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創造神は救いたい  作者: ヒヨコのピヨ


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20/36

あり得る”未来”

ちょっと長めです。

陽介の意識は、深い眠りとともに暗闇へ沈んでいった。

しかし次に目を開けたとき、そこは日常とはかけ離れた世界だった。

空は灰色に染まり、街は赤い警告灯の反射で揺らめいている。

遠くでは爆音と、叫び声……そして、何かが暴れている轟き。


(ここは……?)


陽介はビルの屋上の端に立っていた。

冷たい風が服を揺らす。

しかし足元の瓦礫は、まるで“今この瞬間”起きている現実のように生々しい。

視線を前に向けると、街のあちこちで黒煙が立ち、

その中心が妙に“計画的”なのがわかった。

主要駅前。

高速道路の分岐点。

空港の近く。

大規模商業施設の周辺。


——すべて、交通・物流の要衝ばかり。

(なんで、こんな……同時に……? 偶然じゃない……)


自分の声が頭の中で響いた。

その瞬間。


「陽介! 時間ないぞ!」


階段を駆け上がってきたのは、黒髪を振り乱した黒川倫だった。

タブレットを握る手が震えている。


「全国で異常能力反応……しかもパターンが同じだ。これ“自然発生”じゃない。誰かが仕掛けてる!」


続いて、肩で息をしながら星野そらが屋上に飛び込んでくる。


「先輩っ! 操られてる人たち……動きも能力の使い方も完全に統一されてます!普通の暴走じゃありません!」


そこへ、通信端末を耳に当てた滝本が焦燥を隠せない声で言った。


「……だめだ、救助要請が多すぎる……!各地の交通網、全部機能停止し始めてる!これ、全国マヒのカウントダウンだぞ!」


そして、背後では南が必死に叫んでいる。


「陽介くんっ! “重力系”が空港で暴れてる!あれ止めないと……飛行機が……!」


仲間それぞれが分担して、この異常事態に全力で食らいついている。

息も絶え絶えなのに、誰も諦めていなかった。

そこで、空からゆっくりと一人の影が降りてくる。

髪は淡い銀色。

瞳は深い青。

異世界じみた雰囲気をまとった青年だった。

彼は静かに地面に降り立つと、陽介だけを見つめて言う。


「……少年。この未来は“君の選択の先”だ」


陽介が息を飲む。まるで、”本当の自分”に話しかけているようだったからだ。


「俺が……能力を配ったせいで……?」


またもや自分の声。今度は自分の口が勝手に…。

彼は首を横に振る。


「違う。能力を配ったこと自体は、世界の調和を保つ選択にもなり得る。しかし――君は“第三者の介入”を想定していなかった」


第三者。


(……誰かが……この状況を“作った”……?)


そんな”未来の”陽介の思考を遮るように、再び地上から黒い光柱が立ち上がった。

空を裂くような黒の閃光。


「陽介! まただ!」


黒川が叫ぶ。


「これ、完全に制御されてる! 能力者たち……やっぱり“操られてる”んだよ!」


星野が青ざめ、滝本は歯を食いしばり、南は涙を堪えていた。

ユラナスはほんの少しだけ陽介へ歩み寄り、

低い声で静かに告げる。


「少年。この未来を変えられるのは、君だけだ」


陽介の心臓が大きく跳ねた。

炎の街。

仲間の必死の声。

黒い光の中心で暴走する“誰か”。

そして、彼の厳しくも優しい眼差し。

視界が歪む。

音が遠のく。

街の悲鳴が薄れていき――

最後に聞こえたのは、銀髪の彼の声だった。


――選べ。黙ってみてるか、これを変えるか。

タイトルは、リゼロの中の言葉「ありうべからざる未来を見ろ」を少しだけ真似しました。

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