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Bloody Code  作者: 大森六
第二章 東京都区別対抗学戦祭編

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第53話 そんなこと昔からわかってる

 ラウンジでの会話を終えて、太地たいち加藤木かとうぎあやかの案内でファシリティaqua(アクア)【水】の医療課へ向かい、ローダー向けの健康診断を受けて再び探索課の執務室に戻ってきた。



「おう、帰ってきたか。医療課はどうだった? 広かっただろ?」


「はい。広かったです。病棟がかなり大きな印象でしたが、入院者数とかそんなに多いんですか? 」


「機動課のやつらがほとんど埋めてんだよ。訓練や任務時の事故も含めてな。過酷だからな……」


「では探索課も負傷した場合はやはり医療課へ行くんですよね?」


「もちろんだ。医療技術は高いから安心しろ。ちなみに……研究課に顔出す時は気をつけろよ。アイツら頭ぶっ飛んでるから」


「……ぶっ飛んでいるといいますと?」


「まぁ、行った時にわかるさ。その中でお前の父さんは断トツでぶっ飛んでたわけだが……」



(小松部長が何かを言いかけて、やめた様な気がする……)



「太地、とりあえず健康診断の結果が出た後、お前に探索課の隊員であるIDカードやら入隊証明書やら諸々を準備する。出来次第、宝生ほうしょうから連絡させるから今日はもう帰宅しろ。今後のことはその時にまた話すって感じで。」



「わかりました。 なんかいきなり今日色々あって、まだちゃんと整理できていませんが……みなさんよろしくお願いします!」



「よろしくっス!」



「またね〜」



 ファシリティstella(ステラ)のエントランスを出たところで権田成美ごんだなるみが待っていた。二人はカートに乗って、中央ゲートへ向かう。そしてリムジンに乗り換えた。


 胴長リムジンに乗って座席に座った瞬間、いつもの場所に戻ってこれたという安堵感が太地の身体に浸透しんとうしていく。


「ふ〜。今日は長い一日でしたね」


「その通りですわ。なんとか無事にことが進みそうでよかったですわ」


「そういえば司令室に行かれて何を話したんですか?」


 太地の質問に答えたそうな顔をしている成美。


「今はまだ言えないのですわ。正式に決まった時点で太地さんにもお知らせしますわ」



『総司令との話し合いだからな。まぁ、言えないことだらけだろうよ』


「そりゃそうだね」



「太地さんはどうされていたのですわ?」


「色々あって、探索課に入隊することが決まりました。健康診断とか受けてきました」


「はぁ⁈ もう入隊ですわ? ちょっと展開の早さに理解が追いつきませんわ」


「いやいや、それは僕もですよ。ハハハ」



 * * *


「ただいま〜」


 20時を回ったあたりで帰宅した太地。ホッとしたのか、疲れがどっと押し寄せてきた。 


「おかえり! ご飯そこに置いてあるから」


 ダイニングテーブルには夕食が置かれていた。ちゃんとラップが掛けられている。


 ありがとう。リビングのソファで座ってテレビを観ている早紀子さきこは三缶目のハイボールを開けて飲みながらつまみに手をやる。


「アッハッハ〜!」


 爆笑している母親を見て、どこか安心する太地。



「母さん、今日政府特務機関ってところに行ってきたんだけど、そこの探索課って部署に就職が決まりそうなんだけど、いいかな?」



「う〜ん、母さんその辺のこと良くわからんから、太地がそこで頑張ってみたいって言うならやったらいいと思うけど。その部署の仕事って危ない系なの?」


 テレビを観ながら答える早紀子。



「危ないこともする。と思う。正直自分でもまだ探索課のことそこまでわかっていなくて……でも、小松栄一さんがいたんだ!」


「……誰それ? 渋沢栄一なら知ってるけど」


「いやそのくだりはもう聞いたよ、そうじゃなくて僕の誕生日の時の父さんのメモの人だよ!」


「あぁ、なんか書いてあったね。その人がいるんだ。父さんに繋がりそうってことね?」


「うん。結局、小松さんも父さんの行方は知らなかったけど、でもきっと生きてるって言ってたよ」



 相変わらずテレビに目を向けているが、流れているバラエティ番組の内容とは関係なく、微笑みを浮かべる早紀子。



「だから……そんなこと昔からわかってるって」




 * * *



 次の日、いつもの朝練を終えて、青三高へ向かう太地。これが太地にとって青三高最後の登校だ。

 教室に入るとクラスメイトが太地のもとに集まる。


六条ろくじょう君、もう明日から青一高なの?」


「さみしくなるね〜。あっちでも頑張ってね!」


「俺たちのこと忘れるなよ! 天才!」


 温かい言葉に慣れないせいか、おどおどしてしまう太地。クラスのモブキャラと思っていた自分がこんな風にクラスの中心となる日がくるなんて。


「みんな、ありがとう!」



 ――昼休み――


 いつもの屋上で早紀子特製弁当を食べながら月人と話をする。



「ここも今日が最後かぁ〜。そう思うとなんだかさみしいなぁ……」


『なにセンチメンタルな気持ちになってんだよ。気持ちわり〜な』


「うるさい! ほっとけ! 三日月人!」 


『なんだと! 弱っちいくせに生意気な!』


 結局いつものように馬鹿騒ぎしてお昼休みが終わった。



 放課後、片桐慶太かたぎりけいたが太地に話しかける。


「なんか、あんまりこれでお別れって思わないんだよなぁ。また多分どこかで太地と会えそうな気がするわ。その時まで元気でな! 青一高でも頑張れよ!」


「おう! ありがとう! 慶太もね!」



 教室を出て、総合運動公園に向かう太地と月人。放課後トレーニングだ。明日からは見せかけの青一高生活とGSD(ジスド)探索課としての生活を想像するとついつい楽しくなる太地。



『よ〜し! 太地! とりあえず600mダッシュを6本だ』


「いやいや、それおかしいだろ」





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