第3話 マサト、父になる
駄文ですが、よろしくお願いします。
今回戦闘は無しです
夜明けと同時に目が覚めた俺はPDAを操作し、無人偵察機を回収してから銃の点検をしていた。
あらかた終わったところで何をするでもなく俺は空を見上げていた。
(これからどうすっかなぁ…
とりあえず、リナとマリを守りつつ王都とやらに行くのは確定なんだが、そのあとどうするか考えてなかったなぁ…ま、なるようになるか)
完全に思考放棄である。
しばらくして、二人が起きてきたので朝食をとってから出発した。
道中、何もすることがなかったのでこの世界の常識について聞いてみた。
この世界の名は『イース』といい、現在一つの大陸に三つの大国といくつかの小国がある。
一つ目はソロモン王国
今、俺たちがいる国だ。
ソロモン王国は人間、獣人などの亜人で構成される国家だ。国としてはまだ若く、建国から300年ほどしか経っていない。
亜人・人間・エルフの順で多く、国民の半数は亜人のようだ。併合と合併を繰り返して今の国になった。
もともと小国がいくつもあったものが
二つ目はノルマン帝国
ここは人間のみの国で、聖教という宗教を国教としているため、亜人を差別しているらしい。歴史は古く、2000年にも及ぶ。
三つ目はアゼル魔皇国
こちらはいわゆる魔族の国で、すべての人種の敵となっている。国交もなく、完全な鎖国状態だ。国として成立したのがいつかは分かっていないが、数千年とも言われている。
そして小国群
さまざまな小国がまとまっている地域で、小競り合いが多いそうだ。
大陸の形は楕円のような形で、中央をソロモン王国、南をノルマン帝国、北にアゼル魔皇国、東に小国群という配置だ。
通貨はガルで、すべてコインで支払われており、銅板・銅貨・銀貨・大銀貨・金貨・白金貨があり。
それぞれ
銅板=1ガル
銅貨=10ガル
銀貨=100ガル
大銀貨=1万ガル
金貨=10万ガル
白金貨=1千万ガルとなっている。
パンがだいたい200ガルらしいから1ガル=1円と見てよさそうだ。
暦は地球とは若干違い、1年が360日。一月30日で12ヵ月。それぞれの月は基本属性からなり、火・水・土・風のローテーションでいっている。
たとえば2月だったら1の水の月、12月だった3の風の月というふうになる。
「それにしてもマサトさん、今までどうやって暮らしていたんですか?」
とリナが疑うような眼を向けてきたので北の方の山奥と言うと納得してくれた。
…マナが怪訝な顔を向けていたが。
そうこうしているうちに日が暮れてきた。
「そろそろ野営の準備をした方がいいな。」
「それじゃ、牧を拾って…マサト…あれ!」
そういってマナが見る方向に目を向けると人が倒れていた。
あわてて近づいてみると、10歳ほどの金色の髪の長い、耳の尖っている女の子だった。特に外傷はないが足や手にきずがあり、なにかから逃げてきたのだと悟った。
「おい!大丈夫か!おい!」
しばらく揺すっていると女の子が目を覚ました。
「こ、ここどこ?お兄ちゃんたちだれ?」
俺は彼女がここで倒れていたこと、それを保護した旅のものだと伝えると安心したのか腕の中でまた意識を失った。
俺たちは彼女を連れて少し離れたところで野営をした。
しばらくして女の子が目を覚ましたので事情を聞くとやはり元居たところから逃げてきたのだという。
「里に怖いおじさんたちが来て皆をいじめたの…お母さんが『早く逃げて!』って逃がしてくれたの、でもお母さんの方を見たらおかあさん真っ赤になってて怖くて森を走っていたら道がわからなくなって、気付いたらお兄ちゃんがいたの。
でも、おかあさんが、おかあさんが…」
そこまで言うと女の子は泣き出してしまった。
俺はいてもたってもいられず女の子を抱きしめた。
「泣いていい。人は動物と違って感情を素直に顔に出せる生き物だ、悲しかったら泣けばいい、楽しかったらに笑えばいい。いくらでも側にいてやる。だから、泣いた後は笑顔でいなさい、そうすればいくらでも頑張れるから。」
数分後、女の子は泣き止んで笑顔を見せてくれた。
「それでいい。お嬢ちゃん、お名前は?」
「リリィ」
「よし、リリィ!お腹空いてないか?ご飯にしよう!」
俺は最高のソルジャースマイルでリリィに言った。
「うん!!」
そしてリリィもとびっきりの笑顔で答えてくれた。
「あーあ、お腹空いた!マサト!早くね!」
「私もお腹空きました。マサトさん、お願いしますね?」
「おう!今すぐやるから待っててくれ!」
『おいしー!!!』
「はははっ、そりゃよかった。」
それから数分してみんなで夕飯にした。
今日の献立はアメリカ軍レーションで最も人気のある『ビーフシチュー』だ
「ほんといつもこんなのどこから出したのよ。」
「手ぶらのハズなんですけどね…」
「パパ!ありがとう!」
「ま、それは企業秘密ということで…なぁリリィ?パパっていうのやめないか?せめてお兄ちゃんとかさ…」
「…ダメ?」
何このかわいい生き物!こんな涙目で見上げられちゃったらダメって言えるわけねぇよ!
ああ?言えるって思ったやつ出てこい。皆殺しにしてやる。
結局断れずにパパで定着したのは言うまでもない。
それから少しして深夜
リナとマナはテントで寝ている。リリィも最初はそうしていたのだが、落ち着くのか、俺の膝で寝ている。
「おかあさん…」
やはりショックだったのだろう。なにせ目の前で母親が殺されたのだから。
しかし、リリィが追われる心配はない。リリィの里をおそったのはたくさんの鎧を着た男たちと白いローブの男だったらしい。
あのようなおかしな部隊は他にはないだろう。そして俺はそいつらをすでに皆殺しにしている。
知らぬ間にリリィの里の仇討ちをしていたのだ。
それよりこれからの事を考えなければならない。
リリィという守るべき対象が増えたことだ。しかもまだ幼児と言ってもいい歳の子供。より安全にいかなければならない。
「…パラべラム」
『はい、ご主人様』
パラべラムと呼ばれた女の声。だがマサトの周りにはリリィしかいない。
じつはパラべラムと呼ばれたものの正体はアーマーに搭載されたAIだ。
「久しぶりだな。」
『はい、ご主人様。72時間56分ぶりです』
「パラべラム。早速で悪いんだが、今のお前でUAVは最大何機同時に飛ばせる?」
『どうやらご主人様のPDAにメインコンピュータが搭載されているようですので、飛ばすだけでしたら20機ほど。索敵等ならば10機ほどです。』
「この世界の地図を作りたい。その目的ならどのくらいだ?」
『5機までです。それ以上はCPUが持ちません』
「なら4機を地図作製用に大陸中に飛ばせ。1機をこの周辺の警戒に当ててくれ。」
『了解しました。』
「…なぁ、パラべラム。」
『なんでしょう?』
「…俺のPDAに《ARMORY‐兵器》なんてあったか?」
『ありませんでした。あの神という人が「なんか入れてみたら面白そう!」とか言って入れていましたが』
「…喜んでいいのかわからん」
『ですがこれで移動手段が確保できることも事実です。』
「そうなのか?」
『はい。戦車や装甲車、戦艦や空母、VHOL機や対地攻撃ヘリなど地球上に存在した全ての兵器が使用可能です。台数に制限はありませんし、PDAに収納も可能です。』
「…ほんとチートだなぁ」
夜は今日も更けていく…
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