↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初恋強盗  作者: 御神大河
PR
38/203

練習終了のお知らせ

 ちょっと変わった図書室のイベントを体験したオレであったが、体育祭実行委員はいつも通り退屈で欠伸を我慢していた。

 体育祭が目前となり一層気合いの入っている実行委員に対して、応援合戦に参加しないオレは暇そのものだ。

 やることは生気のない表情で風歌先輩を眺めることだけ。


『風歌先輩結構動けてない?』

「ああ」


 風歌先輩は最初のころとは比べ物にならないほど踊れている。

 気負うことなく落ち着いて踊れているし、周りの動きにも合わせることができている。

 なんだったら上から数えた方が早いくらい上手だ。


「いやー、風歌くんすごい上手くなってるじゃないか!?これなら本番もばっちりだよ!」

「ありがとうございます」


 岩筋先輩に褒められた風歌先輩はチラッとオレの方を見る。

 「すごいでしょ!」って感じかな?

 オレは風歌先輩に小さくサムズアップする。

 それ見た風歌先輩はニコッと笑った。


『今、風歌先輩の笑顔にドキッとした?』

「……まさか。このミッションを完遂するまで、特定の誰かにご執心ってわけにはいかないからな」

『別に好きな人がいる状態でミッションをこなしてもいいのよ?』

「オレにそんな器用なことはできねーよ」



 全体練習が終わった後は屋上で個別練習である。

 こちらも軽く手を握った後、オレの手拍子合わせて風歌先輩が踊るいつも通りの光景だ。

 ただ、昨日と大きく違い風歌先輩の動きが完璧だ。

 あの後もかなり練習したんだろうか?それともマインドに変化があった?

 いずれにしろ、これだと昨日のように集中を乱すことは無理だな。


「どうだったかな?」

「正直言うことないですね。完璧です」

「よかった~。鏡夜くんのおかげだね!」

「風歌先輩が頑張ったからですよ」

「えへへへ」


 まぁ、こんだけ練習して上手くなりませんでしたよりはいいか。風歌先輩も嬉しそうにしてるし。

 それにしてもこんだけ上手ければ、もう練習の必要ないんじゃ?


「ねえねえ、私の応援合戦の練習も見てよ?」

「雷歌先輩のですか?」

「そう!」

「と言っても、紅組の応援合戦って何やるのか知らないんでただ見るだけになりますよ?」

「そうだよ。それにせっかくならどんなのをやるのかっていう楽しみは本番まで取っておいた方が……」

「それは……まぁ……」


 なんだ?

 なんというか、今の雷歌先輩は今までの雷歌先輩とちぐはぐというか……オレが参考にしたエロゲ—『白より黒く 黒より白い!』のヒロイン、フランダとズレている気が……。

 オレは風歌先輩の方も確認する。

 すると風歌先輩はなにやら悩んだ様子で一点を見つめている。

 そして、オレの方を見る。その視線はとても強いものだった。


「鏡夜くん、ありがとう。鏡夜くんのおかげで本番もみんなに迷惑かけないで済むと思う。もう大丈夫だと思うから……練習は今日で終わりにしよっか!」


 へ!?


「迷惑かけちゃってごめんね。あと、ありがと」

「いえいえ。お役に立てたなら…よかったです」


 風歌先輩は深々と頭を下げると、こちらを見ることなく走り去ってしまう。


「ちょっと風歌!?鏡夜、またね!」


 風歌先輩を追って雷歌先輩も走ってゆく。

 唐突なことにオレはフリーズしていた。


『鏡夜!鏡夜!!』


 トーカの声で我に返る。


『鏡夜、どうすんの!?』

「どうすんのと言われてもな……今はどうしようもない」

『どうしようもないって!風歌先輩を追いかけなくていいの!?』

「追えないだろ。

 阿雲風歌の目的は、阿雲雷歌に自分が湾月鏡夜に恋してると錯覚させることだ。

 その阿雲風歌が動いたってことは、なにか考えがあるんだろ。

 今下手に動いたらそれをぶち壊しかねない。

 それに、さっきの阿雲雷歌の反応は正確にどうとは言えないが、微妙に違和感があった。

 赤の他人のオレが違和感を覚えたんだ。姉妹である阿雲風歌はなおのことだろう。ここは阿雲風歌の動きに合わせる」


 しかし、わからんな。

 この練習はオレと風歌先輩の仲の良さを雷歌先輩に見せつけるには絶好の場だと思ったんだが、ここでそれを破棄……ここからどうすんだ?

 いや、今は風歌先輩の狙いより、オレの攻略手順だ。

 練習がなくなった以上、風歌先輩との接点がほとんどなくなった……となると雷歌先輩との接点も……。

 どうっすかな……。


『練習なくなっちゃけど、これからどうすんの?』

「一度見直しが必要だ」

『見直し?』

「ああ。ここまで阿雲雷歌のモデルは『白より黒く 黒より白い』のフランダとしていたんだが、違うのかもしれん。いや、ベースは合ってると思うんだ。ただ……上手く言えん!」


 オレは家に着くとパソコンへ直行しようと玄関を開ける。

 また、日菜来てるのか……。

 一応リビングに顔出すか。


「ただいまー」

「「おかえりー」」

「鏡夜、ちょっとそこ座って!」

「お、おう」


 え!?なに!?

 また、お説教ですか!?

 オレが席に着くと、食事が出てくる。


「これ食べてみて?」

「おう」


 いや、まじでなに!?

 これオレが作った飯じゃないよね!?

 めっちゃ怖いんですけど!?

 オレは恐る恐る出された食事を口に運ぶ。


「どう?」


 臭いも変じゃないし、舌もひりつかない。毒ではないな。

 味は……なんとも言えん……。


「おいしいけど……これなに?」

「おいしいって!」


 日菜の嬉しそうな声で、彩夜が胸を撫で下ろす。


「え!?これ、彩夜が作ったの!?」

「そうよ!」

「なんで……」


 食ったら体調を下すことが確約されていた彩夜のご飯が、食べられるようになってる……。

 やばい……言葉が出てこない……。


「アニキ最近忙しそうだから、ご飯くらいなら手伝えるかなって……で、日菜ちゃんに教えてもらった」

「ふふん!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!彩夜ーーーー!!!」


 彩夜に抱き付こうとしたが、スルッと避けられオレは顔からソファーに突っ込んだ。


「な…なぜ……」

「なにかある度に抱きついて来ようとしないで……。あっ!?そう言えばアニキ、今日なんかゲーム届いてたよ?」

「え!?」


 ゲーム!?

 どんなゲームだ!?

 ここ最近エロゲ—にも手を出し始めてしまったから、それだったらヤバい!!

 いや、ギャルゲーでも妹に見られるのは兄としてまずい!!

 今の言い方的にどんなゲームかは把握してないんだよね?把握した上で泳がせるとかはなしだからね!人道的に!!


「なに、鏡夜?冷や汗かいてるけど?もしかして、見られたらまずいもの?」

「い、いや、そんなことは……ないけど……」

「ふーん。じゃあ、開けるからね、アニキ?」

「えッ──!?」


 オレの目の前で彩夜が段ボールにカッターを差し込み、封を解放した。

 オレは直視できず、開け放たれた段ボールから目を切る。


「なにこれ?『ワンコといっしょ』?」

「どういうゲーム?」

「ワンコに癒されるゲームだって」


 助かったーーー!!

 風歌先輩が小動物っぽかったから参考になるかなと思って買ったゲームだ。あぶねー!!


「へー。かわいらしいゲームじゃない!なんであんなにビクビクしてたのよ?」

「いや、まぁ、その~、レビューを見た感じ女性に大人気って感じだったから、妹に見られるは兄としてちょっと恥ずかしかったというかなんというか……」

「へ~、ねえアニキ!遊び終わったら私にもやらせてよ!」

「おう、いいぞ!」


 よっしゃーーー!!

 彩夜との共通の話題ゲット!!

 このゲームは幸運を呼ぶゲームだな!

 予定変更!今日は恋愛ゲームじゃなくてこのゲームやろう!!

 雷歌先輩のことは……また明日考えればいいか!

また読んでいただきありがとうございます!

『初恋強盗』の38話です!!

今回は練習終了お知らせ回!!

風歌先輩の思考が読めない鏡夜は悩みまくり!

さらに、お届け物が彩夜と日菜に捕まり、冷や汗が!!

次回は雷歌先輩とのイチャイチャ回!?お楽しみに!


忌憚ない批評・感想いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。