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第二章 25話 軟体の鬼─break time


 次は五項目の軟体一角雑技団だ。


バンシャ「お次は軟体一角雑技団!!彼らはここ日本から近い中国からの武芸者だ!ただ!普通の雑技団とは何が違うのか!それは…彼らはアジアでは有名なあのモンスターの血筋が通っているからなんです!さぁやって頂きましょう!ご覧あれ!!」




シュウ「雑技団って…あの柔らかい体を駆使して芸をする人達ですか?」


小張「そうね、よくテレビに出てるようなやつだけど…アジアのモンスターの血筋ってどういうことなんだろう。」


ワグ「何かよく分からねぇけどワクワクが止まらねぇぜ!」



 そして、小さい三味線のような楽器を持った中国の衣装を着た最初の五つ子オーケストラの二人が表れる。


 どうやら今回は照明を落とさないで始まるようだ。



小張「あれは二胡って楽器ね。中国の伝統楽器だね。」

 


 

 激しく流れるような演奏を始める二人。


 その演奏が始まるタイミングで入口から足が歩いてきた。




 観客から見たら完璧に足が歩いてきたのだ。



 10人出てきた彼らは皆、ブリッジをするように、折り畳み式携帯のような形で出てきたのだ。サササッと横に並びきった後、皆、上体をウェーブのように起こした。



シュウ「そういうことか…」




 パッと見てその人達を例えると、鬼だった。軟体一角雑技団の方々は全員角を持っていた。立派な長い角を持つ人、短い人、二本持つ人など十人十色な角があった。



シュウ「あの人達も何かあるんですか?」


小張「あれは角化症が酷くなったものね。あの角は全部皮膚なの。でもあんなに酷くなったものは見たことが無いわ。老人の方がなりやすいんだけど…若い人がああなるのは見たことない。しかも10人揃うなんてよく集まったと思うわ。」


シュウ「更に皆さん体が柔らかいなんて早々いないですよね。」


ワグ「宝くじ当てるくらいやべぇな!」


小張「例え方で分かるくらい本当頭悪い。」


ワグ「お前手厳しいな!」



 一角雑技団は二胡の楽器に合わせて数々のビックリ芸を見せてくれた。知恵の輪みたいにごちゃごちゃと絡み合ったり、組み体のように組み合ったりなど見せてくれた。角が相まってTVに出てるような雑技団より、格好いいものが見れたと思う。ただ、1つ、ワグさんが物申すものがあった。それは、二本角の人が頭を180度後ろに向けるビックリ芸だった。



ワグ「おいおい、180度しか回らないのかよ!回るんだったら俺の方がもっといいの見せれるぜ!」


 っと謎の対抗意識を燃やしていた。





バンシャ「以上で前半の部終了になります!お次はまた一時間後!ワクワクドキドキが止まらないのは分かるが、そこは一旦我慢してクールダウンだ!!購買部が外に出たので是非是非、摩訶不思議なグッズも買ってみてくれたまえ!では、また!!あ!!言うの忘れていたが、もしかしたら、、団員と鉢合えるチャンスかもしれませよ?」


 そう言ってバンシャは闇に消えた。




ワグ「聞いたか?団員と鉢合えるチャンスが有るかもってよ、これはノブってやつと合えるチャンスじゃないか?」


小張「うーん…まだ出てない人と会えるかは疑問だけど…情報は手に入りそうね。」


シュウ「そうですね、行きましょう!」


ワグ「何喰おうかなぁー!」



 ワグさんの謎の一言を無視し三人は外へ出た─




--------------


 ガヤガヤガヤ ガヤガヤガヤ

   ガヤガヤガヤ ガヤガヤガヤ



 ワグ「おーー!!すげぇな!!来るときとは全然ちげぇ!」



 外を出ると、さっきまでは無かった露店が出ていた。周りを見ると、先ほどバンシャが言っていたこれまで出た団員に関わるグッズが売ってあった。


 オーケストラのアルバムCD、ハーバートの毛むくじゃら人形、ペットとして飼える小さな蛇と蟹、フランとクランを模したクネクネに絡んだチュロス、軟体一角雑技団を真似できる作り物の角などが売ってあった。



ワグ「えぇーどれも欲しい!!角付けて見ようかな!!それとも部屋に蛇飼おうか…迷う!」


シュウ「角だけでお願いします。」




 そうこう他の店を楽しみながら拝見していると、人集りを見付けた。



?「ファッハッハ!!そしてね、言ってやったんだ私は!それはジョンの腕だったんだってね!!」



 ぶっそうな話だが周りが笑っている。きっと笑いの中心はブラックジョークが得意のハーバートさんだろう。



ワグ「絶対毛むくじゃらのおっさんだよな!中へ行こうぜ!」


 シュウの腕を強引に掴み人集りの中へ連れていくワグ。



シュウ「ちょ、ちょっと待ってくださいよー!」


 シュウの抵抗虚しく中へ…


小張「え!待ってよ!」


 小張も人集りの中へ入ったが、二人とは完璧にはぐれてしまう。更に大の男が多かったので女の小張は入った違う方向へ押し出されてしまう。


小張「うわっ!」


 ドン!!

?・?「キャッ!」


 勢いで誰かに当たってしまった。


小張「あ、すいません!ごめんなさい!怪我は無いです…か…」


 尻餅をついている人はあのクランとフランであった。


フラン「ちょっとー!私のクリームソーダこぼしちゃったじゃない!」

クラン「あ…う、すいません…そちらは大丈夫ですか?」


小張「だ、大丈夫です!本当申し訳ありません!クリームソーダは弁償させてもらいますから!」

 (こ、これはチャンスかも!!)



フラン「いや、大丈夫よ!別にお金とかには困ってないし、また買うわよ!」

クラン「わわ!大丈夫です!別にお金に困ってませんので、また買います!」


小張「いやいや!せめてものお詫びとして!」


フラン「ちょ、あなたそんなに奢りたいの?大丈夫って言ってるじゃない。」

クラン「そ、それに私達そんなに怒ってませんし…」


小張(や、優しい!でも、引き下がる訳には…)


小張「じ、実は昔からファンだったんです!」

 (苦し紛れ過ぎるか…!?)



フラン「ファン~!?」

クラン「ファン…」


小張「はい!昔テレビでもマジックをしてるところを見たので!」




フラン「へ、へぇーこ、困ったわねぇー」

クラン「ファンだなんて…は、初めて言われました…」


小張(意外と好印象じゃない!)



クラン「で、でも駄目です。それは最終的に団長に迷惑がかかるから…私達がクリームソーダたった1つでも奢られてしまってはこんなに人が居る今、嫌な噂が流れてしまう。それに個人と食事何かした時には周りが何を言うか分からない。だから駄目です。残念ですが。」


フラン「うん…そうね。ついついファンなんか言われて浮かれてしまったわ。クリームソーダはまた私達が何とかするから、、でも…そう言ってくれて嬉しかったわよ。」


小張(駄目だったか…)


小張「分かりました…時間を取らせて頂いてありがとうございました、」


フラン「まぁ、私達はきっとあなたの事を忘れることはないわ!この素敵な出会いは忘れられないもの!」

クラン「そ、そうですね!きっと!では、この後も楽しんでくださいね!」


小張「はい!」

 (んー…クランさんの方がガードが固かったか…しかも、この団長への厚い信頼は中々ほどくのは厳しそうかも…他の団員もこんなだったら…難しいな…)



ワグ「お!小張!どこ行ってたんだよ!」


シュウ「小張さん!大丈夫でしたか?」


 ワグがシュウを引き連れ戻ってくる。


小張「何ですぐどっか行っちゃうのよ!…で?ハーバートさんはどんな感じだった?」


ワグ「ふふふ…驚けよなぁー?」


小張「!、何か収穫が?」


ワグ「ジャーン!!ハーバートの毛を貰ってきたぜ!!」



小張「……」




 小張は休憩時間が終わるまでワグに対し口を開くことは無かった。



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