表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
送り梅雨  作者: 藤泉都理
26/32

甚雨




 二人分の大号泣がさらなる雨を呼び寄せたのか。

 外に出てはヤバいと傍目に分かるくらいの砲丸雨の襲来に、静まるまでここに居る事になった俺たちは今。

 お互い小学三年生の自分の幽霊と向かい合っていた。

 想いが通じ合ったので、消えても、戻ってもおかしくはないのだが、その予兆は全くなし。

 と、言うより。

 むしろどんどん実体化していっているような。

 え、うそまさか。

 三十九歳の俺たちの命を奪って、実体化している、とか。

 三十九歳の俺たちを吸収して、九才から人生をやり直す、とか。

 え、うそよくない。

 若返って、学生時代にしか味わえない青春を梅田さんと一緒に過ごせるなんて。

 そんな、夢みたいな、奇跡が今まさに。


 嫌うん分かってるよそんな事あるわけないだろうって蔑んだ目で見るなよ。


「まあ、俺たちにしか見えてないなら別にこのまま居てもいいんだけど」

「そうだな。最初はどうにかしなければいけないと混乱もしていたし焦ってもいたが、別段何かよからぬ事をやらかすわけでもないし」

「じゃあ、とりあえず様子見って事でいいか」

「ああ」

「じゃあ、よろしくな」

「よろしく」


 俺と梅田さんは小学三年生の自分の幽霊に握手を求めた。

 と言っても、熱く握手を交わせるとは思っていない。

 いくら実体化しているように見えても、幽霊は幽霊。

 本はどうしてか持てるようだが、握手は無理だろうと思っていたが。

 うん。握手もできました。

 うん。君、結構握力強いのね。

 骨がきしんでいるよ絶対気のせいじゃないよ。










(2022.9.12)


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ