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「なのに、どうしてこうなった?」
死んだはずがなぜか見知らぬ場所にいた。
色々あって教会へ行けば助けてもらえると聞き歩いていた。
親切な人に飲み物をごちそうになった。柑橘系が香る中々うまいものだった。
気づけば奴隷にされて首輪をかけられ外鍵の掛かった部屋に閉じ込められた。
だめだ、考えてもさっぱりわからない。こちとら夢と現実の判断もついていないのに、展開が急すぎる。
でもわかっていることは、この身体は病魔に侵されてはいない。またこうして、当たり前のように息を吸い、立って歩くことができるようになったということだ。
夢であっても、最後に良い夢をみれたと喜ぼう。問題は、これが夢でなかった場合だ。
あれか?異世界とか生まれ変わりとか、そういうやつなのだろうか。
ここに連れてこられる途中で鏡に映る自分をみたが、いいとこ小学校高学年といったところか。黒髪黒目の地味な顔立ちだったのが、随分と洋風にかわっていた。栗色の髪に目はどうだったかな、少し明るい色になってたように思う。顔立ちはかわらず地味ではあったが整ってみえた。
俺に飲み物を奢ってくれたと思ったら、首輪をかけて奴隷呼ばわりしてくれたおっさんが、明日ゆっくり話をしようと言っていたな。
この部屋には他に誰もいないし窓もない。横になれる場所はあるから寝てていいのだろう。石造りの床に厚手の布を敷いただけのものだが。
外を歩いていた時に少し日が落ち始めていたから、20時前ってところか。晩飯は出るのだろうか。
取り留めもなく考え事をしながらも、俺はこれが現実なのではないかと、確信めいた思いをもっていた。
夢ではありえないほどに全てがリアルなのだ。しかし死んだと思ったら生まれ変わってました、は中々に信じ難い。
明日以降、なにが起こるかはわからないが、いまは様子見だ。現状を把握したい。
ここはどこなのか、自分はだれなのか、そもそもここは地球なのか?
恐らくは違うだろう。だって羽生えてる人が空飛んでたしね。獣人ていうのか、犬っぽい人が普通に歩いて喋ってたしね。
なにもわからない。
でも、もし本当に生まれ変わっていたら。
俺は、もう後悔をしながら死ぬのはいやだ。
なにか1つでも、生きた証が欲しい。
今度こそ、胸を張って生きていきたい。
ここで寝て、目が覚めたら、きっとわかるだろう。ここが夢の世界なのか、現実なのかが。
興奮して眠れそうにないが、身体は疲労困憊である。
そっと目を閉じれば、程なくして睡魔がやってくる。うつらうつらと意識が落ちながら、どうか目が覚めても、この世界で、新しい自分でいられるようにと祈った。




