テント
と、ここで思い出したかのように質問してみる。
「今聞いた中で、魚類の魔物はいなかったと思うのですが…。 魚類は普通の魚と同じようにワタを取り除けばいいのでしょうか?」
「あ…いやぁ…、魚類の魔物って魚のだよな? あんなもの退治できる奴がいたら大変だぞ? なんせ前代未聞の大事になるからな」
え…、それはやだな。
「いえ、気になったので聞いてみただけです。 気にしないでください」
本当は凄く気になるけど、ここで迫りすぎても怪しまれてしまうだけだ。
一通り教えて貰ったところで、今度は中央大陸にある神殿の場所を聞いておこう。
「重ね重ねの質問ですが、中央大陸の神殿はどちらにありますか? 騎士の方と待ち合わせをしているのですが、恥ずかしながら場所がわからないもので」
「騎士様とですか、それはまた…。 神殿でしたら、あちらに見える王宮の正面に建ってますよ」
なるほどね、確かに都市の起点になった建物が王宮の近くというのは納得できる。
だけど、気になることもある。
神殿の周囲には、ピークの木が沢山生えているはずだ。
まさか…ね。
少し不安になったが、ピークの貯蔵は十分だ!
などと考えていると
「こちらからだと馬車で四日の距離になりますが、徒歩で行かれるのですか?」
と、フリードから声がかかった。
四日もかかるのか、食料のほうは大丈夫そうだが…。
あの夜の出来事がトラウマになりかけている。
「あ、あの! 野営に使うテントとかないですか?」
ムカデと寝るのはもういやだ!!
「テント…ですか? あの、テントとはなんでしょうか?」
え…。
「えっと、野営のときに休む小屋の様なものなのですが…」
「小屋ですか…。 やはり聞いた事が無いですね。 野営で小屋など建てたところで獣に襲われるだけですからね」
どうやら、この世界にはテントというものが無いらしい。
「皆さん虫と戦っているんですね…」
「そうですね、旅をする方達はよく同じことを仰ります」
しかし、存在そのものが無いのなら仕方が無い。
できれば欲しかった!
テントの上から空間の壁を作れば、俺の個室ができるからだ。
それが周囲に見られているのと、見られていないのとでは大きな差がある。
主に精神的なものではあるが、長旅になればなるほど馬鹿にできない。
「有難う御座います。 今、気になっている質問は以上です」
「そうですか、こちらこそお世話になりました。 また何か気になることがあれば聞いてください」
約束の日までは、まだまだ余裕はあるのだが
早めに宿を取ってゆっくりしたいと思ったのだ。
こうして、また訪れることを告げて村を出た。




