短編集No.032 叡智
人類は地球上において徐々にローカライズされ、その後グローバル化をしてきた。
まずはじめに、人類はアフリカ大陸のチャド高原で誕生したという。
その後、アフリカを出た人類は数千年、数万年の時を経て地球各地に散らばり、そしていま地球は一つになった。
私が何を言いたいのかというと、この人類知をまとめるAKSと呼ばれる機械によって人類は知りたいことを知りたい時に知りたいように知ることができるようになったということだ。
AKS、全人類知識共有機の頭文字をとった通称アカシックと呼ばれる機械は、まあつまりアレだ。言い方は悪いが学のない人ほど使いたがる。
逆に研究者は個人用のAIを使って研究のサポートをさせている。
アカシックは有用な機械だが、その性能を十分に引き出すには人類の叡智がまだ足りないのだろう。
「どうだい君たち、アカシックを辞める気になれたか?」
私はこれまでの歴史を説明し、講義堂に質問をする。
「もちろん個人用AI、しかも研究用のソレとなれば高価だ。しかし、それ以上に君たちの知性を引き上げてくれるだろう」
そもそもアカシックは廉価な個人用AIの成れの果てでしかない。
──だが、これでいいのだ。たとえ学生に嫌われようとも私はアカシックを個人用AIまでの繋ぎに使うことを勧めない。
「教授、研究仕様の個人用AIの中で安くておすすめのものはありますか?」
講義が終わった後、1人の学生が質問に来た。
「安いものはないが、研究仕様に絞らなくてもいいと私は思っている。一般の個人用AIを買いなさい。学士課程であればそれで十分だ」
「ありがとうございます」




