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新たな恋 アルベルト王太子Side(2)

春が近づき、いざザックリードハルトに出発する日になった。ウォーターミー駅に行った俺は、突然目の前に現れた息を切らして急いでいる女性に目を奪われた。


ピンクブロンドの髪、くるくるとよく動く茶色い瞳、誠実そうな唇。


最初は何とも思わなかったが、彼女が浮気男から逃げていると分かると、少しだけ彼女の顔をよく見つめてみたのだ。そして、なぜか俺の心が動いた。


なぜ、助けてあげたいと思ったのか分からないが、俺は彼女を助けてあげたいと思った。



「追われているんだな?」

「はい……」

「そうか。ここまで追ってきたなら、彼はきっと君を諦めないな」

「そ……そうですか」

「私も経験からわかる」 


俺は彼女の置かれた苦境が理解できた。浮気がバレた時、俺は最愛の人を追いかけて行ったから。だが、その女性は誰も触れなかったことに平気で触れた。


「経験から分かるとは、ブランドン公爵令嬢のことでしょうか」

「はっ!?」

「君は……」

「大変申し訳ございませんっ!失礼なことを……」

「あぁ、君は本当に……」


浮気男から逃げているフローラと名乗る伯爵令嬢は、いとも簡単に俺の心の垣根を破った。


「乗るぞっ!」

「おいで!」


王家が貸切にした車両がある列車に、俺はフローラを誘導した。


食堂車で彼女と話している時、久しぶりに心がウキウキしてきて、目の前にいる彼女に何もかもさらけ出して話せる自分に気づいた。破局する前のディアーナにもこんなことはなかったと思う。


俺はどこかディアーナには格好つけていたところがあり、裏で隠れて最低なことをしていた。


だが、目の前に突然現れたフローラ・ガトバン伯爵令嬢には誠実でいたいと心の底から願った。彼女には変なことでも考えたことや思ったことを、正直に何もかも話せる気がした。


華やかな食堂車で周囲の目線は強烈な興味を持って、フローラを観察していた。


俺はそれを良いと思ったのだ。


――みんな、俺が彼女とデートしていると思っていいから!


――俺がそんなことを思うなんて、信じられない!



クリス・オズボーンと婚約破棄したいならば、自分が一役買うと伝えたが、本心だった。


「君が婚約解消したいなら、一役買う。ディアーナと別れてから、大勢の人に注目を浴びながら、私がレディと食事をしたのは君が初めてなんだ。多分1年ぶりぐらいだ」



その後、彼女が古物商からもらったという時計を腕にはめた直後、列車は脱線事故を起こした。


たくさんの人たちが亡くなり、目が覚めた時には621人もの人たちが亡くなったと聞かされた。フローラは車椅子に乗っていた。


途方もない結果に、俺は打ちのめされた。



結論から言うと、俺の頭の中からディアーナが消えている時間が多かった。特に時間を事故の前に巻き戻して戻ってこれた後は、ディアーナはずっと消えていると言っても良かった。


――嘘だろう?


突然周りに光が届き始めて、世界が色鮮やかに輝いて見えた。クリス・オズボーンが婚約破棄されて、俺は心底嬉しかった。


オズボーンとメイドの修羅場は、トラウマになりそうなほど最悪な修羅場だった。



修羅場の後、フローラはぐったりとしていて、俺は事件の余波が怖かったから、王宮に彼女を馬車で運んだ。




この行動が意味するところは一つだ。

ブランドン公爵令嬢ディアーナですら、王宮に運ばれて泊まる部屋を用意されたことはなかった。


――待てよ?

――俺はどうやらフローラ・ガトバン伯爵令嬢に本気のようだ。

――絶対に彼女を守りたい。守ってみせる。

――俺の方を振り向いてもらえないかもしれないが、とにかく傷ついた彼女を守り抜こう。


修羅場の後、フローラがクリスと別れることは決定的になった。俺がフローラに抱く気持ちも決定的になった。



「ディアーナのことより、君が気になるんだ」


うとうととし始めたフローラはとても愛らしかった。俺はフローラにそっと囁いた。



「氷の貴公子の異名を返上してでも、君を守り抜くよ」


思わずフローラの額にキスをした。


俺の胸によりかかってぐっすりと眠っているフローラは、心に何とも言えない温かい気持ちを与えてくれた。生き返ったような気持ちだった。




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