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1話 異世界転移

「ちょっと買いすぎたかな」


スーパーからの帰り道。

自転車を押しながら、籠に収まりきらない一週間分の食糧の詰まった大量のレジ袋を両手にぼやく。


朝から猛烈に肉じゃがが食べたくなってしまい、自転車を走らせてスーパーへ行ったのだが。まだ寝ぼけていたのだろう、折角なら買い溜めをしようとついつい買いすぎてしまった。

多すぎて自転車に乗ることもできないし、一人暮らしの小さな冷蔵庫には到底収まりきらない。


「はぁ……どう消費しよう」


しょうがない。今日は肉じゃがにして明日はカレーにしよう。多少は日持ちもするだろうし、カレーはうどんと米とパンでローテーションか。

弁当をカレーにしてもいいかな。


献立をぼんやり考えながら歩いていると、当然足元は不注意になる。


「えっ——」


急な浮遊感。

踏みしめようとした地面がなく、そのままバランスを崩して荷物も自転車もまとめて穴に突っ込むこととなった。



「——太陽神よ、御使を我らに。勇者よ。どうか苦しむ我らを、矮小な我らを救いたまえ」


気付けば石造りの台座に横たわっていた。


「痛っ、なにこれ」


冷たい石はごつごつとしてかなり寝心地が悪い。

体は冷え、節々に痺れを感じる。


「よかった……これで救われる……」

「んっ?」


横になったまま声の聞こえた方を見ると、松明を持つ少女が微笑んでいた。

薄い法衣を纏い亜麻色の髪をした歳若い少女だ。

目があった途端。ふっと、意識を失い崩れ落ちた。


「大丈夫ですか!?」


咄嗟に手を伸ばし倒れかけた体を支えた。


「……ん?」


明らかに小さい。

彼女が小柄とかそういう次元ではない、胴体が手の中に収まってしまった。


「よっこらしょっと…… 」


少女を支えながら台座から身を起こすと、明らかに天井が近い。立ち上がるのは元より、中腰でも頭を打ちかねない。

ほとんど這うようにしながら台座から降りると、少女を今まで自分が寝ていた台座に横たわらせ、辺りを見回す。すると薄暗くてよく見えないが、簡素な調度が施された洞窟のようだ。

遠くに小さな明かりが漏れているのが見える。


明かりを目指し出口と思われる方向に向け、匍匐前進をするように這って進んでいると、小窓の様に狭い出口をなんとか抜けられた。


「んん〜〜〜っ!」


洞窟の外は森であった。

広々とした空間にようやく背筋を伸ばせることで、つい声が出てしまう。


強い日差しに目をショボショボと細めながら見回す。


あかりに照らされ輝く緑。遠くに見える鳥。

屹立する岩肌。

美しく鬱蒼とした森。

隆々と聳える樹木が命の強さを湛えている。


しかしその木々もせいぜいボクと同程度の高さしかない。


「うーん……これは……」


ボクが寝ていた台座に横たわる少女を思い、洞窟に振り返る。

森の開けたところに存在する洞窟は、神殿と呼ぶのに相応しい厳かさをもったミニマムな建造物であった。


「小人の世界かな?ここは」

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