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みずはさんの行方

―――――――――――――お前が欲しい。


ぽつり、落ちた呟きが、頭の中に到達するまで数秒。

一瞬、それが誰の言葉なのかさっぱり理解できなかった。

ぱちくりと瞬きをして、眼前の人を凝視する。

えっと。いまのことばはまさか、めのまえの?

働かない頭がようやく弾き出したのは、そんなぶつぎりの思考。

信じられなかった。

だって、この人を求めていたのはあたしのほうなんだ。

ずっとこの人が欲しかった。

欲しくて欲しくて、でも決して手に入らないと知っていたから、結局口に出すこともなかった願い。

ずっとずっと、希ったその人が、今自分の目の前に居ることすら不思議で仕方ないのに。

いつだって忙しいこの人が、何でこんなところに居て、こんな似合わない台詞を吐いているんだろう。

頭の悪いあたしじゃあ、考えたところでわかるはずもないけれど。

でも、こんなに都合の良いことがあっても良いのかな、次の瞬間に事故なんかで死んでしまったらきっと死んでも死にきれない。化けて出てくると思う。

これが愛の言葉なんかじゃあないってことは知っている。

あたしはそこまで馬鹿じゃないもの。

けれど、確かに求められていると思えた。

この人に。


他に何もいらない、その一言が、喉から手が出るほど欲しかったんだ。


かつて、たったひとりで世界を越え、訳もわからず堕ちてきたあたし。

紆余曲折あった末、道端でのたれ死ぬまであと数秒ってところまで行った。

平々凡々、自覚もないまま真綿に包まれるように守られて、ただ安穏と生きてきたあたし。

あの時ほど死っていうものをあんなに身近に思ったことはなかったなぁ。

本当にあの瞬間のあたしは、諦めてた。生きるってことを。

でもあの人は、突然現れてぼろきれみたいだったあたしを無条件で拾ったあげく、自立出来るまで育ててくれた。

あの時からあたしの世界はあの人だけになった。

元気になってからは感謝を伝えることと余りある恩に報いることしか頭になくて、ただひたすら、彼の役に立てるよう精進することに必死になった。

…いや、本当よ?容易に従わない駄目な使用人だったけど。

あと感謝なんて照れくさくて言えなかった。ばか。

でもまぁ、そんな大恩人が実は部下にきちんとお休みもくれない鬼畜主人であるということに気づくのは、元気になってそう経ってない頃だったかな。

それでもがんばった。がんばりましたよえぇほんと。あたしなりにね。

結局この世界の言葉と一通りの常識を覚え、手に職をつけ、本当に一人立ち出来るようになるまで2年半もかかった。

こんなにかかるつもりはなかったのに、やっぱり愚図なあたしには大変なことだったんだよね。

なのにそうなる頃には、既に自分の中に手のつけられない感情が生まれてしまっていることに気づいちゃった。

たぶん、これも良くなかったね。気づかなければ、そのままいけたのに。たぶんね。

こちらから返すんじゃなくて、向こうから与えられることを心底望んでたんだってわかったとき、あたしが何を思ったかわかる?

どんだけ面の皮厚いのよあたし。ねぇ?

自分が、ただあの人の側に居るだけでは満足出来なくなっていることを知って、愕然とした。

こんなの本末転倒もいいところ。ほんと何様よ。召使様ってか。ばかやろう。

…きちんと感謝を伝えてない。

まだ何も恩に報いることを出来てもない。

その事実を知っていて、尚も望む自分の浅ましさに、泣きたいくらい吐き気が込み上げた。

きっとこのままここに居れば、この想いに歯止めが利かなくなることも、その時わかっちゃった。

たぶん早晩、あたしは我慢出来なくなるって。

自分のことだから余計にわかった。やーねー。ほんと。あーあ……。


で、まぁ…というわけで。

事態を理解したあたしが何をしたのか。


逃げた。


与えることよりも奪うことを望むようになりそうな自分が、怖くて。

誰よりも自分から、あの人を守りたくて。

何にも出来ていないけど、傍に居なければきっとこれ以上ひどくなることはないと思ったんだ。


逃げる数ヵ月前から、準備の為にまずは後任を雇ってもらった。

当然ご主人には反対されたし、説き伏せるのはだいぶ大変なことだったけど、なんとかなった。

あのときのあたしは女優だったわー。このままひとりだったら過労死する!って泣き落とし。

でもね、野垂れ死に一歩手前までいったあたしですよ。

これしきで死ぬわけないじゃなーい?

ご飯だってちゃんと食べさせてもらってるんだもの。

ただ、ご主人も根本は優しいのよね。

だからあたしみたいなのに付け込まれちゃうんだ。

…まぁそんなこんなで、後輩に半年かけて仕事を叩き込んだあと。

ご主人の元で働くようになってから出来た伝手を頼って、置き手紙だけ置いて。

ある夜、あたしはご主人の前から姿を消した。


ご主人に拾われて、3年の月日が経っていた。


離れた当初は、思ってたよりも苦しくて、幾度も泣く日々を送った。

ほんっとーに馬鹿みたいじゃない?

自分から望んでしたことなのに、早々に後悔したんだよ。

触れられないことも声が聞けないことも会えないことも、辛くて寂しくて、何度も繋がりを持とうとしてしまう自分を、時には体を痛め付けてでも止めた。

あたしも自分がここまで痛い子だとは思ってなくて余計へこんだ。

でもそうでもしなきゃ、たぶんあたしはすぐあの人のところに飛んで帰ったと思う。

まぁ、あんなに狂いそうなほど誰かを恋しく思うのは初めてで、どうしていいかわかんなかったってのもあるのよね。

そんなあたしでも幸運なことに、新しい環境では人に恵まれて、仕事は順調。

なのに心は死んでいるような心地だった。

いや、ほんと贅沢だよねー。我ながら。

野垂れ死に前のあたしに言わせたら、たとえそれが自分でも本気でボコボコにするレベル。

ふとした瞬間にあの人を想う自分が嫌で、忘れる為に仕事に励んだ。マシーンと化したよ。

落ち着くまでは、忙殺されたと言ってもきっと言い過ぎじゃあないね。

おかげで仕事背負い込む為にみんなに声かけまくったら馴染むのも早かったし、頑張ってるねってことで周りに信頼してもらえたみたいだからオールオッケー。やればできる子なのあたし。

その代わり一時的に過労で寝込んだりもしたけど、それを超えたらなんとか過ごせるようになった。

それから、離れて2年が経つ頃には、あの人のことを想っても寂しいと思いこそすれ、胸は昔ほど痛まなくなった。

最初はあんなに辛かったのにね。

あぁ、あたしも成長したんだなって、寂しいけどそう思えたよ。

これできっとあの人は幸せになれる。

だってあたしみたいな疫病神が居なくなったんだからね。

なのに。


いつものように掃除に励んでいたら、お館様に呼び出しをくらった。

あ、新しい仕事はとある貴族の館を綺麗にする、ハウスメイドです。

やってることはそう変わらないから、大変なことじゃない。

穏やかな壮年のお館様は、下働きにも優しいし。

仕事をきちんとしていれば適度な休憩だって許してくれるんだから、前のご主人とは雲泥の差よね。

…って、おっとと、いかんいかん。自分で傷口抉ってどうするんだ。ばかすぎる…。

でも、基本的に余計な口出しもなさらないそんなお館様が、ある日何故か一介の掃除婦をお呼びらしいと、仕事仲間が伝えてくれた。

何事?と思いながら、急いで身繕いをしてお館様の下へ向かう。

道中、なんか粗相でもやらかしちゃったかなと少し焦りながら。

あたしこれでも前のご主人に相当スパルタで叩き込まれたから、けっこー優秀なのよ。

お館様にもお褒めの言葉を頂いたことだってある。

でもあたしだって人間だから、ミスするときだってあるでしょう。

気分はもう怒られるつもりでしょんぼりしながら、お館様がいらっしゃるという応接室の扉をノックした。


「入りなさい」


「失礼いたします」


静かに後ろ手で扉を閉めたあと、腰を折って丁寧にお辞儀する。

礼儀作法なんてほとんど付け焼刃程度だったのを、前のご主人で直されたのよね。

おかげさまで、今や背筋ぴっしりの綺麗なお辞儀が出来るようになりました。

めっちゃ厳しかったけど…。


「やぁ、ターニャ。来たね。こちらへおいで」


「はい」


あ、今さらだけど、あたしの性は古谷。

逃亡したからには偽名じゃなきゃ!って思い立ったのはいいんだけど、結局名前を捩るのも難しかったから、古谷→コタニ→ターニ→ターニャで落ち着いた。

あの傷心してたときによくそんなくだらないこと考えられたな自分。ばかだからか。

そしてそんな顔に似合わない名前をお館様や仲間は普通に呼んでくれて、逆に自分が居た堪れなくて困ったのは内緒です。ってそんなことは今どうでもいいんだって。

頭を下げたままだからわからないけど、なんだかお館様の声は別に怒ってなさそう。

ならどうして、ただのハウスメイドを呼びだしたのかしら。


「仕事中に悪いね、ターニャ。

 だが、どうしても君に逢いたいという御仁が居てね」


へ。


「こちらへ、エイデンバルト卿」


ちょっ…ちょ―――――っっっ!?


かつん、と小さな靴音を鳴らして現れたのは、会いたくて会いたくなかった、何よりも大事な人。

あまりの驚きに体が固まった。なんでここでその名前がでるの!?

ここで聞くはずのなかった名前と、現れた瞬間から肌を刺すような冷気が降ってくるような気がして。

あ、これは間違いない詰んだと思った。


「…ミズハ」


「…………」


なにこれめっちゃこわい。

ねね、ふつーさ、ここは感動の再会になるんじゃないの?

わざわざ消えた使用人を追っかけてきてまで…え、なになに処刑フラグ?うそん。

飼い犬に手を噛まれた感じ?ご立腹どころか怒髪天ですか?ですよねさーせん。

なんて、脳内じゃふざけてるけど実際はあまりの恐ろしさに頭は上がらないし手も体も震えてる。

お館様は、じゃあ僕はこれで失礼するよあとは2人で、なんて言ってさっさと自分だけ消えた。

ちょっ…ひどすぎるお館様の裏切者―――――!!


顔面蒼白、声も喉が萎縮しちゃって出ない状態で、相手も何も話さないまま数分経過。


ちっ…沈黙が重い!潰れる!!

離れている間に免疫が無くなってしまったのか、この沈黙がものすごく耐え難い。

ていうか気のせいだと思ってたけどたぶんこれ威力増してるわ。このままだとしねる。

そう思ってたら、あとほんの少しで意識も飛ぶ、というところでようやくお許しを得た。


「…ミズハ、顔を上げろ」


相変わらずのご主人様である。

むしろ魔王様がお似合いか。

…でもほんとに、洒落にならなくなってきた。

だってご主人、本気で怒ってる。


「ミズハ?…私の命令が聞けないのか」


再度の声掛けにも反応を返せない。

ちがうほんと動けないんです。体が固まってるんですごめんさい。

こんなこわいご主人はじめてでどうしたらいいのか分からない。

体がぶるぶる震えている。怖い。どうしてそんなに怒ってるの。

あたしなんてただの使用人でしょう。コマの一つでしょう。

居なくなったところで、ご主人に不利益なんてない。

いずれご主人も奥様を迎えて、あたしが要らなくなる日が来る。

その日までただ黙って待ってることができなかった。

恩知らずの役立たずでごめんなさい。

でも追っかけてくるほどの価値なんてないでしょう。

あたし、何も出来ない、ただのメイドだよ?

そう思ったら、もうだめだった。


ぱた、と絨毯に水滴が落ちる。


最初の一粒を追うように、続けてぱたぱたと絨毯を叩く。

あぁ、高い敷物なのに。早く拭わなきゃ。

そう考える頭はあっても、体は一切動いてはくれない。

なっさけないなぁもう。


「…何を泣く」


ぱたり、ぱたり。

声もなく泣き続けていたら、怒気が緩んだ気がした。

するりと顎に手を当てられて、そのまま上を向かされる。

零れる涙を親指の腹で拭いながら、ご主人が両手で頬を覆う。


「何故泣く。おまえは昔から、何も言わないな」


痛くても、苦しくても。

余計なことばかり口にして、肝心なことは心の中で押し潰して。

自分ひとりで解決しようとする。


そう言いながら、指で優しく涙を拭われて、落ちない女なんて居ないわ。

なんなのもうご主人天然タラシなんだから。質悪ぅ。

あーあもう。負けた負けた。仕方ないなぁ。


「…ご主人、逃げたことは謝ります。ごめんなさい。

 でも、ご主人の傍にいたら、あたしきっと害にしかなんない。

 だから居なくなりました。恩返しもしない役立たずで申し訳んぶぅ」


「黙ってろ」


えっ。

意を決して懺悔し始めたのに、途中で邪魔されて最後訳わかんない声が出た。

話してる途中で、頬を包んでいた両手使ってひとをたこにするってどういうこと。

おい。驚きすぎて涙も止まったわ。


「おまえは何も言わないし私の話を聞こうともしない。

 悪い癖だから直せと何度言わせるつもりだ?」


「じゅびばてん」


「何を言っているかわからん」


誰のせいだと。


「おまえは私が拾ったときから私のものだ。

 勝手は許さん」


俺様発言頂きましたわーい。

でも今までは嬉しいそれも今のあたしには痛い。

ご主人のものになるのは構わないけどだれか別のひとがご主人の隣に立つのは見たくない。

止まっていた涙がまた溢れてきて、またご主人に拭われる。

ついでに抵抗して緩く頭を振ったら、強引に固定された。いたい。


「おまえは私のものだと、何度言えばわかる?

 この鳥頭が。あれだけ教育してやったが身に染みていないようだな。

 私の館はお前が一番よく知っているんだ。

 手放す気などさらさらないわ」


嬉しい言葉だけど、今は痛い。刺さる。びしびし刺さる。ついでに視線も刺さってる。

顔面凶器とはまさにこのことだ。美形だっつーのに何この残念さ。

でもねぇご主人、あたしにだって独占欲っていうものはあるんですよ。

飼われている身でおこがましいかも知れないけど、あたしそれだけは欲しい。

他に何も要らないから、それだけが欲しいんです。

手に入らないんだったら、いっそ傍に居ないほうがましなんですよ。


「おまえの望みはなんだ。言ってみろ。

 …何も願わず、何も言わずに消えるなどするな。

 おまえには声があるだろう」


…はい。ご主人。


涙は未だ止まらないけれど、ご主人が手の力を緩めてくれたから、ごくりと唾を飲み込んで喉の調子を整えた。

今、ご主人さまの命令に従えないならあたしはくずだ。

もともとですけどぉー。なんちて。


「…ご主人はいずれ、奥様を娶られますでしょう。

 そこにあたしが居ちゃ、きっと良くないことになりますよぉ。

 主にあたしのせいで」


「は?何を言って…」


「ねぇご主人。女のひとって結構独占欲強いんですよ。

 あたしはご主人のものですけど、でもご主人の隣に誰かいるってなると話は別なんです。

 それはきっと奥様になられた方だって同じことだと思います」


だから居なくなりました。あーゆーおーらい?

醜くてごめんなさいね。

これでもあたしは女なんですよー。

忘れてたでしょーこんちくしょー。


「………」


「あたしは何も持ってないし捧げられるのなんかこの体くらいですけどね。

 他に何も要らないから、これだけは欲しいってものがあるんですよー。

 ご主人、あなたにはありますか?あなたは何が欲しいですか?」


ねぇご主人。教えてください。

そうしたら、あなたの望みを叶えて、今度こそあたしは消えてあげますから。


ぼろっぼろ涙流したままのぐしゃぐしゃな顔で、笑った。

あたしの頬を覆う大きな温かい両手を、自分の荒れた手で更に覆って。

ご主人は眉間に盛大な皺を作って、すごい顔してあたしを見てる。

あ、そんな汚いっすか。見るに堪えない顔ですんません。

でもそんな汚いあたしでも、出来ることはまだありますか?

それなら御恩返しに、最後のご奉公を致します。





「……………おまえは、馬鹿か」


「んぎゅっ」


覚悟を決めて、ご主人からの答えを待っていたのに。

返ってきたのは罵倒と云われなき暴力。

いたくないけどいたい何するんですかひぃー顔こわい!!

顔と顔の間が僅か数センチレベルに近づけられ、ガンつけ。

怖い。ご主人の顔怖い!止めてくださいごめんなさいあたしが悪かったですぅうううう!

別の意味で涙が溢れてきた。

うぉおいご主人まじ怒ってなさるぅ…!


「そこまで馬鹿だったとは思いしなかった。

 私が、いつ、誰と結婚すると?

 ありもしない未来を妄想して主に背き、勝手に出ていくとはおまえは一体何様だ?」


「ぎょめんなひゃいぃい」


「何を言っているかわからん!」


誰のせいだとー!!


「おまえが私の望みを叶えると?

 私の望みが何であるか、おまえにわかるのか」


わかりませんごめんなさい身の程知らずで申し訳ありませんっ。


「ならば叶えてもらおうではないか。

 心して良く聞け」


ごめんなさいごめんなさい無理です無謀でしたもう言いませ―――っっ


「―――――――――――――…………。」





え?




鼓膜が爆破されたのかと思った。

いきなり、音がまるで聞こえなくなったから。

後から考えたら錯覚だったんだけど。

でもその一言だけは、すっとあたしの耳に入ってきた。


「…わかったか?」


「え、と…」


え?


「おまえが欲しい。

 …ミズハ。願いを叶えてくれるんだろう?」


すぐに理解出来ていなさそうなあたしの為か、わざわざ言い直してくださった。

不敵な笑み付きで。

理解した瞬間、顔が燃えた。

わかってる、愛の言葉じゃないってことくらい。

この人がそんなこと、あたしに言うわけない。

でも、こんなの。やばい。


「ご、主人…それ、殺し文句ですよぉおお……」


この天然タラシ…。


撃沈したあたしは再起不能。腰が砕けた。すさまじいわー。

瞬間沸騰した顔はゆでだこ状態になって、ご主人に凭れかかる羽目になった。


「おまえを手放すつもりはない。何度も言わせるな。

 離れるくらいなら殺してやる。

 …が、その前に、どうしてもわからないなら、わからせてやるのみだ」


え。


動かし辛い頭を無理やり擡げ、ご主人の顔を見る。

…いや、やっぱり見るんじゃなかった。

ここに居るのは、猛禽?猛獣?なんでもいい。

とりあえず触れちゃいけないものだってことはわかった。

もう遅いけど。


「おまえは鈍いようだから、言ってわからねば体に言い聞かせよう」


それはどこの鬼畜サディストのセリフですか?




そのままあたしの意識は一旦フェードアウト。

目が覚めたらって、やっぱ思い出したくない…思い出したらあたしの頭が破裂する!

ご主人があんな肉食系だとは思いもしませんでした。

見くびってましたごめんなさい。

申し訳ございません。






だからもうお部屋から出してください……!

みずはさんはこの後必死で懇願して無事部屋を脱出しました。

軟禁されたのは館に戻って3日ほど。

いつの間にか婚姻を結ばれて自分が奥様になっていることに気づくのは、後輩ちゃんにそう呼ばれてから。

まだまだ苦難の道が続きそうですが、これも一つの未来の形ということで。

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