第四話 第3回戦開始 シュラ・マクスウェルvsアドレナ・グラン そして動き出す闇
余談を投稿しようと思ったのですが間に合いませんでした。申し訳在りません。なので一気に三話投稿します。
本当に申し訳在りませんでした。
「ふぅ~疲れた疲れた、メチャクチャ疲れた」
"一時はひやひやしたぞ、倒れてから数分、ピクリとも動かないんだからな"
「ん~多分、あのときの俺は気絶してたんだと思う......」
"そうなのか! だから言っただろう、危険だと! もうあんな無茶はしないでくれ! ......もう2度と主を失いたくないからな"
「ん? なんか言ったか?」
"兎に角! 命は大切にしろ!"
今ハヤトは、リングから降りて、控え室へ向かう道を歩いている。数分歩いていると、壁に寄りかかっているシュラがいた。
「見事だったな、ハヤト。ところで聞きたいことが在る。ハヤト・カンザキ、お前はこの世界の人間じゃないだろう」
「............よくわかったな。やっぱ時間とか知らないからか?」
「まあな」
「そう、俺はこの世界の人間じゃない。だが今は大会に集中したい、話すときが来たなら話そう。だからその質問の答えは、そのときまで保留にしておいてくれ」
「まあ、無理に聞き出す気は無い。いつか聞かせてくれ」
「.........有り難うな。そういやシュラは、この大会が終わったらどうするつもりなんだ?」
「故郷の村に戻るつもりだが」
「なら俺と一緒に旅をしないか」
「............」
「きっと楽しいぜ」
「フッ......その提案に乗ってやろう。お前との旅は退屈しなさそうだからな。それに質問の答えを聞かなくてはならないからな」
「おう、これから宜しくなシュラ」
「此方こそ宜しく頼む」
「ま、それより今は大会だな」
「ああ、そうだな。それより負けるなよ」
「シュラこそ負けるなよ」
「当然だ」
そう言い交わしハヤトは、ヴェルクロムのところへ行った。目的は時計を扱っていないか聞きくためだ。工房兼屋敷につくと何かを作っていた。
「なぁヴェル、何を作っているんだ?」
「ん? ああ、でっかい15人ぐらいが乗れる馬いらずの馬車だ。大方完成しているんだが、動力源と操縦方法方法がまだ出来ていないんだ。だから当分完成しないだろうな」
「そ、そうなのか......あぁ、それより時計って無いか?」
「時計?」
「ああ、時間を図るやつだよ」
「時針盤か、あるぞ。古いタイプだが使えるだろう。ちょっと待っててくれ、いじくるから」
「わかった」
そう言ってから30分ぐらいがたった後、時針盤を持ってきた。
「幾つか調整したが、大分使いやすくなったと思うぞ。この尖った部分を押すと、蓋が開くようになっているんだ」
そう言われヴェルクロムから渡されたのは、銀時計風の時計だった。蓋には八芒星のマークの中心に8枚の花弁が刻まれている。雰囲気のある時計、もとい時針盤だ。
「なんか高価そうな時計だな。いくら払えばいい」
「う~ん、ただという訳にも、いかないんだよな......40000シリンで手を打とう」
「了解した.........ほい40000シリン丁度だ」
「毎度あり」
ヴェルクロムから買い物をした後ホテルに戻り、夕食を済ませ、自室に戻った。そこでドラゴールとの戦闘に向けて策を練る。アメも人形になり協力してくれた。
「う~ん......いい作戦が思い付かない」
「そのまま突っ込めばいいんじゃないか」
「う~ん......そうだ、臨機応変に対応する」
「それでいいんじゃないか」
「そうだな......もうこんな時間なのか、ちょっと出てくる、アメ留守番していろ」
「むうぅ~いっつもいっつも留守番って無くないか、ハヤト」
「いいから留守番していろ」
「むうぅ~わかった、我慢してるから早く戻ってきてよ」
「おう、わかった」
ハヤトはアメにそう言い部屋を出ていく。目的地は訓練場、何をしにいくかというと、絶気纏を学びにいくのだ。誰に? という質問もあるだろう。シュラやドラゴールと会っていては、さすがに八百長等と騒がれかねない。だからと言って中途半端には学びたくない。じゃあ誰に学ぶのか? それは訓練場につけばわかるだろう。そうこうしている内に訓練場についた。
「俺を待たせるとはいい度胸じゃないか、ハヤト・カンザキ」
「まあまあそういわないでくれ、明日の試合の策を練っていたら遅くなっちゃって、あとハヤトでいいぞ、|レガール・バルガ《・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・》」
「フっ、何を言う。こっちは攻撃をわざと逸らされた怒りがある」
「ま、まあまあ、そういわないでくれ。俺の絶気纏はまだ不完全なんだ。だからこそちゃんと学びたい」
「まぁ此方は負けたのだ。危うく殺されるところだったしな。生かされたと言っても過言ではないだろう。だから頼みを聞かなければいけないとは思うが......」
「なら、教えてくれ」
「わかっている。だが俺の絶気纏はドラゴールよりも弱い。だが俺には剣技があったからな。前大会では辛くも勝利したが、常にドラゴール優勢は変わらなかった」
「そんなに強いのか」
「ああ、それより作戦はどうなったんだ」
「臨機応変に対応する、で決まったぞ」
「馬鹿か、まあそれが一番いいかもしれんな」
「何でだよ」
「あいつに搦め手は効かないからな。下手な作戦を立てるより、今のようなシンプルな作戦も方が良い」
「そうなのか」
「ああ、それよりさっさと訓練をするぞ。お前には今から言う技を、すぐ覚えてもらう。これがなければ、お前はドラゴールには勝てないだろう」
「わかった。早速訓練をしようぜ」
「フン! 威勢の良いやつだ。これからお前に覚えてもらう技は.....」
ハヤトは夜遅くまでレガールと訓練をした。丁度2時頃まで訓練をしていたので、部屋に帰ってくるなりすぐ眠ってしまった。そして《グランアーサー》3日目、またもシュラに起こされスタジアムに向かい、控え室に入って自分の試合待つ。そして3日目が開幕した。まずは、シュラとアドレナの試合だ。そして実況の言葉で入場する。
「さぁて《グランアーサー》も3日目に入り、いよいよ大詰めとなって参りました。まずは、第3回戦第1試合を開始したいと思います。3回戦ともなれば説明が必要でしょう! では両選手入場です!まずは、マクスウェル選手の説明からさせていただきます! シュラ・マクスウェル選手、今大会初出場ながら、1回戦では他選手をリング外に落とした数は、大会最高記録の200人を超えて231人! 圧倒的な実力を持っています。まだ20才にしてこの場に降り立った、まさに鬼神がごとき強さです。一撃一撃の威力はとてつもなく、前大会準優勝者のズール選手を開始30秒、素手で撃退しています! まさに、純粋なパワータイプですね。次はグラン選手について、説明させていただきます。アドレナ・グラン選手、彼女も今大会初出場ながら1回戦では100人をリング外に落としています。可愛いらしい外見ながらも相当な実力を秘めていると思われます。一撃一撃の威力は普通ですが、そのスピードは今大会一でしょう。さて長い前置きはこれぐらいにして、《グランアーサー》第3回戦第1試合開始ですっ!」
実況の叫びと銅鑼の音で、試合が開始された。アドレナはシュラ目掛けて突進した。シュラも今大会初めて剣を抜き、アドレナを撃退しようとする。アドレナはシュラの剣が自分に届く前に右に跳び、避けると同時にシュラ目掛けて3つのチャクラムを投げる。シュラは1つ目を剣で払い、2つ目は避け、3つ目も剣で払った。シュラがチャクラムを捌いているのを見て、アドレナは6本のクナイを投げる。シュラは、この数は捌ききれないと判断して後方に跳ぶ、アドレナはそれを見越していたかのように、シュラに接近していた。
「なにッ!」
「これで......終わり!」
「チッ! "召喚 氷熱結界"」
「ッ!」
シュラがそう唱えると、スタジアムがまるで夏と冬に別れた。半分はとても暑苦しく、もう半分はとても寒く悴んでしまう。そのなかでシュラは平然としていた。アドレナも悴み、まともに動けないらしく、その場に立っているだけで精一杯そうだ。
「どうした、終わりじゃないのか」
「クッ!......こんな......技を......隠し......持って......いたの?」
「俺は、あまりこの能力を使いたくないんだ」
「な......ぜ」
「お前もわかっているのだろう、こんな能力を使えばまともに、試合ができなくなるではないか」
シュラはそう言うとこの結界を解いた。
「何故......解いた......の」
「もう少し真面目に戦いたいのでな、全力で来い」
「わかった......もっと......力を......込める!」
「フッ、かかってこい」
そう言い交わしまた戦闘が始まる。アドレナは腰にさしていた、鍔の無い長短二本の刀を抜き攻めている。アドレナは時折、チャクラム等を投げて牽制し、次の行動の選択肢を狭める。一見、アドレナ優勢に見えるが、その実シュラがジリジリと押している。刀で攻撃しても傷が与えられない。チャクラムやクナイを投擲しても凍らされる。もう勝敗は決しているだろう。それでもアドレナが負けを認めないのは、譲れないものがあるのだろう。だがそのときは呆気なくやって来た。
「もう終わりだ。負けを認めろ」
「クッ!」
体力が無くなり膝まついたアドレナに、シュラは冷たく声をかける。
「ま......だ......負け......て......いな......い」
「いやお前の負けだ。もうお前じゃ俺には掠り傷1つ、つけられない」
「クッ!......でも......まだ......負けて......いない」
「今ここで降参宣言をすれば、お前の実力なら3位になれるだろう」
「......クッ! ......実況......降参......します」
「オオット! ここで降参宣言だ! 第3回戦第1試合勝者シュラ・マクスウェル選手だ!」
実況の言葉につられスタジアムは大きな歓声に包まれる。シュラは自分の控え室に戻る道中でハヤトと会う
「ひどいなシュラ」
「あいつは3位になれるはずだ、俺と戦っても勝てないのは明白なのに、挑んでくればあいつは3位にもなれないだろう」
「それでも譲れないものがあるんだよ。人間にはな」
「わかっている。だがな、手に入れられないものを求めて、手に入れられるものを見落としたら、意味がないんだ」
「まぁ、確かにそうだけど、譲れないものは譲れないんだよ」
「そうかもしれないな」
「シュラはなんか知っている感があるよな。何かあったのか」
「この前、俺の師匠が殺されたといったよな」
「あ、ああ言っていたな」
「そのとき俺は、師匠が死ぬ瞬間には立ち会っていないと、言っただろう」
「ああ」
何が言いたいんだ?
「だが本当はな、俺は師匠が死ぬのを、目の前で見ていたんだ」
「ッ!」
「師匠が目の前で殺されかけてて、俺は師匠の逃げろという忠告を無視して、相手に挑んだ。その結果、師匠は死に、俺は左腕を失った。あのときのことを思い出すと、自分はよっぽど馬鹿だったんだなと思う。もし師匠の忠告を聞いて逃げていれば左腕を失わずに済んだかもしれない。そう思うと本当に自分のことが嫌いになる」
「そんなことがあったんだな」
「ああ......すまないな、こんなことを話して。適当に流してくれ」
シュラは自分の過去について一部語ってくれた。師匠のことと自分の左腕のこと、相当辛かったんだろう。ハヤトも心当たりが無い訳じゃない。両親のことを考えると今でも後悔の念が浮かび上がってくる。だがそれは当の昔に吹っ切れている筈だ。そこでふと、妹の顔が浮かび上がる。
(アイリ......今ごろどうしているんだろうな......こんな兄のことは忘れて、自由に過ごしてくれて良いんだ、お前は何も悪くないんだから)
ハヤトはそう思いながら、シュラと共に控え室に戻った。するとスタジアムの方から、ドガァァン! と爆音が鳴り響く。
「何だよ!?」
「わからないな、盗賊の類いじゃないか」
「盗賊があんな威力の魔法持っていたら、いろいろとヤバイんじゃないか」
「確かにそうだな......少し見てくる」
「ちょっと待て」
「何だ」
「むやみに突っ込んで捕まったら意味がないだろ」
「確かにそうだが」
「二手に別れよう。シュラ、外の敵の動きを停止させてくれ、俺はスタジアム内の敵を足止めしているから、外の敵を片付けたらスタジアムの敵の動きを止めてくれ」
「わかった」
「それじゃあ作戦開始だ」
「了解した」
そう言い交わし作戦を開始した。シュラはスタジアムの外に向けて走り出した。外に続いている道にも敵は居たが、体術で薙ぎ払って行った。そして外に着くと、案の定敵が、ざっと見200人ちょっと居た。
(盗賊ごときにこの戦力、あり得ないだろう。何者かが、後ろで手を引いているのかもしれないな。もしそうなら、あの魔法の威力は納得できる。まぁ今はどうでも良いことだ)
そう思ったシュラは身構えた敵に対して、1つの魔法を唱えた。
「"召喚 絶対零度"」
シュラが魔法を唱えると、敵が全員一瞬にして氷漬けになった。
「そこで少しじっとしていろ。死んではいないのだからな」
「ほう、死んではいないのですか、なかなかに有能ですね」
「何者だ、貴様......ッ! その顔は!?」
「名前だけなら言ってもいいらしいので、名乗らせてもらいます。今はマグナス・リボルバーと申すものです」
マグナス・リボルバーと名乗った黒のロングコートを着た、マフラーをした仮面男は何処か不気味だった。そこでシュラが反応する。
「マグナス・リボルバー!?」
「おや、何処かでお会いになりましたか」
「俺を忘れたか! マグナス・リボルバー! 俺は、シュラ・マクスウェルだ!」
「シュラ............記憶にありませんねぇ、どなたですか」
「なんだと!? クソッ! "召喚 大火炎渦"!」
シュラがそう唱えると、マグナスを中心に炎の渦が形成される。その炎の渦は地面すらも溶かしマグナスを呑み込んでいく。
「これは危険ですねぇ」
「そのまま消えろ!」
シュラの言葉で炎の渦が勢いを増し、マグナスを完全に呑み込んだ。シュラはほっとしていたが、何処か納得出来なかった。かの敵を倒したのに、恨めしい宿敵を倒したのに、心がスッキリしなかった。その理由はすぐわかった。何処からともなくマグナスの声が聞こえたのだ。
「殺されてしまいましたねぇ。思い出しましたよシュラ・マクスウェルくん。あのとき何も出来ずに左腕を奪われた子供が、大きくなりましたねぇ」
「貴様ッ! 何処だ! 何処に居る!」
「ここは退かせていただきます。スタジアムの中に居る兵には、気を付けた方がいいですよ。とても強いですから。ではさようなら」
「まてッ!」
シュラの声は空に虚しく響いた。悔しいがその後、心を入れ替えスタジアム内のリングに向かう。そこでシュラはとある光景を目にして、驚愕していた。
「なんだこれは!?」
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丁度シュラと別れて、敵を倒しながらスタジアムに向かっているとき、戦っている一人の少女と、一人の男を見つけた。
「何をやっているんだ二人とも」
「カンザキか、こうやって敵を倒している」
「うん......倒してる......頑張って......」
黒髪碧瞳で髪を三つ編みにしている、くの一装束のアドレナと、黒髪黒瞳で道着を着込んでいるドラゴールが共闘していた。中々の数の敵を倒しているらしく、倒された敵が積み重なり、山を作っていた。
「凄い敵の数だな」
「どいつも......こいつも......弱い......もっと......強いやつと......戦い......たい」
「相も変わらず気の抜けた、しゃべり方だな」
「私の......ペース......変える気は......無い」
「......取り敢えず、俺は観客席に向かって、敵を倒しに行く」
「俺も向かう」
「私......も」
「じゃあ速くむかおう」
「わかった」
「りょう......かい」
3人は共闘して、観客席にむかった。予想通り敵の数が多く、普通に出ていけば捕まるだろう。そこで1つの作戦をたてた。
「皆は観客を逃がしてくれ、奴等は俺が惹き付ける」
「子ども一人に任せられると、思うか」
「そう......私......たちも......戦う」
「人の命がかかっている。俺も命懸けなんだ。頼む」
「......わかった。くれぐれも気を付けろ」
「気を......付けて」
「おう......頼んだぞ、二人とも」
ハヤトがそう言うと2人は頷き観客席へむかった。ハヤトは単身リングへむかい、敵を倒していった。
「ウオォォラァー!」
「ウワァァー!」
「な、何事だ!」
「敵襲です!」
「何だとこちらには人質だって居るんだぞ!」
「そ、それがもう、人質は半分くらいに減っており、見張りの兵も誰一人機能していません!」
「な、何だと!? そんなことがありえるのか!?」
「わかりません! ですが現在起きているんです!」
「くっ......こうなれば、リボルバー様より貸していただいているあれを使うか」
「は? なんのことですか?」
「お前は知らなくてもいい」
「は、はぁ」
「クソッ! 予想より多いなぁ」
ハヤトは敵の数は200人ぐらいだと思っていた。だが実際倍ぐらい居る。敵の多さに愚痴を吐きながら、敵を倒していく。もう150人ぐらい倒した。まだ減らない。
「もう勘弁してほしい。どんな罰ゲームだよ」
「ウワアァァァー!」
「ッ! 何だ!?」
「クックック......アハハハハハハ! 小僧相手に使いたくなかったが、まあいいだろう! 死ねぇ!」
「っ! おいおい、なんだよこれ」
そう言ったハヤトの目の前には、巨大な太った...というよりも筋肉質な人間? らしきものが5体居た。どいつもこいつも仮面を付けている。気持ち悪い容姿だ。
「"狂った巨人"は再生能力も筋力も最高値を出している! 最高の玩具さ!」
「"狂った巨人"? なんだそれ」
「人間の肉体を改造しまくって出来た存在さ。クックック、面白いだろぉ」
「んなッ! マジかよ」
「さっさと消えろ!」
敵がそう言うと巨人が動き出した。ハヤトも最初は抵抗したが呆気なくやられてしまう。殴っても斬ってもすぐ再生するその体に為す術なく剛腕に掴まり、五体すべてに殴られる。袋叩きもいいところだ。そして長時間殴られたため、肉体がアザだらけになった。多分、腕の骨も折れてるだろうな。腕だけじゃない。アバラや脚、もしかしたら頭の骨にもひびが入っているかもしれない。
(ヤバイな、本当にヤバイ、勝てる気がしない)
意識が遠退いていく。そんなとき、誰かが心の内に話しかけてくるような気がした。
ここで死ぬのか? こんな所で死ぬのか?
違う。まだ死ねない。
じゃあどうする?
......力が欲しい。大きなな力が。すべてを守れるほどの力が。
じゃあ俺に肉体を貸せ。
何故?
俺なら力を授けられる。
............
貸せ。肉体を貸せ。でなきゃ死ぬぞ。ここで死にたいのか?
......嫌だ。まだ死ねない。こんな所で死にたくない。
じゃあ肉体を貸せ。
......わかった。俺に力を貸せ。
ククク。いいだろう。契約成立だ。今回限定だが。
ハヤトが何者かとの会話を終えると、ハヤトの心臓の鼓動が速くなる。そして体も熱くなり、いつしかアザが左半身全体に広がり霧のような影となっていた。その影はドス黒くうごめき、まるで生きているがごとく脈打つ。最終的に顔にも影が広がり、変な紋様のようになる。そしてハヤトの口許が不適な弧を描くと同時に、ハヤトを掴んでいた剛腕が消えた。




