表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼の夢は未だ覚めず  作者: すらいむれべるいち
9/112

儀式の扉

魔獣ではないということは、動物だろう。


この世界の動物は、人を襲うことが少ないという。


というのも、存在する動物の大半が小型だからなのだが。


数種類、凶暴な動物も存在するが


そもそもの生息地が違うのだ。


人が住む都市を1として、そこから近場の沿岸部までが2離れている。


つまり、都市二つ分は人の手が入っていないこととなる。


これはウワナーに限ったことではなく、他の各都市も同じようになっている。


勿論、狩りをする人たちもいるが


それでも日帰りで帰れる距離までしか進むことはない。


獲得した獲物を持った状態で、日を跨いで歩くのは大変だ


当然といえば当然だ。


それでも、周囲の自然は豊かなので


そこに住む動物たちも同じように多く生息している。


だが、油断をすれば痛い目にあうのも確かなのだ。


これだけの広さに人の手があまり入っていないのだから


調査したと言っても、確実なものではない。


そこには、未だ見ぬ希少な生き物もいるかもしれない。


この世界は未知にあふれている。


未発見の生き物や、未到達の大自然だって沢山あるだろう。


元の世界にも帰りたい。


だが、この世界を知れば知るほどにやりたいことが増えていく。


余裕はないが、自転車で好きなだけ走り


新しい土地へと向かい、様々な人に合う。


これがどれだけ贅沢なことか。


これからどうなるのかは、ようやく見えてきた神殿での結果で左右される。


だが、今はただ祈るばかりだ。


願わくば、少しでも長くこの世界にいられることを。




神殿の周囲には、桃のような果樹が育てられていた。


周囲に人がいないことを確認し、こっそりといくつかをもぎ取る。


ひとつを食べ、残りはリュックへと詰め込んだ。


うん、美味しい!


桃なのだが、若干のとろみがあり


まるでフルーツヨーグルトを食べているようだ。


口元を袖で拭き、いよいよ神殿の扉を開けた。


「ようこそ、ウワナー神殿へ。 私、ピスキーが御用をお伺いいたします」


か、堅い!!!


「こんにちは、俺は黒澤 透です。 魔法の才の開放をお願いしたいのですが」


「そのお歳で、ああいえ…ではこちらへ。 やり方はわかりますか?」


「ええ、その辺りはぬかりなく! これが必要なんですよね!」


おひねりをリュックから取り出し、手に乗せてみせる。


「ええ、それではあちらのお部屋へ。 ここは、一度入ると儀式が終わるまでは出入りができませんのでご注意を」


なるほど、女神が降臨すると考えれば納得だ。


「ありがとうございます! では、いってきます!」


そう言って、俺は儀式の扉へと入っていった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ