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022 仲間外れ~友人が人の道を踏み外そうとしている!

「……で、どぉ~い~うことなんでしょうか?」


 骸骨に誘拐されいる最中に眠ってしまっていたらしい私が目を覚ませばなぜか和気あいあいとしているスライム&骸骨の親玉……と委員長に大鳥さん。

 信じられないような衝撃的な光景に私は開口一番「正座!!」と叫んでいた。


「えっ? 何なの? 私が寝ている間に誘拐犯と被害者が意気投合したパターンですか? むしろ、私だけが被害者になっちゃったパターンですか?」


 思わず普段滅多なことでは使わない敬語が飛び出ちゃったじゃない!


「落ち着いて夢宮さん。事情は私から説明するわ。ひとまず言えるのはその骸骨は敵じゃないってことよ」


「……どうしてそんなことがわかるの?」


「だって直接本人から聞いたもの」


「……本人?」


 言われたままに視線を移し、指を向ける。


『カタタッ』


 肯定を示すように顎を鳴らす骸骨。

 思っていたよりも感情豊からしく、肉の付いていないはずの表情は笑っているように見えた。


「ちょっと待って!」


 頭痛くなってきた。

 委員長だけはまともだと思ってたのに、やっぱり異世界ともなるとどこかで常識が崩れて来るんだろうね。いつの間にか骸骨と意思疎通が出来るようになったりね……。


「一応言っておくけど、骸骨じゃなくてアンデットね」


「なお悪いわっ!!」


 骸骨で誤魔化してたのに、アンデットって完璧なモンスターじゃん!

 あれじゃん、生者を恨むとか言うヤバい奴じゃん!

 ハッ! もしや委員長たちもあちら側に引き込まれて……!


「悪霊退散っ!」


「……なんで私に?」


 理不尽にデコピンされた額を擦りながらジト目で睨んでくる委員長。私は負けじと睨み返す。


「だって、骸骨に直接デコピンは怖いし、何より痛そうじゃん? スライムには利きそうにないし……消去法?」


「あなたは……! い、いいわ。ここは私が大人になりましょう」


「ひゅ~ダブタチおっとな~」


「色気ないぞ~!!」


「……やっぱり怒ってもいいのかしら?」


「「きゃー」」


 拳を振り上げたのを見て、逃げる。

 ただ委員長が追って来ないのをノリが悪いと思いつつ、そこまで言うなら安全なんだろうと腰を下ろしてじっくり話を聞くことにした。

 その際、胡坐をかいたら委員長からはしたないと顔を真っ赤にして怒られた。

 スライムと骸骨はわかんないけど、他は同性おんななんだから別にいいと思う。委員長はこういうところ真面目さが残ってる。



 それでは改めまして……。


「……で、どぉ~い~うことなんでしょうか?」


 天丼? 繰り返しのギャグ? いやいや、実際には答えを貰ってないんだから当然でしょ? 

 えっ? 私が茶々入れるから? ……何のことかわかんにゃ~い。


「改めて聞かれると答え難いんだけど、彼ら……彼、なのかしら? とりあえず、便宜上彼らと呼ぶことにするわね。彼らの目的は夢宮さんの誘拐ではなかったわ」


「ふ~ん……そうなんだ」


 私が目的ってところは外れてなかったか。

 だとしても、誘拐じゃないとしたら一体何の目的があったんだろう?


「これは判断が難しいけれど、彼らの目的はあなたの救出よ」


 当初の予定と真逆の答えが返ってきた。


「えっ? 救出? 一体どうして?」


 誰が、何の目的で?

 それともこれも考え過ぎで、単純にアンデットが私を助けようとしたってこと? だとしても一体何から?


 その疑問についても委員長は答えてくれた。

 どうやらこの骸骨たちは『真の勇者』から私を守ろうとしていたらしい。……マジで意味が分からん。

 ただ、この骸骨を見ていたら思い出したことがある。

 たぶん、この骸骨は委員長が死にかけた時に乱入してきたあいつだと思う。

 結果としてあの乱入がなければ委員長を連れ出すタイミングはなかったかもしれず、委員長が死んでいたら私は大層後悔しただろう。そういう意味ではたしかに私を助けくれたことになる。


 でも、『真の勇者』から助けるっていう意味がまだよくわからない。


「それについては勘違いみたいね」


「勘違い?」


「ええ。覚えてないけど、私が重傷を負って、その時に助けてくれたのがあの子だったわけでしょ?」


 そうだ。それは間違いない。


「……つまり、なんていうのかしらね……あなたを探して迎えに来たらあなたを連れてどこかへ消えてしまった存在がいたわけよ。夢宮さんだったらそんな相手にどんな感情を抱くかしら?」


「まあ、良くは思わないよね……ってそういうこと?」


 委員長を助けるためについて行ったのを、攫われたと思ったからああいう形で取り返したと?

 だったらせめてもう少しでいいから味方オーラを出してほしい。欲を言えば見た目を変えて来てほしい。


「理由はわかった」


 味方うんぬんは置いといて、悪気がなかったっていう言葉は信じよう。だからと言って、委員長と仲良くなる理由がわからない。委員長は絶対に知らない人にはついて行かないタイプだと思う。大鳥さんは知らん。


「わかってくれてよかったわ。私も早いうちにあの人たちから離れたいと思ってたし」


 訳が分からないと思っていたら、委員長がさらに訳の分からないことを言い出した。


「正直なところ、如月京也っていう男は信用できないのよね。……スキルのおかげで彼が嘘を吐いていないのはわかってるんだけど、嘘を吐いていないだけで肝心なところを隠している……そんな感じがするの」


「それは私も思ってるよ?」


 だって、初めて会った時から利用してやるって顔に書いてあったしね。

 あんなのに進んで協力している連中の気がしれないよ。


「……思ってはいても、夢宮さんは積極的に行動しようとはしないでしょ? だから好都合なの。攫われたとなればもしもの時の言い訳も簡単だしね」


「ふむふむ。委員長的には攫われたという体でこのままあいつらから逃げちゃおうって魂胆?」


「言い方が悪いけど、そうなるわね。少なくとも与えられる情報だけでは判断が出来ないから、自分の目で世界を見てそれから戻るかどうかの判断を下しても遅くはないと思っているわ」


「おっ、異世界を美少女三人組が放浪! 流れで異世界を救っちゃいますか!」


「えぇ~」


「もうっ! ネムネムはノリが悪いよ!」


 ノリがどうこうじゃなくて面倒臭い。

 旅をするのはまだいいけど、世界を救うとか規模が大きすぎ。とても女子高生の手には負えないよ。


「大鳥さんの言葉は半分受け入れましょう。世界を救う、救えるかどうかは今後の成長次第。とりあえずは少しでも彼らから離れましょう」


「骸骨たちはどうするの?」


「彼らにはついて来てもらうわ。……断っても、どうせついて来るでしょうし」


 そう言えば、この骸骨たちがどうして味方なのかどうかという問題が解決してないな。


「彼らについても道中で追々と説明するわ。私から言わなきゃいけないこと、確信しておきたいことがあるから覚悟しておいてね?」


「……ごめんなさい。お付き合いはちょっと……」


「違うわよっ!!」


 なんだ。真剣な表情だったから、てっきり告白かと……。


「……まったく。緊張感がないのはあなたの美点なのか欠点なのか」


 どう考えても欠点だと思うよ?

 それを美点だと錯覚しちゃうあたり、やっぱり私に好意向いてないかな?


「それじゃあ、移動は任せてもいいかしら?」


『カタタッ!』


 それまで黙っていた骸骨は任せろとばかりに胸を叩く。

 骨同士だからあまり勢いは付けられず、頼りないこんっという音が聞こえた程度にも関わらずその態度から頼ってみてもいいのかなと思ってしまった。


 叩いたのが鎖骨付近だったから、さっこつ(錯覚)したかな?


「異世界を堪能するぞ~!」


「おお~!!」


 つまらないギャグを誤魔化すためにテンションを上げて出発!

 見れば大鳥さんだけでなく、委員長も微笑みながら手を上げて応えていた。

骸骨についての詳しい説明は次回に。

勘のいい人は凡その見当がついていると思いますが、作者の満足のためにお待ちください。

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