塒とおじさん
「さて、そろそろかな?」
塒に近付けば近付くほど、匂いがきつくなるのでわかりやすい。
しかし…、臭い!
よくもこんな匂いの中で生活できるな…。
野生動物は近付かないかもしれないが、人を襲うときにばれないのだろうか。
匂いはどうやら、目の前の洞窟から漂ってきているようだ。
どこから攻撃されるかもわからないので、収納空間の入り口を展開して踏み入った。
「もしもーし! どなたかいらっしゃいませんかー!」
洞窟内に響く自分の声が反響している。
だが、誰も出てこない。
そこで思い出した。
もしかして、アローネさん達が戦ってた盗賊と一緒?
だとした…。
「捕まってる人いませんかー、助けに来ましたー」
相変わらず返事はないが、返事の変わりに叫び声が聞こえた。
どこから聞こえてくるのだろうか。
洞窟内の通路は、いくつも枝分かれしていて判断ができない。
虱潰しでいきますか。
いったいどれだけ時間が経ったのだろうか。
踏み入った部屋は、色々な物が置いてあった。
金貨や銀貨、武器や宝石。
これらは収納空間で包み込んで、まるっとお預かりした。
食べ物や酒なんかもあったが、こちらは手をつけないで放置した。
腐っていたりして臭かったので。
臭かったので!!!
そうして、漸くついた扉だが
ここから嗚咽のようなものが聞こえる、この扉で間違いなさそうだ。
「どーも、こんにちは! あ、時間的にはこんばんはだっけ?」
扉を開けたそこには、行儀よく椅子に座った数人の女の子と
その内の一人と、テーブルゲームに興じている目尻の下がった盗賊風のおっさんだった。
「あ、えっと。 失礼しました?」
足早に部屋を出るが、見てはいけないものを見てしまった気がする。
あれは犯罪ですよ!!
いや、盗賊団だから犯罪者なのか!
「あ、どうも、 お邪魔します? さらわれた子供達を返して貰いにきたのですが…」
少女達に外傷は無さそうなので、さくっと本題に入った。
「ダメに決まってるだろ!」
「んー、そうですか」
当たり前だよね。
「そうだよ! だってベル、まだおじさんにこのゲームで勝ってないんだから!」
え?
「ちょっとまって、そのゲームで勝てたら解放されるの?」
「いや、そんなルールはないが?」
え、どういうことなの?
「おじさんの嘘つき! 約束したじゃない! ベルがゲームで勝ったら皆を逃がしてくれるって!」
へー、このおじさん嘘つきなんだ。
「おじさんのうそつきー!」
「グッ」
あれ? なんか地味にダメージ受けてるぞ…。
「おじさんのうそつきー!」
「てめえ、ぶっ殺すぞ」
こわい!! なんで!?
とりあえず、盗賊のおじさんを固定した空間の檻で包み込んだ。




