気になって気になって
好奇心というものは、一度溢れ出すと止まることを知らない。
【この先関係者以外立入禁止】
こんな看板を見たとしよう。普段なら誰しも、行ってはいけない所として認識するのだろうが、好奇心の芽生えた人間からすれば、『何を大層に隠しているんだ?』『その先には、一体何があるんだよ!?』『行っちゃぁいけないのはわかってる。けど……、ちょっと……、ちょっとだけなら見てもいい?』とその先のことが頭から離れない。
【この先関係者以外立入禁止】
『関係者って?』
【この先関係者以外立入禁止】
『この建物の中にいる時点で、自分も関係者じゃないの?』
【この先関係者以外立入禁止】
『この先って事は、その看板迄は行ってもOK?』
【この先関係者以外立入禁止】
『立ち入らないで、ほふく前進じゃ駄目ですか?』
【この先関係者以外立入禁止】
『逆立ち歩きは出来ません』
【この先関係者以外立入禁止】
『この看板、どけてくんない?』
【この先関係者以外立入禁止】
『駄目だ! 見れば見るほど気になって気になって……』
【この先関係者以外立入禁止】
『関係者は何を知っている?』
【この先関係者以外立入禁止】
そうして立ち尽くすこと三十分。一度その場を離れて忘れることに。
一通り、辺りをうろつき、ブラブラしたり、興味も無いもの真剣に吟味したり……。そうして結局辿り着く。
【この先関係者以外立入禁止】
『誰か助けてぇ!! この看板どけてぇ!!』
【この先関係者以外立入禁止】
僕の興味を支配したその看板は、その場にドンと居座り続け、僕は看板相手ににらめっこ。
『この先、関係者以外、立入禁止、なんだよな……』
【この先関係者以外立入禁止】
『ということは、僕には関係ない所だよな……』
【この先関係者以外立入禁止】
『帰ろ!! 帰るの! もう帰るよ!!』
【この先関係者以外立入禁止】
看板を凝視したまま動かない足と目に威圧的な命令を下すと、僕はその場から出来るだけ遠くまで走り去った。体力の続く限り全力で走り通した。
けれどもあの忌ま忌ましい看板の文字は、あの忌ま忌ましい看板は、僕の頭から離れることなく居座り続けていた。
【この先関係者以外立入禁止】




