残す者への手向け
2010年11月02日の作品です。
『形ある物はいつか壊れる』
それと同じように
『命ある者はいつか死ぬ』
これは、当たり前の事だ。
皆さんは、形ある物が壊れる瞬間を目にした事はあるだろう。
茶碗やカップが割れたり、車が事故で凹んだり、もっと身近で言えば、鉛筆が短くなったり、消しゴムが小さくなったりって。
でも『命ある者』が目の前で『命のあった抜け殻』に変化する瞬間を見た事はありますか?
少し前まで、もがき苦しみ、助けを求め、寝ていても、起きていても、苦しみから解放されず、もがきにもがき苦しんで、突然〔パタ〕っと動きが止まる瞬間を。
この瞬間、約1〜2秒程でしょうが、生きてるこちらの時間も止まったように錯覚します。
ドラマや映画なんかである『○○!!』と突然叫ぶ事なんて出来ません。今、目の前で起こった事が現実なのか、非現実なのかを判別する静止時間が看取る者に訪れるのです。
私は今まで、多くの命が抜けていく瞬間に立ち会いました。
だから何? って思われるかもしれません。
私はだから……と伝えたい事はありません。
しかし、これだけは言わせて下さい。命の抜ける瞬間、出来る事なら笑って下さい。どんなに苦しくても、どんなに痛くても、どんなにまだ生きたくても、笑って下さい。
……それが、残された命への手向けです。




