第8話 真相
「そんな馬鹿な。それって」
「えぇ。新生物は人工的に作られた存在であるということです。何かの目的があって作られたのか、はたまた偶然できてしまったのかは不明ですが」
仁科は自らの実験データと共に、驚く猪原へと淡々と説明を続ける。だがある程度は推測が含まれているのは仕方がない事なのだろう。
「そしてその作り出した存在。我々は政府中枢に近い組織および個人であると考えております。それこそ場合によってはこの国自体がその存在かもしれない」
「そこからは私が説明しようかな」
科学的な話は仁科に任せていたが、この状況の説明および推理については空見が出てくる。
「そう私たちが判断する理由は新世代の存在。新生物が誕生してしまい、それを討伐・対抗するために新世代ができた。それが新世代の誕生だけども、新世代には不自然な点がある。新世代たち本人には薬物投与による人体強化ではなく、最先端科学技術による身体能力の底上げであるということを説明している点」
「それは単に薬物投与なんて人道的な問題があるから隠したかった。ってだけじゃないの?」
「うん。それはそうなんだけど一番の問題が、それを『公的な国家権力』が『他にバレずに』行っているということ。そもそも国家権力として新生物と同技術を用いている新世代がいるという時点で政府の介入は疑わしいところなんだけど、その真相をここまで隠匿できているのはただ事じゃない」
空見が説明しているとふと新谷が口を開いた。
「確かにそうですね。私たちが逃げ出した際、武力を用いての制圧に打って出ようとしていました。ですが他の機関、警察や自衛隊でもそこまではしないでしょう。それはそこまでする必要性があったということ。普通ではない……ですね」
「口封じ」
と、今度は稲嶺が口を開く。
「以前、そこの子が外国使節に誘拐された時のことなんだけど、最後は施設の乗った船が大爆発を起こしたよね」
「そう……だったな」
稲嶺の問いに過去を思い出す猪原。
「あの時、船は自爆したわけはなくて、どこからともなく攻撃を撃ち込まれての爆発だった。さらに本部からのその後の指示が異常なまでに早かった。もし外国使節に新世代の『技術』を奪われること、その真相を暴かれることを恐れて使節ごと人質を消そうとしたなら」
「あの事件、その可能性はあるね。結局あれは国民解放戦線が介入して人質を救出。生きていた人たちを回収して今にいたった……みたいだけど」
「みたい?」
「いや、私その時まだあっち側じゃん」
猪原に旧友であることを忘れられつつある空見は肩を落としながら答える。
仲間の存在を重くとらえている彼女にとってはあそこで仲間の救助を打ち切られてたことは不信感を抱くひとつの事件であった。もちろんそれ以外にも不信感を抱くべき出来事は合ったのだが、これをきっかけにしたのは間違いない。
「まぁ大筋の説明はこんなところかな。最後に私たちのやってることは、この事態能張本人のあぶり出しと、始末をつけること。最初は報道各局に情報を送ろうともしたんだけど根拠も乏しかったし、戦時の名目で報道規制かかってるみたいだしいまいち信用なら無かったんだよね。まぁそういうことだから、これから改めてよろしく」
「……自分は空見がいまいち信用ならんがな」
ほぼほぼ誘拐に近い形で連れてこられて無理やり反体制派組織みたいなものに加入させられた猪原は肩を落とす。こんなことをした人をどうやって信用しろというのであろうか。
陰謀論とか、国家中枢の裏の顔みたいなフィクション大好きです。
というわけでこの小説の出来事だとか組織だとか陰謀だとかってのは実在のそれとは関係ないんで改めてよろしく




