岩
村を発って一日半、俺は今山を登っている。
自転車だときついので、トボトボと歩いているのだが
辺りには緑が少なく、岩がゴロゴロしている。
そのため、暇つぶしの探索も出来ないのだ。
何かをしながらであれば、こんな旅路も悪くは無さそうだが
その、何かが無い。
そうして、この道の先を見据えると大きな岩があった。
あんなのさっきまで無かったよな?
その岩がこちらに向かって転がってきたのは、そう思った瞬間だった。
「え…ちょ!!」
急な出来事にパニックになり、少し坂を下って逃げてしまったが
正気に戻ったら対処は簡単だ。
収納してしまえばいい、ただそれだけだ。
ゴロゴロと転がってくる岩を収納し、先に進もうとしたのだが
「何者だ! 返答次第では容赦しないぞ!」
と、言う声が投げかけられた。
「返答どころか、質問前から容赦してないのはどうかと思うぞ」
「う、うるさい!!」
「なあ、面倒なのは嫌いなんだ。 俺を襲ってきたってことは敵として見ればいいんだよな?」
相手の質問には答える必要は無い。
相手から仕掛けてきたのだから、こちらが態度を変える必要も無いのだ。
「ま、まってくれ。 敵か敵じゃないかだけ知りたいんだ、答えてくれよ」
そんなことか。
「敵だな。 いや、さっき敵になったと言うべきか。 仕掛けてきたのはそっちからで、謝罪も無しときた。 意味はわかるな?」
敵対する原因を作った相手に手加減などしない。
「悪かったって! こっちにも理由があるんだよ!」
「知ったことか。 仕掛けた相手が悪かったと地獄で悔やめボンクラ」
手足をロックされ、動けなくなった女が苦し紛れに放った一言で
俺の考えが変わった。
「魔物が出たんだよ!」
「魔物だと? 何の魔物だ?」
興味が出てきたので、つい聞き返してしまった。
「それが…わからないんだ。 だけど、あれは魔物だ! 間違いない! 岩の化物なんだ!」
ゴーレムってことか?
それならば、新しい素材が手に入るかもしれない。
それどころか希少な鉱石でも手に入れば、今後の生活費の足しになる。
「わかった、案内しろ。 それがお前の俺に対する償いとする」
「あ、有難う! こっちだ!」
それから女に案内され、一時間ほど進むと山の頂上に着いた。
「で、魔物は? 嘘だったらただじゃおかないぞ」
「いるってば! ほら、あそこに!」
指の向いた方向を見ると、確かにいた。
「でかい…岩?」
「そう、でかい岩なんだ。 だけどあいつは…、あいつは人を襲うんだ」
「動くのか?」
「動く、足が生えるんだ」
「成る程な、了解した」
そう言うと、その魔物の身体半分を収納し
切り取った。




