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転移少女は果てへと至るか  作者: 雰音 憂李
ⅱ 先生と生徒

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19_勉強、そして講義

2025.11.17 一部表現等追加・修正しました。

「ここね」

 次に向かった先にあったのは、二階建ての洋風の建物の一室だった。どうやら、ここが先生に与えられた教官室、らしい。


「私も、ここに一緒で良いんですよね? 先生」

「……あたしはルナのことに関しては聞いていないわ。多分、あたしと一緒でもいいと思うわよ?

 それに、どうしてか知らないけど、ベッドが二台もこの部屋にあるし、ね」

 この部屋は、あくまで先生に与えられたものであり、私はそこに、一緒に住んでいいというだけなのだろう。

「何か、随分とあやふやな話ですね。いいんですか? 許可、取らなくて」

「教務の方からは誰も、何も言ってこないからねぇ……知らないよ。多分だけど、問題さえ起こさなきゃ怒られることはないから大丈夫よ」


 先生は大丈夫だと言っているが……本当に大丈夫なのだろうか?

 一体、何がどうして大丈夫なのかはさておくとして、まるで誰かが配慮しているように見える。

 ……誰が配慮したかは、おおよそ察せられるものだが。


「じゃ、今日から二週間、ここで過ごすことになるからね。あたしは教務の所に行ってくるから、もし誰か来たら、とりあえずだけど、対応お願いね。

 もし勉強したいなら、私のノートから見た方がいいよ」

 先生はまだ用事が残っているからか、そう言って、この館の一階にあるという教務室へ行ってしまった。

 私はこれからのことを考えると、普段はそう思わないのに、勉強しなきゃ、と考える。


 決してやりたい訳ではないが、少しでも勉強しなければこれからのことに関わってくるかも知れない……そう思い、先生が借りてきてくれた魔術の本と、先生が過去に纏めたノートを読んでみることにした。

 悪戦苦闘しながらも、先生のノートを頼りに、少しずつ読み進める。

 

 この日は結局、先生は挨拶回りをしなければいけないこともあって、夕食まではまともに一緒に過ごすことはなかった。着任当日ということもあるので、仕方ないと思う。

 夕食は、教官室のある洋館の斜向かいにある、魔術学院寮の一階にある食堂で取ることになった。

 しかし、食堂という場所は時間帯によってこの魔術学院に在籍する全ての教職員や在校生が集合する、ということもあって、私たちは――特に先生は有名人であることもあって――話しかけられることが多く、疲れ果てていた。


 ******


 初めて――私から見れば、だが――先生がこの世界で教壇に立つ日。先生は柄にもなく随分と緊張しているように見えた。

 疲れ果てた状態ながらも、多少睡眠時間を削って私は勉強していて、それに先生も付き合ってくれていたから、妙に眠たそうにも見えた。

 所謂一時間目と私たちが元の世界で呼んでいた、その時刻に近づくにつれて、珍しく先生は落ち着かない様子だった。

「先生って、授業の前ってずっとこうだったんですか?」

「……いや……ね?

 大人を相手に、講義や研究の発表はこの世界に来てからもしていたけど、学生相手に、座学の授業って……超久々で。なんか浮き足立っちゃってるみたい。

 今回する話は、基本的に決まってるけど、教えるってより、なんか独演会みたいになりそうで……」


 そう言う先生は、少し自信なさげだった。自信を出して欲しいとは思っているが、私はどう声をかけていいのか分からなかった。

 暗いような雰囲気を何とかしようとして、一つ聞いてみた。

「……先生の授業って、今回だけですか?」

 唐突に聞かれた先生は、少しだけ困ったような顔をしていた。


「何が? 座学のこと?」

 先生はそう聞かれて、私がすぐに頷くと、こう話してくれた。

「そうね……基礎、基本の話をするのは今回だけ、かもね。

 他の学生たちからやってほしいという声があれば、やるだろうけど。まあ、ルナ次第でもあるかもね」

「……私次第? どうしてですか?」

「今回の私の授業の裏テーマは、ルナが魔力……魔術の使い方を覚えてもらうこと。

 これはカゲトが言ったのもあるけど、貴女の将来を考えると、いつかどこかで何が起きるか分からないからね」


 先生の言葉は、的を射ているだろう。

 これから先、この世界を知るためにとの目的で、帝国内の各地を回ってみようと考えていた。

 先生から最初にそれを言われたときは、まだ何となくではあったが、そうしようと半ば決め込んでいる中で、この聴講は渡りに舟な状況だと思っていた。

 今の状況の全てを作ったのは帝国だが、これまでにも、元の世界で得た常識が通じない部分もあった。

 それを考えれば、実質的に一からやり直しみたいなものだろう。


「それで……他の授業って、見ても良いんですか?」

「良いわよ。貴女は聴講生なんだし。まあ、後で担当の教官に教えなきゃいけないけどね。何を聞きに行くの?」

「出来れば、ですけど……この世界に関わるもの、全てになるかと」

「全部は難しいけど、頑張ってみたら? もしダメだと思ったら、後で渡すから、あたしのノート、見ておくといいよ。

 ……あたしのやり方で、だけど、大体は纏まってると思うから」

 先生が過去に纏めたノートは、私にとって非常にありがたいものであった。

読んでいただき、ありがとうございます。


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