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26話 救いの手

どーもこんにちは。

現在時刻、夜中の4時近く。モッチーでございます。


外では新聞配達のバイク音がしております。はい。


えー、早めの投稿となりました!

なんか、案がファンファン思いついてですね。ガンガン書きました!


眠いんでなんか言葉遣いおかしいかも。

前回のあらすじっ!


ユウ「どーもー、こんにちは」


アスカ「こんにちはー」


ユウ「今日は、ここに来てレギュラーメンバー化?の僕たちg…」


アスカ「こら。」


ユウ「え?」


メタ発言、だめ、絶対。


アスカ「それにしても、この“あらすじ”シリーズ。もうネタ限界じゃ」


ユウ「アスカも言ってんじゃん‼︎‼︎」


アスカ「え?」


それでは始まります‼︎


*****


ショウタ「…と、あれ?ドッペルゲンガー居ないぞ?」


ユウ「ほんとだ…」


アスカ「というか、人がまず見当たらないわね」


ショウタ達は、気合を入れて闘技場Aに突入したにもかかわらず、大量に出現したとされるドッペルゲンガーは、1匹も見当たらなかった。


マノ「…‼︎ショウタさん!サヤカさんから、SOSを受信しました!」


マノの能力は【SOS受信】

闘技場を覆うくらいの範囲内にいる人の、SOSを感じ取ることができる。


ショウタ「ホントか⁉︎くそ、どっちだ⁉︎」


マノ「こっちの方角で…距離はそう遠くありません!行きましょう!」


一同はマノに連れられ、駆けていった。


*****


〜サヤカ&リュンSide〜


サヤカ「リュンさん…その…もう、下ろして良いんですよ?」


リュン「へ?いやいや、こっちのが絶対速いって!」


サヤカ「いや…そういうわけじゃ……」


サヤカは、リュンにお姫様だっこをされたまま、猛スピードでフィールドを移動していた。


リュン「ん?じゃ、どういうわけ?」


サヤカ(だぁー!もう!話が通じないですっ!)


お姫様だっこなど、慣れてないサヤカはひたすら照れていた。


リュン「まぁいいや。…もうすぐ出口だ!ショウタの元まであと少しだよ!」


遠くに、闘技場の出口が見えた。


と、そこに。


ぐ…ぐぐぐ………ドン!


リュン「うわっ⁉︎」


サヤカ「キャァッ!」


突如、リュンが今まさに通りすぎようとした地面から、なにか黒いものが噴出したのだ!


リュン「く…なんだこれは…?」


リュンは2、3歩後ずさってから、サヤカを下ろす。


リュン「サヤカ、君は俺の後ろに居て、なにかあったら呼んでくれ」


サヤカ「は…はい!」


黒い噴出物は次第に形が整っていく。


そして出てきたものは…


リュン「…俺…かよ。」


リュンのドッペルゲンガーだった。

もちろん、1500体もドッペルゲンガーを倒したリュンは、自身の偽物とも戦った。

そのため、このドッペルゲンガーも、その時の戦法でクリアできるはずだ。


リュン(違う……あの時のあいつとは、全然違う…。)


しかし、リュンは背筋に嫌なものが走るのを感じた。


見ると、相手(にせもの)もリュンを見て訝しんでいる。


まるで、自分(ドッペルゲンガー)がホンモノであるかのように。


リュン(ちっ…主催者め、こんな裏ワザがあったなんて……)


リュンは気づいていた。

このドッペルゲンガーは、“完全コピー”であると。


*****


〜ファナSide〜


ファナ「ぐ……テァッ!やぁっ!はぁぁぁぁ‼︎」


ファナは、10匹の限りなくホンモノに近いドッペルゲンガーと、戦闘を繰り広げていた!


主催者は、ただそれを眺めてるだけだ。

あれだけ怒っていたのに、追撃しないのは、勝利への余裕ではない。

10匹のドッペルゲンガー操作で手一杯なのだ。


ガキン!キン、キン!シュッ…ドン!


ファナ「はぁっ、はぁっ、くぅぅっ!」


壮絶な戦闘だった。


武器持ちドッペルゲンガーとは、武器を打ち合い、武器無しドッペルゲンガーの攻撃は受け流しつつ、魔法、遠距離からはひたすら避ける。


恐ろしい勢いで疲労が溜まるのが、体感的に理解できてしまう。


ファナ(いつもだったらこんな時、ショウタを当てにして全力で戦えるのに……‼︎)


そう、いつもの試合だったのなら、どんだけ不利な状況でも、全力で取り組み、難を逃れることは可能だろう。


しかし、これは実戦であると同時に、ショウタがいない。


限られた自分の体力と、この戦力差に対抗するために必要な最低限度の体力。


前者が下回った瞬間、ファナは敗北するだろう。

下手すれば、死ぬこともあり得る。


主催者「どうした、え?私に近づくこともできんのか!」


近づかれたら終わりのくせに、主催者はファナを煽る。

先ほどより確実な有利的立ち位置に、浮かれているのだろう。


ファナ「くそ……なんとか、なんとかしなきゃ…!」


と、そんなファナは、ドッペルゲンガーは皆、本物の剣を持っていることに気づいた。(杖、その他武器も同様)


今までのドッペルゲンガーは、武器すらも闇の魔法だったのだ。

しかし、このドッペルゲンガーは本物により似せた副作用か、武器は本物を使っている。


ファナ(これなら…!)


ファナはその瞳に一縷の望みを見出していた。


*****


〜サヤカSide〜


“リュン『サヤカ!こいつは俺が相手する!君はその隙にショウタの元へ!』”


そんなリュンの必死の言葉に従い、サヤカはリュンを置いて、ショウタの元へ駆けていた。


あの場で出来ることなど何もない。足手まといになること必至だった。


助けることが出来ないから逃げたのではない。助けるために退くのである。


サヤカ「ショウタ……ショウタ!」


しかし……


ぐ…ぐぐぐ………ドン!


サヤカ「わぁっ⁉︎」


サヤカの足元からも、さっきと同じ、黒い噴出物が出てきた。


サヤカ「え…?これって、もしかして……」


サヤカは思わずあっけにとられてしまった。


一目散にショウタの元へ逃げるべきだったのに…


それはみるみる姿を変え、ある意味では見慣れている、しかしある意味では初めて見る……真っ黒な“サヤカ”がそこにいた。


サヤカ「そ…そんな……」


この主催者の仕掛けたトラップ。

これは、闘技場Aから出ようとした者に限りなく似せたドッペルゲンガーを出すというものだ。


そのためもしかしたら、現在のサヤカ同様、魔法の使えない偽物かと淡い期待をしていたサヤカに、現実が突きつけられる。


偽物サヤカ[ボォォォ]


自己のチカラを確かめるように、杖から炎をだす、ドッペルゲンガー。


サヤカ(む、無視するしかありません。まともに戦うなんて、バカのやることです!今は、ショウタの元へ……)


致命的な遅れだが、ようやくサヤカは目的を思い出し、最善の手を打とうとする。


が、


ヒュン………ビリビリビリ‼︎


サヤカ「キャーーーーーー‼︎‼︎‼︎」


後ろから、情け容赦ない雷魔法が襲いかかった。


その場に倒れるサヤカ。


サヤカ「ぐ…げほっ、はぁ、はぁ。」


我ながら恐ろしい威力だと、感心してしまっている。

あまりにも不利な、あまりにも辛い現状から、そんな非現実的なことを考えてしまう。


サヤカ(立た…な、きゃ……ショウタに、会って)


ずん!ドドドドド!


サヤカ「が……ぁ…‼︎」


フラフラと立ち上がるサヤカへ、土の鉄槌と雨が降り注ぐ。


またも地面へ倒れ伏すサヤカ。


サヤカ「あ…ぐ…ぅ………」


少し戻ったところにはリュンがいる。

単純な能力で言ったら、遥かにショウタより頼れるはずだ。


さっきみたいに、颯爽と助けてくれるに違いない。


しかし、ホントに辛い、ピンチの時。

なぜか思い浮かぶのはショウタの名前だった。


サヤカ(ショウタ……ショウタ……)


サヤカ(ファナが1人で主催者に立ち向かってます。リュンもドッペルゲンガーに苦戦してます。他の皆も、きっと、手が離せないほど大変な状態です。…ショウタ……)


サヤカ(私は、何もできない……こんなに皆困ってるのに…私は、なにも……‼︎)


ボォォォ‼︎


サヤカ「あ…ぎゃぁぁぁ‼︎」


サヤカへ、横合いから炎が襲いかかる。


右腕がひどく痛い。

服も髪も、ところどころ焦げているのかもしれない。


それでも、サヤカは立ち上がる。


サヤカ(わかってます。ショウタも今一生懸命なんですよね。…きっと、他の誰かを助けるために。自分じゃ絶対敵わないような相手、でも絶対に助けるために、立ち向かってる…。)


サヤカ「こんなの…わが、ままだって、分かってます……」


サヤカのドッペルゲンガーはなにやら杖を虹色に煌めさせている。


サヤカの大技

【オールアライメント】

全属性を満遍なく使えるサヤカだから出来る大技。

全属性による攻撃で、どんな属性にも勝つ。


あまりにも絶望的で、そして、もうどうしようもない攻撃に、サヤカはただ見ていることしか出来ない。


サヤカ(それでも……やっぱり、こんなところで終わりたくない。ファナ達を見捨てたまま、終わりたくない……)


虹色の光が、投射される。

眼前に迫る光に、なにも見えなくなる中、サヤカはポツリと呟いた。


サヤカ「ショウタ…助けt」


「サヤカぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎」


食い気味なのが少し残念な、誰かさんの声がサヤカへと届いた。


*****


〜少し戻ってショウタ、ユウ、アスカ&マノSide〜


サヤカ「キャーーーーーー‼︎」

ビリビリビリ


ショウタ「サヤカっ⁉︎」


マノに連れられ、走り出した直後、遠くからサヤカの叫び声がショウタの耳へ届いた。


アスカ「いま……なにか稲妻が走ったような音、したよね…?」


ユウ「うん……」


他の人には、悲鳴が聞こえなかったようだ。


いてもたっても居られなくなったショウタは叫ぶ。


ショウタ「アスカ‼︎俺の足を速くする魔法をかけてくれ!早く‼︎」


アスカ「えっ⁉︎」


ショウタの切羽詰まった声に、一瞬怯みながら、アスカは言う。


アスカ「そ、それなら私たちで瞬間移動すれば…!」


ショウタ「ダメだ!ユウが1人になるだろ⁉︎それに、方角しかわからないのに瞬間移動なんてしても無駄だ!しかも、もしサヤカがピンチなら、俺のチカラだけじゃ勝てる見込みなんてほとんどない!俺の足を速くするのが最善手なんだ‼︎‼︎」


アスカ「わ、わかったわよ……そこまで言うなら……。」


アスカはショウタの勢いに押され、言われるままに魔法をかける。


マノ(こ、この一瞬でそこまで考えて…?さっきの雷も、心のSOSとほぼ同タイミングで落ちたのに、聞こえるか否やの時にショウタさんはサヤカさんの名前を呼んでますし……)


マノはショウタを驚きの表情で見る。


ショウタ「サンキュ、それじゃな‼︎‼︎」


それだけ述べると、ショウタは一目散にサヤカの元へ突っ走っていった。


マノ(なによりも……ショウタさんならなんとかしてくれそう。って考えができちゃうんですよね。フフッ、ほんと、不思議な人です。)


マノは心の中で不安が消えるのを感じつつ、ユウ、アスカと共にショウタの後を追った。


*****


〜ショウタSide〜


ショウタ「サヤカの悲鳴が聞こえる……鈍い音も……くそ、炎みたいなのも聞こえるぞ⁉︎」


ショウタは全力で走っていた。

通常の3倍以上は速く走れている。


無我夢中だが、近づくにつれ、音が鮮明に聞こえる。


ショウタ(どれがサヤカの撃った魔法なんだ…?全部か?)


ショウタはまさかサヤカが、魔力切れだとは微塵も思っておらず、見当違いな予想を立てていた。


と、そんなショウタにも、ようやくサヤカが見えた。


ショウタ(居た!)


ショウタ「サヤ…⁉︎」


そこでショウタは息をのむ。

サヤカの目の前に、サヤカそっくりの真っ黒な人形が、虹色の光をサヤカに向けているのだ。


ショウタ(あいつは……いや、あの魔法は一体……?)


とにかくヤバイのは素人目にも見て取れた。

ショウタはただただ走る。


サヤカへと虹色の光が投射された。


ショウタ(まにあえぇぇぇぇぇ‼︎)


ショウタ「サヤカぁぁぁぁ‼︎‼︎」


*****


〜サヤカSide〜


ふと気がつくと、横から突っ込んできた人影のおかげで、虹色の光を避けることができた。


ガッ、どっ、


?「あ………」


サヤカは何者かにお姫様抱っこをされていたのだが、どうやら速すぎてバランスを崩したらしい。


猛スピードの中、思いっきり地面へ接触する。

でも、しっかりサヤカがケガしないように抱きしめるその人のおかげで、痛さはない。


?「いって!くそ、おわぁぁぁ⁉︎」


情けない声の主が誰なのか推理する。

そして、サヤカは自分でも気づかずに笑いながらこう呟いた。


サヤカ「かっこ悪いですねっ、ショウタ‼︎」


*****


〜ショウタSide〜


コケた。


そりゃもう、盛大にコケた。


ただでさえ、ほぼギリギリ不可能な距離を無理やり跳んでサヤカへ突っ込み、その上サヤカを抱きかかえながらの着地は、不可能だったらしい。


地面の強さを直に“体感”しながら、ショウタはサヤカの呟きが聞こえた。


サヤカ「かっこ悪いですねっ、ショウタ!」


ショウタ(…聞こえなかったことにしよう。)


痛みからではない、いや、ある意味心の痛みか。

目から涙を落としつつ、ショウタは停止した。


ショウタ「いっつつ……サヤカ、無事…か?」


ショウタは身体の至る所の傷が再び開いてることを(ショウタの身体は本調子ではありません。)感じながら、そう言葉をかけた。


サヤカ「ふ、ふふ、あっははははは‼︎‼︎なんですかコケるって!“おわぁぁぁ⁉︎”って!あはははは‼︎」


しかし帰ってきたのは大爆笑。

でも、思わず安堵している自分がいた。


ショウタ(よかった……とりあえず、元気みたいだ……。)


ショウタ「なに笑ってんだよこのやろう。まったく、人が心配してたっつーのに。」


サヤカ「あははは!ごめんなさい。ふふっ、ありがとうござ…ププッ」


ショウタ「もういいわ」


盛大にため息をつきながら、でも笑顔でショウタはやれやれといった仕草をとる。


と、そんな2人へおかまいなく、サヤカの偽物(ドッペルゲンガー)は杖を構える。


シュン。


サヤカ偽物が魔法を放った!

……しかし、なにも起きない。


サヤカ偽物「っ⁉︎」


気がつけば、杖が消えてしまっていた。


杖を通した魔法は無理だと気づくと、すぐに手へと魔力を集中する。


別に杖がなくても魔法は撃てる。

杖がある方が、方向や角度を合わせやすいというだけだ。


そして、溜まった炎の塊を、今度こそショウタ達へ向けて………。


しかし、その両手へある者の手が触れた瞬間。

せっかく魔力を具現化した炎、いわば魔法が打ち消されてしまった。


サヤカ偽物が慌てて後ろを振り返ると…


ユウ「これ以上は、好きにさせない。」


ユウが偽物サヤカへと後ろから牽制の言葉を告げる。


アスカ「そうよ、感動の再開に水を差そうってんなら……倒すわ。」


【能力打ち消し】と【移動の使い手】が、立ちふさがっていた。


*****


〜ファナSide〜


6体ものドッペルゲンガーが消滅していた。


主催者「そんな…バカな…?」


ファナ「…はぁっ、はぁっ、うらっ!」


ずん‼︎


ドッペルゲンガー7「グォォォ」


7体目も消滅する。


ファナ「へへへ…武器が本物で助かったよ……」


〜少し前〜


ファナがしたこと、それは単純に武器を奪っただけである。


短剣、長剣、大剣、槍と豊富な種類だったが、槍は遠くに捨てた。


ファナは【剣の使い手】

大剣だろうが短剣だろうが、使いこなすことができる。


もちろん【短剣の使い手】【大剣の使い手】のような専門職には敵わない。


だとしても、相手は本人に限りなく似ているドッペルゲンガー。


中には【大剣の使い手】【短剣の使い手】などがいた。


ファナ「武器が本物だなんて運が無いね。私、片手長剣と同じくらい、二刀流が得意なんだ!」


ファナは長剣を両手に2本。

大剣を背中にかつぎ、短剣を腰に下げた。


敵は長剣持ち1人、短剣、大剣使い1人ずつ、その他接近4人と魔法使い3人だ。


もちろん、剣をとられた偽物は、ステータスも下がり、丸腰なため、あっという間に倒せた。


〜現在〜


主催者「くそ…10人も居たというのに………」


ファナ「ふふ、早く降参しなよ。」


ファナは余裕綽々で剣をかまえる。

だが、それ虚勢だった。


ファナ(まずい…思ったより体力消耗しちゃった……相手はしょせん虚像、いくらでも生み出せるって忘れてたよ…)


ファナはすでに息切れを起こしている。


まだまだ動ける気ではいるが、実際は完全状態の半分も体力は残って居ない。


ドッペルゲンガー8「うがぁっ!」


炎の魔法を打ち出す偽物(ドッペルゲンガー)


ファナ「おっと!」


ファナはそれを回転してかわす。


ドッペルゲンガー9、10も左右から迫る。


ファナ「はっ!」


2本の長剣で受け止める。

すかさず、右の敵を蹴り飛ばし、その反動で右の剣を左の敵に突き刺す!


ドッペルゲンガー9「ぐぅぅ」


刺されたところから煙を出しつつ、後ずさる。


ドッペルゲンガー8「がぁぁぁ!」


またも突っ込んでくる偽物8


ファナは素早く長剣を鞘におさめ、短剣で受け止める。

そのまま流れるように回転しつつ大剣を抜き、上段の抜刀で叩きおろす!


ファナ「お返し!」


ドゴン!


ドッペルゲンガー8「がぁぁ⁉︎」


ファナ「とどめだ‼︎」


大剣を離し、急接近して短剣で首を斬る。


消滅するドッペルゲンガー。


ファナ「さて……あと2体だね!」


大剣を収めつつ、長剣を抜いてかまえるファナ


主催者「はぁ……少し奥の手を出すか。」


ファナ「…へ?奥の……きゃぁぁぁ⁉︎」


まさか接近を嫌っている主催者の方から突っ込んでくるとは思ってなかったファナは、死角を突いてきた主催者の接近に気づかなかった。


そしてそのまま、得体のしれない波動のようなものに弾き飛ばされるファナ


ファナ「な、なにを…あうっ⁉︎」


大きな重圧が急に遅いかかり、その場に倒れ伏すファナ。


ファナ「なんなの…?」


ファナは立ち上がろうとしつつ、主催者に尋ねる。


主催者「ふん、別に黒い霧をまとわせただけのこと。それがメチャクチャ重いというだけだ。」


これは別に主催者の能力というか、闇の魔法使いなら使える能力である。


そもそも、闇の魔法とは属性の一種である。

これを持っているのが珍しく、また使い手は何か一つ“特別な”チカラを持つという点以外では、普通の魔法使いとなんら変わらない。


炎を敵にぶつけて燃やす。

言い方を変えれば“敵に炎をまとわさせる”


石弾で生き埋めにするのだって、言い方を変えれば、“土魔法をまとわせる”だ。


だから、主催者はなんてことない魔法を使ったのだ。


ファナ「なんで……最初からしなかった…の……?」


主催者「もう私はわかっているからさ。」


ファナ「…?」


主催者の言ってることが理解出来ないファナ。


主催者「わからないならいいさ。」


主催者(今、サヤカがピンチだ。私はドッペルゲンガーを操っているから、誰に化けたのかで状況がわかる。偽物がやられてもわかる。)


ちなみに、主催者があまり魔法を使わないのは、この巨大なトラップを張るのにチカラの大半を使っている、というのもある。


主催者(ファナとサヤカ、両方がピンチで“あいつ”が動かないわけがないだろう。しかし、この距離、タイミングで2人助けるのは不可能だ。気持ちとか、運とか関係ない、無理だ。)


そう、主催者はサヤカがピンチになるのを待っていたのだ。


主催者は試合を見ていて、ショウタの傾向を見ていた。


最初はてんで強くないくせに、仲間がピンチになると突っ込む。

少々機転もきくようで、上手く時間を稼いだり、あわよくば救う。

もちろん、すぐにピンチになるが、それは助けた仲間、もしくはもう片方が助けてくれる。


主催者(その上、やつにはマノがいる。)


忘れてるかもしれないが、マノは元々主催者の秘書である。

能力など知れている。


主催者(しかしマノには1つ弱点がある。あいつの性格に起因するのだが、“1人のSOSしか聞こえない”)


マノは根が優しい。

そのため、あまりにもたくさんのSOSを聞いてしまうと、精神が壊れてしまうのだ。


そのため、本人も無意識にだが、1人聞こえるとあとは遮断されてしまうのだ。


主催者(まぁマノがいなくても助けに来そうな気はするが。とにかく、1人しかわからない。“あいつ”は仲間がピンチだと突っ込める反面、周りが見えなくなる。“サヤカを助けること”で頭がいっぱいになる)


そこで倒れてるファナに視線を戻し、


主催者(だから待っていたのだ。)


ファナ「…くっ」


ファナは懸命に立ち上がろうとする。


主催者「さて……手短に済まそうか。」


*****


〜ショウタSide〜


ユウ「ふぅ、これでおしまいっと。」


アスカ「触っただけじゃ能力消えないけど、触り続けたら魔法撃てないみたいね。」


サヤカの偽物(ドッペルゲンガー)は、ユウとアスカの手で消滅させた。


そんなユウ達の活躍などつゆ知らず、ショウタ達は少し遠くで、


ショウタ「もう大丈夫か?サヤカ」


サヤカ「はい!もうすっかり。ショウタも回復できましたか?」


ショウタ「あぁ!もう頭痛もしないし、完治したよ!」


と、回復を終えていた。


アスカ「あーあー、イチャイチャしてくれちゃって。」


ユウ「完全に敵を忘れてるよね……」


マノ「あ…あははは……」


3人は呆れつつ近づく。


アスカ「ほらほらイチャイチャしなーい。離れる離れる。」


ショウタ「なぁっ⁉︎」


サヤカ「イチャイチャ⁉︎」


ショウタとサヤカは慌てて距離を取り合う。


ショウタ「べ、別にそうじゃなくて……」


サヤカ「そ、そうですよ!か、回復してたんですっ!」


ユウ「あんなに接近してニコニコ笑いあってたのに(笑)」


ボッ!と顔を赤くするサヤカ。


サヤカ「ふざ…ふざけないでください!」


ボワァッ‼︎


ショウタ「熱いっ!火がっ⁉︎」


サヤカを中心に半径3メートルほどが燃える。


もちろんショウタは半径内だ。


ショウタ「だぁーっ!燃える!いや、燃えてる⁉︎」


〜数分後〜


ショウタ「はぁ、はぁ、ひでぇ目に遭った……。」


ショウタの服はところどころ焦げており、髪もちょっと毛先がボロボロな箇所がある。


回復はしてもらっている。


サヤカ「あ、アスカさんとユウさんが至らないことを言うからです…」


プンプンと頬をふくらますサヤカ。


ユウ「あははは…悪かったって。」


アスカ「ふふふっ、サヤカ反応かーわいい!」


サヤカ「なぁっ⁉︎またからかって………ショウタ燃やしますよ⁉︎」


ショウタ「俺ぇっ⁉︎」


アスカ「じゃあ私、ユウを杖で殴ろ。」


ユウ「もはや脈絡がないけど⁉︎」


ぎゃーぎゃー。


言い争う3人に、ショウタはその輪から抜け出し、マノに尋ねる。


ショウタ「…なぁ、ファナが見当たらないけど…SOS来てないか?」


マノは少し、逡巡した後、


マノ「“はい!1回もないですよ!”」と言った。


ショウタ「そっか!」


そうして、ショウタはまた喧騒に戻っていく……。


*****


〜ファナSide〜


ファナ「が…がはっ⁉︎」


ファナのお腹を、ドッペルゲンガーの蹴りが襲う。


ファナ「けほっ、けほっ。うぅ。」


主催者「よく1人で私を止めるなどと言えたものだ、そのザマでなぁ!」


がん!


ファナ「あぐっ!ゴホッ、はぁ、はぁ。」


背中を今度はもう1人のドッペルゲンガーが蹴る。


主催者「おい…降参したらどうだ。え?」


主催者はファナの眼前まで顔を近づけて挑発する。


ぺっ!


主催者「ぐわっ!…きさま……」


ファナが唾を吐く。


ファナ「お生憎さま!アンタみたいなのに降参なんてしないよ!私1人で充分だし!」


ふてぶてしい態度のファナに主催者は激怒する。


主催者「ふざけるな小娘ぇ‼︎」


ドン‼︎


ファナ「あうっ‼︎」


またも背中を蹴られるファナ。


主催者「なにが、1人で充分だ、だ。ショウタのような言葉を発しおって…。」


その言葉に笑みを浮かべるファナ。


ファナ「ふふ、ショウタのように…かぁ。いいな、元気が出てくるよ。」


ファナには打開策などない。

助けが来るのを待つしかない。


しかし、だからこそ、気を強く保っていた。


決して屈さない。

ショウタ達が来てくれる。


と、信じて疑わなかった。


主催者は考える。


主催者(さっさと殺してしまおうかとも考えたが……そんなことをしたら“なにが起こるかわからない”)


主催者にとっても、ショウタについては得体がしれない。


奴隷としてから、身元を確認しても、存在が確認されてないし、服装も見慣れない。


ショウタ自身、常識がなっていないようだし(この世界の)

能力も不可解。


そのため、ファナを殺すことよりも、自分への保身を考えて、殺しはしない


主催者(なにより、あいつに絶望を突きつけたい。死亡だと仕返しが怖い。仕返し出来ないような……例えば、ファナを盾に取る。とかな。いいな、そのためにはまず……)


主催者「心を潰すか。」


主催者は誰にも聞こえない声で、そう呟いた。


主催者「元気がでてくる?ショウタのようって言われたのがそんなに嬉しいのか。なぁファナよ、お前はこの頃楽しそうだなぁ。初めはサヤカにしか心を開いて無かったのに、ショウタが来てからは急に社交的になって。いや、従来の素が出てきたという表現が正しいかな。」


ファナ「あなたにとやかく言われる筋合いない!」


主催者は無視して続ける。


主催者「よくそんな笑っていられるな。“国を1つ滅ぼした”くせに。」


ファナ[ぶるっ]


ファナの身体が一瞬震える。


ファナは以前、国を指揮して防衛戦争をしたことがある。

結果だけを言えば負けてしまった。


国民には手を出さない約束で、ファナは奴隷へと堕ちたのだ。


主催者「その時だって、無責任に『私に任せて』など、『絶対に負けないから』などと嘘をついていたのだろう。最悪だな。」


ファナ「ちがう!嘘じゃない‼︎私は、ホントにみんなを守る気で…」


主催者「結果を見てみろ。民はどんだけ裏切られた気持ちになったのだろうな?」


ファナ「ち、ちがう…そんなつもりじゃ……」


あんなに強固だった、ファナの意思はいとも簡単に揺らいでしまう。

言葉の上に、闇魔法による精神攻撃も併用されているためだ。


主催者「それでよくまぁぬけぬけと、ショウタ達と笑っていられるな。正気を疑う。」


ファナ「そん……な…こと……」


主催者(ふん、脆いやつだ。)


身内を思い、心が揺れる。

これは人を思う心の強さゆえだと言うことを主催者はわからない。


主催者「ショウタがそれを知ったら、嫌われるな。」


ファナ「…………‼︎」


ファナの視界が真っ暗になる。


ファナ(私…最悪…?ショウタが知ったら…嫌だ‼︎嫌われたくない!…いや、そうじゃないでしょ、私は、皆を守って、でも、裏切り…ちがう!そんなつもりじゃなくて!)


もはやまともに思考できていない。


主催者「追いうちだ、やれ。」


ファナ「きゃあ!」


ドッペルゲンガーにまたも蹴られる。


ファナ「ちがう…ちがうの……。ごめんなさい、ごめん…なさい。ショウタ…サヤカ……」


主催者はドッペルゲンガー2匹をショウタとサヤカにする。


どん!どん!


ファナ「あう!…ショウタ…?そんな、サヤカまで……」


そんでもって、黒い霧で視界を悪くする。


こんなに絶望的な状況でも、助けは来ない。


ファナ(どうしたらいい…?どうしたら、この罪を……)


ファナの瞳に涙が溜まる。

絶対に屈するもんかと、外的な痛みでは全く出なかった涙が。


主催者「死ねば?」


無慈悲な鉄槌が下される。


ファナ(そっ…か……)


涙がついに1粒、頬を伝う。


ファナ(そうだよ…ね……。)


しかし、それ以上は流れない。

それは、ファナの心の崩壊を暗示していた。


ファナ(もう…死ぬしか……)


この涙が落ちてしまえば、もうファナは戻れない。

涙が出ないほど打ちひしがれた彼女が、どうなるかはわからない。


そして、その1筋の涙は、あごへと到達する。


そして………


ポチャン


その涙は……手のひらへと落ちる。


?「ったく、こういうのはアイツの役目だろうが。」


それは、とある少年の手だった。


?「肝心な時に来ねぇで、なにやってやがる。こっちの話でヒロインにしちまうぞ‼︎」


落ちては、いや、決して落としてはいけないものを食い止めたその少年は、何者かに激怒している。


主催者「ちっ……そういえば不穏分子はもう1つあったんだったな……」


憎々しげに吐きすてる主催者。


ファナ「あな…たは……」


そんな言葉に、振り向く影。


?「ごめんね、ヒーローの登場じゃなくて…でも……」


ファナはその者の目を見る。


ユウト「絶対に君を護るよ。」


ファナ「黒石…ユウト……?」


ヒーロー不在のヒロインへと、例外的な救いの手が差し伸べられる。





続く!


ファナに出してたドッペルゲンガーと、リュン、サヤカに出してたやつは同じ強さです。


そんでもって、ファナが襲われてる時間=ショウタが走ってる時間です。

なんか、書き方のせいで、まるでファナがピンチなのにSOS感知してないみたくなってますが違います。


あれは、すでにピンチは終わったということです。

どっちかわかりませんよ?ファナの心が折れたか、何者かに助けられたか。

ま、わかりますよね(笑)


本文についてはここまでとして……さて、お楽しみいただけ…え?長い?

長さが以前より増してる?

…またまたぁ〜( ̄▽ ̄)


ごめんなさい。どうしようもないです。

だって、長い方が面白いんだもん。俺的に、長い方が面白く読めるもん。


ということで、俺は長くしか書けないダメな子のようです。

オラに文章カット力をわけてくれぇーー!


ところで今日、文化祭がありまして……なんと!

模擬店第1位でしたよ!わーわー!どんどん!パフパフ‼︎


ふっふっふ。

でも眠いんで、これについてはまた今度機会があったら書きます。


それじゃ、長文お疲れ様でした。

おやすみなさい。

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