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創造神は救いたい  作者: ヒヨコのピヨ


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決断と、猶予

日常回です。

――眩しい。

まぶたの裏に残る白光の余韻と、胸の奥に沈んだ重さだけが、夢が現実に近すぎたことを告げていた。

陽介はゆっくりと身を起こした。喉が乾いている。

昨夜、覚悟を決めたはずだった。

能力を配る。

けれど、ただばらまくだけでは世界が壊れる。

だからこそ制限をつくる。ルールで縛る。

そう決めたはずだったのに、夢の中で見た“未来の惨状”が、胸の奥にまだこびりついている。


「……はぁ。なんだよ、これ」


自嘲気味に吐き出し、髪をくしゃりと掻く。

でも――決めたことは変わらない。変えられない。

覚悟は、一度折れてもまた立てればいい。

陽介は布団から抜け出し、顔を洗い、深呼吸した。


「……今日くらい、普通に過ごすか。最後になるかもしれない日常だし」


そう呟いて、家を出た。

___________________________________

昼近くまで、ただ町を歩いた。

変わらない景色。静かな風。遠くの子どもの声。

そのすべてが、今日だけ少し鮮やかに見える。

人通りの少ない川沿いの道で、不意に聞き慣れた声が飛んだ。


「あっ、陽介くん? どうしたの、こんな時間に」


野々花。

手には犬の手綱が握られている。表情は相変わらず柔らかい。犬もかわいい。


「んー、ちょっと散歩。気分転換」

「体調、大丈夫? 昨日ちょっと疲れてたし」

「大丈夫。むしろスッキリしてるくらい」


そう答えると、彼女はふっと笑った。


「うん、なんか顔が明るいよ。じゃあまた明日、学校で」

「おう。またな」


彼女が歩き去る小さな後ろ姿を見送りつつ、陽介は胸の奥でひっそりと決意を強めた。

___________________________________

家に戻ると、なぜか玄関から聞き覚えのある声がした。


「――だから、この処理はもっと効率化できるって」

「う、うるさいです先輩! ぼくの書いたコードに文句つけないでください!」


黒川と星野だった。

なぜか靴が揃えて置いてあり、まるで“待ってました”と言わんばかりに家に上がり込んでいる。


「おかえり、陽介。昼飯、まだだろ?」

「ちょうど食べながら話そうって!」


リビングに移動すると、なぜかすでにテーブルの上にはカップ麺とコンビニおにぎりが整列していた。


「……お前ら、家か?」

「まあ、そんな感じでいいんじゃない?」

「ぼくは黒川先輩が来るって言うからついてきただけです!」


なぜ勝手に家上がってるんだとため息をしつつ、そのことは流してあげて笑いながら三人で昼食をとり、そのまま学園祭のゲーム案の話へ。

バグの話で黒川がむすっとし、星野が盛大にツッコミを入れ、陽介がなだめつつアイデアを膨らませる。


――こんな時間が、ずっと続けばよかった。


でも夕方になり、二人は帰っていった。


「また明日っす!」

「じゃあな陽介。進捗、期待してる」


玄関が静かになり、陽介は深く息をついた。

さて。

ここからが本題だ。

机にノートとペンを広げる。

心臓が少しだけ早い。


「……始めるか。ルールづくり」


陽介はペンを取った。

静かな部屋に、カリ、とペン先が紙を走る音が落ちる。

今日までの“日常”が、ゆっくり終わっていく音だった。


陽介は犬好きです。

作者は猫好きです。

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