第10話『氷点下の牙 2 』
現在午前5時、天候猛吹雪、気温は多分-1000°くらい。
「寒すぎる〜こんな寒いと凍っちゃうよ〜」
「もう温かい魔法使うよ……」
ポカァァァァァ
「あ……温かい〜!」
「まったく……ッて見えてきたよ!」
「おおぉぉぉぉぉぉ!」
目の前に広がるのは今まで見たことのない雪景色……
その景色に散らばる生活感を感じる光……
「きれ〜!」
「綺麗だねー!」
「ッて、私たちは観光に来たんじゃないんだよ!」
「へへッ、そうだった〜」
私たちはここ”ロスカ村”付近にいる氷獣の狩猟に来た。
けれども、相手は殺人をした獣……容赦はしないからね!
「とりあえず痕跡を探さないと!」
「は〜い、私はこっちを探してるね〜!」
「ダーメ、今回は一緒に行動しないと」
「え〜なんでよ〜」
「逆になんでそんなに嫌そうな反応するんだよ!」
エレナはそう言うと、炎魔法を出しながら近づいてくる。
「この吹雪の中、それに相手は人を殺す力のある魔物。そんな魔物を一人で相手するのは危険だし、吹雪で遭難の可能性もある。だから私が一緒に行くわ」
「わかったよ〜一緒に痕跡を探そ〜!」オー!
――
痕跡を探し始めて10分、未だに痕跡らしきものは見つからない。
「お〜これはリスが溜め込んだどんぐりだ〜!」
「ちゃんと痕跡を探せ!」
「は〜い」
と言われてもな〜痕跡が見つからないんだもん。
っと思っていたが、よく見たらどんぐりの中に一つだけ異質なものがある。
「これ……牙だ」
「えッ、本当に!?」
よ〜く観察すると少し先端が凍っている。
その先端には血らしき赤いシミが残っている。
「これだ……氷獣の牙だ!痕跡が見つかった!近くにいるはず……と思ったけど」
「リスが隠してるからね〜どこから持ってきたのかわからないや〜」
「追跡魔法使えるかな……?」
エレナがそう言うと手のひらに小さな魔法陣を展開して、牙を乗せる。
「氷獣を追跡して!」
次の瞬間、魔法陣から魔力が飛び出して北側に向かって行く。
「あっちよ……たぶんね」
「多分てなんなの〜」
「まだ追跡魔法は完璧じゃないから」
だけど、それにしか頼れないから魔力が向かった北側に進む。
――
「ここらへんに魔力が……あった!」
エレナが走って魔力の痕跡に向かう。
その先には大きな洞窟があった。
入口には氷柱がびっしりと行く手を阻んでいる。
「ここにいるのね、氷獣!」
すると、エレナの前に大きな魔法陣が展開する。
赤い六角形と周りを囲む橙色の魔力。
「炎魔法!」
魔法陣から目を燃やすような炎が氷柱に向かって発射される。
そのまま氷柱は跡形もなく消え去った。
「よし、氷獣を倒しに行くわよ!」
「行こ〜!」
――
「うう、暗い……いつ襲ってくるかわからないから注意してね」
「わかってるよ〜だ、エレナこそ気をつけなよ!」
そんな会話をしながら洞窟を進んでいると、地面に光る何かを見つけた。
「なにこれ?」
「これも……牙?」
すると突然、背後から咆哮が聞こえる。
「しまった、後ろだッ!?」
後ろを振り向くと、そこには恐ろしい紅い瞳に血塗られた牙。
氷獣が牙を突き出して奇襲してきた。
「防御魔法ッ!」
エレナが咄嗟に防御魔法を展開した。
しかし、氷獣の牙はエレナの防御魔法を破壊した。
「キャッ……」
「うおぉぉぉ!爆破魔法《ブラスト・弱》!」
私の爆破魔法《ブラスト・弱》は氷獣に一直線で向かう。
しかし、華麗な身のこなしで避けられた。
「なぬッ、私の爆破魔法を避けるだと!」
氷獣の視界に私が入ると、エレナから私に標的が向いた。
ガルルルルルル
「爆破魔法《ブラスト・弱連》!」
咄嗟に思いついた新魔法、爆破魔法《ブラスト・弱連》!文字通り爆破魔法《ブラスト・弱》を連続で撃てる優れモノだ!
ドガァァァァン……ドガァァァァン
しかし、打てば打つほど氷獣はどんどん接近してくる。
「あぁぁぁぁ当たんないぃぃぃ」
「炎魔法ッ!」
エレナの炎魔法が氷獣を取り囲む。
「燃えろぉぉぉ!」
ギャガガガガガガ
炎の中から氷獣のうめき声が洞窟内に響く。
「リリス、今だ!」
「うぉぉぉぉぉ、爆破魔法ッ!」
ドガガガガガガァァァァァァン
煙が舞う、氷獣の姿が影となって見えるが動かない。
「よし、倒したわ!」
煙が消えると、倒れる氷獣の姿があった。
「早速もふもふの毛を取るぞ〜!」
ガガガガガガガガガ
「なッなんの音!?」
急に洞窟内に轟音が響く。
天井から氷柱が落ち、洞窟内全体が揺れる。
「リリスの爆破魔法がッ……」
「急いで逃げなきゃだ」
私たちは崩れ行く洞窟から脱出するのであった。




