残酷
「女神様、お久しぶりです。 お土産持ってきましたよ」
「お土産!? わー! ありがとう!」
野生のピーク女神が飛び出してきた!
「また暇だったんですか?」
「そう! 退屈だったー。 ピークは三日に一度しか貰えないしね」
そういうことになってるのか。
「それでさ。 そこの子は誰? 儀式を受けたい子?」
やっぱり、そうなるよな。
「才があれば解放してあげてほしい。 一応、前に聞いたことは伝えてあるからダメ元でな」
それから少し考えるそぶりを見せて答えが返ってきた。
「うん…、いいよ。 やってあげる。 でも才能が無ければそのままだからね?」
警備兵さんは、千切れるんじゃないかと心配するほどに首を振った。
だが、結果は…。
「残念だけど…。 君、才能ないよ」
ちょっと!!!
女神様の言い方が辛辣すぎる!!!
「さて、ちょっと内緒のお話をしないといけないからね。 君は帰ってくれるかい?」
警備兵さんは、失礼しますと言って扉から出て行った。
「それじゃ、どこから話そうかな。 まずは、そうだね。 ピークの件ありがとね、三日に一度とはいえ好物が届けられるのは嬉しいんだ」
よっぽど好きなんだな。
「いえ、それくらいなら…。 それで? まだあるんでしょう?」
「んー、あるね。 ちょっとね、君の元の世界と連絡を取ったんだ。 その結果だけど…、聞きたい?」
嫌な予感しかしないけど…。
ここで聞かなければいけない話なのだろう。
「お願いします」
「そっか。 結果から言うと、あちらの世界にも君は存在していたんだ。 だけどね、落ちた崖の高さもあって君は意識不明の重体なんだ。 今は病院で寝てるんだって」
そんな…。
「それでは、戻る手段は…」
戻る手段もあるのだろうと、期待してみたのだが
「ごめん、それは無理そうだ。 世界として、は大丈夫だと思うけど…。 地球は君を受け入れないし、何より君の身体が受け付けない。 意地悪で言ってるんじゃないよ? 君の魂がね、離脱前と離脱後の変化が大きすぎるんだ。 世界が変われば価値観も変わってしまう。 その変化を受け容れられるほど、人間は強く出来ていないんだよ。 協力してあげたいけど…、僕は直接手を出せない…。 ごめんね」
あー、ショックだ。
足の先から力が抜けて、少しの間だけ泣いた…。
家族に友人、失うものが多すぎる。
今までは、まだ帰る望みがあるから気にしないでいられたけど
あんまりだよ…。
こんなの残酷すぎるよ…。