翡翠
岩の魔物の切断面は綺麗な翡翠色だった。
「すごい…。 あれ魔石じゃないの? 真っ二つだ! 勿体無い!」
女は騒ぐだけ騒ぐと、魔物の方に近寄っていった。
「おい、それは俺の獲物だぞ」
俺の声が聞こえていないのか、女は魔物の死骸を蹴りつけている。
「脅かしやがって! この! しんじまえ!!」
死んでるっての。
「おい、いい加減にしろ。 俺が狩った獲物を蹴るな、殺すぞ」
嫌悪感を隠そうともせず、女に向かって言い放つ。
「わっ! ちょ、そんなに怒らないでよ。 この魔物に追い回されて酷い目にあったんだから!」
知ったことか。
「それはこっちの台詞だろ。 その魔物に襲われたお前は、俺に向かって岩を転がしてきたじゃないか」
「え?」
「とぼけるな! 坂道で岩を転がしてきたのはお前だろう!」
「ちょ、ちょっとまって! 私はただ逃げてただけで岩なんて転がしてないよ!? 魔物を倒して貰いたいのに岩でひき潰してどうするのさ!」
「では、返答次第では容赦しないとはなんだ? 確かに言っただろう」
「それは、最近この辺りで盗賊が出たって聞いたから…」
む、確かに。
今の身形では、勘違いされても仕方が無いかもしれない。
「そうすると、お前は俺に対して攻撃してきたわけじゃないのか?」
「だからそうだって! こいつを村に近付けないように逃げ回ってたんだから!」
だとすると変だ。
あの岩は急に現れたように見えた…まさか!
「おい、潰れたくなかったらちょっと離れてろ」
「え? どういう…」
空間からすべて出さなければ動けないはずだ
だが、もしもの時のために離れろといったのだ。
収納した岩を半分ほど出すと、そこに近付いて軽く叩く。
コンコン、と少し軽めの音が鳴る
すると、岩の上の方から何かが生えてきた。
「やっぱりか、コイツも魔物だったんだな」
確認が済んだので、再び収納した。
これで、今の収納空間には生きている魔物が
魚が二体、岩が一体の三体いるわけだ。
しかし、事前に調べた情報では
魔物はあまり出没しないと書かれていたのだが…。
まあ、素材が増えるので俺としてはかまわないが。
倒した岩の魔物を収納し、神殿への道を急ぐことにした。
「それじゃ、俺は先を急ぐから。 また機会があったら何か奢れよな」
「ああ! 村の方には話をつけておくよ!」
軽く手を上げて、その場を去る。
魔物によって、魔石の色が違うということもわかったので
今回のことは、そう悪いことではなかったのかもしれない。
魔石の使い道は考えているのだが、それは追々やっていこうと思う。
だがまずは、お米だ!
お米が食べたい!!
その辺りのものが、この世界にあるのかを女神に聞きたいのだ。




