↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デッド・エンド・カウント  作者: 美咲
第1章 病院生活から
PR
8/30

第8話 二重人格は設定

「カナちゃん。

 良い報告があるわ」


夕飯の雑炊もどきと甘いシロップ薬、そして歯磨きを終えて恥ずかしいお風呂タイムも終えると看護師がテンションを上げて言ってきた。

重装備でハイテンションは怖いと思うのだがカナちゃんは頭の中でキャッキャッと笑っている。

これがジェネレーションギャップなのか。


(なになに?)


「………何ですか?」


俺はカナちゃんの笑い声を聞き流しながら看護師の人に問い返した。


「なんと…カナちゃんのお母さんが無事に目を覚ましたのよ!」


(本当に!?)


「うる…マジっすか」


頭の中で喜びの声を上げるカナちゃんに思わず顔をしかめてしまったが、急いで笑顔を作って答えた。


「マジよ、マジ。

 ………マジなんてどこで覚えたのカナちゃん?」


思わず素に近い返答を返してしまって看護師に怪しまれたがこれで一安心だ。

少なくとも能力のせいでカナちゃんの母親を殺したなんて惨劇は回避されたのだから。


「直接は会えないけど明日の昼頃にはスマホで電話できるから楽しみにしててね」


(やったー!)


「うわ、あまり時間が…いえ、そうですか。

 分かりました」


俺は焦りを感じつつ部屋から出ていった看護師を見送った。

頭の中ではカナちゃんが狂喜乱舞している。

全く暢気なもんだよ。

こっちはカナちゃんの異変に何か勘付かれるかもと不安になっているのに。


「喜ぶのは早いよ、カナちゃん」


俺は顔をしかめつつベッドの横にある棚からノートと鉛筆を用意した。


(どうして、アクマさん?)


頭の中の騒音はピタリと止んで静かにカナちゃんが尋ねてくる。

いつもこうなら良いのに。


「今のカナちゃんは以前と違うからさ。

 異物である俺が入ってる。

 下手したら気味悪がられて嫌われるかもしれない」


(そ、そんな!?

 ママがカナを嫌いになっちゃうの!?)


カナちゃんの困惑した叫びに思わず耳を塞いでしまったが頭に響く声には無意味だった。


簡単な話だ。

死んだ者が生き返ったという話だけならば奇跡だと言う人もいるだろう。

しかしそれが何度も起きたらどうだろうか?

不気味に思う人がいるかもしれない。

カナちゃんの両親がどちらになるかは俺達の接し方次第だ。


既に父親への対応で失敗してしまったのだ。

その上母親からも疎まれるようになってはカナちゃんに申し訳なさ過ぎる。


「カナちゃん、まずは今の設定について考えよう」


(せってえ?)


ようやくカナちゃんが落ち着いてきた所で俺はカナちゃんに話しかけた。

カナちゃんは設定という言葉を知らない様子でそのまま聞き返してきた。


「そう、設定。

 今の俺達が以前のカナちゃんと違う事に対して嘘の理由。

 二重人格なんていけそうじゃない?」


(にじゅうじんかく?)


「そうさ。

 俺達はDEC(デック)のシステムで生き返って能力を得てる。

 すなわち、何度か死んでるんだ。

 その死のショックでもう一人のカナちゃん…として俺ができて表に出てるって設定。

 カナちゃんもこれで良い?」


(えっと…

 うん、良いよ!)


カナちゃんの了承も得たから今の俺はカナちゃんの二重人格という設定で今後は行こう。

二重人格、良いよね。

ゲームの設定でも主人公によくある定番の設定だ。

俺達は思いついた設定の詳細をノートに書き込んでいく。

これで忘れたり矛盾が出たりはしないはずだ。

時間は思いの他過ぎて既に深夜を過ぎていた。

設定を考えるって楽しい!


「俺達の設定についてはこれぐらいで良いかな。

 次は能力について話そう。

 今までの異変は能力が関係している筈なんだ。

 カナちゃんも前と変わった事はある?

 もしかしたら能力について何か分かるかもしれない」


能力の考察はDEC(デック)の醍醐味。

色々かけ合わさって思わぬ動きをしたりするからワクワクするんだよな。


(かわったこと?)


「そう。

 例えば首にあるはずの手術痕が綺麗に治ってるのは【再○(サイセイ)】の効果だろう。

 身体を作り直すなら傷も治るはずだ」


(前のカナができなかったことを言えば良いの?

 上手く話せなかったでしょ。

 自分で動けなかったでしょ。

 食べられなかったでしょ。

 飲めなかったでしょ。

 それから、うぅん…)


カナちゃんができなかった事を上げる度に心が苦しくなる。

今は俺がそれを代行しているのか。

今後、体の感覚をカナちゃんに戻せる能力が手に入るなり、できるようになったら色々と体験させよう。


「だからあんなほ、んぎゅ!

 んっん。

 傷以外にも病気も治るのかも」


危うく骨と皮だけって言ってしまうところだった。

女の子に対して言っていい言葉じゃない。


「確か俺が目覚めた時は体が動かせなかった。

 それに体の中で虫みたいな小さな生き物が動き回っているような感覚があった。

 今思うとあの時は身体を作り直していたんだろう」


(虫さんが体に入ってたの!?)


「そんな感覚があったってだけ。

 実際に虫は入ってない…はずだ」


しかし、その感覚は最初のあの時だけ。

その後は動いたり話せたりできてる。

いや、その前に…


「心臓が止まって死んだ。

 もしかして熱量ってのは減ると命に関わるのか?」


【再○(サイセイ)】や【変○(ヘンカン)】を使うには熱量を消費しないといけない。

けれど熱量と言われて思い浮かべたのはダイエットとかで聞くカロリーだ。

あれって減らしてなんぼじゃないのか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。