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第二部44話目・暴れ竜、黄ダンを蹂躙する


 ……アカシアを解体する?


 いやまぁ、この人たちの立場からすれば、それはある意味当然の話ではあるんだが。


 問題は、そんな話を俺に持ちかけてどうするんだ、という点だ。


 自分でいうのもなんだが、俺は、傷物聖女(スカーフェイス)様やスペードさんと違って、虹ダンにも潜れていないような人間だ。


 この人たちの目的の手伝いができるかとかどうとか、それ以前の話だと思うんだがな。


 ……まぁ、いい。


 今それを考えたところでどうしようもないし、この人たちの真の目的が分かったところで、俺にできることは限られている。


「そうでしたか。仰っている意味は分かりました」


「分かっていただけましたか」


「はい。ただ、それは、このあと直ちに何かをする、という話ではないのですよね?」


「そうですね。そこまで急を要してはいません」


 ……で、あれば。


「おい、フォッカス。教えろ。ギャックボたちはどこにいる」


「…………」


「黄ダンだど。アイツら、いっつもあそこに潜ってるからな」


 やはりか。


「ありがとうございます。ひとまずこの場は、傷物聖女(スカーフェイス)様のおかげで手打ち、ということで良いんですよね」


「はい。その認識で間違いないですよ」


 少なくとも、今から為さねばならないことは。


「では、俺たちは今から黄ダンに向かって、ギャックボたちを追います」


 ギャックボたちをボコボコにすることと、レミリオンさんたちを救出することだ。


 思わぬ出来事が起きちまったが、やることは変わらねぇ。


 俺は、話についてこれずにオロオロしてる弟子どもに振り返る。


「お前ら、レミリオンさんたちは黄ダンにいる。今から助けに行くぞ」


「黄ダンね! りょーかい!」


 ツバサが元気よく返事をした。


「新しいダンジョンですわね! ふぅ〜〜! テンション爆アガってきましたわ〜!!」


 ポンコツもうるせぇ声で返事をした。


「んだ、それなら行くど」


「ええ。行きますよ、ブロトーン、ジンドリクセン」


 そしてスペードさんと傷物聖女(スカーフェイス)様も……、って、はっ

……??


「えっ、あの……?」


「ウチの下のモンの後始末は、オデの仕事だど」


「私どもも、この件に首を突っ込んだ以上は、きちんと最後までカタを付けますよ。仲裁は、私どもの日常業務でもありますからね」




 ……マジか。




 ◇◇◇


 黄ダンとは、C級ダンジョン「黄の集落イエローシティ」のことだ。


 階層数は茶ダンと同じく30。


「ツバサたちは最近よく潜ってるから知ってると思うが、ここは鬼系のエネミーが多く出現するダンジョンだ」


 低階層ならゴブリン系、中階層ならオーク系、21階層以降の深層ではオーガ系が主に出現する。


「特筆すべき点としては、鬼系のエネミーは、俺たち人間に近い習性と生態を持っている、という点だ」


「習性と生態、でござるか?」


「ああ。下の級のダンジョンに出てきたトカゲ男や人魚たちのように、それぞれが武器を持っていて、複数体で連携してくる」


 低層のゴブリンどもでも、戦士(ウォーリアー)系、弓士(アーチャー)系、杖士(シューター)系、騎士(ナイト)系、騎乗(ライダー)系、斥士(アサシン)系、大砲(カノン)系など多種多様な職種があり、それぞれが一定以上の練度で連携してくる。


「階層が進めば、さらに上位種が現れるようになり、連携の練度も上がる。対人戦闘用の知識と装備がないと、かなり苦戦する」


「なるほど。だから我々も、魚人たちと戦わされたと」


「そういうことだ。元々ここはござるチビの目的地でもあるから、そのための訓練だったんだがな」


 そんなことを話しながら、俺たちは黄ダン入りした。


 入ってすぐは原っぱのようになっており、少し先には森がある。


「そして、他のダンジョンと比べて変わっている点は、5階層ごとのフロアボス以外に、各階層に小ボスが存在することだ」


 例えばこの階層は、その先の森に入ったあたりでエネミーが出始め、森の中の道を進んでいくと、ゴブリンどもの集落がある。


 そこには、少なくとも50体以上の武装したゴブリンたちが待ち構えていて、


 ゴブリンどものリーダーを倒さないと、次の階層に進めない。


「ま、要するに、ボクの弾で全員薙ぎ払えばいいってことだけどな!」


「ユミィのバカ火力ならそれも可能だが、普通は無理だ。特にリンスなんかは、鎧の隙間や手足を狙って撃たないと、そもそもダメージも入らん」


「ワタシも、スパスパドカンといけるよー」


「あたしも! フレイルでホームランしてる!」


「……まぁ、コイツらはそれができるくらいに鍛えてある、ということだ」


「なるほどですわ! つまり、わたくしたちも、そういうふうになれと!」


「いや、お前らの構成だと、真正面からじゃなくて陽動と本隊に別れて2方向から攻めるとか、戦術を使う必要もあるという話だ」


 今回はレミリオンさんたちの救出という目的があるからさっさと進むが、


 本当は少しずつエネミーどもの連携に慣れさせつつ、連携の崩し方とか多数相手の戦い方とかを教えるつもりだった。


「でも、大丈夫だよ! それこそあたしたちは、最近ずっとここの深層に潜ってアイテム集めしてるからね! ラナちゃんたちにも、進みながら色々と教えられると思うよ!」


「マジですか!」


「それは、かたじけないでござる……!」


 お、珍しくツバサが先輩風を吹かせてやがる。

 まぁ、なかなかそういう機会もないもんな。


 そして、俺たちは森に入っていったのだが。




「邪魔だど」


「グギャアアアッ!? ギッ……」


 ブオン、ドガバギバガ!


 ブチッ、ビュンッ、グチャッ!


 ドゴン、ズゴン、ガラガラガラ……。


 森に入るなり先頭を歩き始めたスペードさんが、出てくるエネミーを文字通りの意味でちぎっては投げを繰り返し、


 手近に生えている木を抱き上げて根本からヘシ折り、それを振り回したりしてズンズン進むので、


 俺や弟子たちが、戦うヒマがないのであった。


「……やべぇ」


 この人、マジで怪物だな……。


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