19話 トーナメント優勝…?
い…いやぁ〜、文化祭忙しかったなぁー!
テストもあるし。
いやぁー、小説書く時間無かっごめんなさいごめんなさい。
だって!忙しかったんですよ!
2ヶ月放置のマークつけられてるから、慌てて投稿しましたよ!
本当は2話まとめて投稿したかったんですけどね……。
とりあえず、19話です。
前回のあらすじ!
ショウタと同じ現実世界から来た「ユウト」「マリナ」チームを無事に倒したショウタ達。
実際は引き分けだったもの、ユウト達の好意により、勝つことになった。
…あれ?よく考えたらこれ優勝じゃね?
ファナ「ショウタ!あらすじで質問してどうするの‼」
ショウタ「あ、あぁ、ごめんごめん。…それにしても、初めてな気がするな…俺があらすじ書くの……(泣)」
ファナ「そ、そうだね……」
サヤカ「もっと大事なこと言ってないですよ!」
ショウタ「大事なこと?」
サヤカとファナは目配せすると、同時にこう言った。
ファナ&サヤカ「ショウちゃん‼」
ショウタ「…げっ……」
サヤカ「ほらー、女の子になっちゃいますって言わないと…」ニヤニヤ
ファナ「前回のことを正確に読者さんに教えないとねぇ」ニヤニヤ
ショウタ「く……てめぇら……」
それでは始まります!
**********
ショウタ「……なぁおいテメェら……」
ファナ「なーにー?」ニコニコ
サヤカ「どうしたんですかぁ?」ニコニコ
ショウタ達は今、控え室の中にいる。
ショウタの呼びかけに対して、すんごい猫なで声を発してるファナとサヤカに、怒り心頭な様子のショウタ。
普通ならば、ファナもサヤカも怯えてしまうような状態のショウタはこう叫ぶ!
ショウタ「この格好はなんだ!!!!!!」
ミニスカサンタの女の子となって。
ファナ「いやー、すっごく似合ってるってショウタ♡」
サヤカ「そうですよぅ!惚れちゃいそうですってば♡」
ショウタ「それはとっても嬉しいなぁ……私が男ならな‼」
現在、ショウタは女の子となってしまっている。
なぜなら、前回のユウトとの激しい戦いのため、ファナとサヤカを一緒に吸収するという切り札を使ってしまい、「ショウタが女の子になる」という副作用に見舞われてるからだ。
しかし、それももう少しで終わる。
24時間という制限のため、昨日から女の子になってるショウタは、あと3時間ほどで元に戻るのだ。
……言わずもがな、残りの21時間はひたすらコスプレをさせられているのだが……まぁ、それもあと少しの辛抱だ。
サヤカ「それにしても……ショウタ…もといショウちゃん綺麗ですね〜」
ファナ「そうだよ!ショウタ男でしょ⁉」
ショウタ「知るかっての……」
女の子ショウタは非常に綺麗だった。
足はスラッとしていて、女性らしいラインもキチンとあり、身長は高くないものの、低くもなく、髪もサラサラだ。
ショウタ「……髪質だけは…男のときもこうだといいな……」
ファナ「あー、ショウタ癖っ毛でツンツンしてるもんね…」
サヤカ「…あ、あれも良いと思いますよ⁉ほら、タワシみたいで」
ショウタ「ぐさっ‼」
ファナ「た、たわしなんかじゃないよ!もっと…ほら、可愛い感じの……そう!鳥の巣‼」
ショウタ「クボァ‼」
サヤカ「いやいや、もっと言えば…」
ショウタ「もうやめて!ショウタのライフはとっくに0よ‼」
*********
主催者「…ついにショウタチームは勝ち上がってしまったか……」
女「…………」
主催者「くっ…あの傭兵もどきが…。怪しいとは思っていたがまさかショウタの知り合いだったとはな……。捕まえてやろうかと思ったが、報酬も受け取らずサッサとトンズラしよって……」
女「……いかがなさいましょう。」
主催者「……仕方あるまい、私が直々に手を下すとしよう…」
女「……はい。」
********
ピンポンパンポーン
アナウンス「えー、お待たせしました。優勝したショウタチームの表彰式を行います。ショウタチームは闘技場、その他の方は観客席の方へ起こし下さい。」
ショウタ「おっと…じゃ、そろそろ行こっか!」
ファナ「……ショウ…タ?」
ショウタ「どしたー?」
サヤカ「その格好で行ったら……ねぇ。」
ショウタ「……はっ⁉」
ミニスカサンry
ショウタ「…もう死ねぇ‼」
バタン!
物凄いスピードで部屋に入り…
ガチャ!
ショウタ「これで文句ないだろ!」
元の服に着替えた。
サヤカ「えー、それ男ものじゃないですかぁ〜」
ファナ「そうだよ〜、せっかくスカートとか買ってるのにぃ」
ショウタ「アホか‼もうちょっとで私、元に戻るだろ⁉そのときにスカートとかだったら、もう社会的に死ぬじゃん‼」
サヤカ「まぁ……そうかもしれないですけど…」
ファナ「ぶーぶー。」
ショウタ「ううるさいうるさい‼もういいの!」
サヤカ「さて…どうやって説明しましょうかね…」
ファナ「ショウタが女の子になってること?」
サヤカ「そうです…。うーん……」
ショウタ「ありのままに話すしかねぇだろ…」
ファナ「なんか、証拠とかあればいいんだけどね」
*******
観客席「どよどよ…ざわ…ざわ……」
観客はどよめいていた。
なぜなら、入り口からファナ、サヤカと可愛い女の子に続いて、ショウタが出てくると思っていた観客は、男子は怨念の目で、女子は好奇の目をショウタに向けていたのだが、なんと出て来たのはファナ達に負けず劣らず可愛い女の子だったからだ。
表彰する人「えー…っと…?ショウタさんは…?」
ショウタ「あの……私です。」
略して表彰人「…え?」
ショウタ「で、ですから!あの……私…です。」
観客「ざわっ‼ざわざわ……」
観客A「なんだと…?あいつ、女だったのか⁉」
観客B「いや何言ってやがる!あんな体つきじゃ無かっただろ‼」
観客C「じゃあなにか⁉あいつ、他にもあんな可愛い子を隠したってのか⁉」
観客D「許せねぇ……あいつは絶対に許せねぇぞ……‼‼」
ショウタ(ブルッ)
ファナ「どうしたの?ショウタ。」
ショウタ「い、いや?なんか、急に寒気が…」
表彰人「…ど、どうします?」
表彰人は焦りながら、手元のトランシーバーに話しかける。
主催者『ザー…ザー……かまわん…はやく、連れて…こい…』
中から、主催者の声が聞こえていた。
表彰人「…わ、わかりました。では、ショウタさん、代表として奥の部屋へどうぞ。」
ショウタ「え?代表?私1人?」
表彰人「はい、そうです。…何か問題でも?」
ショウタ「っ……」
ショウタは左右を見る。
不安そうな顔をしているファナとサヤカがあった。
ショウタ(だ…だめだ。私が行かなかったら、3人一緒に行って、ファナとサヤカまで危険に合わせてしまう。…ここは、心配かけないようにしないと!)
ショウタ「だいじょぶだいじょぶ。すぐに帰って来るよ。」
ファナ「…‼わ、私と変わっても…」
ショウタ「えー、やだよー。」
ファナ「えっ⁉」
ショウタ「ほら、ファナと行ったら私が霞んじゃうじゃんかー。私だって表彰なんてされたことないし。な?」
ファナ「で…でも……」
サヤカ「ショウタ⁉なに呑気なことを……‼わかってるんですか⁉相手は…ムグゥ⁉」
ショウタ「しー。…バカやろう、こんなところで聞かれたらどうするんだ」
サヤカ「そんなことより……。っ‼……わ…わかりましたよ。」
ショウタ「ん?…あぁ、心読まれたか。…ん、じゃあ、まぁよろしくな。」
サヤカは触れている相手の心を読むことができるのだ。
そこで、ショウタの心配かけまいという気持ちが、サヤカに伝わったのだ。
サヤカ「気をつけて…くださいよ。」
ショウタ「いやー、心配されるって気持ち良いね‼」
サヤカ「な!本気で言ってるんですからね⁉待つ側がどんだけ…」
ショウタ「あー、はいはい。もう行かなきゃ!それじゃね!」
ダッ
1人で行く恐怖や、ファナ達の心配を振り切るように、ショウタは走って行った。
ファナ「大丈夫かなぁ…ショウタ」
サヤカ「大丈夫ですよ…きっと。」
表彰人「では、武器は持ってないですね?…おやそのネックレスは?」
ショウタ「あぁ、親の形見なんです。持っていかせてください。」
表彰人「ん……まぁ、いいでしょう。それではどうぞ。」
ショウタ「はい!」
ショウタ(頼んだぞ…ユウト。このネックレスが何か知らねぇけど…これだけが、頼りだからな……)
********
遡ること数分前。
ショウタ「んっ‼」
ファナ「わ!ど、どうしたのショウタ⁉」
ショウタ「あ、あれ?…おっかしいな…急にトイレ行きたくなってきた…?え…女の子ってこんな急にくるの?」
サヤカ「き、来ませんよ!…多分、男と女でなんか誤作動が起こってるんじゃないですか?」
ショウタ「ご、誤作動って……まぁいいや。先に行っててくれ!」
ファナ「わかった!急いでね。」
タッタッタッタッ
ショウタ「どうしちゃったんだろ…私。」
〜女子トイレ〜
ユウト「はぁーい?ショウコちゃん?ようやく来たな。」
ショウコ「あ?なんでユウトがここに……っておい!地の文‼なんで私の名前『ショウコ』になってんの⁉直してよ!ねぇ‼」
ユウト「…なにいってんの?」
ショウタ「い……いや…なんでも……。つか!なんでユウトが女子トイレの前にいるんだよ⁉」
ユウト「いやー、ほら、急にトイレ行きたくなっただろ?」
ショウタ「な、なんでお前がそれを…‼」
ユウト「あれな、俺がトイレ行きたいときにショウタとリンクしたの。五感。」
ショウタ「……ほぉ?(−_−#)」
ユウト「急に『んっ‼』とか変な声出しちゃって‼いやー、あれはメッチャ面白かっ…グハァ⁉」
ショウタのアッパーが腹に決まる。
ショウタ「アホなの⁉お前アホなの⁉メチャクチャ恥ずかしかったんだぞあの時‼…あー!ムカつく!」
ユウト「いや…まぁこのくらいしか思いつかなくて…」
ショウタ「テメェ…ちったぁ男女の差を考えやが……なんでニヤニヤしてんだよ!」
ユウト「…いやぁ……男女、ねぇ」ニヤニヤ
ショウタ「っ‼い、いやそういう意味じゃなくて!あくまで身体が女っていう…」
ユウト「あぁー、わかったわかった。あれだな?ショウちゃんだn」
ショウタ「死ね‼」
ユウト「うおぉ⁉危ねえ。」
ショウタの正拳がギリギリで避けられる。
ショウタ「…で?なんの用なんだよ?」
ユウト「おっと、あんまり人にばれたらマズイんだ…静かにな。本当はいないはずだからな、俺は。」
ショウタ「どういうことだ…?」
ユウト「細かいことはいいんだ。とにかく、これを渡しておくよ」
ショウタ「…ネックレス…?」
ショウタが受け取ったのは、十字架のネックレスのようなものだった。
首にかけて、胸のところに十字架のやつ。
ショウタ「これはなんなんだよ?」
ユウト「あぁ、それな。俺が無能力者だった時代に、メチャクチャ苦労して手に入れた『無能力者しか使えない』アイテムなんだけど……」
ショウタ「おー!すげぇ‼中になにが入ってんだ?」
ユウト「それがな?…そのネックレスとともに…俺、『能力』も貰っちゃったんだ☆」
ショウタ「え?それがどうかしたのか…?」
ユウト「無能力者が使えるネックレス。俺、能力ゲット」
ショウタ「あ……。」
ユウトは、無能力者だからネックレスを手に入れた意味があったのに、同時に能力まで手にいれてしまったのだ。
そのため、ネックレスが使えない。
まぁー、いわゆる宝の持ち腐れ?
ユウト「つーことで、なにが入ってるのか。いや、もはや何に使うのかすらわからないんだけど……とっときな。」
ショウタ「何に使うのかすらわからない⁉ゴミじゃねぇか‼‼」
ユウト「ご、ゴミだとぅ⁉失礼な!どんな思いでとって来たと思ってんだアホ‼」
ショウタ「えぇ⁉いや、そんなん知るか‼」
ユウト「とにかくやるよ!いいから持っとけよ!ショウタのバカ‼もう知らないぃぃぃぃ‼」
ユウトは泣きながら走り去って行く。(演技)
ショウタ「な、なんで私が女の子にひどいこと言った男子みたいな扱い……いや、逆だろ⁉だって私女…………って私は男だっっっっ‼‼」
自分でも何を言ってるのかわからないショウタだった。
********
ショウタ(まさか、貰った数分後にこれに頼るとはな……頼むぞ!ユウト…‼)
表彰人に、ついていくショウタ。
ワイワイがやがやとする声が後ろに遠ざかる。
なにやら大きな真っ黒い箱のような物の前で止まる表彰人。
表彰人「では、ここです。…中でごゆっくり…」
表彰人の嫌な笑顔を見てから、ショウタはネックレスをギュッと握った。
そして、ドアノブに手をかけた。
*********
ユウト(チッ、やっぱりここで始末する気だなあの野郎…。となると、ショウタは多分、こうするだろうから……)
ユウト「マリ姉。」
マリ姉「はいはい。また始まったわね、ユウちゃんのおせっかい。」
ユウト「おせっかい?なにいってんだ、俺がしたいからするだけだよ?」
マリ姉「ふぅ。まぁショウくんは私だって気になるしね。それじゃ、ユウちゃんの“したいこと”をしに行くわよ!」
ユウト「…ありがとな、マリ姉。」
********
扉を開くと、目の前は真っ暗だった。
扉を閉めるのには少しためらったが、やがて左右まっすぐにロウソクがつくと、扉は一人でに閉まった。
主催者「…まぁ、そこにかけなさい。」
ショウタ「え…あ、はい。」
奥にある黒いカーテンの向こう側の、シルエットだけが見える男から、声が聞こえた(気がした)ので、
ショウタは言われたとおり椅子に座る。
主催者「優勝おめでとう。ショウタ君。」
ショウタ「い、いや。どうもありがとうございます。あの、確か闘技場内の騎士と戦うんじゃなかったんですか…?」
主催者「ふむ。いや、それは今回は無いことになったのだよ…なにせ………」
そこで声は途切れた。
ショウタ「?」
ショウタが怪訝に思っていると。
くいっ!
ショウタ「え?え?」
ショウタのネックレスがショウタの首を回り、後ろに引っ張った。
ショウタ「キャァ‼」
思わず女の子のような(身体は女だが)声を出してしまったショウタはその場に尻餅する。
そのとき
ビュッ
ショウタ「なっ⁉」
倒れる寸前、目の前をナイフが通過した。
主催者「また、よくこれを避けれるものだよ、全く。」
ショウタ「…お前…なんで」
主催者「あぁ、待て待て。聞かなくていい。………どうせ死ぬのだからな。」
ショウタ「くっ‼」
ショウタはすぐさま立ち上がり、踵を返すと扉に全力疾走した。だが、
ショウタ「扉がない⁉」
主催者「くっくっく。上だよ。この箱は特殊でね。中の人は気づかず回ることができるのだよ。立方体だから、形も変わらない。」
ショウタ達のいる、黒い箱のようなものは特殊性で、中にいる人に気づかせずに回転することができるのだ。
そのため、出口の扉が天井についている。
ショウタ「…おいおい良いのかよ?こんなこと外に知れてみろ…」
主催者「なにを言ってるのかな?記者などすでに始末しておる。」
ショウタ「なっ……」
主催者「今ごろ、そうだな…。遠い支部で閉じ込めて……いや、違うな。この世にはいないか。」
ショウタ「テンメェ……」
主催者「おーおー、怖い怖い。その目だよ。この世界において、君は邪魔すぎる。私のような者にはね。」
ショウタ「あんた、一体何者なんだよ。」
主催者「だから、貴様は質問するな。どうせ死ぬのだから。」
ショウタ「………」
主催者「それにしても、女になりおって…ふーむ。そうだ!いい提案があるぞ?私の奴隷になるのだ。そうすればファナやサヤカとやらは助けてやろう。」
ショウタ「…な、なんだって…?」
主催者「フハハハ。…可愛がってやるぞ?え?どうだ?」
そういいながら、主催者はカーテンからでてくる。
少し太った大きな男で、ショウタは反射的に身震いした。
ショウタ「…へ…へっ!この状態は1日しか保たねえんだよ!テメェが考えてるようなことはできねぇぞ‼」
主催者「そしたら拷問でもなんでもして、2人以上吸収してもらうさ。」
ショウタ「っ……」
さらにショウタは震えた。
ショウタ(な…なんで?なんでこんなにビビってんだ…私…)
主催者「精神的にくるだろう?この部屋はそういう風に作られているからなぁ。ましてや貴様は今女。そういう視点での脅しなど免疫はないだろうから、さらに恐怖に対して弱くなってるだろう…」
ショウタ(ち、ちくしょう…頭が回らない…怖い、怖い…)
ショウタはもう、いつものショウタではなかった。
主催者「その怯えた表情!アッハッハッ‼最高だよ。やはり君は奴隷にして一生仕えてもらうか‼」
その言葉でさらに怯んだショウタに対し、主催者は手から黒い何かを撃ち出した。
ショウタ(よ、避けなきゃ、避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ……)
ショウタはパニックに陥り、身体は動かない。
主催者が軽い金縛りのようなものをかけているのだ。
黒い玉はそのままショウタ………
……の、ネックレスに直撃した。
ショウタ「…あれ…?」
すると、ネックレスの十字架が急に光りだし、ショウタの前に形を変え出した!
?「なにを怖がっているのです。ショウタ。」
光の中から声が聞こえた。
優しい…女の人の声だった。
ショウタ「だ…だってアイツ…私のことをジロジロと見つめて…拷問するとか…もし、もし負けたら私……」
ショウタは声に対して、疑問も持たず、ただ自分の本音を露わにする。
?「あなたは、なんのためにここに来たのですか?」
ショウタ「あ……」
しかし、その声は肯定も否定もせず、ただ諭すように、優しく語りかける。
?「ここに来ただけではない。ここまで勝ち上がったのは、なんのためですか?」
ショウタ「それは……」
?「あなたはこんなところで、やられて良いのですか?」
ショウタ「……ダメだ。まだ、やり残したことが、いっぱいあるんだ‼ファナとサヤカに帰ってくるって言った。ユウ達を開放するって言った。ユウトにも、主人公になるって言った!……そして俺自身、こんなところで捕まりたくない‼」
?「でしたら、私を掴みなさい。今のあなたなら、あの下賤な者にくらい勝てます。自信を持って。今まで戦った強敵を思い出してください。それに比べたらこの者は『よゆーよゆー』でしょう?」
「よゆー」というフレーズで、この優しい声の主が少し笑ったように、ショウタは感じた。
ショウタ「あ…あぁ‼よゆーだぜ‼俺が、全部どうにかしてやる‼」
?「もう大丈夫ですね。…あ、それともう2つ言うことがあります。」
ショウタ「?」
?「あなたは『俺が、全部どうにかする』と言いましたね?確かに、前回あなたは、自分で戦う強さを手にいれました。しかし、人に頼ることも大事だということ、これを忘れないでください。もう1つは、あなたの知らないところであなたの目的、あるいはあなた自身を守ってくれてる人がいること。これも忘れないでください。」
ショウタ「それってどういう……」
?「いいですね?『人に頼ることも大切』『あなたの知らないところで誰かが頑張ってくれてる』この2つを頭にいれておいてください。」
ショウタ「ちょ、ちょっと待っ…!!!」
?「それでは、あなたがどうか無事であることを祈っています。」
ショウタ「あ!あの‼」
光は消えていった。
主催者「なんだったのだ…?まぁいい。さてどうする?奴隷になってファナやサヤカを……」
ショウタ「断る。」
主催者「なん……だと……?」
ショウタ「…そうだよな。私は、こんなところで怯えてる場合じゃないんだ。サッサと帰って、ファナとサヤカを安心させて。それから、ファナの国を取り戻しに行くんだ。……お前なんかに構ってられないんだよ!!!」
主催者(目に力が戻っている…?厄介だな。)
主催者「そうか、君の意思はわかった。…で?絶対に出られないこの箱の中で、君は武器も持たずにどうするつもりだね?」
ショウタ「……武器ならここにある。」
主催者「なに?」
ショウタは十字架を握ると、一気に引きちぎった!
ショウタ「少しだけ、俺に力を貸してくれ!」
?「はい、喜んで。」
さっきの女の人の声が聞こえたと思ったら、次の瞬間、十字架は剣になっていた。
主催者「ちっ。保険を用意してきたのか…。まぁ、どうってことはない。私の魔法は特別なもの、お前のような無能力者が相手になるわけがないのだよ!!!」
主催者は、真っ黒な禍々しい玉を、何発もショウタに向けて撃ってきた!
ショウタはキッと睨むと、その黒い玉を間一髪のところで避けた!!!
黒い玉は、ショウタの横をすり抜け、色んなところに当たった。
主催者は驚愕する。
主催者「馬鹿な‼そんな身体能力はないはずだ!だって、貴様はただの無能力…」
ショウタ「……本当だ。」
主催者「あ?」
ショウタ「お前、弱すぎるよ。遅い、遅すぎる。今まで戦ったどの敵よりも、遅い。」
主催者「なんだと……?」
ショウタ「確かにイケるな。こんな奴、ファナ達の手を借りるまでもない。俺がぶっ倒してやる!」
主催者「ほざけ!!!」
主催者は今度は力を溜めると、大きな玉を出した!
しかし、それも動きは遅い。
ショウタ「だからおせぇって……」
ショウタが避けようとすると…
ショウタ「…追尾⁉」
その黒い玉は、軌道を変え、確実にショウタの方を向いていた。
主催者「はっはっはっは!!!どんなに遅かろうと確実に貴様を追いかける玉を避けることはできまい!!!さぁどうする?どうする無能力者!!!」
ショウタ「この…やろう……」
ショウタは辺りを見渡す。
ちょうど足元に先ほど座ったイスが倒れていた。
ショウタ「これでも喰らえ!!!」
ショウタはイスを軽く蹴り上げると、黒い玉に向かってシュートした!
ヒュ……バキ!バシュゥ……。
ショウタ「なっ⁉」
イスはきれいに黒い玉に直撃した。
が、イスは黒い玉に侵食されるように吸い込まれ、やがて消えて行った。
ショウタ「な……なんだよこの玉⁉」
主催者「この玉か?これはなぁ…闇の魔法だ。」
ショウタ「……闇…?」
主催者「そうだ。この世界には昔から、闇属性の魔法があった。ごく少数の限られた者だけが使えたのだ。闇属性の魔法は、他の魔法の頂点に君臨し、能力打ち消しなどの効果も受けず、最強だった。」
ショウタ(急に語り出した…?闇…?君臨する…?ユウの能力でも消せない…?)
主催者「すると当然、闇属性の者が世界を支配するようになる。なにせ、なんの能力も効かないのだからな。」
主催者「その、限られた闇魔法を持った選ばれし者。それが我々だ。」
ショウタ(我…『々』⁉)
主催者「他のものはほとんど知らんがなぁ。皆、『頑張れば救われる』『働けば階級もあがる』などと思い上がってるようだが……。ハッ、笑えるな。どうせ全ての頂点には我々闇属性の者しかなれないというのに!!!」
ショウタ「い、いきなりすぎて、なんのことかさっぱりわかんねぇぞ!」
主催者「分からんのなら、それでも構わない。貴様はどうせ死ぬ!」
主催者は今、動きを止めていた黒い玉の動きを再開し、新たな玉を乱雑に撃った!
ショウタ「なっ⁉」
ショウタは慌てて剣で払おうとする。
ショウタ(ま…待てよ……?さっきのイスは、闇属性の玉に吸収されちまった…。魔法は全部効かない、能力も通用しない。……この剣だって……)
ショウタの困惑などに構わず、事態は進行していく。
もう、避けるスキマはなかった。
ショウタ「ちっくしょう……どうすれば…‼」
?「構いません。」
ショウタ「えっ⁉」
急に、剣からあの声が聞こえて来た。
?「私を闇の玉に当てなさい。切り払うように全ての玉を切りなさい。」
ショウタ「なにを…⁉さっきのイスを見ただろう?全てなんて…一個目で剣が消えちまうよ!」
?「いいから早く‼もうそれしかないでしょう!」
ショウタ「くっ……」
もう目前に迫っていた。
乱雑に撃った玉が動きを制限し、大きな追尾式の闇魔法がショウタを襲う…。
ショウタ「消えろぉぉぉぉぉ‼‼」
ショウタは近づく黒い玉に剣を振り下ろした。
すると………
パキン‼
主催者「なっ…⁉」
ショウタ「あ……‼」
ショウタの光り輝く剣は、玉に当たると、闇を光で浄化するように、闇魔法を消し去った。
主催者「そんなはずはない…‼なぜだ!なぜ私の魔法が……‼‼」
?「ショウタ。私は、闇属性を唯一打ち払う剣です。」
ショウタ「闇を……打ち払う?」
問いかけながら、ショウタは次々に闇魔法を切り払う。
?「はい。普通の魔法にはなんにも機能しませんし、別にすごく切れるってわけではありません。しかし、闇の魔法を浄化する能力を持っているのです!」
ショウタ「だ……だったら…あいつの魔法は全部効かないじゃないか‼」
?「はい。ですから、『あなたなら倒せる』と申したのです。」
主催者「ふざけるな‼そんな剣があってたまるか‼この世で一番強いのは、私のもつ、闇属性の……」
ショウタ「もう諦めるしかないんじゃないのか?お前の魔法は全部この剣が打ち払ってくれる。そして、お前単体のスペックは私より弱い。……どう考えても勝てるわけないだろ。」
主催者「……ははははは…。諦める?いやぁ、貴様の脳内がおめでたくてしょうがないわ‼」
ショウタ「なんだって…?」
主催者「私が他に罠を用意してないとでも思っているのか‼」
パチン‼
主催者が指をならすと、壁からなにか不気味なものがでてきた‼
それは、何本もの触手をもっており、イカのような…タコのような、とにかく気持ち悪い生物だった。
ショウタ「こ……これは……」
主催者「この世界の珍獣だよ!触手を使って敵対するものを捕獲する!…いくらお前がすごい剣を持っていたって、身体は女。何本もの触手を全部切るほど、スタミナも力もあるまい!」
ショウタ「……なぁ…『十字架』」
?「私ですか?…どうしました?」
ショウタ「これさ……危ないんじゃないの?」
?「え?」
ショウタ「触手でさ…。私、女でさ……。………どう考えても嫌な予感しかしないのですがぁ…⁉」
主催者「さぁいけ!その女は捕まえたら、好きにしていいぞ。」
ショウタ(ビクゥ‼)
ショウタの身体を震えが襲う!
モンスター「ギュギュギュ‼」
モンスターは奇声を発しながらショウタに触手を伸ばす!
ショウタ「い…いやだぁぁぁぁぁ」
ショウタは慌てて剣をふる!
ザクッ!
1本目は切ることに成功した!
ヒュ‼
2本目は避けることに成功した!
ドンッ
ショウタ「あうっ‼」
3本目がショウタの腹に当たり、バランスを崩すショウタ。
パシッ、カランカラン
ショウタ「あぁっ‼」
4本目はショウタの剣を払い、地面に落としてしまう!
シュルシュル!
ショウタ「ちょっと待ってこれ洒落になんなっ……」
ついにショウタは腕を掴まれてしまった‼
主催者が近づいて来る足音が聞こえる。
ショウタ(マズイマズイマズイマズイ!)
ショウタ「お、おい十字架!ど、どうしよう…?」
?「いや……私も物ですので……。どうしようも……」
ショウタ「う…うそだぁ‼」
さっきまでバッチリかっこよく決めていた姿はどこへやら。
ショウタは一生懸命触手を払いのけようとする。
が、身体が女になってることもあり、ビクともしない。
主催者は目の前にきていた。
主催者「さて…散々私をコケにした罰だ……」
主催者の手には禍々しい闇の魔法が込められている。
ショウタ(いや……いやだ……。こんな……誰か‼誰か助けて!いやだよ!)
主催者「喰らえ。」
ショウタ「………っファ……ファナ!サヤカーーーー!!!!!!」
ファナ「ショウタぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ドッカーン‼‼‼
爆音が響いた!
ショウタ「…へっ?」
主催者「な…なんだ⁉」
ファナ「大丈夫⁉ごめんね!遅くなって、本当にごめん‼」
上を見ると、ファナが黒い箱の天井をブチ破り、助けにきてくれていた!
主催者「な、なんでこの箱の唯一の弱点を⁉……ふ、ふん!あんな奴はモンスターに任せれば良い‼先にショウタを始末して……」
サヤカ「させるわけないでしょう⁉」
ボォォォ‼
主催者「ぐ…ぐわぁぁぁ」
サヤカが横から、炎の魔法を打ち出してきた!
堪らず後ろに下がる主催者。
サヤカ「大丈夫でしたか⁉ショウタ…もう……。結局危ない目にあってるじゃないですか……。」
ショウタ「ファナ……‼‼サヤカ……‼‼」
主催者「なにをしている!さっさとこいつらを捕まえ…‼」
ファナ「あぁ、もうこのモンスターなら倒しちゃったよ?」
主催者「なにぃぃぃ⁉」
見ると、モンスターは触手を全部切られており、目を回していた。
ショウタ(……やっぱスゲぇな…ファナ…。)
主催者「く……ならば部下達よ!こいつらをひっとらえ……」
サヤカ「あー、すいません。みーんな寝ちゃってますよ?」
部下達「zzZ」
サヤカの睡眠魔法で、片っ端から部下達は眠っていた。
主催者「そんなバカな…?こんなに部下は少なくないはず!救援を呼んでいたから、この闘技場に入りきらないほどの部下が……どうして⁉」
ショウタ「入りきらないほどの部下…?」
ショウタ(どういうことだ…?ファナとサヤカは、それも含めてなんとかしてくれたということか…?いや、そんなこと…)
ファナ「よかったよー。間に合って」
考えこんでいると、ファナの声が聞こえた。
サヤカ「そうですよ!ショウタも、危ないことしないで下さい!」
続いてサヤカの声も聞こえたため、雑念を振り払うように、話をふる。
ショウタ「そういえば…どうやって私が危ないってわかったんだ?」
ファナ「あぁ、それはね。」
*******
ファナ「は、箱が回転した⁉」
さっき箱が回転したとき、ファナ達のいる外から、箱が音を出して動く様が確認できていた。
サヤカ「中でなにが起きてるんですか⁉」
しかも、その箱を取り囲むように兵士が連なっていた。
どう考えてもただ事では無い様子だ。
ファナ「……サヤカ、ショウタを助けるよ。」
サヤカ「っ!…はい‼」
静かに合図をして、ファナ達はショウタ救出を実行しようとした!
しかし、
女「待ってください!!!!!」
ファナ「えっ?」
後ろから声をかけられた。
サヤカ「あなたは……確か…」
その人は、以前DVDが無い騒動のとき、ショウタに試合のDVDをくれた人だった。
女「はぁ、はぁ。私の名前はマノ。主催者の秘書です。」
ファナ&サヤカ『主催者の秘書⁉』
ファナとサヤカは、慌てて警戒する。
マノ「待ってください。私は、あの男に恨みを持っているのです!」
サヤカ「恨み…?」
バァン!!!!!
ファナとサヤカが疑問に思っていると、箱の中から大きな音がした。
ファナ「そ、そんなのんびりしてる場合じゃないよ!今すぐにでも助けに…‼」
マノ「今行ってもダメです!あの箱は特殊性ですので、闇雲に攻撃しても開きません。」
ファナ「そんな……じゃあどうすれば⁉」
ファナとサヤカが耳を傾ける。
マノ「あの箱は、主催者が魔法を出す瞬間じゃないと開きません。」
ファナ「えっ…?」
サヤカ「そんな!タイミングなんてわかるわけ……」
マノ「落ち着いてください。案が無いわけではありません。」
ファナ「?」
マノ「多分、主催者はショウタを追い詰めると思います。裏にモンスターを隠していたので、ショウタさんが主催者を倒そうとしても、きっと……やられます。」
ファナ「だったらなおさら‼」
サヤカ「助けに行かないと!」
ファナとサヤカが焦ったように声をだす。
それに対し、畳み掛けるように話の本質を語る。
マノ「ですが!主催者のことです。きっとモンスターにトドメは刺させません。絶対に、自分で倒そうとするはずです。」
サヤカ「え?…でも、それだって結局…」
ファナ「タイミングがわからないんじゃ、意味がないじゃんか‼」
ファナとサヤカはマノに詰め寄る。
マノ「そこで!私の能力です!」
マノ「なにか危険なことになったとき、人は大抵、大切な人を思い浮かべます。そして、その人が助けれる範囲のことなら、その人に助けを求めるはずです。」
マノ「私は、そんな助けての思考を感じ取る能力があります。ですから、私がショウタさんの助けを感じ取り、合図をしたときにファナさん達が突撃すれば。ショウタさんの助け=主催者のトドメですから……あの箱を壊すことが可能です。」
ファナ「そっか!それだったら、ショウタを助けられるね‼」
無邪気に喜ぶファナに、サヤカが訝しんだ様子で言う。
サヤカ「待ってください。マノさんは主催者の秘書ですよ?もしかしたら、私たちを足止めするために……」
マノ「それは……私に絶対の証拠はありませんから、説得はできません。でも!私の言うことを信じてくれるなら、この話を聞いてください。」
マノ「私には…1人の弟がいました。弟は、とても強くて、私なんかよりずっと出来た子でした。しかし、彼が16歳の時。不当な裁判で殺されかけた女の人を、助けたことがありました。しかし、それを気に食わなく思ったお偉いさん達は、弟を奴隷にして闘技場に出させたのです。」
そこまで言って軽く息継ぎをし、続ける。
マノ「しかし、弟は非常に強かった。次々と勝ち上がり、ついに騎士との勝負となり、それすらも勝ってしまった。…私は喜びました、これで弟は晴れて自由の身だ!と。しかし、彼が『外に出るための手続き』という名目のもと、主催者の元へ向かったあと……」
マノ「行方がわからなくなりました。」
ファナ「そんな……」
サヤカ「…………」
マノ「私は必死で探しました。何度も何度も問いかけました。しかし、役所もマスコミも、街の人だって、皆知らないというのです。」
マノ「私は決心しました。主催者の秘書になって、絶対に弟を見つけ出してやると。もし、万が一弟が死んでいたら……私はヤツを殺します。」
サヤカ「そう…ですか……」
話は終わり、ファナとサヤカは言葉を返す。
ファナ「そっか……大変な思いをしたんだね……。私は信じるよ?だって、貴方の話し方、すっごく辛そうだったもん、自分の傷を抉るみたいに。」
サヤカ「そうですね、私も信じたいと思います。そして、絶対に弟さんを見つけましょうね!」
ファナとサヤカの優しい言葉に、マノはキョトンとする。
マノ「信じて……くれるんですか…?」
ファナ「もちろん!」
サヤカ「はい!」
マノ「い、いくら私がこんな話しても、物理的な根拠はなにも無いわけで、そんな、そんな簡単に信じていいんですか…?」
マノにとっては好都合にも関わらず、思わずそんな質問をしてしまうほど、ファナ達は信じきっていた。
ファナ「それは」
ファナが説明をしようと口を開くと、
ドォン‼‼
一際大きな音が、黒い箱からした。
サヤカ「っ!!!!!ファナ!」
ファナ「うん!マノさん、いつ行けばいいの?」
マノ「ちょっと待ってくださいね…今、探して……っ‼今です!今まさにトドメを刺そうとしてます!」
ファナ「聞こえた⁉」
サヤカ「もちろんです‼」
ファナ&サヤカ『うりゃぁぁぁぁ』
******
ファナ「ってことがあったの」
ショウタ「そ…そうだったのか……。えと、そのマノさんは…?」
サヤカ「マノさんは、一応主催者側だから、そのまま帰って行ったよ」
ショウタ「そうか。…助けてくれてありがとうな」
ファナ「うん!そりゃあ私たちの名前を涙目で叫んでたら、助けないとね‼」
ショウタ「うっ…‼」
サヤカ「ファナ!サヤカぁぁぁ‼とかね!」
ショウタ「一難去ってまた一難⁉なんで今度は精神ダメージを負わなきゃなんないんだ‼」
ファナ「冗談だってば。それよりもピンチのときに、ちゃんと私たちを頼ってくれたこと、嬉しく思ってるんだからね。」
サヤカ「そうですよ!いつも…私たちを助けてくれてばっかりですし(小声)」
ショウタ「いつも……?なんだって?」
サヤカ「なんでもありません!」
そんな会話をしていると……
主催者「ふっふっふっふ……」
ショウタ「‼」
後ろから主催者の声が聞こえた。
主催者「ぴーぴーうるさい小娘どもが……。あと少しだったのに、あと少しで楽に殺せたというのに‼」
ショウタ「もう諦めろ!今度こそ、お前はおしまいだ!」
主催者「私の能力がこんなものだとでも…?私は、まだ本当の力をだしていない……」
ファナ「本当の……力?」
ショウタ「なにを言うかと思ったら……本当の力?そんなもんあるなら、さっさと出してみろよ!」
主催者「…いいだろう。貴様らに私の本当の力を見せてやる!」
主催者はそう叫ぶと、両手を上に掲げた!
そして、
主催者「出でよ!我がしもべ達‼」
ショウタ「っ⁉」
すると、闘技場のいたるところから、紫色の人形が湧きでてきた‼
サヤカ「な…なんですか……これ。」
主催者「はっはっはっは!これが私の力!『幻視騒霊』だ‼」
ショウタ「ドッペルゲンガー…?」
主催者「そうだ!闇属性のものはそれぞれ特別な力を持っているのだよ!先ほど貴様が避けた球などは、闇属性の者なら誰でも出せる!これこそが私の本当の力!」
ショウタ「そんなもの!」
ショウタは剣を振るって3体ほど消し去る。
主催者「おぉ……良かったなぁ。今のは『本物』がいなくて。」
ショウタ「ほん……もの…?」
主催者「あぁ、そうだ。そのドッペルゲンガーはな?誰かのドッペルゲンガーなのだよ!この世界にいる私の見たことのあるヤツの!……その中には、自分のドッペルゲンガーにやられたヤツも含まれる。…ドッペルゲンガーが本人を倒したとき……ドッペルゲンガーはなにをすると思う?」
ショウタ「まさか……」
主催者「吸収だよ!吸収‼自分で取り入れて、そいつが本人になるんだ!もちろん、見た目は紫のモンスターだが、しかし強さは2倍に跳ね上がる!それだけじゃないぞ。そいつを切れば、紫の煙は消え、残るのは血だらけの本人だ!まだ生きていたのに、貴様が斬ったことでそいつは死ぬことになる!」
ショウタ「そ…そんなのデタラメだ!」
主催者「そう思うのならそうするが良い。別に私にとってはなんの問題もない。」
ショウタが周りをみると、確かに少し人の色が見えるドッペルゲンガーがチラホラいた。そいつらは動きが速く、ファナ達を追い詰めていた。
追い詰めていた。
ショウタ「ファナ!サヤカ‼」
ショウタはファナ達を囲んでるドッペルゲンガーを蹴り飛ばして、庇うように立った。
ファナ「ど…どうしよう…ショウタ。」
サヤカ「こいつら…一体、一体が強いです…。」
ショウタ「くっそ……本人だから…迂闊に斬ることができない…!!」
ショウタも上手く反撃できず、じわじわと追い詰めるドッペルゲンガー達。
すると
マノ「動かないでください」
主催者「っ⁉き…貴様……」
ファナ「マノさん⁉」
マノは、ショウタ達を倒す事に夢中になっていた主催者の後ろをとり、首元にナイフを押し当てていた。
マノ「ショウタさん達を開放してください。そして、私の弟の居場所を教えなさい!」
主催者「…なるほど、貴様初めから私を裏切る気だったのだな?」
サヤカ「ダメです!マノさん、早く離れてください!!」
マノ「………。はやく、ショウタさん達を…」
その瞬間、
ドン!
マノ「キャァ!!」
主催者の身体から闇の魔法が噴出し、マノを吹き飛ばした!
ショウタ(や…やばいぞ…!)
主催者「貴様のような雑魚が私に刃向かうからいけないのだ。……さて、」
マノ(ビクッ)
主催者「制裁を加えなくてはなぁ…?」
ショウタ「くっそ…間に合え!」
主催者「死ね」
ショウタが走り出したのと、主催者がドッペルゲンガーに指示を出したのは、ほぼ同時だった。
ガキン!!
ショウタはマノの盾になるように立ち塞がり、剣でドッペルゲンガーの攻撃を受け止めた!
パヒュン!!
ショウタ「なっ…⁉」
すると、剣の効果で闇の魔法が解け、そのドッペルゲンガーから本人が現れた!
本人「こ……ここは……?」
マノ「……リュン‼」
すると、放心状態だったマノさんが走りだし、感動した様子でその男に駆け寄った。
ファナ「もしかしてこの人…?」
マノ「……私の……弟です!」
サヤカ「……良かったじゃないですか!」
マノ「はい!ありがとうございます。ホントに、ありがとうございます!」
感動の再開を邪魔させないため、主催者に剣を振って牽制し、後ろに下がらせたあと、ショウタは少し考え事を始めた。
ショウタ(なるほどな。剣で殺してしまったら、本人も死んでしまう。でも、俺の特別な剣で『斬ら』ずに『触れ』れば、その人は元に戻る。しかも、元気ってことは、吸収されるほど死にかけだったとしても助かる!
あのリュンとか言う男は、俺たちと同じくらいの年に見える。ってことは、時間もそのときのまま…?もしそうだとしたら、50年前とかに捕まった人でも、まだ若いまま助けることができる!)
ショウタはそこまで考えると、すごく嬉しくなった。
なぜなら、皆がハッピーになる方法がこんなにも簡単に手に入るからだ。
ショウタ「よし、じゃあ今すぐにでもこいつらを…」
そこまで考えて、ショウタはまた考え事を始める。
ショウタ(待て…よ……?なにかを忘れてないか…?落ち着け、今の状況をもう一度整理しろ。なにか、他に、できる事……)
テレビ局はいない、描写してないが今の騒動で観客も慌てふためいている。ドッペルゲンガー、闇を払う剣、ショウタ達の目的……
ショウタ(そうか‼)
そこまで考えたとき、ショウタはようやく気づいた。
ショウタ(今は誰もいない。兵士だって眠らせてる。そしてこの騒動だ、どさくさに紛れて逃げる事ができるはずだ……奴隷だって‼)
そう、今は奴隷を救出するまたと無いチャンスなのだ。
ショウタ達の目的は、奴隷の解放であり、いずれは世界の奴隷廃止だが、当面はここの奴隷を助ける事だ。
本来ならすごく時間のかかることなのに、今ならそれが簡単に掴める。
ショウタ(でも……)
しかし、それにはファナ達の協力が不可欠だ。
特殊な檻に閉じ込められた敗北の奴隷は、檻の中では力を使えない。
その檻は能力全てを無効にするため、ブチ破ることもできない。
そのためどこかから鍵を持ち出さなくてはならない。
それだけではない。
その間、常に主催者による無数のドッペルゲンガーから逃げつつ、なおかつドッペルゲンガーに吸収された本人を殺さないように。自分たちも殺されないようにしないといけない。
鍵のありかなどわかるはずもなく、檻だって見張りがいるかもしれない。
それでも!それでも‼
ショウタ(私は助けたいんだ‼)
そうショウタは結論づけるとこの話をファナ達に……
ユウト「そうそう。だからこの鍵で奴隷達を解放してやってくれ!うん、多分きっとアイツは今頃それを思いついて、『それでも俺は助けたいんだ』とか言ってるだろうから。このことは内緒で、あくまでショウタから聞いたように振る舞ってあげて……」
………………。
ショウタ「…………………」
そのとき、時間切れでショウタの体は『男』に戻った。
(一人称も俺に変わります)
*******
ドッドッドッドッド
ユウト「ん?なんの音だ?」
ユウトがファナ達に奴隷の救出方法を教え、なおかつショウタを立てる素晴らしい(?)行為を行っているとき、後ろから地響きが聞こえて来た。
ユウト「…あ」
しまったと声をだす前に、ショウタが跳躍した。
ショウタ「デェストロォォイイイイイイ!!!!!!!!!」
恥ずかしさと悔しさと恥ずかしさで、もはや何を伝えたいかわからない言葉を発しながら、ショウタは飛び蹴りを繰り出す。
ユウト「ゴパァ!!!!!!!!!」
ユウトは激しく横合いに吹っ飛んで行った。
ショウタ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」
ショウタはファナ達の目の前に着地した。
が、どう話せばよいものかと、思い悩んでいた。
ファナ「えと…えと…ショウタ……」
それはファナも同じようで、2人ともかける言葉を探してオロオロとしていると
サヤカ「……ショウタ……。ユウトさんのが上手ですねっ!」
ショウタ「グハァっ!!!!!」
サヤカの純粋な感想によりショウタは倒れた。
********
ショウタ「死ねよ…もう死んでしまえよユウトなんて………」
マノ「あの……えっと…大丈夫ですか…?」
シクシクと泣くショウタと、それを困惑した様子で励ますマノは、奴隷の閉じ込められた建物へ向かっていた。
******
あのあと泣き崩れたショウタに
サヤカ「ち、違うんです!そりゃ、ショウタがそれを考えついたことはスゴイことですよ!いつもだって、助けてくれるし、その……」
と、サヤカが慌ててフォローをいれるが、ショウタの心には届かず。
それでも後ろを向いて嗚咽をもらすショウタに
ファナ「えっとね、えっとね……ショウタ……。わ、私の主人公は、ショウタだけだよ?」
その言葉に、救われた。
一筋の光が見えたようだった。
ファナが女神に見えた。
ギャルゲーで言ったらショウタフラグが立った感じだった。
ショウタ「ファナ!」
と思わずファナに抱きつくと、ファナは困ったように抱きしめ返してくれた。
まぁ、2秒もしないうちにサヤカとユウトに引き剥がされたが。
******
ショウタ「ファナ……。ホント、嬉しいこと言ってくれて……ふふっ。」
マノ「ショウタ……さん…⁉」
はたから見たら、いや、作者ですら、変態にしか見えないショウタだが、本人はとても嬉しそうに独り言を言う。
ショウタ「…ヒーローだって!俺のこと、主人公だって!!ファナ、俺、頑張るね!!!!!」
ドッペルゲンガーはファナとサヤカ、それにリュンが足止めをしてくれているため、ショウタとマノに追っ手はない。
しかし、ドッペルゲンガーは本人と変わらない強さを持っていて、ショウタの剣でこそ払えるものの、ファナとサヤカ達では普通に戦わなくてはならないので、とても辛い。
しかし、それはさすが前回大会優勝者のリュン。
ファナやサヤカを援護しながら、とても素晴らしい動きをしていた。
…見ていたショウタが少し嫉妬したのは内緒である。
ちなみに、なぜ救出役をショウタ以外にしなかったのかと聞くと、ユウト曰く
ユウト「ファナちゃんもサヤカちゃんも、1人にすると、あのカス主催者がなにをするかわかったもんじゃない。」
ユウト「それに、どうせショウタはみんなを守りながら、ドッペルゲンガーを払いながら、ドッペルゲンガーに吸収された本人は助けるために手加減する。とか、無理をするだろ?そんなことしたら、自分の身すら守れないっつの。でも、そうやってショウタを説得しても、どうせ変わらないだろ?‥だから、手加減しなくて、思いっきり戦っても大丈夫なあいつらにドッペルゲンガーの相手をさせて、奴隷はお前が助けに行け。」
とのこと。
しかし、いくらなんでも全てをリュンに預けるのは心配に思えたため、戦闘のできないマノはショウタが守ることになったのだ。
ちなみに、そんなことを言った当の本人はと言うと
ユウト「ごっめーん!俺、女の子との大事な約束があるんだ!また後で会うかもだけど。じゃーね‼」
と言って去って行った。
そんなユウトにキレつつも、ショウタ達は作戦通りに動いた。
ドッペルゲンガーに囲まれた闘技場から逃げる際、マノは何度も危ない目にあって、その度にショウタに助けられたり、助けを求めたりして、ひたすらショウタにくっついていた。
……それを見てファナとサヤカがイライラしたのは内緒である。
ショウタ「…よし、それじゃあ行くよ!マノさん‼」
マノ「あ…はい‼」
ショウタはマノの手をとると、奴隷舎に突入していった。
続く!!!!!
すっごく話したいので、文化祭の話します。
前書きでチラッと文化祭の話しましたけど、すごいんですよ今年は作者!
同じチームの人をまとめてですね、指揮監督したんですよ!!
一世一代の大イベントでした!!
いやー、準備開始当初はですね。
自分が参加しなくても話は進んでたので、全く参加してなかったんですよ。
そして、文化祭まで残り3日になって、特に行動してないので、おかしいなぁーと思って聞いたら、
なんにも準備してないんです!
してるのは、ゲームの景品だけ!
ゲームすら決めてないのに!!
なんか男子は拗ねてて、女子は仕事ないから違う班の手伝いしてたんです。
あと3日ですよ⁉
いっぱい案は出してて、みんな面白い考えしてるんですけど、それを具体的に行動してなかったんです。
だから、もう慌てて準備しました。
幸い、女子は1人積極的な人がいたので、1日目は2人で頑張って
2日目はその人が同じグループの女子集めてくれたので、一気に行動が効率よくなって、
3日目は男子もその準備風景みて、やる気出してくれました\(^o^)/
文化祭当日は、子供に評判なゲームとなりましたよ!(≧∇≦)