表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伊勢神トンネル  作者: 福口哲郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/2

第二章 山道編

前回


途中カーナビの奇妙な現象により、大幅に遠回りをさせられた、男三人


この物語は、そんな男達の恐怖と勇気と友情と度胸とドラマである。

はたして全員生きて帰る事はできるのか?



「伊勢神トンネル 山道編」



まだか?まだか???

しだいにイライラしてくる・・・

はあ・・・遠いよ・・・

おいおい

会話もなくなった・・・・


無言の車内

FMラジオの小さな曲だけが虚しく聞こえた


カローラIIにのって

買いものに でかけたら

サイフないのに 気づいて

そのままドライブ



内容がないよう

な歌詞を聴きながら

さすがに歌詞にカローラ2でホラースポットにはいかないかあ

と、くだらない事を思いながら車を飛ばす


ナビの誤差のせいか、予定よりもずっと遠回りをさせられ、さすがの三人もうんざりしてきた。



車内に流れていた笑い声もいつしか消え、聞こえるのはエンジンの「ブォォォ……」という低い唸りと、タイヤがアスファルトを踏みしめる「ゴォー……」という単調な音だけだった。


時折、曲がる時のウインカーの「カチ、カチ、カチ……」という乾いた音が妙に耳につく。


誰も口を開かない。


さっきまで古虎渓で騒いでいたのが嘘のようだった。


そんな重苦しい空気を切り裂くように、


「おっ、やっと153号だ!」


誰かが叫んだ。


その一言だけで車内の空気が変わる。


「おおーー!」


「あと少しだ!」


さっきまで死んだ魚のような目をしていた三人は、まるで別人のように元気を取り戻した。


ようやく、新伊勢神トンネルへ到着した。


思っていたよりも綺麗なトンネルだった。


もちろん、「新」と付くだけあって旧伊勢神トンネルよりは新しい。


それでも照明はどこか薄暗く、コンクリートの壁は長い年月を感じさせる黒ずみを帯びていた。


入口へ近づくと、タイヤの音が変わる。


「ゴォー……」


だった音が、


「ゴォォォォォォ……」


と、壁に反響し始める。


車内へ何重にも重なったエンジン音が響き、まるで誰かが後ろから追いかけてくるような錯覚を覚えた。


「ここも出るんだよね。」


「うんうん、雰囲気あるわ。」


笑いながら話しているものの、自然と声は小さくなっていた。


長いトンネルを進む。


一定間隔で並ぶ照明が、


パッ……


パッ……


パッ……


とフロントガラスを照らしては消えていく。


そのたびに車内の表情も一瞬だけ浮かび上がる。


誰も笑っていない。


全員、無意識に前だけを見つめていた。


やがて出口の白い光が見え始める。


ホッとした、その瞬間だった。


「あっ! ここ! ここ!!」


突然Aが叫んだ。


「うわっ!」


思わず急ブレーキを踏む。

タイヤはロックせずにABSが作動した。


「キィィィッ!」


ブレーキ音が夜の山へ鋭く響いた。


危うく通り過ぎるところだった。


目の前には細い山道。


街灯は一本もない。


ヘッドライトだけが黒い闇を照らしている。


Aが指をさした。


「ここを入ると旧伊勢神トンネルだに。」


三人とも何も言わず、その道を見つめる。


……暗い。


無言でその道を覗き込む

・・・・

怪しい

妖しい

アヤシイ

あやしい・・・


そこは、怪しすぎるくらい暗い道が続いていた。



とにかく暗い。

ヘッドライトの光は十数メートル先で闇に飲み込まれ、それより先は墨を流したような黒一色だった。


風が吹く。


サワァァァ……


木々の葉が擦れ合う音だけが聞こえる。


どこか遠くで、


カン……


カン……


と金属を叩くような音が響いた。


ん?こんな時間に工事だろうか。


それとも熊避けの鐘か。


理由は分からない。


分からないからこそ、不気味だった。


気付けば誰も喋らない。


静かすぎる。


いや、静かではない。


耳を澄ませば、虫の声がする。


リーン……


リーン……


ジジジジ……


だが、その音が逆に静寂を際立たせていた。

不意にトイレへ行きたくなった。


「ちょっと待って。」


そう言って車を降りる。


ドアを閉める音。


「バタン!」


その一音が山全体へ響いたような気がした。


外は真夏とは思えないほど冷たい空気だった。


ひんやりした風が首筋をなでる。


「ヒュゥゥゥ……」


山を吹き抜ける風の音が耳元で囁く。


暗闇へ数歩歩く。


ザッ……


ザッ……


靴が砂利を踏む音だけがやけに大きい。


用を足している最中も、どうしても後ろが気になる。


何もいない。


そう分かっている。


それでも、


「誰か立っているんじゃないか。」


そんな考えが頭から離れない。


勇気を出して振り返る。


当然、誰もいない。


それでも胸の鼓動だけは、


ドクン……


ドクン……


ドクン……


と早くなる一方だった。


車へ戻る。


「どうする?」


誰かが呟く。


その声はさっきまでとは別人のように小さかった。


沈黙。


風の音だけが流れる。


人間の恐怖とは、暗闇であろう

誰もが不安を隠せない。

光のあたらないところでは、心も闇が支配してしまう。 


沈黙が流れる。


途中までいったことのあるAにきいてみる。


「この先ってどうなっとるの?」


Aは、ゆっくり答えた

「実は・・・・(眼を伏せて、視線をそらした。)よくココまでは、大学が近いからさ  他の友達とくるんだけど実際この先には、いったことないんだ。」


(オイオイ、マジかて!!そういうことは 早くいえよ!!)と突っ込みたいが、それだけこのトンネルまで行くのは、恐いと言う事であえて突っ込むのは止めておく・・・。



そして、続けてAが「でも行ったことある奴の話だとトンネルまでいかんとUターンする場所すらないらしいに。」


「ええ???ちょっとまってよ・・・Uターンできないってことは・・・それって途中で引き返すのは無理ってこと?」


Aは、まっすぐ目をみて頷いた。 


「ああ。」そして、「やめるなら今だね。」と答えた。


誰もが、それを聞いて少し考えていた・・・不安ばかりが、頭をよぎったのだろう。


しかしここまできて引き返すのも馬鹿馬鹿しい。


思い切って口にしてみた「行こう。」と・・・



Aともう一人のMはお互い顔を見てさらに少し考えて同時に「ああ。行くか。」と答えた。


全員が賛成した。


 

ソロリソロリと車を発車させた。


薄気味悪い山道が続く。

ガードレールにスプレーで落書きがいたるところにされている。


「族の溜まり場らしいよ。」

「それはそれで恐いね。」

「そりゃそうだ(笑)」

「族がいてもお前ら絶対に逃げるなよ」

「霊は、全然大丈夫だけど、族は逃げるよ(笑)」


 とたわいの無い会話・・・。


まだまだ、三人とも空元気はある。



つづく


次回「伊勢神トンネル 山道編其の弐 不気味な光」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ