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初恋強盗  作者: 御神大河
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65/203

新たな可能性!?

 楓の母親との話し合いが終わったあと、オレは彩夜と楓から近所のショッピングモールへ呼び出された。


「どうしたんだ、二人とも?」

「あれ」

「あれ?」


 あー、スイーツバイキングかー。

 ほんと好きだな。

 栄養バランスが偏るからほどほどにして欲しいんだが……。


「だめ?」

「いいよ」

「「やったー!!」」


 そんな風におねだりされたらダメとは言えません。

 店の中はオレ以外女性客か。

 当然、唯一の男性客であるオレに視線が集まる。

 どうでもいい時にはひょっこり現れてこれでもかと言うほど見せつけてくるくせに、なぜこういう時に限ってカップルがいないんだ!?

 ……気まずい。

 そんなオレを放置して、彩夜と楓は目を輝かせながらスイーツをさらに山盛り乗せている。

 あーあ、そんなにアイス取って……お腹壊すぞ。


「そんなに食べると太るぞ」

「明日プールでいっぱい泳ぐから大丈夫!」

「鏡夜、全然取ってないじゃん!元取らないともったいないぞ!」

「たくさん食べるよりおいしく食べる方がいいだろ。それより楓、店の中では帽子を脱いだら?」

「無理」

「いや、無理って──」

「アニキ!」

「お、おう。まぁ、楓がそうしたいならいいか……」


 彩夜に怒られてしまった……。

 まぁ、芸能人の娘なわけだしな、迂闊に顔を晒すわけにはいかないか。

 この辺は一般人のオレとは感覚が違うから気を付けないとだな。


「水着は買えたのか?」

「うん」

「鏡夜も明日一緒に来るか?そしたらあたしの水着姿見れるぞ」

「うーん。プールってカメラの持ち込みできないんだよな~」

「は!?え、なに!?あたしの水着姿、写真に撮る気なの!?」

「いや、楓じゃなくて。彩夜のな!アルバムは常に更新しないとだろ!」

「勝手に撮ったらアルバム全部燃やすからね、アニキ」

「了解です」


 プールはなー……脇腹のハートマークのせいで入れねんだよな~。


「そうだ!さっき、楓のお母さんと話したんだけどな──……」


 オレは楓に東江美月さんと話した内容を聞かせた。



「つうわけだから、夏休みの間よろしくな!もちろん、それ以外の日も遠慮なくうちに遊びに来ていいぞ。

 それと、オレのことは実の兄だと思ってくれていいからな。困ったこととかあったらオレに相談しろよ?」

「ふーん。……よろしくね、鏡夜お兄ちゃん♡」

「お、おう」


 やっぱお兄ちゃん呼びの破壊力すごいな!

 最高の耳心地──


「──イッて!?」


 オレの脛が思いっ切り蹴られた反動で跳ね上がる。

 なんだ!?

 オレは犯人である彩夜の方を見るが、彩夜はツンッとそっぽを向いている。

 そんな彩夜の様子に楓は嬉しそうにしている。

 二人の中ではよくあることなんだろうか?


「ねえ鏡夜、さっそくなんだけど今日から泊まっていい?」

「彩夜がいいならオレはいいぞ!」

「私は大丈夫!」

「じゃあ、布団用意しないとな。来客用の布団とかないし」

「あたしは鏡夜と同じベットで寝てもいいよ?」

「からかうんじゃねー」


 オレは楓の頭に軽くチョップする。

 こういうやり取りは久しぶりだな。


「これからもお世話になるし、彩夜んちにあたし用の布団置いてもいいかな?」

「家から持ってくるんじゃなくてか?」

「そう!」

「どう、アニキ?」

「別に構わないけど……」

「じゃあ、買っちゃお!配送してもらうから彩夜んちの住所教えて!」


 随分と思いきりいいな。


「お金とか大丈夫なのか?親に相談した方が……」

「ん?大丈夫だよ。あたしの財布でやりくりしてるし」

「そうか……」


 お母さん女優でお父さんも確か有名な資産家って話だし、結構お小遣い貰ってんのかな?

 まぁ、母さんもオレらに対して結構な金額の小遣い送ってくるし、子どもの相手をできない分こういうところは甘くなるんだろうな。



 スイーツバイキング後は、楓に誘われたこともあり、映画やゲーセンなど三人で遊んだ。

 夏休み始まったなーって感じだな!

 まぁ、相手は中学生なんだけど……。

 帰ってきた二人は間食も多かったことから、案の定夕飯を全然食べられなかった。


「風呂沸かしたから、入っちゃえなー!」

「「はーい」」


 家事が一通り終わり、ようやくオレは自室へと戻ることができた。


『今日は忙しそうだったわね』

「高校生の夏休みなんてやることが多くてちょうどいいんだけどな」

『意外。忙しいのは嫌いだと思ってた』

「だからだよ。面倒くさがりだから強制的に忙しい方がいいんだ。じゃないと短い青春を無為に過ごすことになるからな」


 コンコンコン


 オレが部屋で休んでいるとドアがノックされる。


「はい」


 返事をすると楓がひょこっと顔を覗かせてくる。


「ちょっといい?」

「いいぞ」

「お邪魔しまーす」


 部屋に入ってきた楓はオレのベットに腰かける。


「彩夜は?」

「お風呂。……迷惑かけちゃってごめんね」

「なにが?」

「泊まりのこと……」

「気にすんな。それに彩夜も家に一人のことが多いからな、楓が遊びに来てくれるのはオレとしても助かってんだ。ありがとな」

「……辛気臭いの終わり!鏡夜、これやらない?」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ちょっと待て!お前容赦なさすぎだろ」

「ほらほら、頑張って!」

「限……界……」

「あははは!鏡夜よわよわじゃん!もう一回!」

「ちょっと休憩」

「ダーメっ!あたし全然疲れてないし、もう一回!ね!?」

「しょうがないなー」


 バンッ!!


「なにやってんのー!!?」


 彩夜の怒号とともに、激しくドアが開く。


「おう、彩夜か……ビックリしたー」

「な……なにやってたの?」

「クラッシュファイトって言う対戦ゲームだけど……彩夜もやるか?」

「え!?ゲーム……そう……。て、てか、なんで楓を部屋に連れ込んでんの!?」

「連れ!?いやいや、これは楓の方から来て……」

「えー、鏡夜が部屋に来いって強引に連れてきたんじゃん」


 は!?


「バッカッアニキ!!」

「ふぎゃっ!!」


 彩夜の投げたハンガーがオレのでこに直撃する。

 しかし、彩夜は止まらない。

 辺りのものを拾ってはオレに投げてけてくる。


「待って待って、彩夜!冗談だから!あたしがゲームしたくて鏡夜の部屋に来ただけだから」

「ほんと?ウソついてない?」

「ほんと、ほんと」


 オレも視界が歪むほど頷く。


「ごめんね。ちょっと彩夜をからかいたくなっちゃって……」


 彩夜をからかうためにオレを巻き込むのやめてくれないかな?

 危うくとんでもない犯罪者にでっち上げられるところだった……。

 オレ、彩夜に嫌われたら生きていけないからね?


「鏡夜もごめんな?」

「まったく……心臓に悪いわ」

「それ、私のセリフだから!普通さ、いくら仲が良いとしても妹の友達と部屋で二人きりになったりしないでしょ!何考えてるのアニキ!」

「すんません……」


 なんか今日は彩夜に怒られるな……。

 てか、これオレだけ怒られるのか!?

 確かに彩夜の言う通りホイホイ自分の部屋に女の子も招き入れたのは年上として反省すべき点であると思う。

 だが、これに関しては楓の奴も相当だろ!あいつの方から入ってきた訳だし!彩夜にいらんウソをついて不安にさせたわけだし!

 ただまぁ、彩夜は相当ショックだったのだろう、瞳に薄っすら涙が浮かんでいる。これではオレは何も言えん。

 楓がそんな彩夜をあやしながら、涙を指で拭う。

 なんか傍から見ているとカップルみたいだな。

 彩夜も普通に楓に体を預けてるし、涙を拭われることも受け入れているし……。

 ん、待てよ?

 仮に彩夜が楓のことを好いているとすると、さっきオレだけに怒ったことにも合点がいく。

 要は自分の好きな子を兄であるオレが誑かした構図になるわけだもんな。彩夜としては面白くないわな。



 彩夜と楓がオレの部屋から去ったことで室内は落ち着きを取り戻す。


「トーカ、確認したいことがあるんだが」

『なに?』

「初恋って女の子同士だとしても適用されるのか?」

『そりゃされるでしょ!』

「そうか……」


 となると、二人にまだ初恋マーカーが浮かんでいる以上、すでに付き合ってるということはないのか。

 まぁ、彩夜の好きな人が楓と決まったわけでもないし、オレの思い違いの可能性も十分ある。

 女の子同士か……ゲームだとそこそこ見るけど、現実だとなかなか難易度高いよな……。

また読んでいただきありがとうございます!

『初恋強盗』の65話です!!

今回は彩夜と楓との遊び回!!

部屋から聞こえる声で勘違いのお約束はどこかでやりたいと思っていました!!

そして、彩夜に新たな可能性浮上!!

次回は彩夜と楓とのプール回!!つまり水着回!!お楽しみに!


忌憚ない批評・感想いただけると嬉しいです。

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