兼ねた従者と共に冒険者ギルドにたどり着く。


「おう、あいつなら、もう治してもらって奥の部屋で寝てるぞ!」


「えっ!」


 少年は私の手を放し、酒を飲んでいる冒険者が指さしている扉にかけていく。


「神父さまもご苦労なこってす。どうです? 一杯! 後ろのあんちゃんも」


 冒険者たちに酒を勧められたが丁重にお断りして、従者と共に少年が寝ているという部屋へと向かう。床の血を布で拭っている職員の手や布を見る限り、到底、無事だとは思えないが……。


「あっ! 神父さま、わざわざお越しいただき申し訳ありません。今回はたまたま、近くに神聖魔法を使えるという冒険者の方がいたので、治療をお願いしまして……」


 私に気付いた女性職員が慌てて駆け寄り、事の経緯を話してくれた。


「ほう、神聖魔法を使える冒険者が……。まあ、折角、来たことですし、一応、怪我の具合をみさせていただいても?」


 神聖魔法を習いたての者や独学で覚えた者の癒しは表面しか治っておらず、のちのち重篤な状態に陥ることもあるので念のため、診ていくことにする。 


「ええ、もちろんです! お願いいたします。こちらです」 


 職員に案内され部屋に入ると、先ほどの少年が泣きながらベッドで寝ている少年の手を握り『よかった、よかった』と何度もつぶやいていた。それほど大事な仲間だったという事だろう。


「ちょっといいかな?」


 心配そうな二人にどいてもらい、寝ている少年の患部を確認する。すると、確かに傷を負ったとされるズボン部分は真っ赤に染まり、破れてはいたが足自体は全くの無傷にみえる。…………あれほどの出血があった傷を跡も残さず……? 先ほどの床の血だまりの後片付けをしていた職員たちの光景が頭に浮かぶ。有り得ない……。


「…………右の太ももに怪我をおったのですよね」 


「ええ、低級ポーションでは出血も止まりませんでした」


「……なるほど、それで……その冒険者の方は今、ここに?」


「いえ、この子を治した後、すぐにいなくなってしまって……」


「そうですか……」


 その冒険者に話を聞けなかったことを残念に思いながらも、その後もその女性職員に話を聞いた所、最近、この街を拠点にし始めた冒険者グループの一人だという事が分かった。何でも普段は面をつけていて顔を隠して活動をしているらしく、実は亜人だとか、高貴な方がお忍びで来ているのでは、など噂が絶えないそうだ。


「今日の出来事で最近、噂になっていた聖女さまだったんじゃないかって、新しい噂までたち始めちゃってるんですよ! みんな、無責任ですよね。うふふ」


「こ、この子を治したのは女性だったのですか?」


「あれ? 言ってませんでしたっけ? そうだ、彼女たちをよく担当している職員がいるんですが、お呼びしましょうか? ねえ、誰かエリン呼んできてくれる?」


「いえ、もう結構! 怪我の治療は全く問題ないようなので、そろそろ失礼させていただきます。色々、聞かせていただきありがとうございました」


「あら、そうですか? 遠いところ、わざわざ、ありがとうございました。また、お願いします」


「いきますよ」


 私は従者のベンに声を掛け、足早に冒険者ギルドを後にした。





 ♦ ♦ ♦ ♦





「ケイさま、それでは魔石を抜き取ります」


「うん、よろしく……」 


 状態の良い外皮をあらかた剝がし終え、積まれた大ムカデの外皮をマジックバッグにしまいながらお願いする。そして、ミドリンが魔石を抜いた途端、大ムカデが宝箱へと変わり、次のフロアへと向かう扉だけがゴゴゴと音をあげて開き始めた。


「えっ! ちょっと待って! 帰る方の扉が閉まったままなんだけど……」


「おそらく扉の先に抜け道が出現したはずなので、そこからボスの部屋の前のフロアに戻れるはずです」


「あっ、そういう事か……」 


 なるほど、ゲームでいうショートカットが開通したって事か……。

  

「じゃあ、誰かがボスを倒せば、他の人はボスを倒さなくても次のフロアに行けるって事か! っていうかオレたちが一番最初だったって事?」


「……倒したのは一番最初だったかもしれませんが、抜け道の出入り口はボスを倒した者がいなければ通れませんので……」


「なるほど……そんなに甘くはないって事か……! その辺の話は後で聞かせてもらうとして………とりあえず、今日の所は宝箱を開けて一旦、帰ろう」


「かしこまりました」


 そして、みんなの期待の目の中、開けた宝箱の中身はというと、透明な小瓶に入った黄色い液体五本、指輪が三つ、短剣が二本、あとは金貨や銀貨などが少々という結果だった。あれ、ちょっとしょぼいかも……。でも、もしかしたら凄い効果が付与されているかもと鑑定してみる。


「え~と、うげっ! この瓶の中身は全部、大ムカデの体液だって……飲むとムカデの毒に効果絶大で、さらに調合で様々な解毒剤の効果を引き上げるみたい。そんでもって、この指輪が毒耐性が少し上げるやつで、これが力が少し上がるやつ。んで、これが素早さが少しあがるんだって。短剣は毒が付与されているのとただの短剣だね。みんな、何か欲しいのある? あれば持っていっていいよ」


「とんでもありません! すでに新たな武器と胸当てまでいただいていますし、全てケイさまがお納めください」


 ミドリンの言葉にみんなも大きく頷いている。う~ん……やっぱり、そうなっちゃうか……。





 ♦ ♦ ♦ ♦





「パトリシアさま、申し訳ありません。遅くなりました」


「いいのよ! ケイは例の件で動いていたのでしょう? それよりもみんながお待ちかねよ! 早く、このドレスの着方を教えてくれるかしら?」


 ふぅ~あぶね~! サロンで女性陣へプレゼント贈り、その説明をする約束をしてたんだった。シンクが教えに来てくれたから間に合ったけど、もう、向こうに泊まる気満々だったからすっぽかす所だったよ。


「はい! では、侍女のお二人に着かたを……え~と……」


 今日もいない……?


「…………そうね、その事についてはケイにも話しておいた方が良いわね! うちには多くの客人が滞在しているのだけれど、その中で一番、多かったのがラスピ男爵領の貴族だったの……。でも、あんな事があったからには、ラスピ男爵領の貴族や親類、その関係者を自領に置いてはおけないじゃない。で、お帰りいただいたってわけね」


「………なるほど、あの二人もその中に含まれていたって事ですね」


「そう、だから、カミラがしばらく、私の身の回りの世話をするから、やり方はカミラに教えてあげて頂戴」


「ケイさま、そういう事ですのでよろしくお願いいたします」 


「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」


 マジか、あの侍女二人も隣の領の……。でも、仮にあの二人がまったく関与していなかったとしても、お互いの為にも帰らせるのが一番、最善だったのかもしれないな……。












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