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急に地球が滅びないかな、と異世界で私は呟いた 〜気絶のフリで乗り切るはずが、私を召喚した令嬢に転生を待たれていた件〜  作者: めるしー


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気絶のフリが、初仕事

※この作品は、AIを執筆のパートナーとして制作しています。物語の構想・展開・推敲は作者が行い、文章化をAIと共同で進めています。

「あ〜あ。急に地球が滅びないかなぁ!」


まるで夏休み最終日の鬱々とした気持ちになりながら溜息を吐き、私は呟いた。


周りは草原。キラキラと陽の光を浴びながら草木が輝いている。

見渡すと遠くにゴシック時代のヨーロッパの街並みのような景色が広がっている。

大きな時計がかかってる高い塔のような建物が一際目を引く。

時計の周りにダイアモンドのようなガラスなのか或いは何か特殊な石なのか…。

とにかく煌びやかに輝く装飾が施され、眩い光をこれでもかと放っている。


……。

とても美しい。まるで絵画のようだ。


だが、ここにはエアコンもなければ今や人間の必需品である携帯もない。

パソコンなんてもってのほかだ。

そもそも地球なのかさえもわからない…。


そう。

私、池崎 緑は転生したのだ。

異世界に。


全くもって意味がわからなかった。

漫画や小説で見る異世界転生のきっかけはトラックにぶつかるか高いところから落ちるか心労や病気で倒れて死ぬか…とにかく生命の危機がトリガーになっている事が一般的だ。異論は認める。


だが私は違う。

ただただ学校から帰って夕食前にテレビを見ていただけだったのだ。

ありがちな家族の不和なんてのも一切ない。

瞬きをしたらこの世界に居た。

なぜか飲食店のトイレの中に。


しかも、だ。

個室ではなく、洗面台の前である。


つまり私は今、見知らぬ異世界の、見知らぬ飲食店の、誰かが手を洗うためのスペースに、制服姿のまま突っ立っているわけだ。


鏡を見る。

そこには見慣れた自分の顔……ではなかった。


「は?」


思わず声が出た。

鏡の中の女は、私であって私ではない。

輝く銀色の髪に、同じく銀色のやたら長いまつ毛で縁取られた少し垂れ目の大きな目、小ぶりのすっと通った鼻筋、ふっくらとツヤのある唇。やたらと整った顔立ちである。加工アプリだってこんな仕上がりにはならないだろうというリアルファンタジー顔。

年の頃は十六、七といったところか。明らかに緑——黒髪に平凡な顔という、量産型JKの代表格——ではない。そして手には何故か栗色の髪色のウィッグを握りしめている。


脳がフリーズする。


え、ちょっとまってちょっと待て。

手をアワアワさせると鏡の中の美少女も一緒にアワアワしだす。


え、これはまさか…あれか?!

転生ってやつか?!

いや、状況を見る限り憑依、あるいは中身の入れ替えというやつか。


人間というのは余りにも現実離れした出来事が起きると冷静になるのかもしれない。

私は頭の中で置かれた状況をフル回転で整理し始めた。


「……まあ、慌ててもしょうがない」


パニックになったところで状況は1ミリも好転しない。それは前世——いや、まだ死んだ実感はないので「元の生活」と呼ぼう——でも学んだことだ。情報がないなら、まず集める。


キョロキョロと周りを見渡す。

うん。トイレだ…。

YouTube実況で見たファンタジー系のRPGゲームのトイレに似ている気がする…。


ドアの隙間から、店内の喧騒が漏れ聞こえてくる。

食器のぶつかる音。誰かの笑い声。そして——


「お嬢様! いつまでお手洗いに……っ、まさかまた逃げる気では!?」


扉の向こうで、若い女の声が裏返った。


逃げる。

その単語に、私の脳内アラートが静かに鳴り響いた。


逃げたい状況に置かれている、ということだ。この身体の持ち主は。いや、実際この状況から逃げたいけれども…。


私はもう一度鏡を見て、無理やり口角を上げてみた。

作り笑いは得意な方だ。演劇部に3年所属経験は伊達じゃない。


「……ふぅ」


扉の前に立ち、私は深く息を吸った。

よし。まずは出方を考えるぞ。

そもそも扉を一枚隔てた世界の先の正解がわからない。無理だ。一か八かで装うには情報が足りない。そしてリスキーすぎる…。


しかも私は元の世界の制服姿のままだ。これは流石に間違ってるだろう。しかしいきなり素っ裸になるわけにも行かない。


さらにこの子が人間だからといってこの先にいるものが人間かどうかさえ保証がない。

ちょうど夕飯前に見ていたホラー映画の影響を思考に少し受けながら私は答えを捻り出した…。


「お嬢様?いい加減開けますよ?!」


扉が開いた。

 いや、正確には開く音がした、と言うべきか。なぜなら私はその瞬間、すでに床に向かって崩れ落ちる体勢に入っていたからだ。


 膝から、ゆっくり。頭は打たないように。けれど不自然じゃないように。これでも私は、演劇部で三年間、舞台の上で死んだり気絶したり倒れたりを繰り返してきた女である。倒れ方には、自信がある。客席の最後列まで「ああ、この子は今、本当に意識を失ったんだ」と信じさせる崩れ方を、私は知っている。


 まさかその特技が、異世界のトイレで初めて実戦投入されるとは思わなかったが。


「お嬢様ぁあああ!?」


 悲鳴。続いて、駆け寄ってくる足音。柔らかいものに後頭部が受け止められた。膝枕、だろうか。ふわりと、嗅いだことのない花の匂いがした。香水にしては優しい。


「お嬢様、お嬢様! しっかりなさってください! ああもう、だから今日はお部屋で休まれた方がと申し上げたのに……!」


 若い女の声。涙混じりで、本気で私を——いや、この身体の持ち主を案じている。


(……演技じゃ、ないな)


 まぶたの裏で、私は冷静に判定を下す。芝居の声と本気の声は、震え方が違う。舞台で何百回と「泣く演技」をしてきたからこそ、私は本物の涙声を聞き分けられる。この子は、敵じゃない。少なくとも今は。


 そして、私はそのまま——目を、開けないことにした。


(まだだ。まだ起きるな、私)


 ここで目を覚ましてしまうのは、悪手だ。


 起きた瞬間、私は喋らなければならなくなる。この身体の持ち主が普段どんな言葉遣いをしていたのか、この侍女をなんと呼んでいたのか、一人称は何なのか——何ひとつ知らないまま、ぶっつけ本番で「お嬢様」を演じることになる。


 無理だ。台本も読まずに初日の舞台に立つようなものだ。


 ならば、気絶を続ける。倒れている間は、何も喋らなくていい。その上、向こうが勝手に状況を喋ってくれる。これほど効率のいい情報収集はない。

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