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子供心の恐怖心

2010年10月08日の作品です。

 恐い映画を見た。ホラーじゃない。『どきゅめんたりー』ってヤツ。「戦争の恐ろしさを伝えたいから……」って先生は言った。

 焼けた野原、倒壊した建物、焦げた人間、それを喰う虫。そんな光景が頭に付いて離れない。どんなに面白い事を考えても、すぐに蘇り離れない。終礼の時間も、ものすごく憂鬱だった。


 それでも、その日は友達とたわいもない話をしながら家まで帰った。

 家に着いた頃には、もうあの光景は頭から綺麗に消えていた。友達と遊ぶ約束をし、宿題を適当にさっさと終わらせると「行ってきます!」と母親の「いってらっしゃい。」も、聞かないうちに家を飛び出して行った。


 「ただいまぁ!」と汗びっしょりで満面の笑みで家に帰って、母親の『聞きたくない』って無言の訴えにも全く気付く事なく、今日どんな事をして誰と遊んだのか事細かに報告する。


 夕食の後、父親の後に風呂に入った。目を閉じて頭にお湯をかけた瞬間! 学校で見た衝撃映像が頭に咄嗟に蘇った。

 そうなると、もう手がつけられない。頭は訳の分からない方に回転し、今頭にかけているのは何色なのかまで考えてしまう。『もしかして赤かったら!』と思うと、急いで頭を濯ぎ、お湯の色を見て『ほっ』とする。

 湯舟に入るとほのかに見える風呂場の小窓から誰か覗いていないかと何度も立ち上がり確認する。

 風呂から上がってTVを見ていると、またあの光景は何処かに消え去ってしまった。


 夜9時、母親が「もう子供は寝る時間!」と言ってくる。『え~! まだいいじゃん!』と 言いたいのを『ぐっ』と堪えて自室へ戻る。たたんである布団を伸ばして、歯を磨きに洗面所まで行く。

 部屋に戻ると、電気を消して横になる。目をつむった瞬間!またあの光景が蘇る。

 歌を小声で歌ったり、面白い事を考えたり、アニメのキャラクターを想像してみたりとするが、もがけば、もがくぼど食い込む縄のように頭に吸い付いて離れない。

 『眠ってしまえば大丈夫』と寝ようとするが、眠れない。


 母親の所へこそっと行き「一緒に寝ていい?」と小声で聞くと、寝ていると思っていた父親が「早く部屋へ戻って寝ろ!」と怒り「お父さん明日も仕事だからね」と母親にも突き放され、とぼとぼと部屋に戻って布団に入る。


 『考えるな!』『考えるな!』『忘れろ!』『忘れろ!』と考えているうちに眠りに落ちていく。


 そして朝、目が醒めた。


 よかったぁ。寝れた。と『ほっ』とした。瞬間『まさか!』と布団を跳ね退け『ほっ』とする。







 「……今日は、寝れるかなぁ……」

 


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