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ミス・スタート・ストーリー  作者: モッチー!
2章 コロシアム
18/41

18話 避けられない戦い

18話です!

今回メチャクチャ長くなってますので、お忙しい方は、用事を済ましてからご覧になってください。


……まぁ、忙しい人がわざわざ俺の小説なんか読んでるわけないんですけどね…σ(^_^;)

前回までのあらすじ!


前回は理不尽だった…。

そりゃぁもう、今世紀最大の理不尽だった…。


でも…抱きついた時…

ファナは柔らかかったなぁ……。

サヤカも可愛いし…。

2人とも良い匂いで…

ぐへっ、ぐへっ、ぐへへへへ…


ショウタ「おい。」


ファナ「うわ!」


サヤカ「へ?なんですか?」


ショウタ「サヤカ→ファナ、と来たら次は俺だろ⁉なに俺のふりして書いてやがる!」


サヤカ「いや、面白いかなぁ…って」


ショウタ「面白くない‼つか、なんだこの内容⁉『ぐへっ』ってどんな主人公⁉読者さんの俺に対する印象最悪になるだろ‼」


ファナ「わ、私は上の部分だけだよ‼………ぐへへとか思ってたんだ…」


ショウタ「いや、待ってファナ⁉書いてたのサヤカだからな⁉ってほらぁ!言わんこっちゃない!印象悪くなってるじゃんか‼」


サヤカ「すでに最悪なんじゃ?」


ショウタ「そんなバカな…⁉そんなわけないに決まってるさ‼」


サヤカ「………そうですね。」


ファナ「………うん。」


ショウタ「なに!今の間、なに⁉」


サヤカ「じゃ、お次は18話です。どうぞ読んでくださいっ!」


ファナ「よろしくね」


ショウタ「待てよ、おい‼」


******


夜が明けた。


ショウタ「う…ん……。」


ショウタは静かに目を覚ます。


ショウタ(今日は……そうだ、ユウト達と戦う日だ。…でも大丈夫、あいつならきっと俺の話を分かって棄権してくれるはずだ。それに、あいつらなら次の大会で勝てるだろうし…)


サヤカ「今日は……そうだ、ファナに抱きついて、サヤカにも抱きついて、最後はすいませんで済むだろう」


ファナ「そ、そんなこと考えてるの⁉ショウタ!」


ショウタ「うわぁぁぁ!!!なにやってんだよ⁉」


慌てて飛び起きると、ショウタの手にサヤカが触れていて、その横で肩をワナワナさせているファナがいた。


サヤカ「ほら、私ってば触ってる相手なら心読めるでしょ?…だから」


ショウタ「だからじゃねぇよ!!そんなこと一ミリも考えてないからな!!」


ファナ「……ホント?」


ショウタ「ホントだよ!!つか、日頃こんなこと考えてたら、ファナ吸収したときだってバレるだろ⁉」


ファナ「そ…そっか。そういえばそうだよね。もう!サヤカいたずらしちゃダメだよ!」


サヤカ「うぅ……はーい。」


ショウタ「いや…まず寝てる人の心覗くのも…プライバシーの侵害としてどうなんだ…?」


******


司会「それでは!トーナメント決勝戦に出場する選手を紹介しましょう!!」


観客「わーー!!」


ファナ「まずは向こうの説明だね…」


司会「赤コーナー!ユウト&マリナ!!」


司会の声に合わせて、赤コーナー入口の両サイドから、演出のための火花が噴出する!


ショウタ「す、すげぇ…」


サヤカ「決勝戦だからか…気合入ってますね!」


そこからユウトとマリナが現れる。


司会「えー、ユウトさんもマリナさんも、非常に優秀な成績を収めております!」


ユウトは周りの観客に手を振っている。


何人かの女子達は、懸命に手を振ってユウトを応援していた…。


ショウタ(ビキビキ)


ショウタ(知り合いか何か知らねぇが…ムカつくなぁオイ!!なんであいつにだけ⁉)


マリナさんは優美に軽く手をあげる、その瞬間ある団体の男性客が土下座をしていた…。


サヤカ「あの人は……一体…?」


ファナ「はは…勝てる気がしないよなんだか」


司会「では続いて、青コーナー!ショウタ、ファナ&サヤカ!!」


観客「わぁー!!!」


ショウタ「よ、よし行くぞっ↑」


ファナ「声、裏返ったよね…」


サヤカ「チキンですね。」


ショウタ「うう、うるせぇ!さ、先に行ってるぞ!」


照れ隠しのため、先にショウタが外に出た。

すると、


ショウタ(ん?…なにやってんだアイツ?)


ユウトが、なにやら慌てた様子でショウタにジェスチャーをしている。


ショウタ(んーと……いや、わかんねぇから…)


ショウタが、分からないという旨をジェスチャーで伝えると、ユウトは諦めたのかジェスチャーを止めた。


次の瞬間、


ショウタ(っ⁉)


急にショウタは鬼気迫る感覚に襲われた!


司会「えー、ショウタチームは、無能力というハンデを背負っていながら……」


周りの客や司会は、そんなショウタの変化など気づかないで進行していく。


ショウタ(な、なんだ…この感覚…?ヤバイ、なにかがヤバイ…。ファナとサヤカか⁉)


バッと振り向くと、先ほど赤コーナーでも行われていた、火花を噴出する発射口が青コーナーの左右にもついているのだが、それが明らかに下を向きすぎていることに気がついた。


要するに、このままでは火花がファナ達にぶち当たるということである。


ショウタ(ちっ…くしょう!!)


ショウタはきびすを返して、ダッシュでファナ達の元へ向かった!




〜ユウトside〜


ユウト(ふぅ。ようやく気づいたか。)


今のショウタが襲われた感覚は、ユウトの感覚だった。


ユウトには5感をリンクする力が備わっており、ユウトが感じている緊張感などをショウタにも送り込んだのだ。


それでファナ達だと気づくかどうかは賭けだったが、どうやらショウタは気づいたようだった。


ユウト(くっ…でも間に合うのか…!)


ショウタの速さと、ファナ達への距離、そして発射する時間を考えると間に合わせるのは至難の技だった。


ユウト(かと言って、俺たちが助けに行くとちょっとな……。)


ユウトは陰鬱そうに、チラッと主催者のいる席を見ると、ため息をついた。


ユウト(頑張れよ、ショウタ)




〜ショウタside〜


ショウタ(なん…だと…⁉)


ショウタは焦っていた。


なぜかというと、ショウタが走った直後、ファナとサヤカはくっついて話していたので、なんとかギリギリ間に合いそうだった。


しかし、なにを思ったのか、急にファナとサヤカは右と左に大きく離れて歩きだしたのだ。


ショウタ(くそ!間に合わねぇ⁉)


火花は今にも噴出する準備が整っており、あとはファナとサヤカが通るのを待つのみとなっている。


どう考えても、2人ともを捕まえて助けるのは、不可能に思えた。


ショウタ(考えろ!考えるんだ俺!!…ファナ達に呼びかけるか…?いや、そしたらその瞬間に主催者は噴出させるだろう…くそ…どうする⁉)


そうしてる間にも、ショウタはファナ達に向け走っており、ファナ達も足を止めようとはしない。


ファナ「ん?なんでショウタ走って戻ってるのかな?」


サヤカ「怖くなったんじゃないですか?」


ファナ「そ、そんなわけないじゃん!」


それどころか、2人は他愛もない話を続けている。


ショウタ(2人を助けるには⁉ど、どうする、どうする⁉…1人だけならなんとか……いや、ダメだ!くっ!!)


もう一刻の猶予も無かった。

ここで決断して、右か左かに曲がらないと、1人すらも助けられない所まで来てしまった。


ショウタ(っ‼…これしかねぇ‼)


ショウタはなにを思いついたのか、急に立ち止まった。


ユウト(バカやろう‼なに止まってやがる!お前が助けないと2人は…!)


そして、ショウタは大きな声で叫んだ。


ショウタ「ファナ!サヤカ‼」


ファナ「え?」


サヤカ「はい?」


2人は立ち止まる、がしかし火花は充分にかかる位置まで来ている。


主催者はニヤリと笑って、火花を発射する合図をしようとした。


そのとき、


ショウタ(すぅ〜)


ショウタ「2人とも!!!!大好きだぁぁぁぁぁぁ‼」


全員(……は?)


この会場にいる全ての人が固まった。

いや、テレビを通じて見てる視聴者でさえも。

それでもショウタは怯まず叫ぶ。


ショウタ「好きだ!好きだ!大好きだ‼アイ!ラブ!ユウゥゥゥ!!!!!」


ファナ「な…な……な……⁉」


サヤカ「は…⁉え、いや…ちょっと……!!!」


ファナとサヤカは突然のことで戸惑い、言葉を失っている。


司会「お、おぉっとぉ!ショウタ選手、ここでまさかの告白だぁ!しかも2人同時に!!!」


という司会の言葉を引き金に、

ドッと、観客が爆笑を始める。


呆気にとられていた主催者も、ただの奇行かと片付け、嘲るように笑いながら合図を下した。

しかし、


ファナ「ちょ!…ショウタ!!!!!」


サヤカ「なんてこと言ってるんですかぁ!!!!!」


ようやく硬直状態から抜け出したファナとサヤカは、顔どころか全身真っ赤になりながら、ショウタの元へ向かう!!


ファナは剣を握り5倍の速さで、サヤカは瞬間移動を詠唱している。


そして……


2人が火花発射口から離れた瞬間…


ドパン!

と、確実に赤コーナーより火花が多く、殺しにかかっている爆発が起きた!


ユウト(な……なるほどな…。自分じゃ間に合わないからって、2人を無理やりコッチに来させたのか…!)


ユウト「最高だぜ!ショウタ‼」


ショウタ(よ、よかった…これで2人は無事…グボッ⁉)


先に到達したサヤカが、ショウタにかかる重力を2倍にする魔法を唱えた。


サヤカ「ショウタ?こんな公衆の面前でなんてこと言ってんですか?ねぇ?」


ショウタは自分の体重を支えられずに、プルプル震えながら弁明する。


ショウタ「いや、待ってくれこれには事情……ガッ⁉」


遅れて到着したファナのエルボーを鳩尾に食らうショウタ。


ファナ「しょ、しょ、ショウタ!そういうのは…こう…こんな人前で言わないで……こう…」


サヤカ「ファナ⁉着目点そこですか⁉」


ファナ「もっと…2人きりで……はっ!!!」


ショウタ「だ、だからこれには理由が…」


サヤカ「へぇー?どんな理由ですかねぇ!テレビの前で急に叫んでまで、しかも2人に愛の告白をする理由って!!!」


ファナ「そうだよ!2人に告白なんて……ショウタって白状…?」


ショウタ「だから!!!」


かくかくしかじか………


ファナ「え………」


サヤカ「な………」


ファナとサヤカはゆっくりと振り向く。


確かに、発射口は明らかに低くなっており、そしてその火花が散った地面が丸コゲになっていた。


その地面の様子から、ホントに2人を殺そうとしていたことがよく分かる。


ファナ「そ、そっか…ショウタは助けようとして……」


サヤカ「だ、だからって告白はどうかと思いますが……まぁ、大目に見ましょうかね…」


このまま、何も言わなければよかったのだ。

何も言わなければ、許してもらえて、それどころか印象も良くなっていたのに。


ショウタ「そ、そうなんだ!2人を助けようと思って“心にもないこと”言っちまったんだよ‼そんな、2人ともに告白するなんて“ありえない”だろう?」


ファナ&サヤカ(ビキビキ)


第2ラウンドの鐘が鳴った…気がした。


ファナ「ふぅーん…心にもない…ねぇ?」


ショウタ「え、あれ?ファナさん?なぜに剣を握ってらっしゃるのでしょうか…?こ、心にもないっていうのは…その…ホントは…ごにょごにょ」


ショウタ(お、俺が2人のこと嫌いなわけないじゃんか…)


ファナ「聞こえないんだけど…?」


ショウタ「い、いえ!なんでもありません‼」


サヤカ「ありえないんですねぇ、私たちを好きになるのは。」


ショウタ「え?いや、サヤカさんまで?杖を持って…?しかも!ありえないって言うのは『2人ともに告白する』ってことであって…」


ファナ&サヤカ「「問答無用!」です‼」


ショウタ「ぎゃぁぁぁ!!!」


チュドーン!ザクザク!!!バキッ!ドカッ!!!


********


司会「……えー、ショウタ選手が戦闘前にすでに致命的なダメージを負ってますが……気にせず続けましょう!それでは、10分後から試合はスタートします‼」


ピーっと笛が鳴り、準備時間に入る。


ユウトがショウタに駆け寄る。


ユウト「オス!よく助けたじゃねぇか2人もよ‼」


ショウタ「……ほはべべ、びぼびべにばっばばが」訳:おかげで酷い目にあったがな


ユウト「喋れねぇのかよ(笑)ひどいなおい」


ファナ「いいんだよ!自業自得だから」


サヤカ「ショウタなんてもう知らないです‼」


ショウタ「そんなに怒るなっての……」


マリナ「そうよそうよ!あなた私に100万くれるって約束したじゃない!」


ショウタ「なんか変なの混じってる‼」


マリナ「あら、変なのとは心外だわ。しょうがないわね……思い出させてあげましょうか…」


ショウタ「アッハハー!これはこれはマリナさん‼今日もお綺麗ですことよ‼」


マリナ「私、下手なお世辞って嫌いなの」ニコリ


ショウタ「いや、まぁ確かに今のは冗談のノリですけど……綺麗なのはホントですよ?」


マリナ「ふーん?じゃ、素直に受けとっておくわ。でも、私はハーレムに加わる気は無いわよ?」


ショウタ「まだあったのその設定⁉」


ユウト「伊達に2人もはべらしてないな」


ショウタ「だからはべらしてなんて…」


ファナ「はべらされてないもん‼」


サヤカ「はべらされてなんていません!」


ユウト「…猛烈な否定だな。」


ショウタ「そりゃそうだろうさ⁉」


ユウト「いやー、それにしてもショウタとガチ勝負か〜。楽しみだな〜ホントに!」


ショウタ「あ……それなんだけどさ…」


ユウト「お?どうしたんだ?」


ショウタ「実は……」


かくかくしかじか


ショウタ「ってわけでな…」


ユウト「おー!イイじゃんその無鉄砲でバカで向こう見ずでアホで…」


ショウタ「まだ言う⁉」


ユウト「ジョーダンジョーダン。んで?それがどうしたんだ?」


ショウタ「あぁ!だからな…えっと……ユウト達には棄権してもらいたいんだ。」


ユウト「……は?」


ユウトの少し怒気のはらんだ声に軽く引くショウタ。


ショウタ「ほら、こ、ここで負けたら助けれなくなるかもしれないだろ?あと、早く助けるためにも俺は……」


ユウト「…本気で言ってんのか?」


さらに声が低くなる。


ショウタ「っ‼……あ、あぁ本気さ?」


ユウト「……こりゃぁ……また…ね。」


ユウトは心底呆れたように、ショウタに背をむける。


ショウタ「な、なんだよ?」


ユウト「いんにゃ、なんでもねぇ。ただ……」


司会「それでは!トーナメント決勝戦を迎えます!」


観客「わぁ〜!!!」


ユウト「見損なったよ。」


ショウタ「な……!!!」


それだけを言い残して、ユウトは定位置に戻っていった。


*****


ショウタ「見損なったってなんだよ!俺はただ助けようと思って……」


ファナ「ま、まぁまぁ。私たちの方がおかしなお願いしてるわけだし、しょうがないよ。」


ショウタ「それにしたって!見損なったって……」


サヤカ「とにかく!もう始まりますよ!作戦はどうするんですか?」


ショウタ「う……うーんと、とりあえず俺がマリナさんに時間稼ぐよ。その間に2人でユウトを倒してくれ。」


ファナ「え…ショウタ大丈夫?」


ショウタ「多分な…。知り合いだから、殺しはしないだろうさ……多分。」


サヤカ「分かりました!とりあえずその作戦でいきましょう!」


そうサヤカが言うや否や、司会の合図が始まる


司会「用意はいいですか?それでは試合開始です!」


カーン‼


ゴングが鳴った!


それと同時にショウタ達は作戦通りに別れようとする!

が、


ショウタ「なん……っで…お前がこっちに…!!!」


ユウト「“ヘタレ”ショウタ君の考えてることなんざ、お見通しなんだよ。」


ショウタ「ヘタレ…!!くそ、このままじゃファナ達が危ない!!」


ユウト「本当にそう思ってるのか?」


ショウタ「な⁉」


*******


ファナ「ユウトがあっちにいるよ⁉」


サヤカ「作戦が読まれてたんですね!しまった……知り合いであるショウタに作戦考えてもらうのは間違いでしたか…!!」


マリナ「さてさて、ユウちゃんの言うとおりになったところだし、よろしくね。」


ファナ「くっ…!!」


ファナは隙を見てショウタを助けに行こうとした!


しかし…


スパン!!


マリナ「行かせないわよ?ユウちゃんにお願いされてるんだから」


マリナの驚異的な反応でこれは阻止される。


ならばと、サヤカが瞬間移動を行おうとすると……


スパン!!


サヤカ「痛っ……」


マリナ「確かに瞬間移動は厄介だけど……しょせん魔法だもの。唱える前に潰すわ。」


ファナ「あ、あんなに速いなんて…!!」


サヤカ「絶対、なにかトリックがあるはずです!」


ファナの上空には【剣の使い手】という能力名が


サヤカの上空には【魔法の使い手】という能力名が


そしてマリナの上空には【時間の使い手】という能力名が現れる


サヤカ「時間…⁉バカな、そんな能力者聞いたことも……!!」


ファナ「ど…どうする⁉」


マリナ「悪いけど、そっちが立て直す前に倒させてもらうわよ?」


ファナ&サヤカ「くっ…!!!」


********


ショウタ「それ、どういう意味だよ。」


ユウト「言葉通りの意味さ。お前は、本当にファナとサヤカを心配してるから、囮を買ってでたのか?」


ショウタ「当たり前だ!しかも、チームとしてその作戦が1番勝率が良いにきまって…」


ユウト「それだ。それがお前の本音だ。」


ショウタ「な…!!!」


ユウト「心配だからじゃない。ショウタが行っても勝てないから囮をするしかないんだ。」


ユウト「ホントに2人が心配なら、最初からチャッチャと合体してりゃいいだろ?」


ショウタ「違う!それは、終わったあとの副作用が辛いのと、ファナ達がそれをさせてくれるわけないからだ‼」


ユウト「そうか。なら、ファナ達が傷つく前に全部お前が倒しちまえばいいじゃねぇか。」


ショウタ「そんなの無理に決まってるだろ⁉俺はテメェと違って無能力者なんだ‼」


ユウト「……じゃ、話を変えよう。」


ショウタ「?」


ユウト「俺はお前の試合は全部見させてもらった。リアルでな。それで思ったんだが……」


ユウト「お前はあんな大層なこと言えるほど、勝負に貢献してたか?」


ショウタ「っ!!!」


ユウト「奴隷をすべて解放する。そりゃあ、カッコイイ目的だ。誰もがスゴイと思うだろう。ただ、それに見合う実力はあるのか?」


ショウタ「……」


ユウト「お前は1人じゃなにもできない。だから、1人じゃ何もしない。んで、挙げ句の果てになに?対戦相手に棄権してくれ?ありえねぇよホント。」


ショウタ「テメェ……」


ユウト「さて。挑発はこの辺りで十分か?お前は『友達を殴れない』なんつって攻撃しない可能性があるからな。ほら、ここまでお膳立てしてやったんだ。さっさとかかってこいよ」


ショウタ「……いいだろう。テメェがなにを怒ってんのか知らねぇがその挑発に……のってやる!!!」


ショウタは一気に踏み込んだ!


剣を左下に構え、一気に振り抜く!


ユウト「はっ!勝負になるのかな?」


しかし、ユウトは手持ちの武器で、それをなんなく受け止めると、武器の反対の端をショウタの腹にぶつける。


ショウタ「ごっふ…⁉」


間髪入れずにアゴを蹴り上げるユウト。


ショウタ「かはっ…!!!」


たまらず、のけぞるショウタ。


ショウタ「な、なんだよその武器…?」


ユウト「これ?これはな…棍だ!」


ユウトの武器は『棍』

殺傷能力こそ低いものの、どこでも持てて、また攻撃にも防御にもカウンターにも使えるという、非常に便利な武器だ。


今の行為は、ショウタの剣を棍の右側で受け、そのまま左側を、棍を回すように突き出し、ショウタに攻撃したのだ。


ショウタ(ちくしょう…。あの棍厄介だな…。つか、アゴ蹴られたせいか頭がフラフラする。…マズイぞ……)


ユウト「おいおいどうしたよ『主人公』さん。このままじゃモブキャラに成り下がるぞ‼」


ショウタ「クソッタレが。うぉぉぉぉ!!!!」


ショウタはまた突撃する!


今度は剣を上段に構え、思いっきり振り下ろした!

受け止めるのを想定し、それをそのまま突き破るつもりなのだ。


しかし、


ユウト「いい考えだ。でもな?」


ユウトは棍の左側を剣にぶつける。


当然、上から思いっきり振り下ろしたショウタの剣を受け止めることはできない。

が、それ=ダメージとはならない。


ショウタ(な…⁉)


ユウトは棍と平行にピッタリと左手をくっつける。


すると、ショウタの剣に押されて棍が回転し、それと同時にユウトの身体も回る。


結果として、


ユウト「うらぁっ!!」


バキッ


ショウタ「うがぁっ!!!」


ガラ空きのショウタの背中に棍を叩きつけることが可能となったのだ。


しかも、大した力は加えてないのにショウタの渾身の力がそのままショウタに返ってきたため、ダメージは大きい。


ドシャァ


そのままショウタは前のめりに倒れる。


ショウタ「く……くそ……」


ユウト「さっきショウタ言ったよな?『俺はテメェと違って無能力者』とかなんとか。俺も能力使ってねぇぞ?」


ショウタ「お前……いつの間に…」


ユウト「ま、お前よか悪い境遇に……。そうでもないか、まぁ幸か不幸か、たくさん戦わされたのでね。」


ショウタ「く…」


チラッ


ショウタは少しファナ達を見る。


が、どう見ても優位ではなかった。


むしろ、わざと倒されないように足止めをされてるように見えた。


ユウト「いつもの囮は使えねぇぞ。お前が俺を倒すしかないんだ。」


ショウタ「ちっ…舐めやがって……‼」


ユウト「正直に言って、お前らは勝てない。絶対にな。」


ショウタ「ほざくな‼」


ショウタはまたも突撃する!


********


ファナとサヤカは、圧倒的なスピードを誇るマリナに翻弄され続けていた。


ファナ「痛い…」


サヤカ「速すぎますよ…」


マリナ「ユウちゃんもこんな面倒なことしなくて良いのにねぇ。」


ファナ「…どういうこと?」


マリナ「ユウちゃんに言われてるのよ『倒さないで尚且つ助けにも行かせないでくれ』って」


サヤカ「な…手加減してるとでも?」


マリナ「そうよ。確かに倒すのは大変だけど……負けはしないわ。」


ファナ「いいわ…。もうショウタを助けに行くのは諦めるよ。あなたを倒してからじゃないと無理だっていうことが分かったから!」


マリナ「だから…私は負けないって言ってるじゃない」


サヤカ「私とファナのコンビネーション…。舐めたら大変なことになりますよ?」


マリナ「じゃあ来なさい。そのコンビネーションとやらでね‼」


マリナはそう言うとムチを振るう‼


ファナ「くっ‼」


ファナが前にでて剣でガードしようとする!


が、


マリナ「ムダよ!」


ムチはファナの剣の寸前で引かれ、その波打ったムチの先が、剣での防御をすり抜け、庇っているファナと庇われているサヤカを打った!


パチーン‼


ファナ「うっ!」


サヤカ「きゃっ‼」


マリナ「まだまだ行くわよ‼」


さらにムチを振るうマリナ。


今度はサヤカが前にでる。


サヤカ「ファナ、私がファナを守るから、その隙にマリナさんの懐まで潜って下さい!」


ファナ「え⁉で、でも」


サヤカ「大丈夫!…行きますよ‼」


ムチに対して非常に範囲の広い防御魔法を唱えるサヤカ。


さすがに避けきれず、弾かれるムチ。


ファナ「今だ!」


ムチを引く前にと、ファナは一気に突っ込む!


すると……


マリナ「甘いわね」


ファナ「なっ…‼」


懐から2本目のムチを取り出すマリナ。


非常に短いが、それゆえにすぐに攻撃ができる!


パチン!


ファナ「痛っ‼………それでも!うりゃぁぁ!!!」


痛みに勢いが削がれるが、それでもファナは踏み込み、ついに剣の届く距離まで来た‼


しかし次の瞬間、マリナの『時間』が変わる。


驚異的なスピードでムチを引き直すと、またファナに打った。


バチン‼


ファナ「く、くぅぅぅ!」


たまらずよろめくファナ。


サヤカ「ファナ!」


マリナ「人の心配してる場合かしら」


サヤカ「っ‼」


バチン‼


サヤカ「キャッ‼」


マリナ「まだまだ行くわよ‼」


ビュッ、バチン!ヒュンヒュンバチッ!


********


ファナ&サヤカ「きゃぁぁぁ!!!」


ショウタ「ファナ!サヤカ⁉」


ショウタがファナ達の悲鳴を聞き、見てみるとマリナにボコボコにされていた!


ショウタ「く、くそ…」


ユウト「よそ見してていいのかよ!」


ショウタ「っ⁉」


バキッ、ドフッ‼


ショウタ「あがぁぁぁぁ⁉」


背中からの不意打ちで、たまらず転がるショウタ。


ショウタ(くそ…、突破口が、突破口が見つからない。力で負けてやがる。相手が能力とか使ってたらまだ、穴はあるかもしれないけど、違う。ただ単純に俺が弱いんだ…)


ユウト「ファナ達を助けたいなら俺を倒せ。じゃないとやられちまうぞ。」


ショウタ「ちくしょう…。」


ショウタはもう先ほどの挑発による怒りは消えていた。


ファナ達の様子をみて、一気に冷めたのだ。


ショウタ「お前と戦うのは嫌だ!……でもファナ達がこのままで良いわけがない!…だから俺はお前に挑む!!!」


ユウト(挑む……ねぇ。それじゃあダメだろ。)


ショウタ「うぉぉぉぉ!!!」


ショウタはユウトに突進する!


ユウト「甘いんだって」


しかし、本当に簡単に流すユウト。


ショウタ「くそっ!くそっ!くそっ!!!」


何度も何度も何度も、挑んでもユウトには勝てない。


ショウタ「ちくしょう…。どうすればいいんだよ…」


ユウト「おいおい。向こうは限界みたいだな?」


ショウタ「っ⁉」


ショウタが慌ててファナ達を見ると、ファナは倒れて動かず、そのファナを襲うムチから必死で守ってるサヤカがいた。


サヤカも、身体のあちこちから血が流れてる。


ショウタ「〜〜!!!!…どいてくれ!頼むよユウト‼」


ユウト「ダメだ。」


ショウタ「わ…わかった。降参する…だからこれ以上ファナ達を…」


ショウタは膝をついてユウトに懇願する。


だが、


ユウト「ダメだ。」


ショウタ「どうして⁉」


ユウト「降参なんかするようなザコの言うことを聞く義理はねぇ。」


ショウタ「お前……そんなキャラじゃないだろ⁉女の子が傷ついてたら、なにを差し置いてでも助けに…」


ユウト「黙れ。」


ショウタ「っ‼」


ユウト「さぁどうする?お前は俺を倒さないとファナ達を助けにいけない。あ、ちなみにお前が倒れたら、そのあとファナ達はもっと酷い目に合わせるからな」


ショウタ「〜!!!」


ショウタの目に悔し涙が浮かぶ。


ユウト(…はぁ。ここまで言ってもダメか。心が完全に折れてやがる。はぁ〜、ちょっと拍子抜けかな…。全く、やっぱりもう少しコイツは経験積まないと…)


と、ここまで思ったところで


スクッ


ショウタが立ち上がる。


ユウト「お?まだやる気なのか。」


ショウタはユウトを睨みつける。

強く、強く強く睨む。


ユウト「はっ‼なんだよ恨んでるのか?そんなに睨んでもどうもならねぇぞ⁉」


ショウタ「認めない。」


ユウト「は?」


ショウタ「こんな、こんな酷い結果なんて俺は認めない。絶対に認めない。」


ユウト「だから!言ったり、睨んだりしたところで結果は…」


ショウタ「俺はいい。そりゃ痛いのは嫌だし、俺も含めてハッピーエンドがいいさ。………それでもファナ達が酷い目に会うぐらいなら…俺はどうでもいい。」


ショウタ「だから俺は……お前を倒す。刺し違えて殺してしまってもいい。たった今からお前は敵だ。ファナ達にあんなひどいことをするようなやつ、友達なんかじゃねぇ‼」


ユウト「っ!!」


ズキっ


ユウトの胸が痛む!


ユウト(落ち着け、わかってたはずだ。嫌われ役になったって、俺はショウタを強くするって。だから……)


ユウト「ようやく、倒すってフレーズを言いやがったな?だが、口に出したからってなんでも叶うと思っ…」


ヒュン!


チッ!


ザクッ。


ユウト「なっ……!!!!」


ショウタはなんの抵抗もなく、ユウトに向けて剣を投げた。

もちろん剣先をむけて。


剣はユウトの頬を切って、地面に突き刺さっている。


ショウタ「チッ。俺は本当に弱いなおい。ここでも結局殺すのをためらって外してしまった。」


ユウト「…お前……」


ショウタ「覚悟しろよ敵。お前は絶対に俺が倒す‼」


ショウタはユウトに向かって歩いて突っ込む。


ユウト(さっきと同じ戦法じゃねぇか)


ユウトはそう思い、素手で挑むショウタの棍を振り下ろす


バキッ!


ショウタは腕でガードするが、鈍い音が響く。


しかし、全く止まろうとしない。


ユウト(…⁉今のはけっこう強かったはず!なんで動じてないんだ…?)


ユウトは先ほど振り下ろした方と、逆の端をかち上げるようにショウタに振る!


バキッ‼


今度は左手でそれを掴む。


だが、止めきれずに顎まで当たった!


しかし、それでもショウタは止まらなかった。


ショウタ「お前は、絶対に、倒す!!!!」


そう言いながら、ショウタは右腕を振りかぶる。


ユウト「ちっ!!!!」


ユウトは堪らず下がる!


ブン‼


ユウトがいた場所をショウタの右ストレートが、空振る。


ショウタ「……避けてんじゃねぇよこのやろう‼」


ショウタはついに走りだした!


ユウト(さっきと全然耐久力がちげぇぞ⁉どうなってやがる‼)


ユウトは焦りながらも、的確に攻撃を加える。


ユウトとの距離が0になる度にダメージを負っているにも関わらず、全く突撃が衰えないショウタ。


ユウト(だから!なんでこんなに違うんだよ…⁉)


ユウトは思わず、棍を大きく振りかぶった。


少しのダメージじゃ無意味だと思い、大ダメージを与えようと思ったのだ。


ショウタ(しめた!)


しかし、それこそショウタの思惑通りだった。


振りかぶったユウトにショウタは怯まず突っ込む!


ユウト(しまった罠か⁉だが、思いっきり振れば間に合う…!!)


ユウトは懐に入ろうとするショウタに合わせて、棍を振った!


ショウタ(よし!)


するとショウタは、棍が間に合うか間に合わないかのところで、急にスピードを緩めた!


ユウト(なっ…!!!)


ショウタ(大きく振りかぶった時に突撃すれば、その振りかぶったことが罠だと思い、慌てて攻撃をする。でも、それは必然的なことであって、予想するのは簡単!だから!!)


ユウトの棍は、ショウタの策に気づいても、もう止まれなかった。


ブン!


棍が空振る音がする。


ショウタの目の前で棍が振り抜かれたのだ。


ドン!


ショウタは地面を強く蹴って、最後の踏み込みをする!


ユウト(くそ…!パンチがくる!!)


ショウタの右手は硬く握られており、振りかぶられていた。


ショウタの目は怒りに燃えていて、寸前で止めてくれるなんて、虫のいいことはあり得ない。


そのままパンチがユウトの顔に……


ユウト(…?)


来なかった。


代わりに、


バシッ!ヒュッ!ズザザザー


ショウタは、ユウトが目を瞑った瞬間、棍を両手で奪い、遠くに投げ飛ばしたのだ。


そして


ショウタ「お互い、フェアに素手でやりあおうや。その方が俺も倒しがいがあるしな。」


ユウト「……へへっ。千載一遇のチャンスを逃したなショウタ?…舐めやがって、覚悟しろ!」


ショウタ「それはコッチのセリフだ!!!」


ショウタとユウトは、共に突進する!


*******


サヤカ「ファナ!しっかりしてください!ファナ‼」


ファナ「…………」


しかし、ファナは目を開けない。


マリナ「もう気絶しちゃったの?はやいわね。」


サヤカ「くっ‼」


サヤカはマリナを睨む。


マリナ「それにしても、なんで審判さんは早く棄権させないのかしら。気絶してるのにね。」


サヤカ「あ……」


そういえばそうである。


今までの戦いでは『気絶していて、尚且つ戦闘を求められてる』状態なら、リタイアしていたはずである。


なのに、今回の審判は知らん顔。

主催者はニヤリと笑っていた。


サヤカ(くっ……私たちを殺す気ですね…。殺さないにしても、もう二度と出場できないような状態にして……)


マリナ「あの男も大概クズね……」(小声)


サヤカ「?」


マリナの顔が一瞬憤怒にかわる。

が、すぐに微笑む顔に戻るとサヤカに述べる。


マリナ「……さて。あとは貴女だけね。ごめんなさい、これも試合なのよ」


サヤカ「……ファナには」


マリナ「え?」


サヤカ「ファナには指一本触れさせない!絶対にです‼」


マリナ「へぇ?じゃあどいてくれる?ファナちゃんにはなにもしないであげるから。」


サヤカ「っ⁉……ホントにですか?」


マリナ「えぇもちろん。……まぁ、あの男の子がどうなるかしらないけど。」


サヤカ「っ‼」


サヤカは一瞬戸惑う。


サヤカ(ファナを…助けられる?でも、そしたらショウタが……。でもこのままだとファナは、もっと酷い目に逢うわけで…だとするとショウタはきっと…許してくれ…)


サヤカ「わ、私は……」


サヤカはゆっくりと顔を縦に……

サヤカの脳裏に今までの戦いが思い出される。


サヤカ(っ!!!)



〜回想〜


サヤカは目をギュッと瞑った。サヤカに剣が当たるまで残り1メートル…、すると誰かが間に入った。


ガキン!!ズザザザー!!


サヤカが薄く目を開けると、そこには軽く震えている、とても颯爽と現れたって感じが全くしない、カッコいいとはかけ離れた、しかしサヤカを必死で庇った…ショウタが立っていた。


1メートルも距離があったのにも関わらず、サヤカの目の前まで下がった所を見ると、相当な力量差がわかる。


それでも……彼はこう言った。


ショウタ「へっ!!こんな雑魚は俺に任せて、サヤカはファナを助けるなりティファを倒すなりしてきてくれ!!」


*11話参照*


〜回想終了〜



サヤカ「あのときも…」



〜回想〜


サヤカ(ダメ!!来たら死んじゃうよ!!来ないで!!)


恐怖で声が出ないがサヤカはそう思った。


しかしショウタはサヤカの元に着くと笑った。


ショウタ「来たら危ないよ!ってところか?サヤカが今思ってるのは。みくびんなよ?大丈夫、もう俺が来たから安心してくれ。」


*11話参照*


〜回想終了〜



サヤカ「あのときだって……ショウタは…」


マリナ「えっと…じゃあいいのかしら?どいてもらっても…」


サヤカ(私がすることは、ただ一つ!)


******


ショウタ「うぉぉぉぉ!!」


ユウト「うぁぁぁぁ!!!!」


バチッ!


両者の身体がのけぞる。


ショウタのパンチと、ユウトの蹴りが共に当たったからだ。


ショウタ「くっ……」


ユウトの蹴りは的確にショウタの鳩尾を突いていて


ユウト「痛っ……」


ショウタのパンチはユウトの肩に当たっていた。


ショウタの方がダメージは大きい。


が、それでもショウタは


ショウタ(…いける。あいつはこの世界に入って爆発的に強くなった。そしてこの世界には普通の人はいない。つまり、異能力アリの勝負しかしたことないんだ!…だったらいける)


と、先ほどよりも確かな勝ちへの希望を持った。


ユウト(やっぱ棍捨てたのはまずかったかなぁ……。まぁいい。どうせショウタとは一回白黒つけたかったんだ!)


ショウタとユウトはまた戦闘体制をとる!


ショウタ「うらぁぁぁ!!!」


次はショウタがつっこみ、ユウトが受ける構えとなった!


ユウト「ふっ!」


ショウタのパンチに対して、横に避けるユウト。


そのまま右足でショウタに蹴りかかる!


ショウタ「だっ‼」


慌てて転がるショウタ。


ブン!


ユウトの蹴りが空振る。


ショウタ「うおぉぉぉ!!!」


ショウタはその隙をついて突撃する!


ユウト「くっ!」


ユウトはその空振りのままもう一度回転した!


スカッ


ユウト「なっ⁉」


ショウタ「あ…ぶねぇ‼」


ユウトの蹴りを間一髪頭を下げて避けると、ショウタは崩れた体制のままユウトを殴った!


バキッ!


ユウトは驚愕しながら、後ずさる。


ショウタは転がって体制を整えてから、言う。


ショウタ「………確かに、今のは回るぐらいしか手はなかったさ。ただな、一回転した蹴りを正確に当てるなんて、無理に決まってるだろ?」


ユウト「偉そうに語りやがって。んじゃ、テメェはたまたま避けれただけじゃねぇか。」


ショウタ「あぁそうさ。でも、結果的に攻撃できた。」


ユウト「…………」


ショウタ「大体、ケンカで“必ず避けれる”なんてありえねぇっつーの。」


ユウト「……黙れ‼」


今度はユウトがショウタに迫る‼


ユウトの左足が急角度で真っ直ぐにショウタの顎を狙う!


ショウタ「ひっ!」


少々情けない声をあげながら、なんとか頭を後ろに逸らし、ギリギリ避けるショウタ。


ユウト(しめた‼)


しかし、それがユウトの狙いだった。


ショウタは今、体制を崩している。

よって、ユウトの攻撃を避けれないのだ。


腕や頭なら避けれるかもしれないが、身体の軸である胴体を動かすのは、はっきり言って不可能である。


その隙を狙って、ユウトは体制の崩れたショウタの腹めがけて右足の横蹴りを繰り出す!


だが、


パラパラ


ユウト「うっ⁉」


ショウタは先ほど避けた時に、自分の目の前に右手を突き出していた。


それを離すと砂がパラパラと舞う。


先ほど転がったとき、拾っていた砂を落としたのだ。


ショウタの方が身長は高いため、ちょうどよくユウトの目に入る。


そして!


ショウタ「さっき散々殴ったおかえしだ‼」


ショウタは踏み込み、ついに顔面に右ストレートをお見舞いした!


ユウト「ぐ、がぁぁぁぁ!?」


ユウトは後ろに吹っ飛ぶ。


ショウタ「はぁ、はぁ。ようやくまともなダメージ喰らわしたな…」


ユウト「…くっ。ゲホッ、ゲホッ。この野郎…」


ショウタ「毎度おなじみ、砂の目潰しです!ちょっと卑怯だけど、ケンカだからしょうがない。正々堂々戦おうって方がバカみるぞ?」


ユウト「さっきから偉そうにペラペラと…。テメェはケンカとかしたことあんのかよ!」


ショウタ「あー……まぁ、多分普通の人よりあんじゃねぇの?…ほとんど巻き込まれてんだけどな……」


ユウト「……ちっ。」


ショウタ「さて、ようやくこれで五分五分だ!さっさとどいてくれ!」


ユウト「断る!このくらいで勝ったと思うなよ!‼」


*******


サヤカ「………ダメです。」


マリナ「あら」


サヤカ「ショウタに手を出すなんて…そんなの私がさせません‼」


マリナ「おかしいわねぇ。ユウちゃんによると、貴女はショウタのこと嫌いなんじゃなかったの?」


サヤカ「…嫌いなわけないじゃないですか。私が!いや私たちが!ショウタを嫌うわけないんですよ‼」


マリナ「へぇ…どうして?」


サヤカ「ショウタはいつも私たちを助けてくれました…。どれだけ無理な相手だろうと、圧倒的な戦力差があっても!…だから私がすることはただ一つ。ショウタもファナも守ってみせます!」


マリナ「そう……。」


マリナは少し遠い目をすると、すぐにまた通常に戻る。


マリナ「そう思ったところで、現実は甘くないってのを教えましょうかね」


サヤカ「っ!!!」


マリナ「喰らいなさい‼」


バチッ!!!


サヤカ「負けない‼」


サヤカの作ったシールドにムチは弾かれる。


マリナ「そんなやわなガード効かないわよ!」


マリナはまたムチを振るうと、同じ箇所に何度も当てた!


バチッ!バチッ!……ピキピキ…


サヤカ「ま、マズイ!」


マリナ「遅いわ‼」


最後に一振りすると…


パリーン!


シールドが破られる!


サヤカが慌ててシールドを張り直す前に、


マリナ「させないわよ!」


マリナのムチがサヤカを襲う!


サヤカ「くっ……!!!!」


サヤカ(ごめん…ファナ!ショウタ‼)


パチーン‼


サヤカ(あ…れ……?)


サヤカにダメージは無かった。


マリナ「ふぅーん…まだ立てたのね?」


サヤカの目の前には、ファナが立っていた。


サヤカ「…ファナ‼」


ファナ「ごめん…ね。ちょっと、寝てたよ。でも…あとは、大丈夫。全部、全部私が守るからね。あの国は守れなかったけど、サヤカだけは守るって決めたの。だから。」


サヤカ「ファナ……」


マリナ「……ホントに私、悪役ね。いいわ!次は立ち上がれないようにしてあげる!」


ファナ「サヤカには!指一本触れさせない‼」


サヤカ「私だって!ファナを守る‼」


双方が、最後の対決をする‼


******


ショウタ「はぁ、はぁ、はぁ。」


ユウト「くっ…はぁ、はぁ。」


ショウタとユウトは共にボロボロだった。


あれから両者とも何度も交差し、その度にどちらかがダメージを負ったのだ。


ショウタ「…次…が、ラストかな…?」


ユウト「はっ!まだまだ、いける…」


ショウタ「言ってろ!うぉぉぉぉぉ!」


ユウト「終わりだぁぁぁ!!!!」


ショウタはユウトに駆け寄る!


ユウトは右足に力を込める!


ショウタ&ユウト「はぁぁぁ!!!!!!」


ヒュッ……バキッ!!!!!


ショウタ「あ……ぐ……」


ユウト「かはっ……」


顔面に突き刺さる、右手と右足。


その2つが下がったあと…


バタリ。


ショウタとユウト、両者が地面に倒れた。


ショウタ「く…そ……」


ユウト「ま…だ…だ……」


2人は立とうとするが、どうしても立ち上がれない。


ユウト「引き分け…か」


ショウタ「そう…みたいだな。」


ユウト「へっ、良いのかよ。俺を殺さなくて」


ショウタ「戦ってたら分かったよ。どうせお前は、俺がこの先やってけるように、わざとケンカ売ったんだろ?」


ユウト「…………」


ショウタ「確かに、前の俺は他人任せだったし、自分でどうにかするってのは考えてなかった。でも、それじゃダメなんだよな…。俺が助けたいなら、俺が動かないと。それが無理かどうかじゃなくて…さ。」


ユウト「……友達じゃないんじゃなかったのかよ…」


ショウタ「……だから…さ。」


ショウタはフラフラと立ち上がる。


ショウタ「ありがとな、ユウト。お前のおかげで俺は、多分、強くなれたよ。」


ユウト「なんでお前……立って…?」


ショウタ「心の問題……ってカッコつけたいとこなんだが……実はな。」


先ほど、2人が交差したとき、ショウタは賭けとして左手を顔の前に置いていた。


右でパンチをするなら、胸あたりに左手を持ってくるはずなのだが、ショウタはユウトの蹴りが顔に来るとヤマを張り、左手を少しあげていたのだ。


そのおかげで、ユウトの蹴りはショウタの左手でほんの僅かに軽減され、ユウトはまともにパンチを食らったというわけだ。


ショウタ「ユウトなら、俺のパンチに合わせて攻撃すると思ったからさ、俺が顔面狙ったらお前も狙うと思ったんだよ」


ユウト「へっ……つくづくお前はよ…」


ショウタ「どうか…したか?」


ユウト「なんでもない。行って来いよ、ショウタ。主人公になるんだろ?」


ショウタ「あぁ、行ってくる!」


ユウト「お前が行ったところで、マリ姉が負けるわけないけどな」


ショウタ「ふ…言ってろ。」


ショウタはファナとサヤカの元へ向かう!


ユウト(さて……俺は、少し寝るかな…)


ユウトは目を閉じた。


******


ファナ「はぁ、はぁ、はぁ。」


サヤカ「ど、どうすれば…?」


マリナ「確かに動きはよくなったけど……まだまだね。」


ファナとサヤカは防戦一方だった。


ファナとサヤカで、マリナをギリギリまで追い詰めるのだが……攻撃しようとすると、マリナは時間を操り、動きを速めてどうしても反撃を食らうのだ。


ファナ「ずっと使わないってことは…きっとなにかリスクがあるんだろうけど……」


サヤカ「全然、衰える要素がありません…」


マリナ「リスク?甘いわね、そんなの無いわ」


マリナ(ま、ないわけないんだけどね。それでも、まだ全然イケるわ。そろそろユウちゃんも勝負決めるだろうし、倒しましょうかね)


マリナ「さて、そろそろ全開で行くわよ‼」


マリナはいきなり時間を操る。


どういう構造かは分からないが、とにかくマリナのスピードが段違いに変わる。


マリナ「終わりよ!」


ファナ「反応できなっ…!!」


サヤカ「さきに魔法を唱えておくべきでした…!!」


マリナは両手に2つのムチを持って、交差するように2人を狙う!


ちょうどムチが1本ずつ、ファナとサヤカを的確に捉える軌道だった。


しかし…“交差”させてしまった。


要するに、その交差した1点を狙えば、ファナとサヤカを守ることができるのだ。


2人に当たる寸前、横から人影が飛び込む!!


そして…


バシッ!


ファナとサヤカに、ダメージはなかった。


ファナとサヤカが恐る恐る目を開けると、前には…


ファナ「来て…くれたんだね…」


サヤカ「ショウタ!!」


腕をムチに合わせて交差した構えで立っているショウタがいた!


ショウタ「へへっ……ま、華麗に登場!って感じかな?」


フラフラな状態で、そんなことを言う。


マリナ「……もしかして、ユウちゃんを倒したっていうの?」


ショウタ「ま、まぁな…。倒したというか…運が良かったというか……」


マリナ「そんな……ハズない!ユウちゃんが負けるなんてそんな…!!!」


ショウタ「俺も…マリナさん傷つけるのは嫌だ。だから、降参してくれないか?」


マリナ「認めないわそんなの。ユウちゃんが負けるなんて……!!!!!」


ショウタ「……聞いてくれそうにないな…‼」


ショウタ「ファナ!サヤカ‼頼む‼」


ファナ&サヤカ「っ!!!!」


ファナ「…分かったわ。」


サヤカ「わかり…ました。」


2人はショウタに左右から駆け寄ると、抱きしめた。


ファナ「ふ、2人から抱きしめられるなんて…‼」


ショウタ「う……」


サヤカ「あ、あとで“ショウコ”ちゃんを愛でさしてくれないと、許しませんからね‼」


ショウタ「…分かったよ。あとで散々やられるから…」


ショウタの身体が光りだす!


ショウタ「2人とも、ありがとな。」


ピカーン!!!!


3人は眩い光に包まれる!


そして……


実に、運動神経125倍となったショウタが現れる。


5(ショウタの能力)×5(ショウタの能力)×5(ファナの能力)により、剣を持つとこうなる。


ショウタ「ごめん……マリナさん。俺は、負けるわけにはいかないんだ。」


マリナ「うぅ……ユウちゃん…‼」


マリナは全力で能力を使った!


ヒュンヒュン‼


ショウタ「効かないよ!」


ショウタは、ムチを全て避けると軽く拳をぶつける。


マリナ「きゃあ‼」


しかし、それでもマリナは後ろに転がる。


マリナ「ま……まだ!まだ私は負けて…!!!」


ショウタ「ごめん…マリナさん…。」


体制を整えるマリナに対し、ショウタは苦しまないように、一発で気絶するよう、調節したパンチを放った!


スカッ


ショウタ「……あれ?」


が、当たらなかった。


いきなり横から、何かがマリナを連れて避けたのだ。


そのままショウタは、マリナの避けた先を見る。

すると……


ショウタ「……お前はバケモンかよ……」


どういうわけか、身体が不自然に電気を纏ってる、ユウトがマリナを抱えていた。


ユウト「テメェ……マリ姉に手ェ出すたぁいい度胸だなオイ!!!」


ショウタ「はっ!そっちだって散々、俺の大事なファナとサヤカを傷つけたろうが!!!」


ユウトはマリナを後ろに置くと、こう言った。


ユウト「ごめんね、マリ姉。…でも、もう大丈夫だから。」


マリナ「ユウちゃ……」


ドスッ、パタッ。


ユウトはマリナの首に優しく手刀をおろすと、マリナは気絶した。


ユウト「ゆっくり休んでてくれよ、マリ姉。あとは俺に任せろ!」


ユウト「さぁーって?大事なマリ姉を傷つけた罪は償えたかな?…キリストが許しても俺が許さねぇぞ!」


ショウタ「よく言えたもんだなぁ!!!つーか、コッチは最初からムカついてたんだよ!大体!俺を強くするにしたってファナとサヤカを傷つけることはねぇだろが‼マリナさんだから手加減してたものの、ちょーどいい。テメェに怒りを全てぶつけてやる!」


ユウト「それを全部、そのままお前に返してやるよ‼」


ユウト「マリ姉は今気絶してる。巻き込みやがったらどうなるか…」


ショウタ「…それはわかった。絶対に巻き込まないことを約束する!」


ユウト「そうかい…。じゃ、こいよヘタレショウタ。」


ショウタ(イラッ)


ショウタ「あ、いいこと教えようか?俺、今身体能力125倍。下手したら死ぬかもなぁ!!」


ショウタは踏み込んで右手を振り抜く!


バシッ!


ショウタ「な……⁉」


ユウトはそれを受け止める。

多少後ろに後ずさってはいるが、キチンと受け止めているのだ。


125倍のパワーアップを果たしたショウタのパンチを。


ショウタ「どういう理屈だよ…?」


ユウト「テメェのチートみたいな能力と比べて、使い勝手の悪い能力だよ!…くっ……あんまり時間がないんでなぁ!すぐに決着をつけさせてもらう!」


ショウタ「1人で125倍に対抗できる方がよっぽどチートだわ!…制限時間でもあんのか?ま、関係ない。今すぐぶっ倒してやる!!」


*****


125倍のショウタと、それに拮抗するユウトが打ち合ったとき、闘技場全体が震えた。


司会「こ、これはどういう…?」


観客を守るバリアも、さらに頑丈で厚く、そして不透明なものに変わる。


観客や、司会からは中の状態は分からなくなる。


司会「き、緊急シールドが展開されました!中では一体どんな戦いが繰り広げられてるのでしょうか!!!!」


観客「わぁーーー!!!!!」


******


ショウタ&ユウト「うらぁぁぁぁぁ!!!!!」


ショウタとユウトの最後の戦いが展開される!


ショウタの剣に合わせ、棍を当てるユウト。



それはショウタも想定内だったようで、右手を離し、パンチを繰り出そうとする。


それに対しユウトは、ただ眼前に手を突き出しただけだった。


ショウタ「?」


怪訝に思いながらも、そのまま右手を振り抜こうとするショウタに対して、


ユウト「これはルール無用の“ケンカ”だったよな?」


そう言うと、ユウトは突き出していた手を開く。


パラパラ…


ショウタ「ぐっ⁉目が⁉」


ユウトの手には、先ほどショウタが行ったように、砂が入っていた!


ユウト「さっきのお返しだボケ‼」


ユウトの鋭い蹴りがショウタに炸裂する!


ショウタ「あぐっ……!!!!」


思わず後ろに2、3歩と後ずさるショウタ。


ショウタ「ち…成長してやがんじゃねぇか‼」


ユウト「今度はコッチからいくぞ!」


ユウトは棍を右から振った!


ショウタはそれに対して剣を当てる!


ユウト「甘いんだよ!」


ユウトは先ほどと同じように、左の棍をショウタの腹目がけて振り上げる!


ショウタは剣を少し引き、剣の柄でそれを辛うじて受ける!


ユウト「な⁉」


ショウタ「成長したのはお前だけだと思うなよ‼」


バキッ!


ユウト「うぐぅ!!!!」


ショウタのパンチがユウトの鳩尾に炸裂する!


ユウト「ち…やるじゃねぇか…」


ショウタ「さっさと倒れてくれればいいのによ!」


ショウタは一旦下がると、剣を構えなおす。


ユウトも後ずさりながら、棍を構えなおす。


ユウト「へへっ…初めてだよなぁ…。お前とこうして本気でケンカすんの。」


ショウタ「あ?いきなりなにを言って…?」


ユウト「…楽しいなぁ!ショウタ‼俺、この世界来てよかったよ‼」


ショウタ「…俺は、125倍に対抗するやつとなんか二度とケンカしたくねぇよ‼」


ショウタ「うおぉぉぉ!!!」


ユウト「うらぁぁぁ!!!」


*******


司会「…おっとぉ⁉ついにシールドが外されました!果たして、一旦どちらが勝ったのでしょうか!!!」


シールド内は煙がすごく、一時はなにも見えない…。


だが、シールドを開けたことでそれは取り去られる、すると……


司会「なんと!全員倒れています!この試合!引き分けです!!!」


ショウタとユウトは互いに背を向けて倒れていた。


後ろで、マリナさんも気絶している。


ピー!


っと終了の笛が鳴り、救護の人がバタバタと闘技場に入ってくる!


ユウト「……なぁショウタ。」


ショウタ「…なんだよ。」


ユウト「また今度勝負しような!」


ショウタ「…へっ、二度と御免だっての…」


こうして、決勝戦は幕を閉じた。


*******


〜次の日〜




〜ユウトside〜


司会「えっ⁉いいんですか⁉」


ユウト「あぁ、良いって言ってんだろ?」


司会「で、でもそれだと“あのお方”に…」


ユウト「あー……もうそれもキャンセルにしといてくれ。負けちゃったしな!」


司会「負けちゃったって……あなたまだ能力も使ってな…」


ユウト「黙ってろ。そろそろショウタが来る」


ドアの外から声が聞こえた。




〜ショウタside〜


ショウタ「いてて…まだ昨日の傷が完治してないんだけど……」


サヤカ(私の治癒魔法でも治らないんですね…。これはよっぽどです。でも、あと1日もあれば治りますよ)


ショウタ「そうか?だったら良いんだけど…」


ファナ(治ったらショウコちゃんでいっぱい遊ぼうね!)


サヤカ(はい!それはもちろん‼)


ショウタ「……言うなとは言わない……けどせめてさ、俺がいないところでそういうの話してくれる?リアルで凹むから!」


ショウタ「っと、ユウトの部屋もすぐそこだな。」




〜ユウトside〜


ユウト「いいな?あの契約がショウタに知られるのはソッチにも迷惑だろ?黙ってろ。」


司会「っ‼……はい。」


ガチャ


ドアが開けられる。




〜ショウタside〜


ショウタがドアを開ける。


ショウタ「お邪魔しまーす!」


ユウト「おうショウタ!まだ怪我治ってねぇの?」


ショウタ「あぁ…まぁな。お前がボコすか蹴りやがるから!」


ユウト「コッチだって、まだショウタに殴られた鼻が痛いっつーの!ボコすか殴りやがって‼」


そして少しの沈黙があったあと、


ショウタ&ユウト「プッ、あはははは!」


ショウタ「なんだ、その…昨日は悪かったな。色々言ったり、殴ったりして。」


ユウト「コッチだって、色々やりすぎたかなとも思うから、ごめんな。」


ショウタ「…で、結局、勝敗はどうなったわけ?」


ユウト「あー、それなんだがな?」


ユウトが軽く目配せをする。


司会は一瞬戸惑うが、ユウトが睨むと観念したように話す。


ショウタ(今のは一体…?)


司会「…あのですね、ユウトさんのご意見によって、ショウタチームの勝利となりました‼」


ショウタ「は?え、でもあれは思いっきり引き分けなんじゃ…」


ユウト「いいーんだよ!コッチは色々楽しめたし、満足したからよ!」


ショウタ「満足した…?いや、お前、負けたら出られないんじゃ…」


ユウト「実はな、俺とマリ姉は奴隷じゃないんだよ!」


ショウタ&ファナ&サヤカ「……えっ⁉」


すると、これまでずっと無言だったマリナが話しだす。


マリナ「私たちは観光のような目的でコッチに来たの。それで、その戦闘スキルを買われてここに招待されたってわけなのよ。」


ショウタ「じゃ、じゃあもし負けても…」


ユウト「関係なし!むしろ報酬すら貰えてウッハウハってわけですたい‼いやー、ごめんねー、俺達こんなに幸せでいいのかしら!」


ショウタ「テンメェ……」


ユウト「ってわけだから、ショウタ!無事に脱出して目標クリアしろよ‼俺たちは報酬で遊びながら見守ってるからさ☆」


サヤカ(なんですか?殺して良いんですか?ショウタ。)


ユウト「そいつはやめてくれよサヤカちゃん。125倍のショウタにこのボロボロユウトさんが勝てるわけないから」


サヤカ(っ‼聞こえてる⁉)


ショウタ「そういやユウト、お前、心読めるの?」


ユウト「あ、言ってなかったっけ?わたくし、ユウトさんの能力はこれなのですよ‼」


ショウタ「へぇー、まぁお前らしいっちゃらしいけど。」


ユウト「っと、そろそろお迎えの時間だ!」


ショウタ「お迎え?」


ユウト「お金がありすぎて、メイドさんが迎えに来るんだよ!いやー、ホント参った参った」


ショウタ「よし!今から殺すから、メイドさんに治療してもらいな☆」


ユウト「いや殺す言うた!お前、殺すって言った‼治療もクソもねぇだろ‼」


ショウタ「しょうがないなぁ。あ、マリナさん、さっきこいつ『世界の中で誰よりも君を愛してる』って…」


マリナ「わ、私に⁉そ、そんな…」


マリナさんは意外と、赤面して俯くが、それを見たあとにたっぷり間を置いて、


ショウタ「メイドさんに!言ってましたよ‼」


場が凍った。

比喩ではない、皆一様に動かないのだ。


マリナ「へぇー……そう。」


ユウト「いや待てマリ姉さん⁉完璧にコイツ嘘だろ⁉メイドの存在知らなかったんだぞ⁉」


ショウタ「ユウト…嘘はよくない。」


ユウト「テメェのことだ‼」


マリナ「ありがとう教えてくれて。ユウちゃんのことは私がたっぷり調教…遊んであげるから」


ユウト「調教って言ったよこの人!人に対して調教って‼」


マリナ「ショウくんは頑張って脱出してね?」


ショウタ「はい!調教…たっぷり遊んでやってください!」


ユウト「おいこらテメェら人をなんだと思ってやが」


マリナ「モルモット」


ショウタ「親の仇」


ユウト「どんだけだ!マリ姉も酷いことながら、ショウタなんて訳わかんねぇよ⁉」


ショウタ「じゃ、俺たちは部屋に戻って作戦会議でもしよっかな。ユウトはまぁ、そのメイドさんとやらと末長く、お幸せに‼」


ユウト「おいこらぁ‼待てってこの…」


ガチャ、バタン。


ショウタ「ふぅ。疲れた。」


ファナ(そういえばショウタ。)


ショウタ「ん?どうした?」


ファナ(ユウトってさ、心読めたんだよね?…どうやって勝ったの?)


ショウタ「どうやって?そんな、普通に…」


ショウタ「っ‼」


ファナ(心が読めるんだったら…相手の心読めるわけで、次の攻撃とかバレるよね?どうやって勝ったのかなぁって……)


ショウタ(あの野郎……)


ショウタにユウトの言葉が蘇る。




〜昨日の戦いにて〜


ユウト「引き分け…か」


〜回想終了〜




ショウタ(次は、本気のあいつをぶっ倒してやる‼)


サヤカ(…そうですね。次は私たちも負けないようにしないと‼)


ファナ(そうだね!私達がショウタを守ってあげないとね!)


ショウタ達は、そう決意した。




*オマケ*


サヤカ(そういえばショウタ、さっきマリナさんに『ショウくん』って…)


ショウタ(ギクッ!)


ファナ(もしかして…現実世界にいたときからそう呼ばれてたの…?)


ショウタ「わ、悪いかよ⁉別に俺が好き好んでそう呼ばれてるわけじゃないんだし‼」


ファナ(ふーん?……ショウくん!)


ショウタ(ドキッ‼)


ショウタ「え、え?なぜファナさんが…?」


ファナ(なんかショウタ可愛い‼)


サヤカ(じゃあ私は『ショウちゃん』です!)


ショウタ「それはやめ…‼」


ファナ(ダメだよサヤカ、女の子になったときにそうやって呼ぶの‼)


サヤカ(あ、そういえばそうでしたね‼)


ショウタ「…………」


*おしまい*




お疲れ様でした!

今回は作者的に楽しい回でした!


読者の皆さんにとっても、楽しいと思われてたら幸いです‼


この世界に来て、ユウトはなにをしてるのか。

目的や、ユウトの冒険など。

一切、この小説では書きません!


夕凪って人の小説の主人公なので、気になる方はそちらをご覧ください。

そしたら、ユウトの冒険がわかります。


伏線立てて、放置してるわけではないので、そこはご了承下さいm(__)m


……ところで、もう1つ小説作ったんですよ私。


妄想ヒーロー

ってやつです。

みてくださったら嬉しいです!


次回は3話連続の予定です!

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