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Bloody Code  作者: 大森六
第二章 東京都区別対抗学戦祭編

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第48話 ステータス考察

 太地たいち月人つきとは食事を終えて部屋に戻っていた。太地は色祭りでの宍土将臣ししどしょうじんとの力の差を痛感していた。更なるレベルアップが必要だと。


「月人、色々と話したいことはあるんだけど、まず、ステータスの事を詳しく説明してほしいんだ。今後は自分の能力を理解した上でトレーニングを積みたい。僕はまだステータスのことをほとんど理解できていないから」



『そうだな……とりあえず、開いてみるか』



「ステータスオープン」


 ヴン――


【プロフィール】 【ステータス】 【スキル】


「えっと、ステータスをタッチして……」



 三つのワードごとに正六角形のレーザーチャートが目の前に開かれた。


【動】【察】【心】


「これだよ。この三つのワードがあまりピンとこないなぁ。これってもう少し説明できる?」



『う〜ん、そうだなぁ……これならどうだ?』


 パッと表示が切り替わる。


【動 action】【察 sense】【心 mental】


「おぉ〜なるほど。さっきよりはわかる気がするよ。それでレーダーチャートの数字は……」



【動 action】力2、敏10、回復12、気力8、体力7、伝8


【察 sense】視8、聴7、触7、知19、嗅6、味4


【心 mental】喜悦9、怒気2、無心15、精進12、悟15、感性10


「actionの<力>が2? これショボ過ぎない?」


『あぁ、ショボいんだよ。お前が』


「くっそ……」


 容赦ようしゃない月人の物言ものいい。慣れてきたとは言え、ダメージは残る。


『まず、動はわかりやすい「力」で表されるものだな。太地からすると見慣れないのは<伝>かな。これは伝達する能力の高さって考えておいたらいい』


「神経みたいなニュアンス?」


「そうだ。力をどこにどう伝えるか、もしくは感じた何かをどう伝えるか、触れた情報をどう頭に伝えるか……みたいなものだな」


「なるほど。てことは、この三つのパロメーターは独立して考えるというよりはそれぞれが密接に関係しているってことだね」


『そうだ。動、察、心は複雑に絡んでいる。特に察は太地の能力を伸ばす上で重要だ』


「……senseか……つまり感覚だよね?」


『あぁ、大分以前にも少し話したが、人間は主に五感を使って生活を営んでいるよな。一説によると人間には20以上の感覚があるらしいぜ。しかも、今の人間は本来持つ能力の十分の一くらいしか力を発揮できていない』


「その未知なる能力を引き出すアイテムとしてエンドサーフェイスがあって、うまく引き出せるかどうかは人それぞれが持つBloody Codeの優劣と本人の努力で決まるということね?」


 深く頷く月人。


「このチャートの各項目の最大値って設定があるの? 見るかぎり、19が一番高いけど」


『いや、特にない。表示がMAX20の設定になっているだけだな。今の太地の数値を相対的にみてわかりやすく比較しているだけだ。マックス100にしたらどの数値もレーダー見えねーし、太地も面白くないだろ?』


「もう少しオブラートに包んでくれよ。本当に容赦ないなぁ」


 ニヤリと笑う月人。


「この【心】っていうのは用はメンタルコントロールのことだよね。『怒気』の数値が低いけどこれは何を意味するの? きたえられるの?」


『鍛えられるぞ。あと、太地は怒りをエネルギーにして力を発揮するのが苦手なタイプってことだな。褒めるつもりはないが、基本冷静だな。無の境地に達するタイプかもしれねーな……あと、悟だ。「覚悟」とか使われるけど、用は窮地を突破する際の底力というか原動力というか…… この【心 mental】のチャートは結構レベル高いと思うぞ』


「あぁ〜。ちょっとわかってきたわ。なるほど……」


 また、ブツブツ独り言が始まる。後は待っているだけで解決だと月人は理解している。



「【動 action】【察 sense】【心 mental】は相互作用があってチャートの数値は参考値として考えて良さそうだね。察を高めて動の効率を何倍にもできたり、察を高めるために心の数値を高める必要があったり……それらを繋げているのがBloody Codeであり、例えるなら……繋がった道が広いか狭いかで通りやすさが違う。つまり作用し合える数量が変わってくる。そんな理解で良さそうだね」


『あぁ、ほぼ完璧だ』


「【動 action】は単純に鍛錬で高めていけそうだけど、【察 sense】【心 mental】に関しては……後天的に鍛えにくそうだな」



『一つ明確にアドバイスできるとするなら……察の数値でいうと、<視>は人間の視力とは別の指標だととらえていいぞ。他にも<味>や<嗅>だってそうだ。 視力や聴力なんて一定数以上鍛えようないけど、ここでいう<視>はもっと《《イド》》レベルの話だ。感覚的説明で悪いけど身体の全てを使って「ミエル」「キコエル」能力ってやつだな』


『鍛錬というよりも、経験とかひらめきで数値が上がる気がするぜ。お前のステータス、色祭りの前後で「察」と「心」が変化あったしな』



「うんうん。なるほど……大分理解できたよ! ありがとう月人!」


『おう!』



 二人は改めてNFNF(エヌフ)の黒般若の事を話し始める。


「あれは結局、宍土将臣ししどしょうじんのアイドルだったんだよね? 傀儡かいらいってアイツは言ってたけど。アイドルは倒したってこと?」


『いや……多分宍土がロードしていたとは思うんだが、なんていうか……スッキリしなかったな。他にも何体もアイドルをロードできる可能性が高いぜ』


「もし同時に何体も操れるならやばいね。あの一体ですら僕は太刀打ちできなかったし……僕があの黒般若レベルに戦おうと思ったらステータス的にはどれくらいアップする必要があるの? 目安として知っておきたいんだ」



『ステータスだけで考えるなら、3〜4倍くらいは必要かもな』


「……」


『でもそう卑屈ひくつになるな。前にも言ったがステータス以外にシンクロ率の差異で大きく上回ればいい。太地ならそれが可能だ』



「シンクロ率か……今は28%だね。」


 太地が無力さを感じたあの事件、あせりを感じているのが月人に伝わってくる。

 そもそも28%のシンクロ率なんて他のローダーでは到底無理だということを太地は理解していなかった。


『まぁ、気張るなって! 今はそんなに深刻に考えても仕方ねぇよ。まずは傷の完治、高校の編入手続、そしてGSD(ジスド)訪問だ。宍土将臣のことは一旦忘れようぜ』



「そうだね! GSD(ジスド)の事、月人が知っている情報を教えてよ!」


『俺も内部のことは知らねーぞ』


「……」



『……』



 長い一日がやっと終わった。





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