海ノ章 閑話1 夏期休暇!
まだシュウがいない頃のBARKERs…
食堂─
ワグ「あーーーー!!!あちぃー!!!」
今日は夏。
ではなく、秋。秋に入って間もない時だ。普通なら涼しくなっても良いのに全く涼しくならない。
アリサ「暑いですわねぇ…」
幾「暑いなー」
ワグ「ってかよーなんで室内なのにこんな暑いんだよー!!」
走川「それはな!ワグ!何故か知らんが、本部の空調機が壊れたからさ!」
恩田「ぶふぅ…俺にはこの暑さは耐えられないなぁ…」
ワグ「一大事だ。」
ダンッ!
彰「アアン!一大事ねぇぇン!!これが最後のかき氷よぉン!」
奥から五人分のかき氷を持ってくる彰。
百々「…これは一大事だ。」
小張「一大事ね。」
伊賀崎「一大事です。」
フランク「一大事っっ!!!!」
剣崎「誰がこの五つしかねぇかき氷を喰うか…」
奏「そういうことになりますね…」
ダン「僕とエミリアの分を除いたら後三つだね?」
エミリア「そうねダン!後は勝手にやってちょうだい?平民の方々?」
ひなび「だ、駄目ですー!皆食べたいんですからズルはいけませんー!」
一人離れて麻婆豆腐を喰らう焔は面倒臭そうに言った。
焔「はぁ…面倒くせぇ。もう力ずくでとったやつにすりゃ良いだろ。」
ガタガタカダンッ!!─
焔のその言葉により、第一次かき氷争奪戦は開戦された。
数々の激闘や、卑怯な戦法が飛び交う。暴力、買収、詐欺や強奪。凄まじい戦争だった。
結果食べることが出来た者は…
剣崎「やっぱうめぇな!暑いときに喰うかき氷はよぉ!!」
ダン「美味しいね、エミリア!」
エミリア「ダンと一緒に食べれるだけでももう卒倒してしまいそう…」
ひなび「た、食べますね、ごめんなさい皆さん!」
走川「ふふふ、すまないね皆!美味しく頂いてるよ!」
伊賀崎「美味しいです。すいません隊長。」
フランク「え、なんで?私、隊長だよ?隊長食べれないってどうして?皆酷くない?ねぇ?」
食べれなかった者はグデーッと机にへばりつく。
ワグ「駄目だったかぁー皆本気出しすぎだろマジでー…」
奏「悔しいですね…」
恩田「んぶぅ俺なんかが勝てるわけがなかったんだなー」
幾「あづーーもう溶けるーー」
そこでアリサはバンッと机を叩き起き上がる。
アリサ「そうですわ!!」
百々「…暑さでやられた?」
アリサ「違いますわ!閃きましたの!」
グデーッとした周りの皆は顔だけアリサの方を向く。
アリサ「海ですわ!海に行きましょう!夏期休暇!夏休みですわ!!」
ワグ「その手があったか!!!」
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Cf隊長室─
伊勢原「…夏期休暇は許そう。だけども…この人数で一気に取られるとなると…な?」
アリサ「えーー駄目なんですの?」
幾「この人でなしー!」
恩田「ぶーぶー!」
ワグ「暑くてやってられないんだよー!」
奏「すいません隊長…こんなに押し掛けて…」
フランク「私も駄目なのー?」
伊勢原「いや、フランクさんがここに居るのはおかしいですよ?」
アリサ「じゃあ、なんとかなりませんの?この暑さで皆さんやられてしまってますわ?」
伊勢原「それは困ったな…うーん…」
伊勢原は腕を組み深く考える。すると、通信機に手をやり、連絡を入れ始める。
伊勢原「608の任務の進行具合はどうなっている?……そうか、ありがとう。」
そして、通信を切り、ニヤリと笑う。
伊勢原「夏期休暇、良いだろう。」
アリサ「え!よろしいんですの?」
ワグ「やったぜー!」
幾「やったなー!」
奏「良かったです!」
恩田「ぶぅー!」
フランク「ヒャッフー!休めるー!!」
伊勢原「ただし、人数制限と場所は指定させてもらう。取り合えず今居るメンバーはフランクさん以外は許可を出そう。後は何かあった時のために、Bfから一人だな。」
フランク「F○○○!!F○○○!!!」
ワグ「え、どういうことだ?任務なのか?」
伊勢原「ああ、これは任務だ。充分遊んでくれて構わないが、視察をお願いしたい。」
幾「視察ー?」
伊勢原「ああ、視察だ。任務の内容なんだが、場所は島が三つだけ並ぶ国、四年前に新しく国として見なされた所だ。そこの一つの島、ングリムラム島の西海岸を視察してきてほしい。」
奏「視察…っていうことは、何かあるのでしょうか?」
伊勢原「んー…まぁ噂程度のものだ。死者も怪我人も出てないんだが、妙な話が有るんだよ。」
ワグ「妙な話ぃ?」
伊勢原「ああ、大変オカルトで、信憑性が欠ける話なんだがね、、」
アリサ「お、オカルト?幽霊ですの?」
伊勢原「ああ。海水浴中に、どこからともなく笑い声が聞こえたり、体が急に出血したと思ったら傷一つ無かったり…このような怪奇現象が多々あるそうだ。」
幾「聞くだけで涼しくなりそうだなー」
アリサ「その様なオカルトは苦手ですわ…」
伊勢原「まぁ、勘違いやイタズラが重なったり、能力者の可能性があるからな。一度行ってみて欲しい。」
アリサ「わ、分かりましたわ…」
幾「了解ー」
ワグ「おう!」
恩田「んぶ!」
奏「はい!」
フランク「どうせ私は行けないんだ!どうせ私は!!」
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─廊下
五人で廊下を歩き、幾とアリサは楽しそうに会話を広げていた。
幾「いやー楽しみだなー海ー」
アリサ「そうですわね!でも、ちょっと怖いです…」
幾「ま、大丈夫だよー。あ、アリサ、水着とか用意したかー?」
ワグ「!?」
恩田「!?」
奏「?」
少し離れて会話をしていた三人。会話してる途中に二人がクワッと表情を急に変えて険しい顔になる。
奏「え、どうしたんですか?」
ワグ「奏、ちょっと黙っててくれ。」
恩田「んぶふ…水着、水着って言ってた…」
ワグと恩田は聞き耳を立てる。
幾「アリサは奇抜なの着けてそうだよなー」
アリサ「うふふ♪どうでしょうか、幾はセクシーなの着けてそうですわ?」
幾「セクシーかぁー恥ずかしいなー」
ワグ「!?」
恩田「!?」
奏「?」
男三人はアリサと幾に聞こえない声で話す。
ワグ「聞いたか…奇抜な水着とセクシーな水着だってよ。」
恩田「んぶふ!生きてて良かった!生きてて良かった!」
奏「あー…なるほど、そう言うことだったんですね。」
ワグ「こりゃ本当に楽しみだぜ!!」
恩田「んぶふ!!」
ングリムラム島への夏期休暇まで残り二日後、行くメンバーは心踊らせその時を待った。
ングリムラム島視察編─開幕!