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初恋強盗  作者: 御神大河
67/203

陰浦家訪問

『スーツとか着てこなくてよかったの?』

「結婚の挨拶じゃねーんだよ。友達の家に遊びに行くんだから私服でいいだろ」


 今日は陰浦栞の家にお邪魔させてもらう日である。

 駅まで迎えに来てくれるとのことだったが、ちゃんと合流できるんだろうか?

 陰浦は目立たないからな、すれ違いとか発生しそうで怖いな。

 と言うか、そもそもちゃんと来てくれてるよな?また、日和って逃げて一日中待ちぼうけとかは勘弁だぞ。

 オレは朝から陰浦の家の最寄り駅へと足を運ぶ。

 待ち合わせ時間30分前か、早く着きすぎたな。……緊張してんのかな?


「ねえねえ、30分くらい立ってるよね?もし暇なら俺と一緒にそこの喫茶店にでも入らない?」


 ナンパか。

 夏休みに入ってからよく遭遇するな。相手を求めたくなる季節なんだろうか?

 迷惑だとかいろいろ忌避されたりする行為ではあるけど、積極的なことはいいことだよな。オレも彼らの積極性を──


「陰浦!?」


 ナンパされてんの陰浦かよ!?

 オレがビックリして声を出したことにより、陰浦の方もオレに気付いたようだ。

 何度も何度も「すいません、すいません」とナンパに頭を下げながらオレの方に逃げてくる。


「待たせたみたいだな」

「そ、そんなことないよ。今来たとこ…です」


 ウソつけ!

 ナンパの奴が30分くらい立ってるって言ってたぞ!

 てか、オレも待ち合わせの30分前だってのに、陰浦は待ち合わせの1時間前かよ。

 待ち合わせ下手か!!


「声かけられてたみたいだったけど、大丈夫だったか?」

「はい。……今度から待ち合わせ時間ギリギリに来ます」

「そうか……」


 男のオレを友達としていきなり家に招待するくらい抜けてるから、声かけてきた相手にもIQ下がるのかと思ってたんだが、あーいう輩にはついて行かないんだな。

 多少はオレに気を許してくれているんだろうか?

 オレは陰浦の案内で歩いて陰浦の家へと向かう。


「今日はご両親家にいるのか?」

「はい。パパもママもいます」

「オレのことは?」

「ちゃ、ちゃんと伝えました」

「じゃあ、安心だな」


 なんかトーカが言ってたみたいに結婚の挨拶に行くみたいになってんな。

 落ち着け、落ち着け。

 ただ、友達として遊びに行くだけだ。別に大したことじゃない。

 オレ友達の家に遊びに行ったことないけど!

 まぁ、問題ないだろう。ゲームで予習したからな!

 髪型は整えたし、服も今朝アイロン掛けしたし、手土産の用意もした。完璧なはずだ!!


「あ、あの!湾月くん!」


 ビックリした~!陰浦、ボリュームのつまみ壊れてんな。


「どうした?」

「湾月くんの今日の格好、カカ、カッコイイデスネー」


 なんだその片言な喋り方は?

 もしかして、陰浦も予習してきた?

 ただ、甘いな。こういうのは予習してきたとバレない演技力も必要なんだぜ。


「ありがと。陰浦も今日の格好よく似合っていてかわいいぞ」

「ふえ!?そ……そうですか……。あっ、あそこが私の家です!」


 マンションか……初めて入るな。

 マンションって管理人さんとか防犯カメラとかあるんだよな?不審行動には注意せねば。


「何階なの?」

「八階です」

『はえー。高層階ね!学校の屋上より高いじゃない!』


 確かに。


「陰浦、一ついいか?」

「な、なんでしょう?」

「紙じゃなくて会話してくれてありがとな!」

「いえ……」

「それで、友達としてもうワンステップ頑張って欲しいことがある」

「なんですか?」

「敬語やめようか?」

「ふぇ!?」

「仲のいい友達と言ったらやっぱ互いにタメ口だろ?

 だから、できればオレは陰浦に呼び捨てタメ口で話してもらいたいかな。」


 まぁ、いきなりは難しいと思うけど。

 それにオレ、陰浦の丁寧な言葉遣い結構好きなんだけどね。

 ただそれでも、距離を詰めるならタメ口の方が効率がいい。それは雷歌先輩がオレに実証してくれた。

 夏休み中に攻略を目指すためにも多少強引でも効率的にいきたい。


「だから、湾月くん今日私のこと呼び捨てだったんだ」

「はは。指摘されるとこそばゆいな」

「す、すぐには無理ですけど……が、頑張ってみるね?」

「おう」


 ピーンポーン


「はーい!」

「あっ、ママ?連れてきたよ」

「あら!ちょっと待っててね!あなたー、栞がお友達連れてきたってー!」


 声色的に栞の母親からはオレへの敵意とかは感じない。

 これは父親次第かな?


「鍵持ってないのか?」

「持ってるんですけど、心の準備をしたいからチャイムしてって」

「あー、わかる」


 チャイムからちょっとして陰浦の家のドアがガチャリと開く。


「あなたが湾月くんね!いらっしゃい!入って入って!」

「お邪魔します。あのこれ、つまらない物ですが」

「あら!そんなのいいのに!ありがとうね!後で美味しく頂くわ!」


 明るく、雰囲気がどことなくふわっとしていて、ものすごく人がよさそうだ。

 見た目は陰浦と似ているけど、性格はあんまだな。

 リビングでは陰浦の父親が緊張した面持ちで待っていた。

 見た目は……細身でそれほど身長も高くなく、非常に優しそうだ。


「き、君が湾月くんか」

「はい。湾月鏡夜と申します。栞さんには仲良くしていただいていて」

「学校での娘はどうだ?」

「ちょっと。なんですか、その喋り方は?もしかして緊張してるの、あなた?」

「そ、そんなことは……!」

「うふふ。ごめんなさいね、この人こういうの慣れてないのよ」

「いえ。学校での栞さんは責任感が強くてしっかりしてますし、頭もよくて模範的な生徒だと思いますよ」


 自分で言うのもなんだけど、なんか家庭訪問しに来た担任みたいだな。


「あら、意外ね!しっかりしてるなんて!

 栞も成長してるのね!

 この子ったら他の子と全然おしゃべりできないからいっつも一人だし、ふわふわしてるから行動も他の人より遅いしで、中学生の時は友達がいなくて心配してたのよ!

 それなのに高校入ってから友達できたとかいうから、ちょっと意地悪しちゃおうかなーと思って連れておいでって言ったんだけど、まさか栞のお友達が男の子とはね~」


 よくしゃべるなー。

 対して、父親の方はほとんどしゃべらず、ずっと飲み物飲んでるし……陰浦の性格は父親似なのか。


「ねえ、湾月くん。湾月くんと栞って恋人同士だったりするのかしら?」

「──ブフッ」

「ちょっと!ママ!!」


 唐突になんちゅうぶっこみかましてくんだ。

 陰浦は大慌てだし、陰浦の父親は飲み物噴き出すし場がめちゃくちゃだ。


「ちょっと、あなた!お茶溢さないでくださいよ!」

「いや、お前が……ゲホゲホ……」

「別におかしなことじゃないでしょ?高校生の男女なんだから。で!どうなのかしら!?」

「ちょっと来て!」


 オレは陰浦に思いっきり引っ張られ、一室に連れてこられる。


「ここは?」

「私の部屋。ちょっと待ってて!」


 陰浦は再びリビングへ戻って行った。


「ママー──!!」


 リビングからは陰浦が母親にかなり激しく抗議する声が聞こえる。

 陰浦ってああいう一面もあるんだな……意外だ。

 しかし、助かったな~。あのまま質問地獄にあってたら、どうなってたことか……。


『ここが陰浦さんの部屋なのね!結構かわいいわね!』

「そうだな」


 陰浦の部屋は壁紙から家具まで薄いピンクや水色など柔らかい色を基調にしており、大量の可愛らしカバーの本とぬいぐるみが並べられている。

 一言で言うとフェミニンだ。

 で、部屋に放置されたオレはどうしたらいいのだろうか?

 あんまり他人の部屋を見て回らない方がいいよな~?

 と、思いつつオレは陰浦の部屋を見て回る。攻略に必要な情報を手に入れられるかもしれないからな!


「おっ、これ夏休みの宿題か!後で写させてもらえないか──」


 机の上を見ていた時、オレの目にあるものが飛び込んでくる。

 それは、電源が入ったパソコンのモニターに映し出されていた。


「『根暗な私が学校一の不良に溺愛されています』?」

また読んでいただきありがとうございます!

『初恋強盗』の67話です!!

今回は陰浦栞の自宅訪問回!!

寡黙なお父さんとお喋りなお母さんの組み合わせもデフォ!!

そして、なにやら見てはいけないものを見つけてしまった鏡夜!

次回はパソコンを見ているの栞に見つかりさあ大変回!!お楽しみに!


忌憚ない批評・感想いただけると嬉しいです。

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